ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。(タイトルに一部偽り有り)

ヒィッツカラルド

第519話【メタルキャリア参上】

「こりゃあ、やべぇ~なぁ~」

「だな……」

俺の言葉にミケランジェロが相槌を入れた。

突如の登場だった。

感染者のボスで保菌者の正体は、その昔に囚われたメタルキャリアたる囚人だった。

しかも、元魔王軍副官のミケランジェロが知らないモンスターなのだ。

時代が違うのか何なのかは分からないが、兎に角ミケランジェロも知らない未知のモンスターである。

そいつは頭から土嚢袋を被って全身を隠している。

己を見られないように細工してからダンジョンを出て来たのだ。

おそらく感染者よりも遅く出て来たのは、土嚢袋を被ってて遅れたのだろう。

しかも、しゃべった。

更に自分から名乗りやがった。

知恵が有る。

常識が有る。

最悪なのは野心が有りやがる。

世界中を感染させて、世界征服を企んでやがる。

今時、世界征服なんて馬鹿げた発想だが、ここは異世界だ。

そんな天然記念物なみの馬鹿も沢山居るのだろうさ。

しかも500年間牢獄で閉じ込められていた馬鹿だからな。

そりゃあ、世界征服の一つぐらい夢見ちゃうだろうさ。

マジ、ウザイ……。

だが、分かったこともある。

こいつも誰かに見られていると、動けなくなるタイプなんだろう。

だから、肌を隠して出てきたんだ。

その辺を考慮して戦えば、どうにでもなるだろうさ。

俺は前を睨みながらミケランジェロに指示を飛ばす。

「ミケランジェロ。俺らが鋼鉄のモンスターを見張っているから、お前があの馬鹿を薙ぎ払え!!」

「了解した、アスラン!!」

ミケランジェロは両手で抱え上げられるサイズの大岩を一つ抱え上げるとアンダースローのフォームで振りかぶった。

そこからボーリングの玉を投げるように岩を勢い良く転がしながら投擲する。

そして、投擲された岩が地面を転がりながら感染者を何体か弾き飛ばすと土嚢袋を被ったメタルキャリアに激突した。

しかし、岩が激突した感染者たちは転倒した程度だ。

更に言うならメタルキャリアは自分の身体と同等のサイズが有る大岩を受け止めていた。

「こやつ、小さいのに、なんたるパワーだ!」

大岩を転がしたミケランジェロも驚いていた。

更にメタルキャリアは驚く行動を取る。

「舐めるな、サイクロプス!!」

メタルキャリアは受け止めた大岩を抱え上げると両手で頭の上に持ち上げた。

こいつ、パワーも有るんだな……。

「このぐらいの馬鹿力なら、俺にだってあるんだぜ!!」

あ~……。

自分で馬鹿力とか言っちゃってるよ……。

こいつ、馬鹿だわ~。

しかし──。

「これでも食らえや!!」

メタルキャリアが抱え上げた大岩を俺たちに向かって投げつけやがった。

「うそっ!!」

咄嗟に皆が身を屈めた。

だが、前に出たミケランジェロがローキックで大岩を打ち砕く。

砕けた大岩の破片が周囲に飛び散った。

ちょっと、これは!!

「うわぁぁあああ!!」

ヤバイぞっ!!

今の一連で鋼鉄のモンスターたちから目を反らしちまった。

また、二人のエルフが掴まれて感染してやがる。

メタルキャリアが勝ち誇ったように言う。

「おいおい、お前ら。俺の奴隷から目を離すと、み~~んな、鉄になっちまうぞ~」

分かってる……。

分かってるけど、咄嗟のことに目を反らしてしまう。

大岩が飛んでくればビビるし、岩が爆弾みたいに砕ければ目だって瞑っちまうがな……。

悔しいが、それは本能だ。

自然と反応してしまうんだよ。

糞が……。

俺が悔しさに奥歯を噛み締めていると、唐突にメタルキャリアが右側のほうを指差しながら言った。

「あっ、美女が全裸だ~♡」

「「「「「なにっ!!」」」」」

そこに居る全員が右側を見た。

だが、当然ながら、そこには全裸な美女なんて立っていない。

「ぎぃぁあああ!!」

ヤバイっ!!

また一人感染しちまった!!

「き、貴様~……。騙したな……」

「普通、騙されるなよ」

これは男の子の本能を突かれた騙し討ちだ。

咄嗟に抗えるほうが可笑しいだろ……。

「こうなったら、俺がこのてつくず野郎を木っ端微塵にしてやるぞ」

言いながらミケランジェロが近くに置いてあった巨大スレッジハンマーを取りに行った。

ミケランジェロはスレッジハンマーを手に取ると可憐に廻して見せる。

片やメタルキャリアはアキレス腱を伸ばしながら準備運動に励んでいた。

鋼鉄のモンスターなのに、柔軟体操とかって必要なのかな?

「へぇ~、棍棒使いか。面白い、このメタルキャリア様がボコボコにしてから鋼鉄の奴隷に変えてやるぞ」

なに、こいつ……。

もしかして、強いのか?

腕に自信が有りやがるのか?

強度もパワーも有る。

更に強者なのか?

だとしたら、それって、マジでヤバくね……。

ミケランジェロがスレッジハンマーを左右に振りながら前に出た。

「まずは、場所作りからだ!」

スレッヂハンマーで強打された感染者たちがゴワァ~ンと音を鳴らして左右に次々と飛んで行く。

「おいおい、敵を拡散するなよな!!」

「お前らは、黙って感染した連中を見張っておれ。その間に俺がボスを打ち砕く!!」

俺はエルフたちに指示を飛ばした。

「いいか、エルフたち。お前らは、兎に角感染した連中から目を離すな。二人の戦いは見るなよ。絶対に感染者から目を離すなよ!!」

「ええ~~、俺らも戦いが見たいですわ~」

「そうそう、ミケランジェロさんのマジなファイトなんて、滅多に見れないんですからさ~」

「うっせえ!! 兎に角お前らは感染者の監視なっ!!」

「「「ブーーブーー」」」

あー、もー、ウザイ!!

こいつら今の状況が分かってないのかよ!!

これだからヤンキーどもは血の気が多すぎて困るんだ!!

「まあ、兎に角だ。このミケランジェロが貴公の相手を致す!」

「なあ、質問してもいいか?」

メタルキャリアの質問にミケランジェロが応じる。

「なんだ?」

「ここは魔王城だよな?」

メタルキャリアは遠くに見える魔王城を見上げながら言った。

「そうだ」

「最近の魔王は、人間やエルフとつるむのかい?」

「もう、魔王様は居ない」

メタルキャリアは驚いたように言う。

「なに、魔王は不在の時代なのか?」

「そうだ」

ミケランジェロの返答を聞いてメタルキャリアが笑いだした。

「クックックック。そうか、魔王は居ないのか。ならば丁度良い話だぜ。俺が新魔王を名乗らせて貰う。次の支配者は俺だ!!」

「舐めるな、小僧。貴様に魔王が勤まるか」

冷静に述べたミケランジェロがスレッジハンマーを高く振り上げた。

そのままスレッジハンマーをメタルキャリアの脳天に振り下ろす。

「そいやさっ!!」

再びゴワァ~ンと音が響いた。

メタルキャリアは蟹股に腰を落として、腕で防ぐことなくスレッジハンマーを頭で受け止めていた。

ノーガードだ。

しかも、ノーダメージだ……。

「なんと、硬い……」

ミケランジェロの言葉に、動揺が僅かに混ざっていた。

なんて強度だ……。

なんて防御力……。

怪力無双の強打を頭で受け止めやがった。

このメタルキャリア、思った以上に舐められんぞ……。

強いじゃんか……。


【つづく】

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