ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。(タイトルに一部偽り有り)

ヒィッツカラルド

第288話【テイマーを捜して】

「テイマーを雇いたい?」

ギルガメッシュはソファーに座りながらキョトンとしていた。

俺の突然の質問に、何を言い出すのかと言いたげな顔をしている。

今俺は冒険者ギルドにやって来ていた。

冒険者ギルドに来る道中で考えた結果、俺は増えつつある狼の面倒を見てもらうために、テイマー能力のある人を雇おうと決めたのだ。

仕付などを仕込んでもらいたいのである。

そろそろ俺も裕福だ。

冒険者としてもだいぶ稼げるようになってきているから、資金には余裕がある。

だから秘密基地を作るのに人を雇ってもいいころだろう。

ただ、資金はまだまだ稼がねばならない。

今回スカル姉さんの診療所を立て直す資金の半分を何故か俺が払うことになっている。

スカル姉さんが自分の分の資金を何処から捻り出してきたか分からんが、魔王城とソドムタウンを繋ぐ拠点にスカル姉さんの診療所を使うのだ。

立て直す資金の半分を、俺が出すのも仕方無いのかも知れない。

しかし、半分はボリ過ぎじゃね!?

せめて二割程度だろ!?

なんで俺が半分も出さにゃきゃならんのだ!!

納得が行かないが、スカル姉さんには逆らえないし、しゃあないかと諦めている……。

まあ、お金には余裕も出来てきたから承諾したのだ。

それにお金の使い方が他に無いしね。

さて、話を戻して──。

ギルガメッシュが俺に訊いてくる。

「お前は、ソロをやめるのか?」

「へぇ?」

「今さらパーティーを組みたいとはな。しかも相手がテイマーか。もしかして、何か特定のミッションにテイマーの協力が必要なのか?」

「いや、違うってばよ」

「じゃあ、なんだ?」

「スカル姉さんのところで飼っているシルバーウルフが子供を産んでな。その子供たちをちゃんと調教して貰おうと思ってさ」

「なんだ、そんなわけか……」

「そんなわけだ」

「まあ、狼の調教ならば、そんなに難しく無いだろう。ただお前のところの狼はサイズが大きかったよな?」

「ああ、デカイ。この辺の広野を彷徨いている野良狼と違ってダイナウルフ級のサイズだ」

「そうなると少しは腕の立つテイマーを紹介したいものだ……。トラブルで噛まれたら死にかねない」

「そうなんだ。今は産まれたばかりで母親の乳にがっついている状態だが、早く人間に馴れて、仕付をしないとならんだろ。遅くなればなるほど厄介だ」

「確かにな~」

ギルガメッシュはごっつい顎を撫でながら考え込んだ。

良い候補を紹介してもらえると助かるのだが──。

「だが、テイマーなんて職業はなかなか居ないぞ」

「そうなのか?」

俺的には、モンスターをモフモフしたがる趣味のヤツは多いかと思ったが、この異世界では、そうでもないんだな。

「じゃあ、うちのギルドには、テイマーは居ないのか?」

「いや、居るには居るが……」

ギルガメッシュは奥歯にスルメが挟まったかのような渋い顔を作る。

なるほど、問題有りな人物なんだな。

面白そうじゃあないか。

「そいつは冒険者を引退して、今は郊外で農家をやっているはずだ。いや、引退はしてないのかな。まあ、どちらにしろ最近はギルド本部に顔すら出して居ない」

「引退気味ってか」

「そんな感じだ」

ならば丁度良くないか?

シルバーウルフの子供たち九匹を面倒見る時間もありそうだな。

「じゃあ、そいつの住所を教えてくれないか、会いに行って来るからさ」

「俺は知らん。悪いが受付に調べてもらってくれないか」

流石はギルマスだな。

そこまで暇じゃあないか。

「分かった。ありがとう」

そう言うと俺はギルマスの部屋を出て受付に話をして、そいつの詳しい情報を仕入れた。

テイマーの名前はカンパネルラ。

年齢は六十歳ぐらいのジジイらしい。

今はソドムタウンの郊外で農家をやっているとか。

まあ、六十歳にもなれば冒険者はキツイだろう。

そこまで冒険者として生き残ったんだ。

もう、引退してもいいころだろうさ。

俺は受付で見せてもらった地図のポイントに向かった。

方角は俺たちが借りたログハウスのほうに近い。

これは運命だろうか。

なんだか話がトントン拍子に進んでいやがるぞ。

これはカンパネルラ爺さんの人格にも期待が持てそうじゃあないか。

出落ち以上の期待は出来そうだ。

そしてなんやかんやで目的地の農家に到着する。

さほど大きくないボロ屋の前に木の柵が築かれ中には数十頭の豚が放されていた。

豚を育てている農家なのか?

俺がアキレスに股がり柵と柵の間を進んでいると、ボロ屋の前で老人が薪割りをしていた。

あれがカンパネルラかな……?

でも、なんか大きいな……。

身長は2メートルほどあるぞ……。

デカイ爺さんだな。

上半身裸で振るう薪割り斧は力強い。

腹は少しでてるがマッチョだ。

腕も足も首すら太い。

顔は皺だらけだが、その動きは若々しい。

顔だけが六十歳で肉体は若々しいイメージが強い。

「ちょっとあんた~」

俺がアキレスに股がったまま近づいたが、完全に無視される。

爺さんは機嫌の悪い顔で薪割りを続けていた。

俺はアキレスの上から再び声をかける。

「あんたがカンパネルラさんかい?」

爺さんは薪割りを中断して、腰が痛いのか背を伸ばしながら言った。

「あたたた……。腰が痛いぞ。でえ、若いの、お前さんは騎士さまか何かかい?」

睨まれた。

「へぇ?」

「馬に股がったまま見知らぬ爺さんに声を掛けられるほど偉いのかって訊いてるんだよ」

ああ、失礼だったのかな?

俺はアキレスから降りると謝罪した。

「すまない。失礼した」

俺は謝罪の後にアキレスをトロフィーに戻して異次元宝物庫に仕舞った。

それを見ていた爺さんが、驚いたのか二度見したあとに目を剥いていた。

よし、掴みはOKだぜ。

俺はわざとらしく言う。

「どうした、爺さん。何を驚いているんだ?」

「い、いや、別に……」

おお、強がってるな。

これは面白い、少しからかうか。

「爺さん、薪割りをやってたのか?」

「ああ、そうだが……」

「少し手伝うよ」

そう言うと俺は、異次元宝物庫からバトルアックス+1を取り出し薪割りを始める。

薪割り斧より大きな戦斧を片手で軽々振るい、建てられた薪を次々と割って行く。

ものの数分で用意されていた薪をすべて割り終わる。

爺さんは鼻水を垂らしながらそれを眺めていた。

俺は手をパンパンと叩いて埃を落としたあとに言った。

「でぇ、あんたがカンパネルラさんかい?」

「いや違う。ワシは弟のランパネルラだ……」

違うんかい!!

気張ってアピールしたのに損したわ!!

するとボロ屋の扉が開いて中から大きな影がノシノシと出て来る。

いや、大きなと表現するより更に大きいわ……。

その巨大な影は猫背でボロ屋の出入り口を潜り出ると背を伸ばした。

その身長は2メートル20センチはありそうだ。

すげーデカイわ~。

ミノタウロス級の大きさだわ……。

でも、爺さんだ。

「うわ~……、ジャイアント……」

その巨大爺さんが言う。

「ランパネルラ、こいつは誰だ?」

「知らんがな。でえ、あんた誰だい?」

「ソロ冒険者のアスランです……」

俺の名乗りを聞いたランパネルラが言う。

「ああ、冒険者か。ならばカンパネルラ兄さんに用事か?」

「ああ、そうなんだ」

俺の返答を聞いたランパネルラが巨人に言う。

「ルンパネルラ兄さん、カンパネルラ兄さんを呼んで来てくれないか」

「ああ、わかったよ、ランパネルラ」

ええ!!

こいつもカンパネルラじゃあ無いのかよ!!

じゃあカンパネルラってどんな化け物なんだ?

てか、紛らわしい名前だな。

カンパネルラ、ルンパネルラ、ランパネルラって、覚えずらいわ~。

しばらくするとルンパネルラが普通サイズのおっさんを引き摺って来た。

片足を捕まれてズルズルと引き摺られて来たおっさんは、ランパネルラやルンパネルラより若く見えた。

えっ、こいつは四男かな?

まさかこいつが長男のカンパネルラじゃあないよな?

そして、引き摺られて来たおっさんが、寝ぼけた眼で言った。

「俺がカンパネルラだが、あんたは誰だい?」

うわー、こいつがカンパネルラだよ。

普通だわ……。

弟たちより若く見えるけど、普通のおっさんだわ……。

それに出落ち感が微塵も無い普通のおっさんだしさ……。

引き摺られて来たこと以外、つまんないヤツだわ~。


【つづく】

「ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。(タイトルに一部偽り有り)」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く