銃騎士物語
ファンタジー

連載中:2話

更新日:

銃騎士物語

  • あらすじ

      戦場において剣や槍が時代遅れになった世の中、戦士たちは武器を、銃に持ちかえつつあった。
      大陸の外れ、緑に囲まれたある小さな町でのお話。
     
      町で毎年開かれる『勇者のあかし』大会、今回で二百回目である。
      この大会の勝者には、大金と名誉が与えられる。
      町の青年カデットは、今では数えるほどになってしまった「騎士(パラディン)」の息子であり、彼もまた父の後を継ぎ騎士になろうと、日々修練を重ねていた。
      同世代の者は皆、「銃騎士(ガンナイト)」を目指しており、カデットは「時代遅れの田舎者」とからかわれていた。
     「うるせいやい! 騎士道の何たるかも知らねえてめえらに、剣の良さが判ってたまるかよ!」
      現在、庶民にとって銃はまだまだ高価で、一般市民が手に入れるのは容易ではなかった。父の姿を見て育ったカデットは、当然のように騎士を目指すようになった。が、内心では……。
     「高いんだよ、銃は。そんな金、家中引っくり返したって出てこねえよ」
      周りの連中、世の中の流れを見れば、騎士など無用ということには青年カデットにもすぐ解かった。本心を打ち明ける相手は、幼馴染みで恋人のリッシュのみである。
     「リッシュもさあ、やっぱ、剣振り回してる男より、銃騎士のほうがかっこいいと思うだろ?」
      リッシュはカデットの一つ年下で、性格は楽天家、いつもニコニコ明るく、皆に可愛いがられている。
     「あたしはどっちでもいいと思うよ? カデットならどっちもよく似合うんじゃない?」
      今のところ二人はお互い好きあっていて、リッシュにとっては剣だろうが銃だろうが箸(はし)だろうがスコップだろうが、何でもいいのである。が、カデットはリッシュほど割り切れた性格ではなかった。
      周りの連中がカデットをからかったりするので、ますますカデットは悩んでしまう。
     「そのうちリッシュも、やっぱり銃ってかっこいいよね、とか言い出すかもな。なんとかなんねえのかな……」
      そんなカデットの目に映ったのが『勇者のあかし』大会の看板だった。
     「賞金五万! こ、これだっ!!」
     
     「――ね、ね、おじさん、これは? 見たところ、けっこう古そうだしさ」
      町外れの銃砲店で、店主の初老と若い女性が、なにやら話し込んでいた。
     「あのね、おねえちゃん。あんたが銃、欲しいってのはよーく解かってるんだけどさ、うちの店の中にはどこ探したって、二百五十ぽっちで買える銃なんて一挺もないんだよ、すまねえけどね」
     「んじゃさ、そっちの、、そう、それは? グリップさびてんじゃん」
     「一万! 一切まけられねえよ」
      それから小一時間ほど同じ事を繰り返し、とうとうしびれを切らせた店主に女性は店を追い出された。
     「ちぇっ、けちんぼーー!!」
      女性の名はディージェイ、最近では特に珍しい女性剣士である。
      かなりの腕前だが、彼女がその技術を身につけた頃には、もう騎士と銃騎士が入れ替わりだしていたので、彼女の活躍の場は殆どなかった。それゆえ、かなりの腕前というのも「自称」である。「剣士(ナイト)」の称号をその若さで持つところを見ると、言うだけのことはあるのだろうが。
     「ここなら安いって聞いて、はるばるやってきたあたしは一体……」
      ディージェイも先の青年カデットと同じく、剣を銃に持ち代えるべく日々頭を悩ませている一人であった。
     「これからはやっぱ銃じゃなきゃねー」
      誰にともなくつぶやき、ディージェイはとぼとぼと歩く。夕方、そろそろ辺りが暗くなってきた。
     「今日はどこに泊まろっかなー、ったって、お金もあんまないし、また汗臭い部屋の固いベッドだな、こりゃ」
      うつむいて歩くディージェイの少し先から男が走ってくる、カデットである。
     「よーし! 申し込みも済んだし……賞金は俺様がいただきだ!」
      ディージェイとカデットがすれ違う瞬間、道端で猫が鳴いた。にゃー。
      ガァン!
      凄い音がして、彼女の横で土煙が舞う。
     「なんじゃ?」
      そこには男――カデットが倒れていた。
      猫のほうを見ようと体をくねらせたディージェイ、彼女の持っていた剣の鞘(さや)が、ちょうどカデットの目の前に突き出てきた格好になり、カデットは鞘に力一杯激突したのだった。
     「ばかやろー! 気をつけろ!」
      怒鳴ったのは、ディージェイだった。
      いきなり倒された上、大声を浴びせられたカデットは、何が起きたか解からずぽかんとしていた。頭をあげるとそこには、凄い目つきで睨んでいる女性、ディージェイの顔があった。
     「え? あ、ああ、すいません……」
      意味も判らないままカデットは謝っていた。
     「ちゃあんと前見て歩いてよ――」
     「あーーー! い、痛てぇ!」
      今度はいきなりカデットが叫んだ。見

「銃騎士物語」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品