神に気に入られて異世界転生した俺は、救世と終焉の神殺しとなる

あざらし

91話 大規模ダンジョン攻略戦・蹂躙編



ゲートを開き、潜った先は、皇都郊外より少し離れた場所


以前に黒竜達の元へ向かう際、竜化した場所だった


そこに立つのは、俺、リュミナ、ディスト、フェリック大隊の分隊指揮官2名である






何故このような場所にゲートを繋いだか


それは俺がダンジョンの場所を知らないからだ


聞いた話によると、ダンジョンまでは身体強化して走り、1日程で着くらしい


馬車ならば、朝に出れば夕方前には着く場所にあるとの事だ


その程度の距離ならば、竜達の背に乗って空から行けば、1~2時間ほどで着く


前にも竜化して飛び立った場所なので、問題無い事も確認されているしな






一応、裏技でダンジョンまで繋げる事は出来る


正確には、行った事の無い場所へ繋げる事も出来るのだが、それを大勢の前でしてしまうと、ゲートの定義が崩れて大問題になる


ほとんど自重しなくなったが、流石に定義の在り方を変えてしまう行動は自重したのだ


但し、大切な者達を助ける場合には、その限りではないけどな






そして一行は、竜化したリュミナの背に乗り、ダンジョン前に到着した


途中リュミナが「何故、ご主人様以外が私の背に・・・」とか「ディストも竜化すれば良いのに」など、愚痴を言っていたが、


飛行中は常にリュミナの背を撫でて、何とか宥めた






ダンジョン前に着いた俺達は、拠点となる場所を選定し、その後は俺がゲートを繋いで、大隊を呼び込む


その間にも、空間収納から物資を出して積み上げる


兵糧は全部で3週間分を大隊人数分+士気を保つための趣向品が少々(大隊分なのでかなりの量だが)


それと、拠点作り用の天幕やテント


それをゲートを潜った支援部隊が慣れた様子で荷解きしていく


全員がダンジョン前に出る頃には、ある程度の拠点作りが終わっていた






指揮所となる天幕に呼ばれ、今後の行動を確認し合う






「クロノアス卿、ディスト殿、リュミナ殿は攻略班ですね?逃げ遅れた冒険者達はどうするおつもりでしょうか?」






「ダンジョンには安全地帯セーフティーゾーンがあると聞いてますので、そこに纏めるつもりです。もっとも、今の時点でそこにいない者達は絶望的だと思いますが」






「・・・我が軍の小隊を何部隊か連れて行かれますか?探索するならば、人数はいた方が良いかと」






「いえ、今回は少数精鋭で動きます。人数が多くなると、進軍速度も落ちますので。それに、冒険者をしている以上、自己責任ですしね」






「・・・わかりました。ご武運をお祈りしています。・・誰か!クロノアス卿に食料の配布を!」






話し合いは直ぐに終わり、3週間分の食料を3人分渡される


食料を空間収納にしまい、ギルド監視班が待つダンジョン入口へと向かう






ダンジョン入口に着くと、そこには、明滅している魔法陣がいくつもあった


魔法陣の数は11あり、その内の1つだけが淡い光を放っている






「お待ちしておりました。状況を説明させていただきます」






監視員の話によると、明滅している魔法陣は安全地帯セーフティーゾーンの中にある魔法陣と繋がっており、冒険者達はそこから帰還する


明滅が始まってからはその機能が失われ、現在帰還できていない者は取り残されているか、全滅した可能性が高いそうだ


1つだけ淡く輝いている魔法陣は、ダンジョンへの入り口になっているそうで、唯一出入りが可能な場所との事






監視員は冒険者ランクの確認も行っており、ダンジョンに入る前にランクの提示と名前の記入を義務付けていた


それによると、低階層(1~25階層位)で活動していたらしき冒険者達は、9割方が帰還しており、中階層(26~70階層)からの帰還者は3割程


但し、中階層は42階層までしか攻略されてないらしく、現在はどの程度進んだかは不明






以上の事を聞いた俺は、1つの仮説を立ててみた






「(50階層を超えると発動する罠とか?)」






情報が少なすぎるので、現状考えられる仮説だ


実際には潜って見ないとわからないし、間違ってる可能性の方が高いとは思う






「・・・どちらにしても、攻略してしまえば同じか」






ボソッっと独り言を呟き、魔法陣へ入ろうとして、足を止める


召喚陣を発動し、タマモを呼ぶ






「兄様!タマモお呼ばれです!」






「悪いけど、魔物が溢れたら外に出て時間稼ぎしてくれないか?監視員には伝えておくから」






「はい!タマモ頑張ります!」






タマモとやり取りを終え、監視員に伝えておく






「この子が戦闘態勢に入ったら、外にいる軍に伝えに言ってくれ」






そして今度こそ魔法陣に入る












ダンジョン1階層


魔法陣のある部屋には、魔物はいなかった


しかし気配を探ると






「うわぁ・・・扉の外にうじゃうじゃいるなぁ」






鮨詰め状態の魔物の気配


扉を開けたら雪崩れ込んできそうだ


少し考え、結局開けて殲滅するしかないという結論に達する






戦闘態勢に入り扉を開く


さぁて・・いっちょ暴れますか!・・・と、意気込んだのだが、魔物達は部屋に雪崩れ込んでくることは無かった


扉を開けると、扉があった場所に光の壁が出現しており、魔物達を通さない様にしていた






「(これはあれかな?一種の安全装置みたいなものか?)」






とは言え、光の壁も明滅しており、今にも消えそうだったので、部屋の中から一方的に魔物の殲滅を開始


ものの5分で、百体以上いた魔物達はその全てが息絶えた


後に残るは魔石のみ






どうやらこのダンジョン内の魔物は、倒されると肉体は霧散し、魔石だけが残る様だ


以前攻略したダンジョンは、霧散型と肉塊型に分かれていたが、ダンジョンによって違うようであった






考察を終わらせ、魔物が外に出ない様に、扉を閉める


その音を聞きつけてか、また魔物が現れる


その数、数百体


但し、そのほとんどがゴブリンかコボルト


中にはカエル型とかもいるが、その全てが低級魔物だ


弱い魔物ばかりだが、数は時に脅威となる






このダンジョンは冒険者ランクEから入れる


新人を抜けたが、まだまだ危なっかしい冒険者が多いランクだ


弱い魔物とはいえ、数が多ければEランクには脅威となる


今目の前にいる数は、明らかに全滅するだろう


俺には無意味だけど






右手に片手直剣、左手に銃を構え、レッツ蹂躙!


ディストやリュミナも参戦し、10分とかからずに殲滅


少し進むと、また同じ状況


繰り返す事13戦闘、ようやく魔物が出なくなった






1階層だけで雑魚とはいえ、千を超える魔物


明らかに異常であった


小1時間の戦闘を終え、2階層に続く階段を下りる


そこで感じる違和感


ディストとリュミナも感じたらしく






「主、どうやら空間転移しているようです」






「空間拡張も行われているみたいです。もしかすると、上に戻れない可能性も」






「どっちにしても、攻略するまで戻れないんだ。いざとなれば、裏技使って一度離脱するから。多分、そうはならないと思うけど」






ディストとリュミナの心配をよそに気楽な俺


ある種の感なのだが、こういったのは意外と大事だ


嫌な予感がすると言って、仕事を休んだ冒険者が生き残ることもあれば、馬車に惹かれて死ぬといったこともある


B以上の冒険者は、そこが非常に優れている場合が多い


高ランクに上がるためには必須ともいえる程、重要なのだ






二人(人化中なので)は「「はぁ・・」」と溜息をつくと共に、どこか安心している部分もあった


そんな二人の共通認識は






「「(主(ご主人様)が命を落とすわけがないか)」」






であった










2階層以降は1階層と同じことの繰り返しであった


10階層までは出現する魔物は、ほぼ変わらない


5階層からオークが追加された位であった


ただ、数が数である






階層を降りる度、魔物の総出現数が確実に増えていた


1回の戦闘に然程の時間はかからないが、繰り返せば時間を消費していく


10階層を突破しかける頃には、既に10時間が過ぎようとしていた






「あー!うっぜぇ!!」






「同意しますが、殲滅しない事には」






「上に被害が行きかねませんし」






「・・・わかってる。ちょっとした愚痴だよ」






10階層にある安全地帯セーフティーゾーンで俺はちょっと愚痴っていた


だけどな、まさか10階層攻略するのに10時間かかるとは思っていなかったんだ


あまりにも数が異常すぎるだろ!


倒した魔物は既に万を超えているし・・・


そして現在、小休憩中な俺は、携帯食を食べながら今後の方針を決めかねていた






殲滅しないと上に被害が行きかねないことは理解している


ただ、いたずらに時間を消費するのもどうかと思う


マッピングされた地図も特別に渡されているので、道に迷う事は無い


魔物の発生場所も記載されている


当然、集まりそうな場所もだ


それだけの下地があっても10時間なのだ


そこでふと気付く






「あれ?時間が経って再発生するなら、殲滅する意味無くね?」






この言葉に「「あっ!」」ってなるディストとリュミナ


・・・・流れる沈黙


3人とも顔を見合わせ






「い、今気付いたから、良しとしよう!」






「そ、そうですな!それに、危険だったことに変わりはないのですし」






「ま、間引いたと考えたら、良いと思います」






三者三様に言い訳を発する


そして、また沈黙・・・


俺は立ち上がって






「良し!休憩終わり!今から階層魔物、倒しに行くぞ」






そう言って安全地帯セーフティーゾーンから出るために扉を開け、固まる


そこには、間引いたはずの魔物達が既に復活していた


しかも大量に・・・・・


それを見たディストとリュミナも珍しく言葉を失う


結果、攻略方針は殲滅から最短での攻略に変更されることに








復活した魔物を倒し、階層魔物の部屋に入る


所謂中ボスってやつだ


階層魔物は、コボルトキングとその配下10体にゴブリンロードとその配下10体


・・・・うん、初心者にはきつくね?






聞いてた話とも違う


本来は、ゴブリンロードとその配下5体なはず


俺にとっては問題ない・・・問題ないのだけど!






「この先の階層魔物の情報は当てにならないなぁ」






なんて呟きながら、サクッと瞬殺


手間だけで言うなら、物量戦の方が手間だったな・・・なんて思ってしまうほどであった






11階層以降も物量戦は続く


しかし、魔物の復活が早いことを知ったので最短距離で突き進む


20階層、25階層の階層魔物もサクッと瞬殺


尚、出て来た魔物は、20階層はオークキングとその配下30、25階層は10階層と20階層の階層魔物を足して2倍にした数


完全に質より量であった






そして、取り残されているはずの冒険者についてだが、気配察知や気配探知を使っても、25階層まで全くいなかった


安全地帯セーフティーゾーンは10階、23階と情報通りの階層にあったのだが、そこに冒険者はいなかったことも告げておく






そして26階層


これまでと違い、森林エリアとなっていた


出てくる魔物は植物系と昆虫系


当然だが相手にはならない・・・が、物量に関しては今までの比ではなかった






26階層に辿り着くまでに、万を超す魔物を屠っている


その上で更に増えるとか、流石に勘弁して欲しい


顔を引き攣らせながら「マジかよ・・・」と呟く


ディストとリュミナも予想外らしく、同じ表情をしていた


愚痴りたくなる気持ちを抑え、一気に森林エリアを踏破


その間に倒した魔物の数は、数えるのも馬鹿らしいほどだった






30階層の階層魔物はビートルキングとビートルクイーンにその配下が500


物量戦がこのダンジョンの本領発揮とばかりに増えていく


しかし、万を超す物量を突破してきた俺達に敵うはずもなく、階層魔物は倒される






31階層から35階層も森林エリアが続く


魔物の数も種類も増える中、ひたすらに突き進む


最短攻略に切り替えたが、1階層とは比べ物にならない物量


たった10階層を攻略するのに、またも10時間


既に時間は、全階層を合わせて30時間に到達していた


これでも相当早いんだけどね






35階層には3つ目の安全地帯セーフティーゾーンがある


その場所に、気配を察知した






「もしかして・・生き残りの冒険者か?」






身体は疲弊しきっているが、魔法を駆使して動かす


意識も魔法を使って無理矢理覚醒させ続けている


そんな中、見える安全地帯セーフティーゾーンだが






「ちっ・・扉が開いていやがる」






生き残りは期待できないか・・と、群がっていた魔物を蹴散らし、中に入ると・・・






「タンクは前に出て、侵攻を防げ!盾の間から攻撃するんだ!魔法は回復と支援を優先させろ!助けが来るまで持ちこたえるんだ!!」






30名ほどの冒険者が、一人の男の指示の下、交戦していた


部屋の中は既に魔物で埋め尽くされていたが






「ディスト!扉を閉めろ!!リュミナ!飛行タイプは任せる!!」






「はっ!」






「お任せください!」






俺の号令の下、動き出す二人


ディストが扉を閉める音を聞きながら、地上タイプの魔物を屠る


リュミナも部分竜化し、翼を広げて、空中の蜂型魔物を屠る


数分後、部屋の中にいた魔物は駆逐された






「すまない、助かった。もしかして、救援なのか?」






リーダーらしき男が話しかけてくる


それに対する返答は






「いや・・俺達は攻略班だ。救出は現在見送られている。他の者達は?」






「そう・・か。・・他の者達は、わからん。この階層にいた冒険者達の一部はここに逃げ込んだんだが、残りの者達は、恐らく・・・」






言いずらそうにするリーダーらしき男


周りを見渡せば、無傷な冒険者はおらず、中には重傷者もいた






「リュミナ。重傷者達に回復魔法を。残りの者は詳しい話を聞きたい」






見るに、大半の者が魔力の枯渇寸前


魔法職特化の者は、5割が魔力切れで動けないでいた






リュミナが回復魔法で治療中に話を聞く


ディストは念の為に、扉の前で待機中だ


そして聞いた話だが






「突然、この階層の魔物が増え始めた。応戦する者、逃げる者、見捨てる者、と様々だったが、生き延びた者達は恐らく、俺達だけだと思う」






「死体が無いのは分かるが、武器や骨すらもなかったぞ?」






そこで、別の冒険者が話を変わる






「俺は別のダンジョンに潜ったことがあるが、ここは他と違うみたいだ。ここで取れるのは、魔道具に使える良質な魔石のみ。他のダンジョンは、普通に素材が取れた。骨が無いのはここが森林エリアだからだと思う。武器に関しても同じだろう」






その話を聞き、思案する


急に黙った事で妙な不安を感じたのか、冒険者達がざわつき始める


そこにリュミナが治療を終えて現れ






「命に関わる者は、今はいません。ですが、精神的に不安定な者が数名・・このまま置いておくのは危険かと」






冒険者の容態を知らせてくれた


この言葉に安堵した冒険者達


ただ、精神が不安定と聞き、何かを考える者もいた


せっかく治療したのに、何かされてはリュミナの魔法が無駄になる


そう考えた俺はディストを呼び






「精神が不安定な者に、意識喪失の魔法とそれの補強魔法。それと、念の為に睡眠魔法もかけておいてくれ」






「わかりました。補強魔法はリュミナの方が得意ですので、お借りしても?」






「わかった。上手くやってくれ」






「承知しました」






指示を出し、横になっている冒険者達の元に向かって行く


次に、話をしていた冒険者達だが・・


そこで、⦅何故、扉が開いていたのか?⦆を聞いていなかった事を思い出し、問いかけると






「様子を見るために扉を開けたら、一気に雪崩れ込んで来たんだ。だが、外の現状を確認しないわけにもいかないだろう?」






それなりに年季のある冒険者が言い出した


リーダーらしき冒険者に視線を送ると、両手を軽く上げ、首を横に振る


どうやら彼も止めたみたいだが、聞き入れなかったのだろうと推測






「失礼ですけど、ランクと年数を教えてもらえますか?」






「俺はAランクだ。15歳から冒険者を始めて、20年になる」






「俺はCだ。20歳から初めて、25年だ。経験値が多いのだから、俺の判断は間違っていない!」






俺が聞くとリーダーらしき男と扉を開けた男が同時に話す


他にも聞くと、若い5人グループの冒険者は全員がC、30代位の5人グループ2つはBとC、リーダーらしき男のグループはA


年季が入った冒険者のグループは本人がCで残りの者は若い者が多くD、寝かしつけている者達は8人いるが、詳細は不明






話を聞いた俺が「はぁぁ・・・」と溜息を洩らすと、年季の入った冒険者が噛みついてくる






「なんだ?俺の判断が間違っていたってのか?」






「普段なら、間違ってませんよ。でも今は異常事態で、魔物の数が明らかに異常に増えてる中で、普通開けますかね?・・転移陣で脱出が出来る状況なら、百歩譲ったとしても、安全確認が取れない状況下では悪手でしょう。結果、魔物に雪崩れ込まれ、全滅しかかってたじゃありませんか」






正論で返すと逆切れする年季冒険者


やれ「若くてランクの低いド素人が!」とか「ランクよりも年功序列だろうが!」などと、若干支離滅裂状態


冒険者に年功序列は関係ないし、俺は攻略班だと告げている


つまりは、高ランク冒険者と公言しているのと同義である


俺はイラッってするよりも呆れていたのだが、未だに喚いている年季冒険者にディストとリュミナがキレかける






『怒る気持ちはわかるけど、何もしない様に』






念話で伝え、ディストとリュミナを抑える


逆に皆を纏めていた冒険者は冷や汗をだらだら流していた


自分の後ろに、とてつもない気配を放つ存在、ディストとリュミナがいた為だ






彼は今の一瞬で気付いたのだろう








あんな化け物に命令できる冒険者が、低ランクな筈がない・・と








そこで彼は、さっきの言葉を思い返し






「もしかして・・・【蹂躙者】殿・・なのか?」






その言葉にざわつく冒険者達


恥ずかしい二つ名だと思うが、納得させるのにはもってこいなので・・・






「そうですよ。フェリックギルドと皇国から指名依頼を受けています。本来は駄目ですが、両依頼者から許可は得ているので話しますが、自分が依頼されたのは〖原因の究明又はその解決〗と余力があるなら〖取り残されている冒険者達の安否確認〗です。それ以外は受けていません。また、冒険者達を発見した場合は、こちらの判断に任せるとの事です」






そう言って、依頼書を見せる


何かあった時の為にと、ギルド側が用意してくれたのだ


後、一つだけ嘘が混じっている


皇国からは〖冒険者達の安否確認〗の依頼は受けていない


こちらは、ギルドのみが提示した依頼


つまり、皇国は彼らを切り捨てたわけだ


そして・・その判断は俺の裁量一つ


彼らが生き残るためには、こちらの指示に従わねばならない






この中で最も高いランクを持つ彼は、依頼書をじっと見つめ






「・・・わかりました。そちらの指示に従います。こちらは何をすれば良いですか?」






こちらの指示に従うと宣言した


ここで面倒なのが年季冒険者


俺の指示に従うのが不満らしく、扉の方に歩きドアを開けようとして、ディストに腕を掴まれた後、思いっきり吹き飛ばされる






「てめぇ!何しやがる!!ぶっ殺してやらぁ!!」






どこぞのチンピラみたいな台詞を吐き、剣を抜く


しかし・・その剣が振るわれることは無かった


抜いた直後に、俺が剣を破壊し、首筋に刃を当てる






「この程度の剣筋も見えないのに、粋がるな。これ以上騒ぐなら、死亡扱いにしても構わないんだぞ?」






濃密な殺気付きで脅す


これ以上、時間を無駄にはしたくないからな


年季冒険者も死ぬのは御免なので、チンピラみたいな謝り方をしてくる






「す、すまねぇ・・・ちょっと、気が立っていたんだ。あ、あんたの指示に従う」






ジッと睨み、剣を収める


その直後、剣を奪おうと襲い掛かってきたが






「鬱陶しい!!」






ヤクザキックを腹に決め、地面から足が離れた所に、顔面へグーパン


年季冒険者は壁に激突し、意識を失う


年季冒険者が吹き飛ばなかったのは衝撃を余すことなく体に伝えたからだ


年季冒険者を放置して残りの冒険者に向き直り






「失礼。このままだと、生き残ったあなた方にも被害が出かねなかったので」






軽く詫びを入れるが






「いや、正直助かった。彼の拘束はこちらでやろう。どうも、彼は何かやらかしているっぽいからね」






そう言って、年季冒険者のパーティーを見る


俺もメンバーを見ると、何処か安堵した顔をしていた


ふむ・・・大方、ランクと年季を主張して、寄生虫してたんだろうな


ちらりとリーダー冒険者を見ると、彼も頷いたので間違ってはいなさそうだ






その後は、彼らと話を進め、安全地帯セーフティーゾーンからは出ずに、転移陣に変化があった場合は、確認後に行動を起こす、と言う事で決まった






30代パーティーは「自分達も行く!」と言ってきたが「お荷物はいりません」と返しておいた


冒険者業界では、【足手まとい】はまだどうにかなるという意味になるが【お荷物】は実力不足、命の保証は無い、何かあっても救援はしないという意味になる






かなり無礼な言葉なのだが、今回ははっきりと告げておいた


リーダー冒険者も同意し、彼らを説得脅迫






「何かあっても、扉は開けんぞ」






この一言で、彼らは黙る


この後は、生存者に食料を配布し、6時間ほど休息をとった












余談だが、年季冒険者はやはり寄生虫だったらしく、犯罪にも若干だが手を染めており、降格となったと後で聞く事となる


俺にとっては、どうでも良い話だな

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