ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。(タイトルに一部偽り有り)
第281話【それぞれの覚悟】
やーべー!!
落ちてるわ~!!
ちくしょう!!
俺は空中で体を捻って手を伸ばしたが、とてもとてもテラスまでは届く距離じゃあなかった。
先を見ればテラスの端に頭の無い全裸のマッチョ野郎が立っている。
あの野郎に突き落とされたんだ。
「のぉぉおおおと!!!」
俺はそのまま落ちて行った。
確か塔の高さは20メートルから25メートルほどあったよな。
こりゃあ高すぎるわ~。
死ぬね~。
人間なんて3メートルの高さから落ちただけで死ねるほどに、か弱い生物なんだぜ。
それが20メートル以上の高さから落下したらヤバイだろ。
受け身スキルがあるけど役に立たないだろうな。
ちくしょう、マジでヤバイぞ!!
死ねるわ!!
俺は背中から落ちて行った。
このままでは確実に背中から地面に激突するぞ!!
どうにかせんと!!
「アスランさま、ここは我々にお任せあれ」
「えっ!?」
声の主はヒルダだった。
彼女が異次元宝物庫の扉を抉じ開けて、俺の背後に出て来る。
「おまえ、何してる!?」
「我々がクッションになります」
俺の背中に抱きついたヒルダは、いつものように淡々と言った。
彼女に続いて次々とメイドたちが異次元宝物庫から出て来て俺の背後に纏いつく。
「お前ら、何をしてやがる!! このままだと!?」
「大丈夫ですわ。我々は全員アンデッドですから、落下ダメージ程度では死なないと思います」
「思いますって、不確定じゃあないか!?」
「ただ、頭が潰れたり、長い時間太陽に晒されなければ死にませんですので」
「今は昼間だよ! それにこの高さだと、頭ぐらい潰れかねないぞ!!」
「ですが、これしかアスランさまが助かるすべは……」
ヒルダが話している最中に、俺たちは地面に激突した。
俺はメイドたちの体をクッションにしていたが、激突の衝撃で跳ね上がった。
そのあとに地面を転がる。
「いたた……」
痛い、が、無事だ……。
俺は直ぐに立ち上がると周囲を見回した。
するとメイドたちが地面に全員転がっている。
その光景は酷かった。
全員倒れているのだ。
中には手足がもげてバラバラになっているメイドも少なくなかった。
「アスラン! 大丈夫か!?」
結界の外からバーバラが心配の声を飛ばしていたが、それどころじゃあない。
俺のクッションになったメイドたちは大丈夫なのか!?
死んでないだろうか!?
意識はあるのかよ!?
「ヒルダ!?」
「アスランさま、ご無事ですか?」
ヒルダの声は俺の足元から聞こえた。
「ひぃ!!」
俺が足元を見るとヒルダの生首が転がっていたのだ。
そりゃあビビるわ!!
「だ、大丈夫か、ヒルダ……」
「このぐらいならば縫い合わせれば修復できるでしょう。それより太陽光が苦しゅうございます……」
「ああ、分かった!!」
俺は急いでメイドたちを異次元宝物庫内に戻した。
砕けた体の破片も手早く仕舞う。
最後にヒルダの生首が、別のメイドに抱えられながら言う。
「ざっと見た感じですが、七割のメイドが活動不能でございます。残った者たちも戦闘は難しそうです。我々負傷したメイドが活動可能になるまで、まことに申し訳ありませんがご不自由をおかけします」
「気にするな。本当にありがとう……」
「それでは失礼します」
そこまで述べると異次元宝物庫の扉が閉められた。
まさかミイラメイドたちに助けられるとは思わなかったぜ。
あいつらがそこまで忠義を果すとは思わなかったわ……。
今度から、もうちょっと優しく接してやろうかな。
「死ななかったなんて、ビックリだよ」
俺が振り返ると塔の螺旋階段を下りて来たマッチョ野郎が立っていた。
頭は無い。
その代わりに切断された首からニョッキリと『つくし』のような物が生えていた。
どうやらそのつくし君がしゃべっているようだ。
「この野郎! 良くも人を落としてくれたな!」
「あなたは私の頭を爆破してくれたじゃあないですか」
「確かに!」
反論できません!!
「でも、やっぱり人間って凄いですね。魔法ですか?」
つくし君が生えたマッチョ野郎は塔の上を指差しながら話していた。
「あの高さから落下して助かるなんて、考えもしませんでしたよ。せっかく簡単に新しい頭を手に入れられると思ったのに」
「テメー、俺の頭を奪うつもりだったのかよ!」
「当然でしょう。だって私の頭が無くなったんですよ。ならば新しい物を手に入れるのは当たり前のことです」
「だな……」
無くしたら新しい物を手に入れる。
それは生物なら当然の行為ってことか……。
こいつはいちいち正論ばかりでムカツクわ。
だが、分かったぞ。
あのつくし君が本体だ。
あれが寄生虫ベェノムの正体だろう。
あれはたぶん半分に切ったぐらいじゃあ死なないんだ。
巨大ムカデを胴体から半分に斬ったことがあったが、それでも巨大ムカデは死ななかった。
昆虫の生命力ってのは、そのぐらい強くてドン臭い。
だから完全に潰すか、焼き払うかだ。
それで確実に殺せる。
そしてあのバカは、塔から出た。
こっちが本気で火力を放たなかった理由を理解していない。
ここならばマジックイレイザーで焼き払える。
俺は異次元宝物庫からシルバークラウンを取り出すと頭に被った。
食らえ!
これで終わりだ!!
「マジックイレイザー!!」
俺は口から光の波動砲を吐いた。
「なっ!?」
その灼熱の閃光はマッチョ野郎を包み込む。
どうだ、焼けて灰になれや!!
ゴォォオオオオオっと空気が唸っていた。
やがて俺の口から光が止むと、眩んでいた視界が正常に戻って行く。
あれ……?
まだ、立ってますわ……。
「お、驚きましたよ……。超火力魔法ですね。ですが、どうやらこのボディーには、高いレベルのマジックプロテクションが施されているようです」
マッチョ野郎が言う通り、こいつの胸には魔方陣が輝いていた。
あれがマジックイレイザーを防いだのだろう。
「ちくしょう……」
あれは回数限定の魔法か?
それとも無限の効果か?
どっちだ?
マジックイレイザーは二発撃てる。
試すか!?
いや、不発したら勿体無いな。
ならば、別を試して見るか。
次に俺は金馬のトロフィーを取り出す。
「アキレス!」
俺は黒馬を召喚すると背中の鞍に股がった。
更にもう一つのマジックアイテムを取り出す。
「ブラックランス+2だ。本当はブラックカイトシールド+2とセットだが、左腕が無いから今回はランスのみだぜ!」
「今度は騎馬戦ですか……」
「これで、殺す!」
俺はランスを構えたままアキレスを走らせた。
マッチョ野郎に突進して行く。
「ランスチャーーーージィィイイ!!」
「ぐっほ!!」
ブラックランスがマッチョ野郎の胸の真ん中を貫いた。
疾走する勢いでランスはマッチョ野郎の胸から肩を破壊して上半身を真っ二つに引き裂いた。
「なんの、これしぃきぃ!!」
まだマッチョ野郎は倒れない。
俺はアキレスを旋回させると馬上からマジックイレイザー二発目を発射した。
「マジックイレイザー!!」
二発目の閃光がマッチョ野郎を包んで唸った。
だが、今度は違う。
全裸のマッチョ野郎が熱光の中で悶えている。
魔法は弾かれていなかった。
胸の魔方陣がランスによって破壊されたせいで、魔法を防げてないのだろう。
うし、狙い通りだ!!
「ぐぅぁああああ!!!」
閃光に押されてマッチョ野郎が後退して行く。
やがて結界に辿り着いたのか背中から別の光を放ち出した。
そこで押されるのが止まった。
マジックイレイザーと虫除けの結界に挟まれているのだ。
「グゥァアアあああ!!」
これで決まるだろう。
俺が吐いている光が止まると、丸焦げになった人形が立っていた。
消し炭状態だ。
その黒焦げは微風に吹かれて崩れ落ちる。
粉になった。
死んだか?
「お、俺は……」
あっ、まだ生きてる。
つくし君だと思ったらミミズ君じゃあないか。
丸焦げの炭の上で蠢いているよ。
踏み潰して殺そうかな。
俺はアキレスから降りるとミミズ君に歩み寄った。
「俺は人間に憧れて、森を出たかっただけなのに……」
あー、そっすかー。
だが、死んでもらうぜ、害虫野郎が。
メイドたちの仇だ!
「アスラン、止めて!!」
えっ!?
「バーバラちゃん??」
バーバラが駆け寄って来て、のたうち回るベェノムを両手で抱え上げる。
どうやらベェノムは結界を越えて反対側に出たようだな。
「アスラン、もういいでしょう。ベェノムを許して上げて……」
「えっ、どうして!?」
「だってベェノムは寄生虫だよ。もう人間に寄生しないから、人間には迷惑かけないから……」
「いや、でも、虫にも寄生するんだろ……?」
「だから、私に寄生させるから」
「えっ、マジですか!?」
バーバラはベェノムを自分の胸に近付ける。
するとベェノムはバーバラの体内に刺さるように侵入して行った。
それは、まるで母の胸に逃げ込むかのようにも見えた。
「これで、いいの」
バーバラは微笑んでいた。
「私には完全に寄生できないように、なっているの」
「どう言うことだ……?」
「私は実験体-10号。元々はベェノムの寄生による精神征服の防御研究用に作られた存在だから……」
「えっ……」
そう言う落ちですか……。
「ベェノムが私の体に寄生している間は、何もできないわ」
【おめでとうございます。レベル30に成りました!】
あっ、レベルアップした……。
俺の勝利なのか?
すると時間が止まって、周囲が灰色に染まる。
ここで糞女神の登場かよ……。
タイミングがウザいだろ。
【つづく】
落ちてるわ~!!
ちくしょう!!
俺は空中で体を捻って手を伸ばしたが、とてもとてもテラスまでは届く距離じゃあなかった。
先を見ればテラスの端に頭の無い全裸のマッチョ野郎が立っている。
あの野郎に突き落とされたんだ。
「のぉぉおおおと!!!」
俺はそのまま落ちて行った。
確か塔の高さは20メートルから25メートルほどあったよな。
こりゃあ高すぎるわ~。
死ぬね~。
人間なんて3メートルの高さから落ちただけで死ねるほどに、か弱い生物なんだぜ。
それが20メートル以上の高さから落下したらヤバイだろ。
受け身スキルがあるけど役に立たないだろうな。
ちくしょう、マジでヤバイぞ!!
死ねるわ!!
俺は背中から落ちて行った。
このままでは確実に背中から地面に激突するぞ!!
どうにかせんと!!
「アスランさま、ここは我々にお任せあれ」
「えっ!?」
声の主はヒルダだった。
彼女が異次元宝物庫の扉を抉じ開けて、俺の背後に出て来る。
「おまえ、何してる!?」
「我々がクッションになります」
俺の背中に抱きついたヒルダは、いつものように淡々と言った。
彼女に続いて次々とメイドたちが異次元宝物庫から出て来て俺の背後に纏いつく。
「お前ら、何をしてやがる!! このままだと!?」
「大丈夫ですわ。我々は全員アンデッドですから、落下ダメージ程度では死なないと思います」
「思いますって、不確定じゃあないか!?」
「ただ、頭が潰れたり、長い時間太陽に晒されなければ死にませんですので」
「今は昼間だよ! それにこの高さだと、頭ぐらい潰れかねないぞ!!」
「ですが、これしかアスランさまが助かるすべは……」
ヒルダが話している最中に、俺たちは地面に激突した。
俺はメイドたちの体をクッションにしていたが、激突の衝撃で跳ね上がった。
そのあとに地面を転がる。
「いたた……」
痛い、が、無事だ……。
俺は直ぐに立ち上がると周囲を見回した。
するとメイドたちが地面に全員転がっている。
その光景は酷かった。
全員倒れているのだ。
中には手足がもげてバラバラになっているメイドも少なくなかった。
「アスラン! 大丈夫か!?」
結界の外からバーバラが心配の声を飛ばしていたが、それどころじゃあない。
俺のクッションになったメイドたちは大丈夫なのか!?
死んでないだろうか!?
意識はあるのかよ!?
「ヒルダ!?」
「アスランさま、ご無事ですか?」
ヒルダの声は俺の足元から聞こえた。
「ひぃ!!」
俺が足元を見るとヒルダの生首が転がっていたのだ。
そりゃあビビるわ!!
「だ、大丈夫か、ヒルダ……」
「このぐらいならば縫い合わせれば修復できるでしょう。それより太陽光が苦しゅうございます……」
「ああ、分かった!!」
俺は急いでメイドたちを異次元宝物庫内に戻した。
砕けた体の破片も手早く仕舞う。
最後にヒルダの生首が、別のメイドに抱えられながら言う。
「ざっと見た感じですが、七割のメイドが活動不能でございます。残った者たちも戦闘は難しそうです。我々負傷したメイドが活動可能になるまで、まことに申し訳ありませんがご不自由をおかけします」
「気にするな。本当にありがとう……」
「それでは失礼します」
そこまで述べると異次元宝物庫の扉が閉められた。
まさかミイラメイドたちに助けられるとは思わなかったぜ。
あいつらがそこまで忠義を果すとは思わなかったわ……。
今度から、もうちょっと優しく接してやろうかな。
「死ななかったなんて、ビックリだよ」
俺が振り返ると塔の螺旋階段を下りて来たマッチョ野郎が立っていた。
頭は無い。
その代わりに切断された首からニョッキリと『つくし』のような物が生えていた。
どうやらそのつくし君がしゃべっているようだ。
「この野郎! 良くも人を落としてくれたな!」
「あなたは私の頭を爆破してくれたじゃあないですか」
「確かに!」
反論できません!!
「でも、やっぱり人間って凄いですね。魔法ですか?」
つくし君が生えたマッチョ野郎は塔の上を指差しながら話していた。
「あの高さから落下して助かるなんて、考えもしませんでしたよ。せっかく簡単に新しい頭を手に入れられると思ったのに」
「テメー、俺の頭を奪うつもりだったのかよ!」
「当然でしょう。だって私の頭が無くなったんですよ。ならば新しい物を手に入れるのは当たり前のことです」
「だな……」
無くしたら新しい物を手に入れる。
それは生物なら当然の行為ってことか……。
こいつはいちいち正論ばかりでムカツクわ。
だが、分かったぞ。
あのつくし君が本体だ。
あれが寄生虫ベェノムの正体だろう。
あれはたぶん半分に切ったぐらいじゃあ死なないんだ。
巨大ムカデを胴体から半分に斬ったことがあったが、それでも巨大ムカデは死ななかった。
昆虫の生命力ってのは、そのぐらい強くてドン臭い。
だから完全に潰すか、焼き払うかだ。
それで確実に殺せる。
そしてあのバカは、塔から出た。
こっちが本気で火力を放たなかった理由を理解していない。
ここならばマジックイレイザーで焼き払える。
俺は異次元宝物庫からシルバークラウンを取り出すと頭に被った。
食らえ!
これで終わりだ!!
「マジックイレイザー!!」
俺は口から光の波動砲を吐いた。
「なっ!?」
その灼熱の閃光はマッチョ野郎を包み込む。
どうだ、焼けて灰になれや!!
ゴォォオオオオオっと空気が唸っていた。
やがて俺の口から光が止むと、眩んでいた視界が正常に戻って行く。
あれ……?
まだ、立ってますわ……。
「お、驚きましたよ……。超火力魔法ですね。ですが、どうやらこのボディーには、高いレベルのマジックプロテクションが施されているようです」
マッチョ野郎が言う通り、こいつの胸には魔方陣が輝いていた。
あれがマジックイレイザーを防いだのだろう。
「ちくしょう……」
あれは回数限定の魔法か?
それとも無限の効果か?
どっちだ?
マジックイレイザーは二発撃てる。
試すか!?
いや、不発したら勿体無いな。
ならば、別を試して見るか。
次に俺は金馬のトロフィーを取り出す。
「アキレス!」
俺は黒馬を召喚すると背中の鞍に股がった。
更にもう一つのマジックアイテムを取り出す。
「ブラックランス+2だ。本当はブラックカイトシールド+2とセットだが、左腕が無いから今回はランスのみだぜ!」
「今度は騎馬戦ですか……」
「これで、殺す!」
俺はランスを構えたままアキレスを走らせた。
マッチョ野郎に突進して行く。
「ランスチャーーーージィィイイ!!」
「ぐっほ!!」
ブラックランスがマッチョ野郎の胸の真ん中を貫いた。
疾走する勢いでランスはマッチョ野郎の胸から肩を破壊して上半身を真っ二つに引き裂いた。
「なんの、これしぃきぃ!!」
まだマッチョ野郎は倒れない。
俺はアキレスを旋回させると馬上からマジックイレイザー二発目を発射した。
「マジックイレイザー!!」
二発目の閃光がマッチョ野郎を包んで唸った。
だが、今度は違う。
全裸のマッチョ野郎が熱光の中で悶えている。
魔法は弾かれていなかった。
胸の魔方陣がランスによって破壊されたせいで、魔法を防げてないのだろう。
うし、狙い通りだ!!
「ぐぅぁああああ!!!」
閃光に押されてマッチョ野郎が後退して行く。
やがて結界に辿り着いたのか背中から別の光を放ち出した。
そこで押されるのが止まった。
マジックイレイザーと虫除けの結界に挟まれているのだ。
「グゥァアアあああ!!」
これで決まるだろう。
俺が吐いている光が止まると、丸焦げになった人形が立っていた。
消し炭状態だ。
その黒焦げは微風に吹かれて崩れ落ちる。
粉になった。
死んだか?
「お、俺は……」
あっ、まだ生きてる。
つくし君だと思ったらミミズ君じゃあないか。
丸焦げの炭の上で蠢いているよ。
踏み潰して殺そうかな。
俺はアキレスから降りるとミミズ君に歩み寄った。
「俺は人間に憧れて、森を出たかっただけなのに……」
あー、そっすかー。
だが、死んでもらうぜ、害虫野郎が。
メイドたちの仇だ!
「アスラン、止めて!!」
えっ!?
「バーバラちゃん??」
バーバラが駆け寄って来て、のたうち回るベェノムを両手で抱え上げる。
どうやらベェノムは結界を越えて反対側に出たようだな。
「アスラン、もういいでしょう。ベェノムを許して上げて……」
「えっ、どうして!?」
「だってベェノムは寄生虫だよ。もう人間に寄生しないから、人間には迷惑かけないから……」
「いや、でも、虫にも寄生するんだろ……?」
「だから、私に寄生させるから」
「えっ、マジですか!?」
バーバラはベェノムを自分の胸に近付ける。
するとベェノムはバーバラの体内に刺さるように侵入して行った。
それは、まるで母の胸に逃げ込むかのようにも見えた。
「これで、いいの」
バーバラは微笑んでいた。
「私には完全に寄生できないように、なっているの」
「どう言うことだ……?」
「私は実験体-10号。元々はベェノムの寄生による精神征服の防御研究用に作られた存在だから……」
「えっ……」
そう言う落ちですか……。
「ベェノムが私の体に寄生している間は、何もできないわ」
【おめでとうございます。レベル30に成りました!】
あっ、レベルアップした……。
俺の勝利なのか?
すると時間が止まって、周囲が灰色に染まる。
ここで糞女神の登場かよ……。
タイミングがウザいだろ。
【つづく】
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