ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。(タイトルに一部偽り有り)
第450話【ハゲの誓い】
今現在俺は魔王城前のキャンプに居た。
俺が居るのはテントの中だ。
外では晩飯の準備に励む者たちの賑やかな声が聞こえて来る。
さてさて、今の内に新スキルのチェックでもしておこうかな。
今回は新しいマジックアイテムの確保は無かったから少し寂しい。
何せハイランダーズと戦ってばかりだったもの。
まあ、あいつらがマジックアイテムだと計算するならば、かなりの数のマジックアイテムをゲットしたことになるんだが──。
兎に角、新スキルチェックを済まして晩飯にでもしようかな。
「ステータス、カモーーン!」
俺がステータス画面を呼び出すと、馴染みの画面が俺の眼前に投影される。
どれどれ、今回はどんな新スキルを覚えたかな?
おお、今回は四つか!
なかなかの数だな。
よし、まず一つ目は──。
【アームブリーカーマスタリー。アームブリーカーの入りがスムーズになる。相手の腕の破壊率が向上】
あー、エクレアとの戦いでアームブリーカーを使ったわ~。
確かに使ったけれど……。
まあ、いいか。
さて、二つ目は──。
【腕十字固めマスタリー。腕十字固めの入りがスムーズになる。相手の腕の破壊率が向上】
たーしーかーにー、エクレアを倒したのは腕十字だけれども!!
だーけーれーどーもーー!!
今回はプロレス技ばかりかよ!!
ま、まあ、いいか……。
次々、三つ目は~。
【ツーハンドパリィ。二刀流での防御や受け流しが向上】
おおっ?
これは二刀流の防御力が上がったってことかいな?
うん、そうだろう。
これは使えるぞ、ラッキー。
よし、最後の四つ目は~。
【クイックスマッシュ。すべての武器で、攻撃速度が2倍された素早い一撃を放てるようになる。一日に撃てる回数は、本人レベルの10おきに一回追加される】
んん?
攻撃速度が2倍の攻撃スキルなのか?
威力がアップしてないぞ?
まさに速度だけ向上のスキルなのか……。
まあ、使いかたなのかな?
確かティラミスがクイックエルボーってスキルを使ってたっけな。
このスキルに関しては追々検証だな~。
よし、今回の新スキルチェックはこんなもんで終わりだ。
そして俺はローブのフードを被るとテントから外に出る。
もう外は暗くなっていた。
空を見上げれば星々が煌めいている。
野外に置かれた長テーブルにはランタンが幾つも置かれて周囲を照らし出していた。
そこにいつものメンバーが腰かけて晩飯が準備されるのを待っている。
スカル姉さんをはじめとした女性たちが晩飯を運んできていた。
「アスランく~~ん。晩御飯が出来ましたよ。早くこっちに来てください~」
スバルちゃんが手を振って俺を呼んでいる。
すると皆が振り返り俺を見た。
スカル姉さん、スバルちゃん、ユキちゃん、ガイア、ゴリ、バイマン、オアイドス、カンパネルラ爺さん。
皆が集まる長テーブルの周りにシルバーウルフたちが寝そべりながら晩飯を待っている。
俺は長テーブルに近付くと誰にと言うわけでもなく訊いた。
「ハイランダーズたちはどうした?」
ゴリが答える。
「マミーレイス婦人に連れられて魔王城に上陸しているぞ。あいつらは城の警護専門の兵士になるらしいから、あそこに住むらしい」
「なるほど」
まあ、あいつらは兵士系のモンスターだから町作りに参加させるより城のほうを任せたほうがいいかも知れない。
それに食事は剣に塗る油だけでいいから、食費も少ない。
だから、そのぐらいの我が儘は問題なかろう。
「ところで~、アスラン~」
席を立ったスカル姉さんが俺に近づいて来る。
その手には酒が入ったジョッキが握られていた。
もう飲んでやがるよ……。
「な、なんだよ……、スカル姉さん……」
「ちょっと見せてみ!!」
いきなりスカル姉さんに被っていたフードを剥がされる。
瞬時に俺の坊主頭が皆に披露された。
「「「「「ぷっ!!!」」」」」
その場に居る皆が一斉に吹く。
そして、笑い出す。
腹を抱えて笑う者、テーブルを叩いて笑う者、椅子から転げ落ちて笑う者と様々である。
俺は怒鳴った。
「テメーら、何が可笑しい!!」
「だっ、だって~~!!」
「わっひっひっひっ~~!」
「ぷぷっ」
スバルちゃんまで笑ってやがる……。
畜生……。
そしてスカル姉さんが俺の坊主頭を前後に撫でながら訊いてきた。
「何があったんだ、この頭は!?」
「ジャイアントサンライズって言うモンスターにファイアーブレスで焼かれたんだよ……」
「ファイヤーブレスの餌食か。そうか、ファイヤーブレスか~。わひひひひ~~!」
む、ムカつく!!!
超ムカつく!!!
「ち、畜生どもめ……。俺がファイアーブレスのスキルを覚えたら、全員の髪の毛を燃やしてやるからな!!」
スカル姉さんが俺の坊主頭をグリグリと擦りながら言う。
「お前はバカだな~。人間がファイアーブレスを吐けるわけないだろ~。よ~~く考えてから言いやがれよ~」
周りの皆も「そうだそうだ」と茶化す。
俺は悔しかった。
歯ぐきから血が吹き出しそうなぐらい強く奥歯を噛んだ。
すると笑いながらバイマンがポロリと述べた。
「わはははは、スキルじゃあ無理ですが、ファイアーブレスが吐ける魔法なら魔法使いギルドに売ってますよ~」
バイマンが言ってから時間が止まった。
全員が動きを止める。
そして、ゆっくりとバイマンのほうを見る。
ゴリが問う。
「マジ……?」
バイマンが一人で笑いながら答えた。
「ええ、私が何度かスクロールを作って納品してます。でも、人気がなくって売れ残ってますから~。あははは~」
流石は放火魔バイマンだぜ!!
素晴らしい情報をありがとう!!
そう思いながら俺が微笑むと、皆がテーブルに視線を落とした。
そこでバイマンも気付く。
「あー……。私、もしかして、不味いことを言ったかな……」
「「「「「うん……」」」」」
俺以外の皆が頷いた。
よし、明日は冒険に出るよりも先に、魔法使いギルドに買い出しに出るぞ。
俺は魔法のスクロールは拾った物しか習得しないって決めていたが、今回ばかりは掟を違える思いだ。
俺の坊主頭を笑った奴らを──。
俺のハゲを笑った奴ら全員の髪の毛を燃やしてやる!!
それが新たな誓いだ!!
全員ハゲの餌食にしてやるぞ!!
【つづく】
俺が居るのはテントの中だ。
外では晩飯の準備に励む者たちの賑やかな声が聞こえて来る。
さてさて、今の内に新スキルのチェックでもしておこうかな。
今回は新しいマジックアイテムの確保は無かったから少し寂しい。
何せハイランダーズと戦ってばかりだったもの。
まあ、あいつらがマジックアイテムだと計算するならば、かなりの数のマジックアイテムをゲットしたことになるんだが──。
兎に角、新スキルチェックを済まして晩飯にでもしようかな。
「ステータス、カモーーン!」
俺がステータス画面を呼び出すと、馴染みの画面が俺の眼前に投影される。
どれどれ、今回はどんな新スキルを覚えたかな?
おお、今回は四つか!
なかなかの数だな。
よし、まず一つ目は──。
【アームブリーカーマスタリー。アームブリーカーの入りがスムーズになる。相手の腕の破壊率が向上】
あー、エクレアとの戦いでアームブリーカーを使ったわ~。
確かに使ったけれど……。
まあ、いいか。
さて、二つ目は──。
【腕十字固めマスタリー。腕十字固めの入りがスムーズになる。相手の腕の破壊率が向上】
たーしーかーにー、エクレアを倒したのは腕十字だけれども!!
だーけーれーどーもーー!!
今回はプロレス技ばかりかよ!!
ま、まあ、いいか……。
次々、三つ目は~。
【ツーハンドパリィ。二刀流での防御や受け流しが向上】
おおっ?
これは二刀流の防御力が上がったってことかいな?
うん、そうだろう。
これは使えるぞ、ラッキー。
よし、最後の四つ目は~。
【クイックスマッシュ。すべての武器で、攻撃速度が2倍された素早い一撃を放てるようになる。一日に撃てる回数は、本人レベルの10おきに一回追加される】
んん?
攻撃速度が2倍の攻撃スキルなのか?
威力がアップしてないぞ?
まさに速度だけ向上のスキルなのか……。
まあ、使いかたなのかな?
確かティラミスがクイックエルボーってスキルを使ってたっけな。
このスキルに関しては追々検証だな~。
よし、今回の新スキルチェックはこんなもんで終わりだ。
そして俺はローブのフードを被るとテントから外に出る。
もう外は暗くなっていた。
空を見上げれば星々が煌めいている。
野外に置かれた長テーブルにはランタンが幾つも置かれて周囲を照らし出していた。
そこにいつものメンバーが腰かけて晩飯が準備されるのを待っている。
スカル姉さんをはじめとした女性たちが晩飯を運んできていた。
「アスランく~~ん。晩御飯が出来ましたよ。早くこっちに来てください~」
スバルちゃんが手を振って俺を呼んでいる。
すると皆が振り返り俺を見た。
スカル姉さん、スバルちゃん、ユキちゃん、ガイア、ゴリ、バイマン、オアイドス、カンパネルラ爺さん。
皆が集まる長テーブルの周りにシルバーウルフたちが寝そべりながら晩飯を待っている。
俺は長テーブルに近付くと誰にと言うわけでもなく訊いた。
「ハイランダーズたちはどうした?」
ゴリが答える。
「マミーレイス婦人に連れられて魔王城に上陸しているぞ。あいつらは城の警護専門の兵士になるらしいから、あそこに住むらしい」
「なるほど」
まあ、あいつらは兵士系のモンスターだから町作りに参加させるより城のほうを任せたほうがいいかも知れない。
それに食事は剣に塗る油だけでいいから、食費も少ない。
だから、そのぐらいの我が儘は問題なかろう。
「ところで~、アスラン~」
席を立ったスカル姉さんが俺に近づいて来る。
その手には酒が入ったジョッキが握られていた。
もう飲んでやがるよ……。
「な、なんだよ……、スカル姉さん……」
「ちょっと見せてみ!!」
いきなりスカル姉さんに被っていたフードを剥がされる。
瞬時に俺の坊主頭が皆に披露された。
「「「「「ぷっ!!!」」」」」
その場に居る皆が一斉に吹く。
そして、笑い出す。
腹を抱えて笑う者、テーブルを叩いて笑う者、椅子から転げ落ちて笑う者と様々である。
俺は怒鳴った。
「テメーら、何が可笑しい!!」
「だっ、だって~~!!」
「わっひっひっひっ~~!」
「ぷぷっ」
スバルちゃんまで笑ってやがる……。
畜生……。
そしてスカル姉さんが俺の坊主頭を前後に撫でながら訊いてきた。
「何があったんだ、この頭は!?」
「ジャイアントサンライズって言うモンスターにファイアーブレスで焼かれたんだよ……」
「ファイヤーブレスの餌食か。そうか、ファイヤーブレスか~。わひひひひ~~!」
む、ムカつく!!!
超ムカつく!!!
「ち、畜生どもめ……。俺がファイアーブレスのスキルを覚えたら、全員の髪の毛を燃やしてやるからな!!」
スカル姉さんが俺の坊主頭をグリグリと擦りながら言う。
「お前はバカだな~。人間がファイアーブレスを吐けるわけないだろ~。よ~~く考えてから言いやがれよ~」
周りの皆も「そうだそうだ」と茶化す。
俺は悔しかった。
歯ぐきから血が吹き出しそうなぐらい強く奥歯を噛んだ。
すると笑いながらバイマンがポロリと述べた。
「わはははは、スキルじゃあ無理ですが、ファイアーブレスが吐ける魔法なら魔法使いギルドに売ってますよ~」
バイマンが言ってから時間が止まった。
全員が動きを止める。
そして、ゆっくりとバイマンのほうを見る。
ゴリが問う。
「マジ……?」
バイマンが一人で笑いながら答えた。
「ええ、私が何度かスクロールを作って納品してます。でも、人気がなくって売れ残ってますから~。あははは~」
流石は放火魔バイマンだぜ!!
素晴らしい情報をありがとう!!
そう思いながら俺が微笑むと、皆がテーブルに視線を落とした。
そこでバイマンも気付く。
「あー……。私、もしかして、不味いことを言ったかな……」
「「「「「うん……」」」」」
俺以外の皆が頷いた。
よし、明日は冒険に出るよりも先に、魔法使いギルドに買い出しに出るぞ。
俺は魔法のスクロールは拾った物しか習得しないって決めていたが、今回ばかりは掟を違える思いだ。
俺の坊主頭を笑った奴らを──。
俺のハゲを笑った奴ら全員の髪の毛を燃やしてやる!!
それが新たな誓いだ!!
全員ハゲの餌食にしてやるぞ!!
【つづく】
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