聖玉と巫女の物語
亡霊
王と神官長は霧のような雲の中に囚われてしまっていた。
カイサルはホルティス王を守るかのような体勢で呪文を唱えていたが、紫色の雲はものすごい勢いで旋回していた。
「父上!」
フリンツが、腰につけている剣に手をかけて近づこうとしたが、何かの力によって阻まれた。
ヘイワードは再びウェルギンに、アシュリータとファルサのことを頼んで、フリンツの元へかけつけた。ファルサは自分は残る、と言い、ウェルギンにアシュリータを託して舞台へ降りていった。
ウェルギンはアシュリータを抱き上げると階段を上がっていくことにした。
「お兄さま……」
「アシュリータ、妖術でもかけられていたのか」
アシュリータは、宙に浮かんでいるアルマンを見た。彼の目はどこか遠くを見ているようだった。
「だめ、戻って、みんなを助けなきゃ。これがないと……」
アシュリータは聖玉を差し出した。
「この光なら、あの亡霊を止められるのか? アシュリータ」
その時、「やめろ!」と叫ぶフリンツの声が響いた。
見ると、動けないフリンツの腰から彼の剣が抜けて、宙に舞い上がっていた。
その剣先はフリンツを狙っていた。それが振り下ろされる瞬間。
「王子!」
そこへ、ヘイワードが割って入った。
「ヘイワード!」
ファルサの悲鳴のような叫びがこだました。
ヘイワードは倒れていた。
胸には、フリンツの剣が刺さっていた。
それを見たアシュリータはアルマンに向かって叫んだ。
「お願い、もうやめて!」
聖玉の光がその場を包んだ。
紫色の雲は、小さくなったように思えた。しかし、王と神官はまだ雲の中にいて姿はとらえられない。
アシュリータの声で、アルマンは彼女の方を向いた。
目はいつもの彼だった。
「お願いヘイワード、目を開けて」
ファルサは、動かない彼のそばで泣きながら声をかけていた。
彼女は、どんどん冷たくなっていく彼の体を暖めようとしていた。
ウェルギンが気がついた時、アシュリータは再び妖魔の腕の中にいた。
「アシュリータ!」
アルマンとアシュリータは、紫色の雲と、ファルサとヘイワードの間に立っていた。
それ以上、妖魔の亡霊を近づけさせないように。
フリンツはファルサたちのすぐ傍にいたが、まだ声も体も自由に動かすことができなかった。
「アシュリータ、僕の体の中には闇玉が埋め込まれている」
アルマンは腕の中にいるアシュリータに話しかけた。
「封印の塔にはめ込まれていた、この闇石に触れて、記憶が……。妖魔たちの記憶とともに蘇ってきた」
話をしているアルマンに触れているだけで、アシュリータは彼の心が見たものをのぞいているような気がした。
「アシュリータ、力を貸してくれ。聖玉が二つあれば、ここにいる人たち全員を助けられるかもしれない。まず、妖魔たちの霊を鎮めなければ。彼らの霊魂が天に上がるように祈ってくれる?」
アシュリータは頷いた。
カイサルはホルティス王を守るかのような体勢で呪文を唱えていたが、紫色の雲はものすごい勢いで旋回していた。
「父上!」
フリンツが、腰につけている剣に手をかけて近づこうとしたが、何かの力によって阻まれた。
ヘイワードは再びウェルギンに、アシュリータとファルサのことを頼んで、フリンツの元へかけつけた。ファルサは自分は残る、と言い、ウェルギンにアシュリータを託して舞台へ降りていった。
ウェルギンはアシュリータを抱き上げると階段を上がっていくことにした。
「お兄さま……」
「アシュリータ、妖術でもかけられていたのか」
アシュリータは、宙に浮かんでいるアルマンを見た。彼の目はどこか遠くを見ているようだった。
「だめ、戻って、みんなを助けなきゃ。これがないと……」
アシュリータは聖玉を差し出した。
「この光なら、あの亡霊を止められるのか? アシュリータ」
その時、「やめろ!」と叫ぶフリンツの声が響いた。
見ると、動けないフリンツの腰から彼の剣が抜けて、宙に舞い上がっていた。
その剣先はフリンツを狙っていた。それが振り下ろされる瞬間。
「王子!」
そこへ、ヘイワードが割って入った。
「ヘイワード!」
ファルサの悲鳴のような叫びがこだました。
ヘイワードは倒れていた。
胸には、フリンツの剣が刺さっていた。
それを見たアシュリータはアルマンに向かって叫んだ。
「お願い、もうやめて!」
聖玉の光がその場を包んだ。
紫色の雲は、小さくなったように思えた。しかし、王と神官はまだ雲の中にいて姿はとらえられない。
アシュリータの声で、アルマンは彼女の方を向いた。
目はいつもの彼だった。
「お願いヘイワード、目を開けて」
ファルサは、動かない彼のそばで泣きながら声をかけていた。
彼女は、どんどん冷たくなっていく彼の体を暖めようとしていた。
ウェルギンが気がついた時、アシュリータは再び妖魔の腕の中にいた。
「アシュリータ!」
アルマンとアシュリータは、紫色の雲と、ファルサとヘイワードの間に立っていた。
それ以上、妖魔の亡霊を近づけさせないように。
フリンツはファルサたちのすぐ傍にいたが、まだ声も体も自由に動かすことができなかった。
「アシュリータ、僕の体の中には闇玉が埋め込まれている」
アルマンは腕の中にいるアシュリータに話しかけた。
「封印の塔にはめ込まれていた、この闇石に触れて、記憶が……。妖魔たちの記憶とともに蘇ってきた」
話をしているアルマンに触れているだけで、アシュリータは彼の心が見たものをのぞいているような気がした。
「アシュリータ、力を貸してくれ。聖玉が二つあれば、ここにいる人たち全員を助けられるかもしれない。まず、妖魔たちの霊を鎮めなければ。彼らの霊魂が天に上がるように祈ってくれる?」
アシュリータは頷いた。
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