ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。(タイトルに一部偽り有り)
第550話【鬼との決着】
巨鬼の手が俺の眼前に迫って来た。
俺は身体をゴロンと転がすと巨鬼の手から逃れる。
「やべぇ……、まだ視界がグチャグチャだぜ……」
俺は立ち上がるとふらつきながらもガイアたちが居る方向に歩んで行った。
「すまん、ガイア。本当にあれを止められるのか?」
「任せて~」
『止めるのは俺ですがな~』
引いて来た俺の横を過ぎて、フルプレート姿のメタルキャリアが前に出た。
「やっぱり戦うのはお前じゃあないのね、ガイア」
「当然よ。肉体労働は男の子の役目だからね」
巨鬼の前を目指すメタルキャリアが背中で語る。
『もう俺も男の子呼ばわりされる年齢じゃあないんだけどね~』
「何を言ってるの、この鉱物魔物が。私から見たら貴方なんて赤子よ、あ、か、ご」
確かガイアは、あの糞女神の祖母だよな。
だとするなら地上の魔物ですら赤子なのかも知れない。
実年齢は何億歳なんだろう……?
でも、その赤子に普段は遊んでもらってる野郎が言う台詞じゃあないよな。
『それじゃあ、一暴れするか~』
メタルキャリアは防御力はピカイチだ。
たぶん鬼の角付きパンチでも傷付かないだろうさ。
だが、攻撃力はどうなんだ?
巨鬼を倒せるだけの攻撃力は有しているのか?
まあ、お手並み拝見といたしましょうか。
俺はガイアの隣に座り込んで観戦する。
疲れた……。
てか、叩きつけは効きすぎだぜ。
やっと視界の歪みが消えて、まともに景色が見え始めたところだ。
『よ~~し、行くぞ~!』
メタルキャリアが拳を振り上げながら巨鬼に迫る。
こいつもテレホンパンチだよ。
やっぱり戦いの素人だ。
「うらぁぁああああ!!!」
行きなりの攻撃。
巨鬼のチョッピングライトがメタルキャリアの脳天を殴った。
メタルキャリアは、そのまま地面に顔面を叩きつけられる。
「「「よわっ!!」」」
物陰に隠れながら見ていた観客たちが声を揃えた。
だが、顔面を地面にめり込ませていたメタルキャリアがムクリと顔を上げる。
そして、何事もなかったように立ち上がる。
『なんだよ、なんだよ。俺には殴らせてもくれないのか~』
平然と述べるメタルキャリアを見て観客たちが度肝を抜かれていた。
普通なら死んでるだろう打撃だったからだ。
だが、メタルキャリアはノーダメージで平然と振る舞っていた。
平然とするメタルキャリアを見て巨鬼も次なるアクションを取った。
拳を振りかぶり背を見せる。
ド級のテレホンパンチのモーションだ。
『それ、知ってる知ってる。思いっきりぶん殴る気なんだろ~』
「うがぁぁああああ!!!」
振り返る勢いを乗せた全力のアッパーカット。
その突き上げがメタルキャリアの顎を殴り上げると振り切られた。
「ふがっ!!!」
角付きのアッパーカットにメタルキャリアが被っていた鉄のヘルムが粉砕して飛び散った。
『あっ、ヘルムが~』
メタルキャリアの素顔が露になると思ったが、ヘルムの下に土嚢袋を被っていた。
メタルキャリアは素肌を見られると身体が鋼鉄化して動けなくなる。
そうなったら終わりだ。
『もう、嫌だな~。あのヘルムは気に入ってたのにさ~』
言いながらメタルキャリアが片足を上げた。
そのまま巨鬼の足の甲を踏みつける。
「ぐうっ!!」
ゴキっと鈍い粉砕音が響いた。
メタルキャリアの踵が巨鬼の足にめり込んでいる。
足の痛みに巨鬼の姿勢が下がる。
低くなった頭にメタルキャリアが腕を回した。
ヘッドロックだ。
『ヘルムを弁償しないなら、頭を捻り潰しちゃうぞ』
グイグイとメタルキャリアが巨鬼の頭を締め上げて行った。
すると巨鬼が両腕をメタルキャリアの腰に回した。
臍の前でクラッチを組む。
折れたはずの左腕は治っているようだ。
「うがぁぁああああ!!!」
巨鬼が腰を割って全身を力ませる。
メタルキャリアを持ち上げる気だ。
「バックドロップで投げる気だぞ!」
俺が叫んだが巨鬼はメタルキャリアを持ち上げられなかった。
幾らフルプレートメイルを着込んでいようと、自分より小さいメタルキャリアを巨鬼が1ミリも持ち上げられないとは思えなかった。
『無理無理、俺は体重を変化できるんだ。俺を持ち上げるなんて神様だって無理だろうさ』
マジか!?
体重を増やせるのか?
「うごぉぉぉお……」
『じゃあ、そろそろ終わりね』
するとメタルキャリアにヘッドロックで固められていた巨鬼の身体が鉄化して行く。
感染しているんだ。
数秒の内に巨鬼は鋼化して動かなくなる。
俺やガイア、それに隠れて見ている観客が多いのだ。
鋼鉄化した巨鬼は動けないだろう。
でも、何故に素肌で触っていないのに感染したのだろうか?
その疑問を察したメタルキャリアが語り出す。
『俺にある程度の物理ダメージを食らうと、素肌で触られてなくても魔力で鉄化するんだよね~』
そうだったのか……。
怖いな……。
「じゃあ、次は私の番ね」
皆が見守るなかガイアがステージに上がった。
鉄化した巨鬼に近寄って行く。
すると胸の御札を剥がした。
「たぶん呪いの力で普段は焼けないし剥がせない効果なんでしょう。でも、神の私なら簡単に剥がせるわ」
「あれ、前は俺の呪いは解けないって言ってたじゃんか!?」
「女神のペナルティーと人間が掛けた呪いを同等のレベルで計らないでね」
「なるほど……」
ガイアは呪術札を破くと巨鬼の頬に口付けをした。
『ああ~、ガイアちゃんのキスなんていいな~』
あれ、メタルキャリアはロリコンかな?
メタルキャリアが羨ましそうに指を咥えていると鉄化していた巨鬼の色が普通に戻って行く。
更に巨体化した身体も縮んで行った。
元のサイズのジオンググに戻る。
「ここは……」
元に戻ったジオンググがステージの上でキョロキョロしながら狼狽していた。
どうやら鬼化している間の記憶が抜け落ちている様子だった。
「んん……?」
そして、自分の左腕が折れていることに気がついた。
「あれ、治ってないじゃんか……」
「腕ぇがぁぁああ!!」
ジオンググは両膝を付いて踞った。
「まあ、とりあえずは決着だな……」
【おめでとうございます。レベル48に成りました!】
あっ、またレベルが上がったぞ。
ラッキー!!
【つづく】
俺は身体をゴロンと転がすと巨鬼の手から逃れる。
「やべぇ……、まだ視界がグチャグチャだぜ……」
俺は立ち上がるとふらつきながらもガイアたちが居る方向に歩んで行った。
「すまん、ガイア。本当にあれを止められるのか?」
「任せて~」
『止めるのは俺ですがな~』
引いて来た俺の横を過ぎて、フルプレート姿のメタルキャリアが前に出た。
「やっぱり戦うのはお前じゃあないのね、ガイア」
「当然よ。肉体労働は男の子の役目だからね」
巨鬼の前を目指すメタルキャリアが背中で語る。
『もう俺も男の子呼ばわりされる年齢じゃあないんだけどね~』
「何を言ってるの、この鉱物魔物が。私から見たら貴方なんて赤子よ、あ、か、ご」
確かガイアは、あの糞女神の祖母だよな。
だとするなら地上の魔物ですら赤子なのかも知れない。
実年齢は何億歳なんだろう……?
でも、その赤子に普段は遊んでもらってる野郎が言う台詞じゃあないよな。
『それじゃあ、一暴れするか~』
メタルキャリアは防御力はピカイチだ。
たぶん鬼の角付きパンチでも傷付かないだろうさ。
だが、攻撃力はどうなんだ?
巨鬼を倒せるだけの攻撃力は有しているのか?
まあ、お手並み拝見といたしましょうか。
俺はガイアの隣に座り込んで観戦する。
疲れた……。
てか、叩きつけは効きすぎだぜ。
やっと視界の歪みが消えて、まともに景色が見え始めたところだ。
『よ~~し、行くぞ~!』
メタルキャリアが拳を振り上げながら巨鬼に迫る。
こいつもテレホンパンチだよ。
やっぱり戦いの素人だ。
「うらぁぁああああ!!!」
行きなりの攻撃。
巨鬼のチョッピングライトがメタルキャリアの脳天を殴った。
メタルキャリアは、そのまま地面に顔面を叩きつけられる。
「「「よわっ!!」」」
物陰に隠れながら見ていた観客たちが声を揃えた。
だが、顔面を地面にめり込ませていたメタルキャリアがムクリと顔を上げる。
そして、何事もなかったように立ち上がる。
『なんだよ、なんだよ。俺には殴らせてもくれないのか~』
平然と述べるメタルキャリアを見て観客たちが度肝を抜かれていた。
普通なら死んでるだろう打撃だったからだ。
だが、メタルキャリアはノーダメージで平然と振る舞っていた。
平然とするメタルキャリアを見て巨鬼も次なるアクションを取った。
拳を振りかぶり背を見せる。
ド級のテレホンパンチのモーションだ。
『それ、知ってる知ってる。思いっきりぶん殴る気なんだろ~』
「うがぁぁああああ!!!」
振り返る勢いを乗せた全力のアッパーカット。
その突き上げがメタルキャリアの顎を殴り上げると振り切られた。
「ふがっ!!!」
角付きのアッパーカットにメタルキャリアが被っていた鉄のヘルムが粉砕して飛び散った。
『あっ、ヘルムが~』
メタルキャリアの素顔が露になると思ったが、ヘルムの下に土嚢袋を被っていた。
メタルキャリアは素肌を見られると身体が鋼鉄化して動けなくなる。
そうなったら終わりだ。
『もう、嫌だな~。あのヘルムは気に入ってたのにさ~』
言いながらメタルキャリアが片足を上げた。
そのまま巨鬼の足の甲を踏みつける。
「ぐうっ!!」
ゴキっと鈍い粉砕音が響いた。
メタルキャリアの踵が巨鬼の足にめり込んでいる。
足の痛みに巨鬼の姿勢が下がる。
低くなった頭にメタルキャリアが腕を回した。
ヘッドロックだ。
『ヘルムを弁償しないなら、頭を捻り潰しちゃうぞ』
グイグイとメタルキャリアが巨鬼の頭を締め上げて行った。
すると巨鬼が両腕をメタルキャリアの腰に回した。
臍の前でクラッチを組む。
折れたはずの左腕は治っているようだ。
「うがぁぁああああ!!!」
巨鬼が腰を割って全身を力ませる。
メタルキャリアを持ち上げる気だ。
「バックドロップで投げる気だぞ!」
俺が叫んだが巨鬼はメタルキャリアを持ち上げられなかった。
幾らフルプレートメイルを着込んでいようと、自分より小さいメタルキャリアを巨鬼が1ミリも持ち上げられないとは思えなかった。
『無理無理、俺は体重を変化できるんだ。俺を持ち上げるなんて神様だって無理だろうさ』
マジか!?
体重を増やせるのか?
「うごぉぉぉお……」
『じゃあ、そろそろ終わりね』
するとメタルキャリアにヘッドロックで固められていた巨鬼の身体が鉄化して行く。
感染しているんだ。
数秒の内に巨鬼は鋼化して動かなくなる。
俺やガイア、それに隠れて見ている観客が多いのだ。
鋼鉄化した巨鬼は動けないだろう。
でも、何故に素肌で触っていないのに感染したのだろうか?
その疑問を察したメタルキャリアが語り出す。
『俺にある程度の物理ダメージを食らうと、素肌で触られてなくても魔力で鉄化するんだよね~』
そうだったのか……。
怖いな……。
「じゃあ、次は私の番ね」
皆が見守るなかガイアがステージに上がった。
鉄化した巨鬼に近寄って行く。
すると胸の御札を剥がした。
「たぶん呪いの力で普段は焼けないし剥がせない効果なんでしょう。でも、神の私なら簡単に剥がせるわ」
「あれ、前は俺の呪いは解けないって言ってたじゃんか!?」
「女神のペナルティーと人間が掛けた呪いを同等のレベルで計らないでね」
「なるほど……」
ガイアは呪術札を破くと巨鬼の頬に口付けをした。
『ああ~、ガイアちゃんのキスなんていいな~』
あれ、メタルキャリアはロリコンかな?
メタルキャリアが羨ましそうに指を咥えていると鉄化していた巨鬼の色が普通に戻って行く。
更に巨体化した身体も縮んで行った。
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「ここは……」
元に戻ったジオンググがステージの上でキョロキョロしながら狼狽していた。
どうやら鬼化している間の記憶が抜け落ちている様子だった。
「んん……?」
そして、自分の左腕が折れていることに気がついた。
「あれ、治ってないじゃんか……」
「腕ぇがぁぁああ!!」
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