ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。(タイトルに一部偽り有り)

ヒィッツカラルド

第365話【シロナガスワニクジラとの対決】

まずは何故かレベルアップしたので新スキルの報告からですわん。

今回覚えたのは一つだけだった。

まあ、なんでレベルアップしたかも分からない感じでのレベルアップだから新スキルが一つでも仕方ないかと思う。

それで、覚えた新スキルがこれだ。

【荷物運搬スキル。荷物の積み込みから運搬まで効率良く行えるようになる】

んんーー……、無いよりましだ。

ましだが何故かいろいろなことが納得いかないわん……。

まあ、いいか……。

これはこれで良しとしよう……。

では、話は変わって昨日の話だ。

サンジェルマンの全裸パーティーと一緒にバリスタの接地作業を行っている時だった。

石橋の下をシロナガスワニクジラが泳いで行ったんだ。

それをサンジェルマンが見て俺に言ったんだよ。

「お前、あれと一人で戦うつもりなのか?」ってね。

俺は「当然よ」って強がった。

俺がサンジェルマンたちに支払う報酬は、バリスタの運搬と接地までの料金だけだった。

シロナガスワニクジラと戦う料金は、最初っから含まれていない。

それでサンジェルマンは、あっさりと言ったんだ。

「まあ、頑張れよ」ってね……。

俺の中では「手伝おうか?」っとか言う言葉を期待していたんだけど、そんなに世の中甘くはなかったよ。

サンジェルマンたちは、手伝う気なんて微塵もありゃしねえでやんの。

まったく慈悲も同情も無いヤツらだぜ……。

まあ、しゃあないから俺はアインシュタインを囮にバリスタ一丁でシロナガスワニクジラと戦うはめとなったわけで……。

なんだろうな。

俺、あの恐竜サイズのワニと戦って勝てるのだろうか?

ちょっぴり不安でもある。

まあ、泣き言なんて俺には似合わない。

やると決めたら一人でやるしかない。

今までだってそうだったんだ。

これからもそうだろうさ。

俺はソロ冒険者だもんな。

いつものことだ。

「まあ、やるっきゃないか」

俺が石橋から顔を覗かせると、下の水辺でアインシュタインが手を振っていた。

「アスラーン、オラの準備はいいぞー(棒読み)」

あいつは分かっているのか?

自分の役目が囮だってことがさ……。

まあ、いいや。

俺は兎に角バリスタの台座に乗って狙いを水辺のアインシュタインに向けた。

アインシュタインを狙ってシロナガスワニクジラが飛び出して来たら、バリスタで射撃するって感じの単純な作戦である。

単純だが一番効率的な作戦だ。

そして、囮のアインシュタインが全裸になると水辺でパチャパチャと水浴びを始める。

「水浴びって楽しいなー。アスランもおいでよー(棒読み)」

俺が行ったら誰がバリスタでシロナガスワニクジラを射ぬくんだよ。

あいつは本当に何も考えていないのかな。

マジで脳味噌が干からびてるんじゃあないのか?

すると沖合いから黒い影が猛スピードで迫って来る。

水中に潜む影は巨大だ。

間違無くシロナガスワニクジラの魚影だろう。

いや、ワニ影かな?

まあ、早速囮に食い付いて来たってわけだ。

マジで食いしん坊なワニだな。

俺はバリスタの狙いを水中の影に合わせて追った。

いつでも放てる。

放てるが、水面に顔を出したところを一撃で仕留めないとなるまい。

水中に潜られていると、バリスタの威力が半減してしまうからな。

兎に角水中から誘き出さなければならない。

そして、一発だ。

バリスタは連射できない。

一発撃ったら弦を巻き上げるのに数十秒掛かる。

だから二発目は無いだろうさ。

しかもタイミングはアインシュタインが食われる瞬間だ。

食われてからでは遅い……。

いや、食われてからでもいいから確実に一発で仕留めなければなるまい。

冷静に!

確実に!

もう少しだ!

「アスラーン、早く来いよー(棒読み)」

アインシュタインが水辺で手を振っていると、シロナガスワニクジラが頭を出した。

速いぞ!!

あの巨体からは想像できないぐらいの突進スピードだ。

「ひーやー、水の王だー!(棒読み)」

シロナガスワニクジラの突進に気がついたアインシュタインが背を向けて逃げ出した。

だが、逃げきれるスピードじゃあない。

「今だ!!」

俺はバリスタの引き金を引いた。

バリスタから1.5メートルのボルトが発射される。

唸るボルトがシロナガスワニクジラの首に命中した。

丸太のような矢が突き刺さると巨大ワニがのたうち回る。

「ひぃーーー!(棒読み)」

悲鳴を上げてアインシュタインが森の中に逃げて行く。

ちっ、とりあえず無事だったか……。

シロナガスワニクジラは水飛沫を上げながら胴体を回転させていた。

ワニ系の必殺技デスロールの原理だ。

苦しんでるのかな?

念のために二発目の準備だ。

俺は巻き上げ機で弦を巻き上げ始める。

するとシロナガスワニクジラの動きが止まった。

水飛沫も止む。

するとシロナガスワニクジラが石橋の上を見上げた。

俺とシロナガスワニクジラの目が合う。

「こっち見んなって……」

するとシロナガスワニクジラが陸を走り出した。

グルっと回って石橋のほうに向かって来る。

ヤバイ、こっちに来るぞ!!

弦を巻き終わった俺は、今度はボルトをセットする。

それから元の狙撃台に戻った。

その間にシロナガスワニクジラは俺の眼前に迫っていた。

もう目前である。

デカイ口を開けて飛び掛かって来るシロナガスワニクジラに向かって俺は二発目のボルトを発射した。

発射したボルトはシロナガスワニクジラの口の中に飛び込んだ。

喉ちんこに刺さる。

それでシロナガスワニクジラの突進は止まった。

止まったが、戦闘は終わっていない。

シロナガスワニクジラは口の中からボルトを吐き出すと俺を睨み付けた。

やーべー、二発目で決まらなかったよ……。

もうバリスタの弦を引き直している暇は無い。

「ならば──」

俺は異次元宝物庫からゴールドロングソードを引き抜いた。

こうなったら接近戦じゃあ!!

俺はシロナガスワニクジラの頭より高く飛んだ。

そして急降下した俺はワニの眉間に黄金剣を突き立てる。

硬い!?

でも、少し突き刺さった。

しかし再びシロナガスワニクジラがデスロールで体を回転させる。

「うわぁぁあああ!!」

それで振り払われた俺は、シロナガスワニクジラと一緒に石橋から湖に落ちた。

ヤバイ!!

俺は水中に居た。

まーずーいーー!!

水中は絶対に不味いぞ!!

陸地だとワニって普通の速さだけど、水中だと魚のように速くて敏捷だって聞いてますよ!!

あんな巨体でもワニはワニだ。

巨体だからって泳ぐのが遅いなんて無いだろう。

クジラだってその気になれば速く泳ぐんだよ。

それにさっき見た時、スゲー速かったもんな。

って、考えている最中に、もう来たよ!!

ここの水って澄んでるから良く見えるんだ。

クネクネ泳いでこっちに向かって来るワニさんがさー!!

俺は咄嗟にシルバークラウンを被ってマジックイレイザーを撃った。

攻撃は迫るシロナガスワニクジラを僅かに焼き、魔法を放った逆噴射の反動で俺は後退した。

そして、運良く陸地に飛ばされる。

「ゲホッ、ゲホッ……」

水を飲んだ……。

肺が苦しい……。

でも──。

「助かった……」

マジでヤバかった。

俺は水を滴らせながら立ち上がる。

レザーアーマーが水を含んで重い。

少し休憩だ。

いや、それよりヤツはどこだ?

どっちが水辺だ?

あっちか?

俺は水辺を見つけると水面を睨んだ。

その時である。

背後からけたたましい音が響く。

「えっ!?」

俺が振り返ると背後の森を割ってシロナガスワニクジラが走って来るのだった。

うそーーーん、バックを取られてる……。

このまま押されたら、また水辺だぞ。

水辺は駄目だ。

ならば、ここで踏ん張るのみ!!

俺は両手で確りと黄金剣を握り締めた。

迫るシロナガスワニクジラ。

こえー!!

やっぱり大きいよー!!

プレッシャーが半端ないわー!!

そしてシロナガスワニクジラが大きな口を開けて飛び掛かって来た。

しかし───。

ドンっ!!

えっ!?

突如シロナガスワニクジラの右目にバリスタのボルトが深く刺さる。

「やったー、命中しただー(棒読み)」

俺が石橋を見上げればアインシュタインがバリスタの台座に立っていた。

ナイス、お馬鹿野郎!!

シロナガスワニクジラが再びデスロールしていた。

この回転が収まったらマジックイレイザーとありったけの魔法を撃ち込んでやるぞ!!

…………っと、俺が思っていたら、デスロールを止めたシロナガスワニクジラは白いお腹を上に向けたまま動かなくなっていた。

あれ、死んだの?

【おめでとうございます。レベル38に成りました!】

あらら、死んだらしい……。

「やったー、オラが水の王を倒したどー!(棒読み)」

いや、絶対違うから!!

シロナガスワニクジラを倒したのは俺だから!!


【つづく】

「ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。(タイトルに一部偽り有り)」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く