神に気に入られて異世界転生した俺は、救世と終焉の神殺しとなる

あざらし

103話 ヴェルグとリーゼは仲が良い?



ヴェルグについて、一応の結論に至ったわけだが、何故かメナト達は帰らずに滞在していた


現在は収穫祭前日なのだが、未だに帰らないメナト達であったので






「なぁ、何で帰らないんだ?」






駆け引き無しでド直球に聞いてみる


答えはちょっと意外だった






「ん?いやなに、人の子の祭りを見てみたくてな」






「上から見るのと実際に体験するのは違いますから」






「俺はディストに修練させるためだな!」






「我らが子に話を聞きたくてな」






「このような機会、早々にないしな」






「・・・お祭り、楽しみ」






「金儲けの匂いがプンプンするでぇ!」






要約すると「「「休暇!」」」と言う事らしい


話を聞くと、引継ぎをしてから休み無しとの事


職業〝神〟はブラックではなく、ダークネスだったみたいだ






休憩がてらに聞いた内容は、非常に悲しい内容であった








そんなこんなで収穫祭初日


例年通り王城でパーティーが開催される


当然、リーゼとの婚約発表もな


去年と違う所?お貴族様がダース単位で娘とか妹とかを紹介してくるところかな


まぁ・・・正直、しんどい


変な言質を取られると困るので、気を引き締めてはいるけどな






メナト達も思い思いに過ごすと言っていたので、お金と変装用の魔道具を渡してある


変装用の魔道具だが、創造魔法で創った一品だ


メナト達の正体がバレることはないだろう・・・多分・・・






翌日は、婚約者全員でお出掛け


4日目以降からは、メナト、シル、シーエン、レーネスが同行


5日目は、前からの約束通り、リーゼとお出掛けの予定だったのだが






「ラフィ様、ヴェルグさんもご一緒に行きませんか?」






リーゼからの提案により、ヴェルグも一緒になった


ただちょっと心配なんだよなぁ


リーゼとヴェルグはダンジョンでの事がある


ヴェルグに悪気はなかったとしても、迷惑をかけてることに変わりはないからなぁ


しかし、俺の心配をよそにリーゼとヴェルグは






「ヴェルグさん。こちらの服とか似合いそうですよ」






「動きにくそうじゃない?」






「ラフィ様の妻になりたいのなら、相応の身嗜みは必要ですよ」






「え~!・・わかったよ。でも、出来るだけ動きやすいので!」






何と言うか、姉妹とか友達的な関係っぽく見える


わだかまりとか罪悪感とか無いのかね?


俺が掘り返して良いものでも無いので、黙って見ている


途中で服の感想を聞きに来たり、二人で俺の服選びをしたりと、大変楽しそうである






昼食は屋台で買い、軽めに食べて少し休憩


その後は、本来の目的地である貴金属店に向かうのだが






「(ヴェルグをどうしようか?)」






ここで放置していた問題が浮上する






俺はまだ、ヴェルグを婚約者として扱ってはいない


なので、婚約指輪をリーゼに渡すために買いに来たと言っていなかった


そもそもの話『ラフィ様!ヴェルグさんも一緒に連れて行きましょう!』と言い出したのがリーゼで、ミリア達も承認してしまったのが悪かった


え?逆らえばって?出来たらとっくにやっとるわい!


ミリア達はな、怒らせたら大変なんだよ!






回想しつつ、どうするか悩んでいると






「ラフィ様?どうかしましたか?」






「何、悩んでるの?」






状況を理解してない・・・本当に理解してないのかな?


疑わしき部分はあるが、どう話そうか迷う俺


とここで、リーゼが店とヴェルグを交互に見て、ヴェルグも何となく察する


君ら、察し良すぎ






「別の機会にしますか?」






「気にする必要は無いよ。僕はまだ、正式ではないし。ちゃんと認めて貰ってからで良いから」






「悪いな、ヴェルグ」






「気にしない気にしない。でも、認めたら買ってくれるんだよね?」






「それは勿論」






「ラフィ様への理解度が凄いですね・・負けられません!」






最後にリーゼが可愛らしく両手を握り拳にし、ヴェルグに対して何やら宣戦布告?っぽい感じになる


その後は、リーゼへの婚約指輪を買い、リーゼとヴェルグと共にデートの続きとなった












収穫祭も残り半分となった頃、皆が思い思いに楽しみ、日々を過ごしていた


そんな日が続いた夜、執務室で少しだけ書類整理をしていると、扉を叩く音が


傍にナリアが控えており、お互いに『誰だ?』と顔を向け合うと「リーゼです。少しよろしいですか?」と声を掛けられる






何事かな?と思い、ナリアに合図して扉を開けてもらう


書類整理を始めて、それほど経過していないから、働きすぎとか休憩のお誘いではないはず


とりあえず、ソファに座る様に促し、話を聞く事に






「どうしたんだ?何か、相談事?」






「はい・・実は、私のステータスについて何ですが」






ステータスについてとは?


リーゼのステータスは、以前に見せてもらっている


特に突出した部分はなかったのを覚えている


強いて上げるとすれば、戦闘能力0くらいだろうか?






リーゼはフェリック皇国の王女


故に、戦闘をするなどは皆無だった


一応、自分の身の安全位は守れる教育は受けるが、リーゼに関してはそう言ったスキルもなかった






これはこれで問題がある様に思われるが、そこまで不思議とは思わない


だって皇族だし、そう言ったものかと納得してしまった


この後、俺はその真実を知ることになる






「とりあえず、確認しようか」






「はい。【ステータス】」






「で、気になるところは何処?」






「スキルもなんですが、その・・加護が」






「加護?確か、全智神Lv3だったよね?」






リーゼに言われるがまま、確認してみると






全智神の加護Lv7


軍神の加護Lv2


生命神の加護Lv1






あれ?加護レベル増えてるし、新しく加護が増えてる


見直すが、やはり増えている


どゆこと?加護って増えるもんなの?






リーゼを見ると、顔を横に振る


比較対象がいないので






「ナリア。悪いけど、加護を見せてくれないか?」






「わかりました」






この場にナリアが居て助かった


使用人でも、本来は見せたりしない


しかし、ナリアは幼少期から俺専属であったし「私はクロノアス家に生涯仕えていきます」と宣言し、自他ともに認める【クロノアス家の筆頭侍女長】であった


忠誠心は天元突破しており、忠言を言える数少ない者でもあった






そんなナリアの【ステータス】を確認すると


・・・・増えていた・・加護レベルが






ナリア自身も驚いており「え?何故?」と困惑を隠しきれ無い


これはもうあれだな・・増やした本人本神に聞いてみるしかない


そう結論に至った所で、扉を叩く音が再び






「ラフィ、いる?ヴェルグだけど」






「いるよ。どうした?」






「リーゼが悩んでるようだったから、ちょっと相談しに」






「わかった。今開ける」






その言葉の後、ナリアが扉を開け、リーゼがいて驚くヴェルグ






「あれ?いたんだ。僕も聞いても良い?」






「良いですよ。でも、少し意外でした」






「何が?」






「いえ、ヴェルグさんは面倒見は良さそうだと思ってましたが、親身になるとは思いませんでしたので」






「あはは・・そうだよねぇ。でも、ラフィは鈍感で抜けてるとこあるから、僕が補佐しないとね。リーゼもそうでしょう?」






「おいこら、本人の前で言うな」






「ラフィ様、ヴェルグさんの言葉も事実なので・・・」






さり気無くディスられる俺


ナリアを見ると・・・あ、頷いてる


心に大ダメージが入る・・ぴえん






そんな俺を慰めつつ、本題に戻るヴェルグとリーゼ


さて、加護が増えるとかレベルが上がるのかをヴェルグに聞くと






「無いわけじゃないんだけど、かなり稀だよねぇ。本当なら、謎で終わるんだけど・・・」






「今我が家には、張本人張本神がいるしな」






「聞いてみたら?」






「教えてもらえるのですか?」






「わかんない。あ、でも、ラフィなら大丈夫じゃないかな?」






「やっぱりそうなるか・・ナリア、悪いけど」






「私で良いのでしょうか?」






「俺が聞きたいことがあるって言えば、来るはずだから」






「承知しました」






ナリアは2柱を呼びに執務室から退室していく


ナリアが退室して5分後、ノックもなくバーン!と音を立てて扉が開かれ、2柱が現れる


あれ?ナリアは?






「どうしたんだラフィ?聞きたいことがあるらしが」






「メナト、その前に静かに開けなさい。壊れるでしょう」






「シルの言う通りだな。まぁ、それは今は置いといて・・ナリアは?」






「呼びに来たメイドか?お茶の用意をしてくると言っていたぞ」






「あの者が淹れるお茶は美味しいですからね。思わず、加護を授けそうになります」






ナリアさん・・全智神に加護を授けられる一歩手前だった


そして、聞きたいことをサラッと暴露する全智神


眉間を指で押さえつつ、2柱に座る様に促す


さて・・この2柱を呼んだのにはもう一つ理由がある






「とりあえず・・聞きたいことは、加護についてだ」






「加護だけかい?」






「他にもあるけど、順序良く進めないと混乱しそうだからな。だから、まずは加護」






「わかった。我々が彼女ルテリーゼに加護を与えたり増やした理由だが、少し可笑しかったからだ」






「可笑しい?どういうことだ?」






「正確には私の加護ではなく、全智神の加護が可笑しかった」






「ん?じゃあ、メナトの加護は?」






「後付けだ!」






「威張って言うな!」






初めて会った時はとても神らしかった軍神メナト


最近ではポンコツ臭が漂っている


そこへ咳ばらいをして、シルがメナトに代わり説明をする






「何処の誰神かは知りませんが、本来なら加護は5になっていなければ可笑しいのですよ。私が与えたのは、確かに5なのですから」






「では何故7になっているんですか?」






「彼女・・ルテリーゼが想像以上だったことですね。本来のレベルでも足りないと判断しました。後は・・・スキルが異常だったことでしょうか。このままでは危険だと判断したのもあります」






「どういうことですか?イマイチわかりにくいんですが?」






「スキルには先天性と後天性があるのは前に話しましたね?」






「はい・・・ですが、リーゼには後天性で獲得できる戦闘系スキルが一つもなかった」






「訓練や修練をしていれば、それはあり得ない事です。では何故?と思うでしょう?」






「そうですね・・・まさか!?」






「弄られてますね。誰がしたのかは大体予想がつきますが」






「ですが、どうしてそんなことを?」






「わかりません。それと、どうやって加護レベルを改竄したのかも謎ですね。本来、その権限を用いるのは・・・」






「創世神のみ。とは言え、あのジェネス様がするとは思えん」






最後にメナトが答えを言い、沈黙が訪れる


沈黙の中、扉を叩く音が鳴り、ナリアがお茶を持って帰ってくる






「お待たせいたしました。なにやら、重苦しい雰囲気の様ですが、どうされたのですか?」






「いや、何でもない。皆に配膳してくれ」






「かしこまりました」






ナリアがお茶を配膳する間、全員が話の精査をする


配膳し終わり、ナリアが部屋の隅に控え、一口飲んでから話を再開させる






「確認をしたい。本来、加護レベルは上下するのか?」






「稀ですがしますよ。大抵の人は気付きませんが」






「気付かない?」






「ステータスなんて、そう確認するものでもありませんから」






「そう言う事か。納得できる話だな」






シルの答えに質問を返し、リーゼが答える


リーゼの答えは当たり前の回答で、俺がちょっとアホっぽく見えただろう


でもさ、そんなに確認しないものなのか?






「ステータスが変わるのは、スキルや能力が主ですから。稀に称号とかが変わったりもしますが、加護は変わらないと思ってるのです」






「先入観がそうさせているのかな?・・・あれ?じゃあ、なんでリーゼは気付いたんだ?」






「ミリアさん達が『一度、ステータスは見直しといたほうが良いですよ』と。それならば、全部確認してみようと思いまして」






「そして今に至る・・と。まぁ、シルの言い分もリーゼが見た理由も納得はしたが・・・」






そこで全員がメナトを見る


対するメナトは誇らしげに語った






「シルからその話を聞いてね。そこで閃いたのさ!戦闘能力0の彼女に軍神の加護はどれくらい有効かとね」






「それ、人体実験じゃねぇか!」






「何か誤解があるようだけど、彼女の容量を超えるようには与えてないよ。それに、そのおかげで見つけたものもあるしね」






「見つけたもの?」






「戦闘系スキル・・それも、魔法系も込みで何故習得できないかさ」






ここでとんでもない爆弾が出てくる


そして、その答えとは






「結論から言おう。彼女には、とあるスキルの習得が可能だった。代わりに、そのスキルに全ての容量を持っていかれているんだ。それは、確認したのかな?」






「【大図書館】ってやつか」






リーゼのスキルには、今までになかった【大図書館】と言うスキルが増えていた


以前には無かったとリーゼも言っている






この【大図書館】と言うスキルは、その意味の通り、膨大な知識や記憶や記録を保管・保全し、好きに引き出せるというスキル


但し、本人が得た知識等しか引き出せない


仮に俺しか知らない料理の知識とかは知らない限り引き出せない


逆に教えて実行し、知識として残ればいつでも引き出せる


その知識幅は無限にも等しい






ある意味、知識チートなスキルである


そしてリーゼは幼少期の頃から本を読むのが好きだったと聞いている


その本も多種多様


文学から英雄譚に兵法書など様々


彼女のスキルには、その膨大な知識が内包されているわけだ






「となれば、軍神たる私が加護無しと言うのはどうかと思ってね」






「なるほど・・軍の指揮や兵法などで与えたわけか」






「逆にそれだけだから、2までしか与えられなかったとも言えるわけだ」






「害が無いならそれで良いよ」






納得したので引き下がろうとしたが、ここでヴェルグが待ったをかける






「大事な事、隠してない?それに、肝心な事をはぐらかしたよね?」






「肝心な事?・・・・あ!弄られてるって話か!」






ヴェルグの言葉に気付かされ、2柱をジッと見つめる


シルは態度を崩さずお茶を飲み、メナトはサッと視線を逸らす


メナトの反応にシルが片肘で脇腹を打つが時既に遅し


隠し事をする2柱に笑顔を向け






「ちゃっちゃとキリキリ全部吐いてもらいましょうか」






その言葉に観念した2柱は、「「はぁ~」」と溜息を吐いてから説明を始める






「隠していたわけでは無いのですがね。スキル【大図書館】は私が元々与えていたスキルです。だから加護も5を与えていたんですよ」






「何故隠したんですか?」






「隠してなどいませんよ。そもそも、【大図書館】が獲得出来る条件は非常に厳しい内容です。それは加護が5であっても変わりません。寧ろ、獲得出来る条件の一つが私の加護5以上ですからね。だからこそなのですが・・・」






「加護を弄った理由の一つとしては理解できるが、誰が何の目的でかがわからないか」






「加護を上げた理由は、スキルが無くても本人の才覚で行っているからですね。正直、想定外でしたが嬉しくもありましたね。私の神子にふさわしい」






「お褒めにあずかり、恐縮です」






「ルテリーゼ、そのスキルは諸刃の剣です。使い方を間違えないようにしなさい」






弄った事については本当に不明


メナトが顔を逸らした理由は、シルから喋らない様に言われてたから


追記で言うならば「本当に怒らせたら、シルは相当ヤバいから」であった






話も終わりという所で、ヴェルグが俺と2柱に質問をしてきた






「一つ疑問なんだけど、ラフィはどうしてこの2柱を呼んだの?応じた2柱の理由もわかんないんだけど?」






「ん?理由は二つだな」






「二つ?一つはわかるけど、もう一つは?」






「この二人は味方だからだ」






「どうしてそう言い切れるの?」






「メナトは騎士的な面も持ち合わせているからな。戦という場合は欺瞞工作などは行うが、基本的には嘘を吐くのが嫌いな神。裏でこそこそやる神でもないしな。後は・・・こいつだ」






そう言って、神器を取り出す


それをまじまじと見たヴェルグは






「え?ホントに?この神器ってメナトの制御入り?・・あ~、だからダンジョンで使った時は調整出来たんだ」






神器ヴァルキュリアはメナトが使う神器開放用制御術式が組み込まれている


ダンジョン攻略前に一通り調べて分かっていた内容である


え?じゃあ何故、Gの時は神銃にしたのかって?


そんなもの決まってる・・・近づきたくなかったからだ!


Gに触れた剣も御免だしな!






メナトの件は納得したが、シルについては?と聞かれる


これに対する答えは






「シルは知識欲の権化だけど、悪用はしてないんだよなぁ。知って蓄積するのが好きなだけで、他は二の次。俺への味方と思う訳は、重要なことは必ず話すからかな」






「さっき隠していなかった?」






「シルが重要と思っていなかったんだろ。だから、聞けば答えてくれるぞ」






「ふ~ん・・・なら、シルに一つ答えてもらおうかな?ラフィの為に」






「何ですか?」






「【大図書館】の隠れたスキルに関して」






「その事ですか。あまり重要ではない気もするのですが・・・まぁ、良いでしょう。隠れたスキルと言うか、下位互換ですね。スキル【司書】は一定までの知識を貯め込めみ、引き出せるスキルです。【大図書館】に内包されていて、より素早く知識を出せることが出来ます」






「ほんとだ・・素直に答えたよ」






「と言うか、十分重要だった気もするが?」






「ラフィが持つあれの方が、更に上位互換ですからね。・・・そう言えば、あれは進化出来ますよ」






「はい?そういう話は聞いてないんですけど?」






「・・・忘れていました。ですが、進化条件は口外できないので許して下さい」






「シルは口下手な時があるな・・・ラフィ、気を悪くしないで欲しいんだが、教えないではなく、教えられないんだ。そう言う決まりでね」






最後にメナトが捕捉する


要は自分で見つけろって事ね


仕方ないので頷いておく


そして最後にヴェルグへ一言






「味方・・とは言えないかもしれないが、上手くやるならこの2柱には隠さずに話しておいた方が良いぞ」






「な、何の話かなぁ?」






「へぇ・・・君は私達に隠し事があったんだ」






「それは是非とも聞きたいですね?」






こわ~い笑顔のメナトとシル


顔が引き攣るヴェルグ


少しの沈黙の後、観念したヴェルグは






「わかった!わかったから!全部話すから!」






観念して全てを話すことに


ついでにステータス関連も全部見せる






「あなたは・・・しかしこれは」






「危険には違いないが・・・判断が難しいな」






「あははは・・・まぁ、半分は消えてるから」






「お前なぁ・・・冗談で言ったのに、マジでヤバいもん持ってるとか」






「ヴェルグさん、私にもわかる様に」






ヴェルグの隠されたスキル


それは・・・【神喰化】だった


何というヤバいもんを持っとるんや!


ただ、リーゼはヴェルグから話を聞き






「メナト様、シル様。私は大丈夫な気もします」






「根拠は何かな?」






「ヴェルグさんのお話によれば、先の魔剣に分割譲渡していて、両方揃わないと発動不可能らしく、更には全盛期ほどの力もないと」






「鵜呑みにするのは危険だよ。隠してたわけだし」






「それについては仕方ないかと。特にあの状況では」






ここで俺も2柱もあれ?っとなり、リーゼに質問






「君はヴェルグが憎かったり、怖かったりしないのかい?」






「いえ?特には」






「俺も思ったんだけど、ヴェルグはリーゼからすれば国を最悪の場合は大切な人を失う可能性があった人物だよね?それについて思う所は無いの?」






「ヴェルグさんも事情があったようですし、本当に怒るべきはそうし向けたご両親では?」






「ですが、そう簡単に割り切れるのですか?」






「割り切るとは少し違います。私はヴェルグさんが悪人ではないと思うのです。もし、産まれた環境が違うのならと思ってしまうのです。特に私は戦闘系がありませんから」






その言葉に、少し視線を落とすシル


メナトも何やら思う所がある様だ


しかしリーゼは






「ご不快に感じてしまったのなら申し訳ありません。ですが、私は恨むとかそう言う事ではないのです。シル様にはとても素晴らしい贈り物をして頂きました。私が言いたかったのは、立場が逆だったらと言いたかったのです」






その言葉に考えさせられるシル


メナトも黙って聞いている


そして、シルが出した結論は






「・・・・わかりました。フレースヴェルグに対する経過観察と言う結果は変えませんが、ルテリーゼの言葉は信じましょう。神でありながらも、考えさせられましたしね」






「良いのか?これは危険だぞ?」






「報告はしますよ。ですが、擁護もすべきだと思います」






「具体的には?」






「ルテリーゼの言葉とラフィの考えをそのまま言うだけです。ですが、私個人は今の所敵対はしません」






「そっちかい・・・だが、悪くないか。いいだろう・・私も乗ろうではないか」






2柱で何か分かり合ったご様子


対してヴェルグとリーゼは






「なんで僕は、リーゼの膝の上に座らされてるのかな?」






「可愛らしいからです」






「僕、リーゼよりおねぇさん・・・」






「妹に可愛がられる姉も珍しくありませんよ?」






「うん、だから・・・あ~、もう!頭撫でないで!」






「なんでしょう?物凄く可愛いです!はぁはぁ」






「リーゼ!?ちょっと落ち着いて!・・ラフィ助けて!」






「ヴェルグ・・ガンバだ!」






ヴェルグの声にサムズアップで返す俺


最後はちょっとグダグダで終わった感も否めないが、これはこれで良いのかもしれない








この日以降、ヴェルグはリーゼに可愛がられるようになった


ヴェルグも満更ではないようで、仲の良い姉妹みたいに見える


ただ、どっちが姉でどっちが妹かはわからない

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