聖玉と巫女の物語
王族
(ここは……どこだ?)
目を覚ましたフリンツは、自分がどこにいるのかわからなかった。
見渡す限りの草原。ところどころ色がついているのは花が咲いているのか。
彼は自分が死んだのだと思った。
その時、いつの間にか一人の男が目の前に立っているのに気付いた。
男は腰に立派な剣を携えていた。
「その剣は、まさか」
男は城にある肖像画の伝説王とは違う風貌だった。しかし、フリンツは確信した。
彼が、バイサイファルだと。
威厳に満ちていたが、目はどこか優しさを宿していた。
「お前には真実を知る権利がある」
そう言われた瞬間、フリンツの脳裏にウェルギンの言葉が響いた。
『古い時代の城跡……もちろん王族の城ですよね?』
フリンツは何か心にひっかかるものがあった。
「北のはずれにあるという古い城跡は、王族のものなんですよね?」
フリンツの問いに、バイサイファルは無言で首を横に振った。
「でも、イラクサの紋章のようなものがあったと」
バイサイファルは、剣を彼方に向けた。
「我々、王族は元々は別の大陸から神官の祖先と共にやってきたのだ」
「……!」
「先住民族を蛮族として排斥しようとしたが、その時、私は大切なものを失った。そして、亡き彼女の意志を汲んで、異民族の融和に転換することにした。しかし、時は移り、我が王族はまたしても先住民族の一部を切り捨てたのだ」
「先住民族……」
フリンツはファルサも同じことを言っていたことを思い出した。
「彼らが王だったのだ」
「巫女と妖魔……」
「二つの系統の王がいた。光玉を受け継ぐものと、闇玉を受け継ぐもの。この二つが互いを補佐し合いながら国を治めていた」
「王が二人……。そして、僕は……。王族は侵略者だった」
フリンツはこれが、地下墓地であの時、ファルサが言いかけたことだと思った。
「お前には先住民族の血も流れている」
フリンツは祖母の顔を思い出した。
「僕はどうすれば?」
「それはお前自身で決めることだ」
目を覚ましたフリンツは、自分がどこにいるのかわからなかった。
見渡す限りの草原。ところどころ色がついているのは花が咲いているのか。
彼は自分が死んだのだと思った。
その時、いつの間にか一人の男が目の前に立っているのに気付いた。
男は腰に立派な剣を携えていた。
「その剣は、まさか」
男は城にある肖像画の伝説王とは違う風貌だった。しかし、フリンツは確信した。
彼が、バイサイファルだと。
威厳に満ちていたが、目はどこか優しさを宿していた。
「お前には真実を知る権利がある」
そう言われた瞬間、フリンツの脳裏にウェルギンの言葉が響いた。
『古い時代の城跡……もちろん王族の城ですよね?』
フリンツは何か心にひっかかるものがあった。
「北のはずれにあるという古い城跡は、王族のものなんですよね?」
フリンツの問いに、バイサイファルは無言で首を横に振った。
「でも、イラクサの紋章のようなものがあったと」
バイサイファルは、剣を彼方に向けた。
「我々、王族は元々は別の大陸から神官の祖先と共にやってきたのだ」
「……!」
「先住民族を蛮族として排斥しようとしたが、その時、私は大切なものを失った。そして、亡き彼女の意志を汲んで、異民族の融和に転換することにした。しかし、時は移り、我が王族はまたしても先住民族の一部を切り捨てたのだ」
「先住民族……」
フリンツはファルサも同じことを言っていたことを思い出した。
「彼らが王だったのだ」
「巫女と妖魔……」
「二つの系統の王がいた。光玉を受け継ぐものと、闇玉を受け継ぐもの。この二つが互いを補佐し合いながら国を治めていた」
「王が二人……。そして、僕は……。王族は侵略者だった」
フリンツはこれが、地下墓地であの時、ファルサが言いかけたことだと思った。
「お前には先住民族の血も流れている」
フリンツは祖母の顔を思い出した。
「僕はどうすれば?」
「それはお前自身で決めることだ」
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