神に気に入られて異世界転生した俺は、救世と終焉の神殺しとなる

あざらし

101話 好色家とかジゴロとか酷くね?



 想定外の訪問者達によって、混沌とした場ではあったが、一応の落ち着きを見せ、一旦は終息する


しかし神側は納得したわけでは無く、腕を組んだり、腰に手を当てたりしながら警戒中


対するヴェルグは、柳に風・・・いや、眼中にありません的な態度を見せている


そしてまた、一触即発の空気に・・・・






このままでは埒が明かないので、メイドへと指示を出し、テーブルと椅子を撤去


続いて、火・水・風・土の魔法を複合させ、全員が座れる椅子と大きな丸テーブルを作成


色付けは創造魔法を使い、シンプルに白で統一






次に、給仕するメイドについてだが、古参の2名とナリアを残し、他のメイドは屋敷内で仕事をするように指示


ノーバスは例外として、居残り組にした


居残り組の指示を受けたノーバスの顔は青くなってしまったが


さて・・これで話し合いの準備は完了かな?という所で






「あの・・・教皇様や陛下達をお呼びしなくても?」






ミリアからの指摘に対する答えは






「今回はある意味、事務次官がするような話し合いになるから。報告は父上にしてもらって、陛下からヴァルケノズさん行きかな?」






その言葉を聞いた父は・・・白目を剥いて、卒倒した


10分後、目を覚ました父に深く・・それはもう、この世の理不尽に疲れ果てた老人みたいな深ぁ~い溜息をついて、話し合いの聞き役に回る






ちなみに・・この時の父の心境は






『こんな案件をどうやって報告すれば良いんだ!?内容によっては報告できんぞ・・・』






であったと、後で父自身から聞かされて、愚痴も聞かされた


半分お説教っぽくもあったが、甘んじて享受しました






閑話休題






作られた椅子に全員が座り、ナリアを含めたメイド3人が紅茶を給仕していく


しかしここで、3人が相席に躊躇う


ノーバス、ウォルド、ブラガスの3人である






彼らの言い分は






「「「この場だと、御館様と家臣の分別は付けるべきでは?」」」






との事であったが、ここでレーネスから一言






「そんなん気にせんかったらええで。今回は身内の話みたいなもんや。ただ、事実を知る人間は少ない方が良いよってに、厳選したに過ぎんだけや。あんたらは、ラフィが認める信用できるもんと、うちらに思われたんやから、誇ってええで」






レーネスからの言葉に戸惑いつつも、神が勧めるならと自身を納得させ、着席する三人


そんなやり取りを見ていた俺だったが






「(なんか、色んな方言混じってないか?・・・なんだろうか?この残念臭のする商業神は)」






他神からは軽い扱いを受け、色んな方言が混じり、神っぽいオーラが皆無の商業神レーネス


インチキ商人にしか見えない、非常に残念臭のする神であった






そんな中、給仕が終わり、話し合いが開始される






初めの質問は、当たり前のごとき質問






「お前、何で生きてんの?」






当然であろう


あの時、確かに消滅したのを確認したのだから


これに対する答えは






「頑張って復活したから」






うん・・違うんだ・・・そうじゃない


俺が聞きたいのは、魂まで消滅させる一撃からどうやって生き延びたのか聞きたいんだ


ジト目で睨むがヴェルグはニヤニヤ






「(あ・・これ、分かってやってやがる)」






盛大に溜息を吐きたい衝動を抑え、片手で頭を抱える俺


喋る気が無いのか?揶揄からかいたいだけなのか?


判断に迷う所で、またしても一悶着起こる






「おい、神喰いの使徒。てめぇ、話す気がねぇなら、さっさと消滅されろ」






セブリーが吠える


流石脳筋・・・短気でいらっしゃる


あれ?そう言えば、セブリーってバカではないんだよな


確か、考えるのが面倒だから脳筋化してるだけで


・・・・・残念臭のする神が新たに増えた・・・・・






ここでふと、今回降りてきた神達の事を考え直してみる






リュラ、アシスは生き物としての本能に忠実


知識も豊富だが、主に狩猟に関して


シーエンは口数が少ないのもあり、ちょっと人見知り


シルは知識欲が高いせいか、自分の知らない事は貪欲に知ろうとする傾向がある


勿論、世界に異常が出ない範囲で


弁えてはいるが、強欲ではある


そしてメナトは・・意外と悪巧みが好きなんだよなぁ


悪戯好きともいう


レーネスはさっきの通りだし






・・・・あれ?この神達、地味に残念臭しない?俺だけ?


この時の俺は、何故、残念臭がするのかを理解できなかった


その理由は、後に判明するのだが






思考が脱線したが、ヴェルグが遊んでるのは事実なんだよなぁ


さて、どうしようか?


とここで、残念臭筆頭のレーネスがヴェルグに話しかける






「はて?狙いは何でっしゃろか?何か狙いがあるんでっしゃろ?」






「流石は商業神だね。バレちゃったか」






「交渉事がうちの神格やさかい。で、何が目的ですん?」






「簡単に言えば、僕には僕の望みがある。そのための下地も用意してきたしね。邪魔するなって事」






「それはそっちの出方次第ですやろ。・・・ああ、色々と情報は流すから見逃せっちゅう事かいな」






「話が早くて助かるね。それと・・僕は神喰いの使徒じゃないから」






レーネスとの会話中に、サラッと言ってのけるヴェルグ


当然、納得できない6柱


しかし、シルだけは興味深くしていた


知識欲の権化、ここに極まれり


6柱を宥めつつ、シルが質問をする






「使徒ではないとすると、貴方は何ですか?」






「まだ秘密。確約貰ってないし、話したら最後・・なんてことにはなりたくないからね」






ここで、膠着状態に


神達の意見はバラバラ


俺陣営は話についていけない者だらけ


だがここで、思わぬ者が声を出す






「あの・・ヴェルグさん?で良いのかしら?」






「ヴェルグでいいよ。それで、君の名前は?」






「ルテリーゼ・モンテロ・フィン・フェリックです。リーゼと呼んで下さい。それで、質問なのですが」






「何かな?」






「では、失礼して。ヴェルグさんの最大の目的は何なのですか?お話を聞いてると、自身の保全が最大理由では無い気がしまして」






「へぇ、今の会話でそこまで気付いちゃうんだ」






「感・・みたいなものもありますけど」






リーゼって何気に凄いな


俺は全くわからんかった


婚約者の中では、物凄く頭の回転が早いんじゃないだろうか?


ヴェルグとリーゼの会話に神達も見守る体制に


ヴェルグも何かを考えていたようだが、考えが纏まったのかリーゼに対して答えを出す






「あの7人がここに居ないなら、話しても良いんだけど・・・確実に反発しそうなんだよね」






「では、私達女性陣には話せるんですか?」






「説得も必要かな?後は、ラフィ次第?」






「え?なんでそこに、俺が出てくんの?」






「だってねぇ・・・」






そう言って、婚約者達を見渡すヴェルグ


婚約者達は「そう言う事ですか」と、何故か納得


意味が分からん


婚約者達以外だと、メイド3人も納得顔


男性陣は頭に〝?〟が浮かんでいた


とここで、話を聞いていたシーエンが






「・・・認めない」






「シーエン、落ち着きなさい」






死神たる所以の殺気プレッシャーをヴェルグに向けて放つ


俺とヴェルグと神以外の全員が息を呑む


シルはシーエンを止めるのに必死だ


ここでKY空気読まないメナトが一言






「あ!そう言う事か。って認められるわけないだろうが!」






軍神のノリツッコミ発動!


メナトもヴェルグの目的がわかったらしいが、やはり反発


男性陣も俺以外がわかった様で、何故か尊敬と畏怖の視線を感じてしまう


更には小声で話始め






「ラフィって、大物?」






「大物とか以前の問題かと」






「流石!と言いたいですが、私の常識の範疇を超えてます」






「陛下に何と報告したら良いのだ・・・」






上から順にウォルド、ノーバス、ブラガス、父だ


ただな・・全部聞こえてんだよ!言いたいこと言いやがって


婚約者達からはジト目攻撃が飛んでくる


ヴェルグは相変わらずニマニマしている






場が混沌としてきたので、大きな咳ばらいを一つ


・・・をしようとしたところで、外が騒がしくなる


何事かと気配を探ると同時に声が聞こえてきた






「御館様、来客です」






門番が慌ただしく伝えに来る


火急の用事以外は来ない様に指示を出していたのに来たって事は、非常事態か門番では判断できない相手と言う事


それすなわち・・・・






「陛下と王妃様が揃って来られました」






「・・・・マジか」






「マジです。お通ししてもよろしいですか?」






「応接室で待ってもらうわけには・・・」






「早急にお会いしたいとの事です」






空を見上げながら、こちらへ案内するように指示を出す


ちなみに言っておくと、王族に待って頂くのは不敬に当たる


が!今はある意味、非常事態でもある


厄介事が増えたなぁ・・・と、感傷に浸っていると






「クロノアス卿!どうして、このような大事なことに呼ばぬ!」






「私達は、もうすぐあなたの義両親になるのに・・・悲しい事です」






陛下と王妃の口撃が先制攻撃で炸裂


でもね、こちらにも言い分はあるし、そもそもの話、何処で情報を仕入れて来たのか聞きたいんですが?


その時、何故か父を見てしまった


父は小さくガッツポーズをしていた


父上ぇぇ・・・やっぱり、父上の仕業ですか・・


この時初めて、父に説教してやりたいと思ってしまった


俺、反抗期に入るぞ・・・






「陛下と王妃様のお手を煩わせることではないかと思いまして」






「!・・グラフィエル!?」






「どうしました、父上?何か間違っていたでしょうか?」






今までの事があるからであろうが、父が驚いていた


しかし、そんな父をよそに、陛下達との押収は続く






「これが細事だと?馬鹿を言う出ないわ」






「ええ。本来なら、王城にて歓待する内容ですよ」






「とは申されましても、今回は色々とややこしいので、まずはこちらで話を聞き、その後、報告書を上げる様に手配していたのですが」






「ならば、余らが会話を聞いても問題ないわけだ」






「問題はありませんが、護衛の方々には屋敷内でお待ちしてもらわねばなりません。流石に、御身に何かあれば大変ですから」






「ぬかせ。この場には最強の護衛達が勢ぞろいしてるではないか。余の安全は約束されたも同然だ」






「では、こちらの要望は聞き入れて頂けると?」






「無論だ。そちらは屋敷内で待機せよ」






「お言葉ですが、陛下!我らの職務は陛下の護衛にあります!」






「ならば、屋敷の敷地外にて護衛任務に従事せよ。敷地内には最強の者達がおるが、敷地外まで手が足りているかわからん」






「はっ!ですが、全員と言う訳には参りません!せめて、盾となる二名はお傍に控えたく!」






「ならん!この話は、国の行く末に関係するやもしれぬ。お主等の忠義は理解しておるが、この場は抑えよ」






「くっ!承知しました。クロノアス卿、陛下をお願いいたします」






「承知しました」






もうこの場に陛下と王妃が来た以上、絶対に引かないので、誓約を使用しない方向に持っていくことにし、見事成功


父が驚いた理由は、言葉使いもさることながら、貴族らしく立ち回り、清濁併せ呑むをやってのけたからだ


清は報告書の方で濁は父に報告を任せた方だ


父からしてみれば、してやられた!的な気分であろう


かくして、陛下と王妃が加わり、話が再開される






「え~と、どこまで話したっけ?」






「僕の最大の目的に気付いて、シーエンがキレかけた辺り」






「ああ・・・そうだったね」






思い出して、目が死んだ魚みたいになる


現実逃避したいが、してる暇もないし、これ以上振り回されるのも時間の無駄なので






「一つ確認です。神側の代表者は誰になりますか?」






この言葉を投げかける


神とヴェルグを除く全員が慌てるが






「全員が代表者だが?」






怒る事もなく、メナトが答える


全員が安堵した表情になるが






「それでは埒があきません。中断してばかりでは、時間が勿体ない。神側も誰が代表者になるか、この場ではっきりさせて下さい。それと、話し合いが済むまでは、戦闘禁止です。これは、原初の使徒としての発言です」






ここで初めて、原初の使徒の力を使う


一見、言葉にしただけだが、神にとってその効力は絶対である


原初の使徒の言葉は、原初自身と変わらないからだ


立場的には原初の使徒と神は同一だが、理不尽な事には抗える


ただし、使徒内でも立場はあるため、上位の者が撤回すればその限りではない


今回のを撤回させれる者は、創生神かゼロだけになるが






神達で話し合った結果、代表者はメナト


ただし、補佐としてシルとレーネスが入る


最終決定権はメナトが握るが、3柱が相談して決定することをこちらに伝え、話し合いが再開される






そして、最初の話へ


ヴェルグの安全を保障するか否かになるわけだが






「私としては反対だな。危険が大きすぎる」






「ですが、我々の知らない事を知る機会でもあります」






「情報は武器って言う位やしなぁ・・神喰いの使徒ではないっちゅう話が本当やったら、シルに賛成するんやがなぁ」






早速意見が纏まらない


これ、今日中に終わらねぇんじゃねぇの?


そこでヴェルグを見ると、いきなり顔を近づけてきて、小声で耳打ちされる






「ラフィは困ってる?僕は、ラフィを揶揄からかいたい時はあるけど、困らせたくはないんだよね。ラフィはどうして欲しい?」






「出来るなら、神喰いの使徒でない証明か説明が望ましいかな?」






「良いよ。ラフィの力になってあげる♪その代わり、僕の話も最大限考慮してね?絶対にこうしろとは言わないけど、真剣に考えて欲しいんだ」






「わかった。それは約束する」






「本当だよ?嘘ついたら・・・殺しちゃうからね?」






「・・・この際だから、はっきり言っておく。俺はヴェルグの事をそこまで嫌いじゃない。恋愛感情は別としてだけどな」






この最後の言葉に、ヴェルグは顔を赤くし、俯いてしまう


そして、ナリアを除くメイド二人が






「御館様って天然?」






「無自覚のジゴロですね。凄く性質が悪いですが、御館様に言われたら、堕ちない女性は皆無ですね」






「私も、御館様に口説かれたい・・・」






「大半のメイドは同じ思いですね。私もですけど」






ヒソヒソと小声で内緒話


ただ、俺には丸聞こえです


そして、二人に落ちるナリアの拳骨






そんな中でのミリア達はと言うと・・・ジト目攻撃真っ最中


リュミナも合流してらっしゃる


父は空を見上げ「どこで教育を間違ったのか」などとかなり老け込み、母達が慰める


陛下と王妃は「英雄、色を好む・・か」とか「あらあら、やっぱり男性ね」などと好き勝手言っている






俺の株価、大暴落中


だが、一部では当たり前だという評価も出て来た


その評価を出したのは、アシスとリュラにリュミナを除く6竜達






「強いオスにメスが群れるのは当然だろう」






「人でも獣でもそれは変わらんだろうに」






本能で理解する2柱には、理性と他人の目と言うものが欠如していた


6竜達は一定の理解を示してはいるようだが


そこへ更なる燃料が投下される






「ルリはご主人様のお嫁さんになるんです」






「ハクもハクも~」






「私だって、なります!」






「タマモ、お兄ちゃんだぁいすき~」






4神獣からの無垢なる好意


しかし、今の状況には悪手そのもの


父は「あ、あんな子供まで!」と驚愕し、母達は卒倒しそうになり、メイドはドン引き


陛下と王妃も「「後で話が」」と、呼び出しを喰らう始末






だが、敢えて言おう・・・シアはええんかい!と


そして、神獣達の好意はloveではなくlikeだと、凄く大声を出して叫びたい!






しかし、それは叶わず、場はまたも混沌に包まれていく










いつになったら、話が進むんですかねぇ?


そして時間は無駄に消費されていく中、俺には不名誉な称号【ジゴロ】がひっそりと追加されたのであった

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