ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。(タイトルに一部偽り有り)
第366話【クリティカルヒット】
最近はいろいろと納得できないことが多いな……。
俺はバリスタで射ぬかれたシロナガスワニクジラの横に立ちながら、その絶命した巨大な横顔を眺めていた。
シロナガスワニクジラは黄色い腹を上に向けて動かない。
その右目には深々とバリスタのボルトが突き刺さっていた。
石橋を見上げれば、それを撃ち込んだアインシュタインが嬉しそうに小躍りしていやがる。
ムカツク……。
超ムカツク……。
あんなに準備から頑張ったのに、最後の良いところだけを糞ホビットに持っていかれた。
それが堪らなく悔しいのだ。
何故に奮闘した俺が倒せないで、あの糞ホビットが一撃で倒せるんだ?
何故だ……?
幾ら考えても納得いかないぜ……。
俺はバリスタのボルトが右目に刺さるシロナガスワニクジラを眺めた。
軽く横顔を蹴飛ばす。
「ちっ……」
俺の攻撃は数回ヒットした。
バリスタの射撃が二発。
剣の攻撃が一撃。
マジックイレイザーだって若干ヒットしていた。
だが、シロナガスワニクジラには、どれも致命傷で有らず。
マジックイレイザーの火力は水中のために半減以下だったのだろう。
シロナガスワニクジラの体をほとんど焼いていない。
口の先っぽが少し焦げているだけだ。
剣の一撃は眉間に突き刺さったが傷は浅い。
今こうして見てみれば、その傷を確認するのも難しい。
硬そうな皮膚にちょっぴりの傷が有る程度だ。
バリスタの一発目は首の上側だったよな。
あー、着弾した傷は確認できるが既に失血すら止まってやがる。
やはりこのワニの皮膚が硬かったんだろうさ。
バリスタですらこれだ……。
もう一発は口の中だったよな。
流石に口が閉じてて確認できないか……。
なのにアインシュタインが放ったバリスタのボルトは右目に深々と突き刺さっていやがる。
おそらく1.5メートルのボルトが半分以上突き刺さっているだろう。
これだと脳味噌まで矢先が達したのかな?
それで一撃だったのか?
それってクリティカルヒットってヤツか?
あー、クリティカルヒットか……。
そうかクリティカルヒットだ!
あの糞チビホビットは、クリティカルヒットをぶち込んだんだ!!
そうに違いない!!
それなら納得いくぞ!!
「わーい、わーい。オラが水の王を倒したどー(棒読み)」
石橋から降りて来たアインシュタインが躍りながらこちらに駆け寄って来た。
「わはー、わはー、わはー(棒読み)」
アインシュタインはシロナガスワニクジラの死体の上で躍りだした。
なんて罰当たりな。
そんなアインシュタインを俺は無視して近くの木に丸を画く。
ダーツの的のような複数の丸だ。
「なあ、アインシュタイン」
「なんだー、アスラン?(棒読み)」
「このダガーをあの木に投げて刺してみろ」
俺がアインシュタインにダガーを手渡すと、ホビットは不思議そうにダガーを見詰めながら言った。
「なんでだー、アスラン?(棒読み)」
「ちょっとお前の腕前を見てみたい」
「オラ、ダガーなんて投げたこと無いぞー(棒読み)」
「いいから投げてみろ」
「えー、面倒臭いー(棒読み)」
ええい、こっちが面倒臭いわ!!
「こう持って、こう投げるんだ」
俺は見本として一本ダガーを投げた。
俺が投げたダガーは的の真ん中に突き刺さる。
流石は投擲ダガーマスタリー持ちだぜ。
このぐらい楽勝だな。
問題は、この糞チビゲスホビットだ。
「ほら、今みたいに投げてみろ」
「分かったー(棒読み)」
ダガーを片手に振りかぶるアインシュタイン。
ホームからして何かが可笑しい。
これで投擲できるのだろうかと言いたげな珍ホームだった。
「投げるぞー、とー(棒読み)」
アインシュタインがダガーを投げた。
回転して飛んで行くダガーが的を大きく外した。
的が画かれた木の横を過ぎて行く。
あー、やっぱりこんなもんだよな……。
しかし、後ろの木にダガーが突き刺さる。
すると的が画かれた木よりも太い大木が、激音を鳴らして真っ二つに割れたのだ。
「わはー、当たっただー(棒読み)」
「なにっ!?」
何が起きた!?
何故、後ろの木が真っ二つに割れる!?
もしかして、これがクリティカルヒットか!?
この糞チビゲスホビット野郎のクリティカルヒットなのか!?
分かったぞ……。
この糞チビゲスホビット野郎が、なんでこの森で生き残ってこれたか。
他のホビットが全滅したのに、こんな薄鈍な糞チビゲスホビット野郎だけが生き残ってこれたかが──。
こいつはおそらくラックがMAXのキャラだ。
幸運値だけで生きてる超絶幸運キャラだ。
だからバリスタの一撃でシロナガスワニクジラを撃退できたんだ。
「どうしたー、アスラン(棒読み)」
アインシュタインが無垢に近付いて来た。
「よ、寄るな!!」
「ほえ?(棒読み)」
危なかったぞ!!
万が一にもこいつに触れられて、クリティカルヒット判定でも食らったら俺なんかミンチになるかも知れん!!
こいつはこんなにおっとりなショタキャラだが、実は超危険キャラだ。
歩く最終兵器的なキャラだぞ。
いや、それだけじゃあ無いな──。
シロナガスワニクジラをアインシュタインが射ぬいて俺のレベルが上がったってことはだ。
おそらく俺がこいつを囮として使った段階でパーティーとして認識されていたのかも知れない。
だからアインシュタインがシロナガスワニクジラを倒したのに俺までレベルアップしたんだ。
だとするとアインシュタインにも経験値が入ったはずだ。
しかも今回は最多に近いスピードで俺のレベルが上がったことから、相当の経験値が入って来たのだろう。
おそらくこのシロナガスワニクジラはミケランジェロよりも経験値が高かったのかも知れない。
その経験値を俺とアインシュタインで半分にして獲得していてもだ。
だとすると、このシロナガスワニクジラは本当は相当の強敵だったんだ。
おそらくミケランジェロよりも強敵だ。
今まで戦った敵の中でも最強だったのかも知れない。
なるほどね、俺の攻撃がほとんど効かなかったわけだぜ……。
って、ことはだ……。
もしかして、アインシュタインって本当は相当レベルが高いんじゃねえ?
確かアインシュタインの実年齢は九十歳のはずだ。
それだけの経験値を、知らず知らずに稼いでいても可笑しくないぞ。
やべー、こいつ、最強キャラの一角かも知れないぞ。
超絶ラッキーマンだ……。
【つづく】
俺はバリスタで射ぬかれたシロナガスワニクジラの横に立ちながら、その絶命した巨大な横顔を眺めていた。
シロナガスワニクジラは黄色い腹を上に向けて動かない。
その右目には深々とバリスタのボルトが突き刺さっていた。
石橋を見上げれば、それを撃ち込んだアインシュタインが嬉しそうに小躍りしていやがる。
ムカツク……。
超ムカツク……。
あんなに準備から頑張ったのに、最後の良いところだけを糞ホビットに持っていかれた。
それが堪らなく悔しいのだ。
何故に奮闘した俺が倒せないで、あの糞ホビットが一撃で倒せるんだ?
何故だ……?
幾ら考えても納得いかないぜ……。
俺はバリスタのボルトが右目に刺さるシロナガスワニクジラを眺めた。
軽く横顔を蹴飛ばす。
「ちっ……」
俺の攻撃は数回ヒットした。
バリスタの射撃が二発。
剣の攻撃が一撃。
マジックイレイザーだって若干ヒットしていた。
だが、シロナガスワニクジラには、どれも致命傷で有らず。
マジックイレイザーの火力は水中のために半減以下だったのだろう。
シロナガスワニクジラの体をほとんど焼いていない。
口の先っぽが少し焦げているだけだ。
剣の一撃は眉間に突き刺さったが傷は浅い。
今こうして見てみれば、その傷を確認するのも難しい。
硬そうな皮膚にちょっぴりの傷が有る程度だ。
バリスタの一発目は首の上側だったよな。
あー、着弾した傷は確認できるが既に失血すら止まってやがる。
やはりこのワニの皮膚が硬かったんだろうさ。
バリスタですらこれだ……。
もう一発は口の中だったよな。
流石に口が閉じてて確認できないか……。
なのにアインシュタインが放ったバリスタのボルトは右目に深々と突き刺さっていやがる。
おそらく1.5メートルのボルトが半分以上突き刺さっているだろう。
これだと脳味噌まで矢先が達したのかな?
それで一撃だったのか?
それってクリティカルヒットってヤツか?
あー、クリティカルヒットか……。
そうかクリティカルヒットだ!
あの糞チビホビットは、クリティカルヒットをぶち込んだんだ!!
そうに違いない!!
それなら納得いくぞ!!
「わーい、わーい。オラが水の王を倒したどー(棒読み)」
石橋から降りて来たアインシュタインが躍りながらこちらに駆け寄って来た。
「わはー、わはー、わはー(棒読み)」
アインシュタインはシロナガスワニクジラの死体の上で躍りだした。
なんて罰当たりな。
そんなアインシュタインを俺は無視して近くの木に丸を画く。
ダーツの的のような複数の丸だ。
「なあ、アインシュタイン」
「なんだー、アスラン?(棒読み)」
「このダガーをあの木に投げて刺してみろ」
俺がアインシュタインにダガーを手渡すと、ホビットは不思議そうにダガーを見詰めながら言った。
「なんでだー、アスラン?(棒読み)」
「ちょっとお前の腕前を見てみたい」
「オラ、ダガーなんて投げたこと無いぞー(棒読み)」
「いいから投げてみろ」
「えー、面倒臭いー(棒読み)」
ええい、こっちが面倒臭いわ!!
「こう持って、こう投げるんだ」
俺は見本として一本ダガーを投げた。
俺が投げたダガーは的の真ん中に突き刺さる。
流石は投擲ダガーマスタリー持ちだぜ。
このぐらい楽勝だな。
問題は、この糞チビゲスホビットだ。
「ほら、今みたいに投げてみろ」
「分かったー(棒読み)」
ダガーを片手に振りかぶるアインシュタイン。
ホームからして何かが可笑しい。
これで投擲できるのだろうかと言いたげな珍ホームだった。
「投げるぞー、とー(棒読み)」
アインシュタインがダガーを投げた。
回転して飛んで行くダガーが的を大きく外した。
的が画かれた木の横を過ぎて行く。
あー、やっぱりこんなもんだよな……。
しかし、後ろの木にダガーが突き刺さる。
すると的が画かれた木よりも太い大木が、激音を鳴らして真っ二つに割れたのだ。
「わはー、当たっただー(棒読み)」
「なにっ!?」
何が起きた!?
何故、後ろの木が真っ二つに割れる!?
もしかして、これがクリティカルヒットか!?
この糞チビゲスホビット野郎のクリティカルヒットなのか!?
分かったぞ……。
この糞チビゲスホビット野郎が、なんでこの森で生き残ってこれたか。
他のホビットが全滅したのに、こんな薄鈍な糞チビゲスホビット野郎だけが生き残ってこれたかが──。
こいつはおそらくラックがMAXのキャラだ。
幸運値だけで生きてる超絶幸運キャラだ。
だからバリスタの一撃でシロナガスワニクジラを撃退できたんだ。
「どうしたー、アスラン(棒読み)」
アインシュタインが無垢に近付いて来た。
「よ、寄るな!!」
「ほえ?(棒読み)」
危なかったぞ!!
万が一にもこいつに触れられて、クリティカルヒット判定でも食らったら俺なんかミンチになるかも知れん!!
こいつはこんなにおっとりなショタキャラだが、実は超危険キャラだ。
歩く最終兵器的なキャラだぞ。
いや、それだけじゃあ無いな──。
シロナガスワニクジラをアインシュタインが射ぬいて俺のレベルが上がったってことはだ。
おそらく俺がこいつを囮として使った段階でパーティーとして認識されていたのかも知れない。
だからアインシュタインがシロナガスワニクジラを倒したのに俺までレベルアップしたんだ。
だとするとアインシュタインにも経験値が入ったはずだ。
しかも今回は最多に近いスピードで俺のレベルが上がったことから、相当の経験値が入って来たのだろう。
おそらくこのシロナガスワニクジラはミケランジェロよりも経験値が高かったのかも知れない。
その経験値を俺とアインシュタインで半分にして獲得していてもだ。
だとすると、このシロナガスワニクジラは本当は相当の強敵だったんだ。
おそらくミケランジェロよりも強敵だ。
今まで戦った敵の中でも最強だったのかも知れない。
なるほどね、俺の攻撃がほとんど効かなかったわけだぜ……。
って、ことはだ……。
もしかして、アインシュタインって本当は相当レベルが高いんじゃねえ?
確かアインシュタインの実年齢は九十歳のはずだ。
それだけの経験値を、知らず知らずに稼いでいても可笑しくないぞ。
やべー、こいつ、最強キャラの一角かも知れないぞ。
超絶ラッキーマンだ……。
【つづく】
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