ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。(タイトルに一部偽り有り)

ヒィッツカラルド

第98話【巣の中の戦利品】

俺は異次元宝物庫から荒縄を取り出すと、お尻を天に向けたままのトリンドルを縛り上げた。

極上の恥ずかし固めである。

今は気絶しているから静かだけれど、目が覚めたら騒ぎだすだろうから、更に口には猿轡を締めてやった。

そして暖炉の前に投げてやる。

そこなら寝冷えしないだろうさ。

それにへんてこな小動物も居るから寂しく無いだろう。

夜も更けて来たので俺は広いベットに潜り込んで朝まで寝ることにした。

今日は大変頑張ったので良く眠れそうである。

そして俺が目を閉じると瞬時に朝が来た。

我ながら早すぎだと思ったが、それだけ俺が疲れていたってことだろう。

ヒッポグリフ退治に奮闘してたから仕方ないよね。

まだ眠た目の俺は、ベットのシーツを剥ぐってから背伸びをした。

「ふぅぁあ~~」

ふと横を見ると俺の隣でトリンドルが全裸で寝ていた。

「何故じゃい!!??」

俺は仰天のままにベットから跳ね出た。

するとトリンドルも目を覚ます。

「あら、おはよう、坊や」

「ななななな何故!!」

「坊やったら照れちゃってさ。昨日はあんなに激しかったのに、うふん♡」

「嘘じゃあーー!!」

間違いない。嘘だろう!

だって俺は服を着ているもの!!

何より糞女神の呪いで死んでないしさ!!

「ほら、テーブルの上にお代が置いてあるわよ。それを持ってチャッチャとお帰りなさい」

俺が言われるままにテーブルの上を見ると、金貨がはみ出した袋が置いてあった。

俺は素早くそれを取るとトリンドルの塔を走り出る。

あの悪女め、どうやって縄の捕縛から逃れやがった!?

アイツも魔女なのか!?

いや、魔女だな、たぶん!?

あーー、こわ!!

俺は塔から勝手に持ち出していた魔法のランタンで茨を蹴散らしながら先を進んだ。

袋の中の金貨を数えたら、ちゃんと1500Gあった。

なんだよ、ちゃんと払う気が有るんじゃあないか。

それから俺は茨の森を出て、ヒッポグリフの巣を目指す。

上から飛び込んだ時にチラリと見えたのだ。

アイツの巣に宝物があったのが。

俺はそれを回収しようと考えていた。

昨日トリンドルと報酬の言い争いになった時も、すんなり諦めたのはこれがあったからだ。

ハクスラスキルを有している俺からしたら、依頼料よりも掘り出されるお宝のほうが高収入なのだ。

俺はわっせわっせと崖を登った。

あれ、なんか簡単に崖が登れるな?

俺ってば、鍛えられたかな?

あ~、そう言えばレベルアップしていたんだ。

これはもしかして崖を登れるようなスキルを習得しているな、俺。

まあ、いいや。

とりあえずヒッポグリフの巣まで登ってからステータスを確認してみるか。

そんなこんなで、あっと言う間に巣まで到着した。

木々の枝に囲まれた巣には大きな化粧鏡の他に金の壺や皿が置いてあった。

その他に人の白骨化死体が一つ置かれていた。

服装からして平民っぽい。

俺は金の物品を異次元宝物庫内に回収した後に、人の死体を調べてみた。

魔力感知をしながら探るとポケットの中から輝くペンダントを一つ発見する。

魔法の物品はこれだけだった。

それに手紙を持っていやがる。

この羊皮紙からは魔力を感じないから、本当に単なる手紙だろう。

まあ、村人の死体っぽいしね、いいか。

今回はヒッポグリフを一匹だけの退治だからこんなものかと諦める。

俺は巣の中で胡座を組むとステータス画面を確認した。

今回でレベル15だ。

そして今回覚えたスキルは二つである。

一つ目はやっぱりであった。

【クライムウォーク。岩場などをよじ登る技術が向上する】

これのお陰でさっきはスチャスチャと登れたのだろう。

二つ目は───。

【荒縄拘束スキル。荒縄で相手を手際良く拘束できるようになる】

な、なんでこんな新スキルを覚えていたのにトリンドルのヤツは、俺の荒縄拘束から抜けて来れたんだ!?

あいつは、昼間は病弱キャラだけど、夜になると本物の怪物なのか!?

まさに絶倫モンスターかよ!?

恐ろしや!?

さてさて……。

気を取り直してマジックアイテムの鑑定でもするか。

今回唯一のマジックアイテムだな。

この哀れな死体は一般人見たいな服装だ。

なんでこんなところで死んでるんだろ。

やっぱり餌にされたのかな?

まあ、拝むだけ拝んで置いてやるよ。

南無南無南無~。

よし、鑑定するぞ!!

【シルバーネックレス+2。矢の直撃を一回だけ避ける。矢の直撃を一回だけ避ける。】

おお、何これ!?

凄くね!!

これってば要するに二回分だけ矢が当たらないってことだよね!!

めっちゃ当たりやんけ!!

わーい、わーい、ぱふぱふぱふ、どんどんどん!

ふう、今回はトリンドルのヤツに苦戦したかいがあったってもんだわ。

最後の最後で大当たりを引けたぞ。

俺は早速ながら銀のネックレスを首に掛けた。

んん、なんだ?

このペンダントはロケットになっているな?

気になるから開いて見るか……。

あれ、これって……。

写真?

いや、絵かな?

若いころのトリンドルなのか?

じゃあ、この死体は誰だ?

そう言えば手紙を持ってたっけ。

見てみるか……。

『前略トリンドルちゃん』

うわ、何これ!?

走りだしからキモイぞ!?

『おいちゃんはゴモラタウンの商人でお金持ちのおじさんですよ。トリンドルちゃんが良かったら何時でも飲みに誘ってくださいね。──それから』

キモイ!!

何この恋文は!?

キモすぎるは!?

この死体は郵便局の人かな?

この人がこの手紙の差出人とは限らないよね!!

あれ、差出人の名前も書いてあるや。

『ワイズマン』

ぶっ!!

あのモッチリおやじかよ!!



【つづく】

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