ハクスラ異世界に転生したから、ひたすらレベル上げをしながらマジックアイテムを掘りまくって、飽きたら拾ったマジックアイテムで色々と遊んでみる物語。(タイトルに一部偽り有り)
第32話【ミッション失敗】
俺たち四人のパーティーがゴブリン退治の依頼でタババ村を目指してソドムタウンを出発してから初の夜が来る。
殺風景な草原を歩いて進み、何事も無く夜が訪れたので、岩陰にキャンプを張って夜を過ごすことになった。
ここなら風だけは若干だが凌げる。
焚き火を炊いて、そこでリックがコーンスープを作ってくれたので皆で頂く。
そうこうしている間に何故かクラウドが剣技自慢を始めたのだ。
すると負けじとクララが神殿では優等生だと自慢を始めたので、俺も負けじとシミターを取り出しマジックアイテムだと自慢してやった。
その間、たいした自慢話が無いのかリックはひたすら聞き役に徹していた。
そして、夜も更けたので寝ることになる
睡眠中の見張りは交代で行うことになった。
一番手をリックが志願したので、次の順番はジャンケンで決めた。
二番目はクララ。三番目はクラウド。四番目で俺だった。
順番が最後なので俺はさっさと寝る。
そして、気が付けば朝になっていた。
朝に成り俺が目を覚ますと、異常に気が付いたが冷静に振る舞った。
皆もだ。
するとクラウドが話し掛けてきた。
「これはどう思う、キミは?」
「ああ、俺は以前にも経験があるからな。その時より状況はましだ」
俺たちの会話にクララも加わる。
「でも、これってあんまりじゃない?」
「僕もそう思うよ」
「まあ、こんなこともあるさ。俺は慣れてる」
「アスランくんは経験豊富だな。僕は冒険すら初めてだから、こんな経験も初めてだよ」
「私もよ」
「でえ、何が原因だと思う。お前らは?」
「おそらく昨日の晩の自慢話が原因じゃあないか?」
「クラウド、お前もそう思うか」
「やっぱりシミターの予想金額を述べたのが失敗だったと思うよ、アスランくん」
「お前が言ったんじゃんか」
「ああ、そうだね。すまない」
「あそこでシミターの値打ちが5000Gとか言わなければな」
「本当に、すまないと思っているよ……」
「で、アイツの名前はなんだったっけ。リックドムだっけ?」
「違うよアスランくん。リックディアスだよ」
「二人して何を馬鹿を言ってるの。ただのリックよ、リック!」
「どうでもいいや……」
「「「はぁ~~……」」」
俺たち三人は、同時に溜め息を吐いた。
その理由は、リックの野郎に全員の荷物を持ち逃げされたからである。
しかも全員がロープで上半身を縛られているのだ。
「アスランくん。キミの被害はどのぐらいだい?」
俺は縛られた状態で荷物にすりよると確認した。
「シミターとショートソードに、食料を全部持ってかれたな……」
「僕は武器と防具、食糧と現金を全部だよ……」
「私もメイスに防具、それに装飾品とお金、食糧も取られているわ……」
「お前ら二人は寝る前に防具を脱いでたからな」
「失敗だったわ……」
「それにしても全員根こそぎだな……」
俺の僅かな金だけは手の中に吸い込んであったので無事であった。
だが、目新しい物をすべて持っていかれた。
俺は火の消えた焚き火の側に放置された食器を眺めながら言う。
「多分だが、昨日の晩飯にアイツが作ったコーンスープに睡眠薬が入ってたんだろうな」
「なるほど、それで僕らは縛られても起きないぐらいに熟睡してたってわけか」
「さて、これからどうする?」
「まずはロープをほどきましょう」
「だな……」
それからしばらくしてクラウドのロープがほどけたので俺たちのロープもほどいてもらった。
クララが怖い顔で述べる。
「あの泥棒野郎を、早く追い掛けましょう!」
それを俺は止める。
「ダメだ。もう追い付かないな」
「なんでよ。泥棒を逃がすつもり!」
「アイツが食糧を全部持っていったのは、食いしん坊とか、がめついとかじゃあねえよ。俺たちに追跡させないためだ」
「なんでよ!?」
「どう言うことだい、アスランくん?」
ああ、こいつら馬鹿だな。
てか、情報社会でいろんなドラマや物語を見ていないから知識が低いのか。
俺は追わない理由を教えてやる。
「考えてみろ。もしも一日以内に、アイツに追い付けなかったらどうする。食料が無ければ飢えるだろ。今ならまだソドムタウンには引き返せる。でも追ってアイツを見つけられなかったら地獄だぞ」
「なるほど。だから食料まで持ち去ったのか……」
「そうそう、追わずに引き返せって言うメッセージなんだ」
「でも、悔しくないの!?」
まだクララがブヒブヒと怒っていた。
「あの野郎は、もうソドムタウンに戻らない覚悟で裏切ったんだ。もう二度と出合うことは無いだろうさ、多分な」
「そうなりそうですね……」
俺がトボトボと歩き出すとクラウドも続いた。
しばらくして、やっと諦めが付いたクララも続く。
俺たち三人はソドムタウンに引き返した。
ミッション失敗である。
だが、完全失敗ではない。
俺はソドムタウンに到着したら魔法のバンダナを売って資金を拵えたら、直ぐに冒険の装備を整え直して、タババ村に再出発する積もりだ。
一日二日の遅れぐらい問題無いだろうさ。
俺が二人に再出発の件を話して誘ったが、見事に断られた。
クラウドは資金もやる気も無くなったらしく、クララは裏切られたのがショックで立ち直れないとかだそうな。
まあ、元々は一人で受ける積もりの依頼だったから、二人が居なくても気にはしない。
俺は一度受けた仕事を達成したいのだ。
途中で諦められない。
例え何度も装備を失ってもだ。
前の世界では、夢もなく将来の希望もなく、自然と多くを諦めて過ごしていたのだ。
だから、この異世界では諦めない。
ここには希望が溢れているのだから───。
【つづく】
殺風景な草原を歩いて進み、何事も無く夜が訪れたので、岩陰にキャンプを張って夜を過ごすことになった。
ここなら風だけは若干だが凌げる。
焚き火を炊いて、そこでリックがコーンスープを作ってくれたので皆で頂く。
そうこうしている間に何故かクラウドが剣技自慢を始めたのだ。
すると負けじとクララが神殿では優等生だと自慢を始めたので、俺も負けじとシミターを取り出しマジックアイテムだと自慢してやった。
その間、たいした自慢話が無いのかリックはひたすら聞き役に徹していた。
そして、夜も更けたので寝ることになる
睡眠中の見張りは交代で行うことになった。
一番手をリックが志願したので、次の順番はジャンケンで決めた。
二番目はクララ。三番目はクラウド。四番目で俺だった。
順番が最後なので俺はさっさと寝る。
そして、気が付けば朝になっていた。
朝に成り俺が目を覚ますと、異常に気が付いたが冷静に振る舞った。
皆もだ。
するとクラウドが話し掛けてきた。
「これはどう思う、キミは?」
「ああ、俺は以前にも経験があるからな。その時より状況はましだ」
俺たちの会話にクララも加わる。
「でも、これってあんまりじゃない?」
「僕もそう思うよ」
「まあ、こんなこともあるさ。俺は慣れてる」
「アスランくんは経験豊富だな。僕は冒険すら初めてだから、こんな経験も初めてだよ」
「私もよ」
「でえ、何が原因だと思う。お前らは?」
「おそらく昨日の晩の自慢話が原因じゃあないか?」
「クラウド、お前もそう思うか」
「やっぱりシミターの予想金額を述べたのが失敗だったと思うよ、アスランくん」
「お前が言ったんじゃんか」
「ああ、そうだね。すまない」
「あそこでシミターの値打ちが5000Gとか言わなければな」
「本当に、すまないと思っているよ……」
「で、アイツの名前はなんだったっけ。リックドムだっけ?」
「違うよアスランくん。リックディアスだよ」
「二人して何を馬鹿を言ってるの。ただのリックよ、リック!」
「どうでもいいや……」
「「「はぁ~~……」」」
俺たち三人は、同時に溜め息を吐いた。
その理由は、リックの野郎に全員の荷物を持ち逃げされたからである。
しかも全員がロープで上半身を縛られているのだ。
「アスランくん。キミの被害はどのぐらいだい?」
俺は縛られた状態で荷物にすりよると確認した。
「シミターとショートソードに、食料を全部持ってかれたな……」
「僕は武器と防具、食糧と現金を全部だよ……」
「私もメイスに防具、それに装飾品とお金、食糧も取られているわ……」
「お前ら二人は寝る前に防具を脱いでたからな」
「失敗だったわ……」
「それにしても全員根こそぎだな……」
俺の僅かな金だけは手の中に吸い込んであったので無事であった。
だが、目新しい物をすべて持っていかれた。
俺は火の消えた焚き火の側に放置された食器を眺めながら言う。
「多分だが、昨日の晩飯にアイツが作ったコーンスープに睡眠薬が入ってたんだろうな」
「なるほど、それで僕らは縛られても起きないぐらいに熟睡してたってわけか」
「さて、これからどうする?」
「まずはロープをほどきましょう」
「だな……」
それからしばらくしてクラウドのロープがほどけたので俺たちのロープもほどいてもらった。
クララが怖い顔で述べる。
「あの泥棒野郎を、早く追い掛けましょう!」
それを俺は止める。
「ダメだ。もう追い付かないな」
「なんでよ。泥棒を逃がすつもり!」
「アイツが食糧を全部持っていったのは、食いしん坊とか、がめついとかじゃあねえよ。俺たちに追跡させないためだ」
「なんでよ!?」
「どう言うことだい、アスランくん?」
ああ、こいつら馬鹿だな。
てか、情報社会でいろんなドラマや物語を見ていないから知識が低いのか。
俺は追わない理由を教えてやる。
「考えてみろ。もしも一日以内に、アイツに追い付けなかったらどうする。食料が無ければ飢えるだろ。今ならまだソドムタウンには引き返せる。でも追ってアイツを見つけられなかったら地獄だぞ」
「なるほど。だから食料まで持ち去ったのか……」
「そうそう、追わずに引き返せって言うメッセージなんだ」
「でも、悔しくないの!?」
まだクララがブヒブヒと怒っていた。
「あの野郎は、もうソドムタウンに戻らない覚悟で裏切ったんだ。もう二度と出合うことは無いだろうさ、多分な」
「そうなりそうですね……」
俺がトボトボと歩き出すとクラウドも続いた。
しばらくして、やっと諦めが付いたクララも続く。
俺たち三人はソドムタウンに引き返した。
ミッション失敗である。
だが、完全失敗ではない。
俺はソドムタウンに到着したら魔法のバンダナを売って資金を拵えたら、直ぐに冒険の装備を整え直して、タババ村に再出発する積もりだ。
一日二日の遅れぐらい問題無いだろうさ。
俺が二人に再出発の件を話して誘ったが、見事に断られた。
クラウドは資金もやる気も無くなったらしく、クララは裏切られたのがショックで立ち直れないとかだそうな。
まあ、元々は一人で受ける積もりの依頼だったから、二人が居なくても気にはしない。
俺は一度受けた仕事を達成したいのだ。
途中で諦められない。
例え何度も装備を失ってもだ。
前の世界では、夢もなく将来の希望もなく、自然と多くを諦めて過ごしていたのだ。
だから、この異世界では諦めない。
ここには希望が溢れているのだから───。
【つづく】
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