聖玉と巫女の物語
神殿書庫
その頃、アルマンとアシュリータは神殿の中にいた。
「あなたには元は人間だから結界は効かないの?」
「全くってことはないけど。人が傍にいるとすり抜けやすい」
みんなには、二人がエリク神官とファルサに見えるらしい。アシュリータは、アルマンの力に改めて脅威を感じた。なぜか伝令が先に来ていて、すんなり入れたのも不思議だった。
「何をするの?」
「神殿書庫へ向かう」
アシュリータも知りたかった。妖魔とは、魔族とは何なのかを。
アルマンはまるで神殿の中を知っているかのように歩いた。
「すみません、エリク神官。今は入れません」
そう言って制止しようとした書庫係を、アルマンは手をかざすだけで一瞬にして黙らせた。
「いいか、書庫にいる人たちを全員追い出せ」
アルマンの術に誘導されて、書庫係は地下通路を降りていった。
ほどなくして、フリンツとウェルギンが姿を見せた。
「……!」
思わず声を出しそうになったアシュリータだったが、アルマンが口をふさいだ。
こちらには気付いていない。アルマンが姿を見えなくさせたようだ。
「ありがとう。助かったよ」
(フリンツ王子……)
アシュリータは、久しぶりに見るフリンツが以前より大人びて見えた。
二人は書庫管理室を出て行った。
(どうして、お兄様と?)
しばらく呆然としていたアシュリータだったが、アルマンに促されてハッとし、気を取り直して通路を降りて地下書庫へ入った。
書庫に入ってから、アルマンは棚に近寄ることもなく、何かを感じているようだった。
「どうしたの?」
「ここじゃない」
「えっ……」
アルマンの目線が下がった。
「アシュリータ、この下だ。さらにこの下にある」
「下? どうやって……」
「今まで以上に強い結界が張ってあって、壁を通過できそうにない。扉を開けてくれる人物を連れて来なければ」
「あなたには元は人間だから結界は効かないの?」
「全くってことはないけど。人が傍にいるとすり抜けやすい」
みんなには、二人がエリク神官とファルサに見えるらしい。アシュリータは、アルマンの力に改めて脅威を感じた。なぜか伝令が先に来ていて、すんなり入れたのも不思議だった。
「何をするの?」
「神殿書庫へ向かう」
アシュリータも知りたかった。妖魔とは、魔族とは何なのかを。
アルマンはまるで神殿の中を知っているかのように歩いた。
「すみません、エリク神官。今は入れません」
そう言って制止しようとした書庫係を、アルマンは手をかざすだけで一瞬にして黙らせた。
「いいか、書庫にいる人たちを全員追い出せ」
アルマンの術に誘導されて、書庫係は地下通路を降りていった。
ほどなくして、フリンツとウェルギンが姿を見せた。
「……!」
思わず声を出しそうになったアシュリータだったが、アルマンが口をふさいだ。
こちらには気付いていない。アルマンが姿を見えなくさせたようだ。
「ありがとう。助かったよ」
(フリンツ王子……)
アシュリータは、久しぶりに見るフリンツが以前より大人びて見えた。
二人は書庫管理室を出て行った。
(どうして、お兄様と?)
しばらく呆然としていたアシュリータだったが、アルマンに促されてハッとし、気を取り直して通路を降りて地下書庫へ入った。
書庫に入ってから、アルマンは棚に近寄ることもなく、何かを感じているようだった。
「どうしたの?」
「ここじゃない」
「えっ……」
アルマンの目線が下がった。
「アシュリータ、この下だ。さらにこの下にある」
「下? どうやって……」
「今まで以上に強い結界が張ってあって、壁を通過できそうにない。扉を開けてくれる人物を連れて来なければ」
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