禁聖なる復讐の果てに
第ニ話 操りの暗躍
彼女なら、感情にとらわれ人を殺めたりすることはしない。
俺は、そう感じとりあえて無防備になったのだ。
俺は彼女をただ信じ目を閉じた。
……暗い視界の中沈黙が訪れる。
「······でき······ない」
細く震えるような彼女の声がその沈黙を破った。
「できない!! 私は、もう人を……殺したくなんてない!! 」
目を開くと、左脇下の岩石部分に彼女の聖剣が刺さっていた。
それを行った彼女は、膝をつき泣きじゃくり、しばらくすると彼女の聖剣は消失した。
「チッ、使えない聖剣士
いいです私が殺りますから」
そう言うと、女神は少し距離をとる。
片手をこちらに向け構えると、先が尖った岩石を十個出現させる。
あの数を見るに、自分の聖剣士ごと
俺を抹消する気だ。
同族を殺めることをしてはならない禁忌を犯そうとしているあの女神は、もはやまともじゃない。
このままでは、彼女も俺自身も間違いなく即死だろう。
なにか、手はないか探るが……
「じゃあ、死になさい」
勢いよく放たれたそれは弓矢のように一直線にこちらへ向かってくる。
--------流石に殺られるかもしれないな
もしかしたらだが!!
それは、生命の危機を脅かす出来事だが、死ぬ気は微塵もなかった。
ふと人影が目前に飛び出してきた。
彼女が、両手をかざすと盾状の火炎が現れ岩石を飲み込み、溶かし尽くすと球体のマグマになる。
「私が寝ている間に何があったんです?
それに瞬、やられっぱなしじゃないですか!! 」
彼女は、そう言いつつ振り向き右手の人差し指を俺に向ける。
すると球体のマグマが俺の表面を覆う岩石だけを溶かしていく。
一瞬で溶かしきると同時にマグマは消失した。
焔女神 イフレスト=マグノリア
彼女は、ポンコツな時はとことんポンコツだがやるときはやってくれる俺の大切な女神様だ。
いままで数多の窮地に陥った俺をなんだかんだ自らがどんな状態でも手助けしてくれた。
「まったく、ようやくか
とりあえず助かった恩に着る」
「ようやく、ですか……危ないところでしたよね?
せっかく颯爽と助けたのに」
「あぁ、誰かさんのお陰でな」
「ムッ……それがその……知らない間に術をかけられていまして
あはははは」
「あはははは、じゃねえ!!
片付けたら、後でじっくり理由をきかせてもらうからな。
覚悟は、しとけよ? 」
俺は、手首を回し痛めてないか確認しながらアマテラスにそう問いかけた。
どこも痛めてはいなさそうだ。
「……すいません」
「あらあら、昨日町で見かけた貴女にかけた呪術がもう解けてしまったのかしら」
俺とアマテラスは話を止め敵の女神に向き直る。
「はい、すっかり解けましたよ
もっと強力にしておくべきでしたね」
「まぁ、いいでしょう
たかが、二人になったところでさほど障害にならないわ
だって英雄さん、貴方
消費しきっているのでしょう?」
先程までと目付きが変わり、女神の周りに白いオーラが溢れでる。
俺から吸収した膨大な聖力が溢れでているのだ。
「イフ、あの女神は? 」
「はい、魔族によってマインドされています
気絶させれば解けるかと」
「分かった、その子を学院まで頼む
あと、ついでにあれだ······制服に着替えとけ
寝間着じゃな······」
「?? ?! 言われなくても分かってます!! 」
今の格好を理解したのか、慌てふためいている。
「変なとこ、触ってません?」
隠すように両腕で胸を覆うがその動作が余計に強調させる。
「ねぇよ!!」
「無視とは、ずいぶんと余裕ね!! 」
いつの間に生成したのか先程よりも数十倍の数の岩石が放たれる。
それを再びアマテラスが、巨大な火炎の盾で防ぎ収縮させたマグマの球体を勢いよく相手に向け放つ。
かわされ直撃はしなかったが女神がいた場所に着弾し黒い煙をあげた。
時間稼ぎにはなるはずだ。
黒い煙が晴れ、残った俺と魔族によって操られた大地の女神は、一棟の屋根の上それぞれが標的を見据え対峙していた。
「さぁ、相手になってもらうぞ」
「今の貴方に、私を倒すほどの力はありません!!
負け惜しみもそこまでにしてはいかが? 」
「今のままならな」
「!? まさか!! 」
「顕現せよファイオラセル!!」
右手を空に出すと、眩い白い光を放ちながら刀と西洋剣を合わせたような聖剣が具現化する。
久しぶりに顕現させた聖剣の感触を確かめようとして振り払うと風が衝撃波のように辺り一面を通りすぎた。
聖剣の顕現により自らの聖力が一段と高まり鼓動が早くなる。
この聖剣で一撃を放てば勝敗はすぐにつくだろう、だが。
「せっかく聖剣を解放したのに……なんのつもりなのかしら?」
女神は、警戒したのか迎撃体制に入り、手をこちらに向け話し掛けてきた。
「聖剣で戦うとその女神を殺しかねないからな······こっちで戦わせてもらう」
聖剣 ファイオラセル を屋根に突き刺すと、数メートル離れた場所に刺さっていた黒刀を引き抜き、右手で構えると向き直る。
「なるほど
でも貴方それで後悔しないのかしら!! 」
俺の周囲を囲うように小さく鋭い岩石の針が出現すると一斉放たれる。
精神を、集中させ女神の真後ろに先程とは比較にならない音速を越えた速さで一瞬にして移動する。
間髪入れず空きになった首に向け刀の柄を振り降ろすが、岩石の盾がそれを防いでいた。
危険を感じ隣の屋根に移動すると、先ほどまで自分がいた場所は上から岩石の槍が数本刺さり剣山のような有り様だった。
「ほんの少し危なかったな」
「移動する速度がいかに速くなろうと初めから攻撃してくる場所を予測していれば防御するのは容易です。
禁じられた聖剣の解放
警戒していましたが残念
それほどでもないようね
これで······終わりにしましょうか!! 」
途端に女神の頭上真後ろの空に数えきれきれない程の岩石の矢が出現し一斉に放たれた。
「そうだな、少し手を抜きすぎたみたいだ。終わりにしよう」
迫り来る岩石に対し黒刀を構えたまま前を見据え、片膝をつき左手のひらを真下の屋根につける。
すると炎の渦が自身の周りに出現し放たれる岩石の槍を次から次へと目の前で飲み込んでいき溶かす。
「属性技……聖剣の力か!?
ですが口ほどにもないですね防戦一方ですか?
では、これでどう!! 」
目前まで迫っていた岩石の矢が突如進路を変え真上から迫ってきた。
それだけではなく、真下からも束になった岩石の槍が建物を突き抜け迫ってきた。
視覚からの攻撃。
俺はすぐに、火炎の渦を解き精神を集中させ素早く後方に回避したが、左足に軽傷を負ってしまった。
無数の岩石の矢と岩石の槍の束が衝突し粉々になり土ぼこりを上げた。
「貴方の動きは予測ずみです、槍よ!! 」
背後からの殺気を察知した俺は女神に向け駆け出す。
前からも後ろからも岩石の槍が放たれ、負傷した足では逃げ場はないかに思えた。
だが、打開策はすぐに浮かんだ。
「どうしたの? 諦めたのかしら?! 」
足を止めると左手の平に火炎の球体を出現させ強く拳で握る。
そして自分の周りを覆う防御壁のように力を込め大きくしていく。
「諦めるわけないだろ」
やがて眩い紅色の光を放ち巨大になったそれはすべての槍を飲み込むと…………
火炎球体が消えた時、俺はすでに黒刀を構えたまま女神の真横を通りすぎていた。
力は加減したので軽い打撲を負わせた程度だろうか
「ありえ······ない」
先程俺が力を放った場所には巨大な球体状の穴が建物にあき、峰打ちをされた女神は気を失い真後ろに倒れた。
しばらくすると彼女から紫色の魂が抜けていく。
「······やったか 元の聖力は消耗し切ったし、久しぶりに聖剣解放したからな·····精神的に······きついなこれ」
刀を鞘にしまい、聖剣を消すと俺は女神の真横に倒れたこんでしまった。
意識を失う寸前、傍らに倒れた美しい女神の寝顔と寝息を見て聞いてひとまずは安心した。
ーー一一そうだ
代表挨拶は間に合わなかったろうな……
俺は、そう感じとりあえて無防備になったのだ。
俺は彼女をただ信じ目を閉じた。
……暗い視界の中沈黙が訪れる。
「······でき······ない」
細く震えるような彼女の声がその沈黙を破った。
「できない!! 私は、もう人を……殺したくなんてない!! 」
目を開くと、左脇下の岩石部分に彼女の聖剣が刺さっていた。
それを行った彼女は、膝をつき泣きじゃくり、しばらくすると彼女の聖剣は消失した。
「チッ、使えない聖剣士
いいです私が殺りますから」
そう言うと、女神は少し距離をとる。
片手をこちらに向け構えると、先が尖った岩石を十個出現させる。
あの数を見るに、自分の聖剣士ごと
俺を抹消する気だ。
同族を殺めることをしてはならない禁忌を犯そうとしているあの女神は、もはやまともじゃない。
このままでは、彼女も俺自身も間違いなく即死だろう。
なにか、手はないか探るが……
「じゃあ、死になさい」
勢いよく放たれたそれは弓矢のように一直線にこちらへ向かってくる。
--------流石に殺られるかもしれないな
もしかしたらだが!!
それは、生命の危機を脅かす出来事だが、死ぬ気は微塵もなかった。
ふと人影が目前に飛び出してきた。
彼女が、両手をかざすと盾状の火炎が現れ岩石を飲み込み、溶かし尽くすと球体のマグマになる。
「私が寝ている間に何があったんです?
それに瞬、やられっぱなしじゃないですか!! 」
彼女は、そう言いつつ振り向き右手の人差し指を俺に向ける。
すると球体のマグマが俺の表面を覆う岩石だけを溶かしていく。
一瞬で溶かしきると同時にマグマは消失した。
焔女神 イフレスト=マグノリア
彼女は、ポンコツな時はとことんポンコツだがやるときはやってくれる俺の大切な女神様だ。
いままで数多の窮地に陥った俺をなんだかんだ自らがどんな状態でも手助けしてくれた。
「まったく、ようやくか
とりあえず助かった恩に着る」
「ようやく、ですか……危ないところでしたよね?
せっかく颯爽と助けたのに」
「あぁ、誰かさんのお陰でな」
「ムッ……それがその……知らない間に術をかけられていまして
あはははは」
「あはははは、じゃねえ!!
片付けたら、後でじっくり理由をきかせてもらうからな。
覚悟は、しとけよ? 」
俺は、手首を回し痛めてないか確認しながらアマテラスにそう問いかけた。
どこも痛めてはいなさそうだ。
「……すいません」
「あらあら、昨日町で見かけた貴女にかけた呪術がもう解けてしまったのかしら」
俺とアマテラスは話を止め敵の女神に向き直る。
「はい、すっかり解けましたよ
もっと強力にしておくべきでしたね」
「まぁ、いいでしょう
たかが、二人になったところでさほど障害にならないわ
だって英雄さん、貴方
消費しきっているのでしょう?」
先程までと目付きが変わり、女神の周りに白いオーラが溢れでる。
俺から吸収した膨大な聖力が溢れでているのだ。
「イフ、あの女神は? 」
「はい、魔族によってマインドされています
気絶させれば解けるかと」
「分かった、その子を学院まで頼む
あと、ついでにあれだ······制服に着替えとけ
寝間着じゃな······」
「?? ?! 言われなくても分かってます!! 」
今の格好を理解したのか、慌てふためいている。
「変なとこ、触ってません?」
隠すように両腕で胸を覆うがその動作が余計に強調させる。
「ねぇよ!!」
「無視とは、ずいぶんと余裕ね!! 」
いつの間に生成したのか先程よりも数十倍の数の岩石が放たれる。
それを再びアマテラスが、巨大な火炎の盾で防ぎ収縮させたマグマの球体を勢いよく相手に向け放つ。
かわされ直撃はしなかったが女神がいた場所に着弾し黒い煙をあげた。
時間稼ぎにはなるはずだ。
黒い煙が晴れ、残った俺と魔族によって操られた大地の女神は、一棟の屋根の上それぞれが標的を見据え対峙していた。
「さぁ、相手になってもらうぞ」
「今の貴方に、私を倒すほどの力はありません!!
負け惜しみもそこまでにしてはいかが? 」
「今のままならな」
「!? まさか!! 」
「顕現せよファイオラセル!!」
右手を空に出すと、眩い白い光を放ちながら刀と西洋剣を合わせたような聖剣が具現化する。
久しぶりに顕現させた聖剣の感触を確かめようとして振り払うと風が衝撃波のように辺り一面を通りすぎた。
聖剣の顕現により自らの聖力が一段と高まり鼓動が早くなる。
この聖剣で一撃を放てば勝敗はすぐにつくだろう、だが。
「せっかく聖剣を解放したのに……なんのつもりなのかしら?」
女神は、警戒したのか迎撃体制に入り、手をこちらに向け話し掛けてきた。
「聖剣で戦うとその女神を殺しかねないからな······こっちで戦わせてもらう」
聖剣 ファイオラセル を屋根に突き刺すと、数メートル離れた場所に刺さっていた黒刀を引き抜き、右手で構えると向き直る。
「なるほど
でも貴方それで後悔しないのかしら!! 」
俺の周囲を囲うように小さく鋭い岩石の針が出現すると一斉放たれる。
精神を、集中させ女神の真後ろに先程とは比較にならない音速を越えた速さで一瞬にして移動する。
間髪入れず空きになった首に向け刀の柄を振り降ろすが、岩石の盾がそれを防いでいた。
危険を感じ隣の屋根に移動すると、先ほどまで自分がいた場所は上から岩石の槍が数本刺さり剣山のような有り様だった。
「ほんの少し危なかったな」
「移動する速度がいかに速くなろうと初めから攻撃してくる場所を予測していれば防御するのは容易です。
禁じられた聖剣の解放
警戒していましたが残念
それほどでもないようね
これで······終わりにしましょうか!! 」
途端に女神の頭上真後ろの空に数えきれきれない程の岩石の矢が出現し一斉に放たれた。
「そうだな、少し手を抜きすぎたみたいだ。終わりにしよう」
迫り来る岩石に対し黒刀を構えたまま前を見据え、片膝をつき左手のひらを真下の屋根につける。
すると炎の渦が自身の周りに出現し放たれる岩石の槍を次から次へと目の前で飲み込んでいき溶かす。
「属性技……聖剣の力か!?
ですが口ほどにもないですね防戦一方ですか?
では、これでどう!! 」
目前まで迫っていた岩石の矢が突如進路を変え真上から迫ってきた。
それだけではなく、真下からも束になった岩石の槍が建物を突き抜け迫ってきた。
視覚からの攻撃。
俺はすぐに、火炎の渦を解き精神を集中させ素早く後方に回避したが、左足に軽傷を負ってしまった。
無数の岩石の矢と岩石の槍の束が衝突し粉々になり土ぼこりを上げた。
「貴方の動きは予測ずみです、槍よ!! 」
背後からの殺気を察知した俺は女神に向け駆け出す。
前からも後ろからも岩石の槍が放たれ、負傷した足では逃げ場はないかに思えた。
だが、打開策はすぐに浮かんだ。
「どうしたの? 諦めたのかしら?! 」
足を止めると左手の平に火炎の球体を出現させ強く拳で握る。
そして自分の周りを覆う防御壁のように力を込め大きくしていく。
「諦めるわけないだろ」
やがて眩い紅色の光を放ち巨大になったそれはすべての槍を飲み込むと…………
火炎球体が消えた時、俺はすでに黒刀を構えたまま女神の真横を通りすぎていた。
力は加減したので軽い打撲を負わせた程度だろうか
「ありえ······ない」
先程俺が力を放った場所には巨大な球体状の穴が建物にあき、峰打ちをされた女神は気を失い真後ろに倒れた。
しばらくすると彼女から紫色の魂が抜けていく。
「······やったか 元の聖力は消耗し切ったし、久しぶりに聖剣解放したからな·····精神的に······きついなこれ」
刀を鞘にしまい、聖剣を消すと俺は女神の真横に倒れたこんでしまった。
意識を失う寸前、傍らに倒れた美しい女神の寝顔と寝息を見て聞いてひとまずは安心した。
ーー一一そうだ
代表挨拶は間に合わなかったろうな……
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
2265
-
-
841
-
-
147
-
-
439
-
-
1359
-
-
2
-
-
22803
-
-
107
-
-
337
コメント