神に気に入られて異世界転生した俺は、救世と終焉の神殺しとなる

あざらし

88話 フェリックギルドからの情報提供



 指名依頼を終わらせ、帰ってきたら王宮へと連行され、何故か婚約者が増え、ミリア達の冷たい視線が突き刺さりながら、会談は継続されていた






そして俺は・・現在もミリア達からの視線で胃が痛い状態


それを見た皇王とリアフェル王妃は






「後は・・大人達の話だな。ルテリーゼ、皆を案内して差し上げなさい。・・そうだな、庭園に行くと良いだろう」






「そうですね・・皆で語り合った方が良いでしょう」






「はい。皆さんをご案内いたします」






二人の提案により、一度視線が外れ、安堵する俺


しかしそれは一瞬の事で、再びミリア達の視線が突き刺さる


オレ、ナニモシテマセンヨネ?






廊下を歩く道中でも同じ状況だったので、別の事を考える事に


・・・・・あれ?そう言えば・・・


竜達の属性って7つだよな?それに銀龍は無属性


何で七天竜なんだ?銀龍を合わせたら八天竜になるんじゃ・・・






確か、時空間魔法も昔は無属性で統一されてたよな


今は独立した系統になっているけど


それに無属性は他の七属性に該当しない魔法体系になる


なら、時空間属性と無属性で後二種族いるはず


何故八種族で七属性なんだ?






「・・・ラフィ様?」






いつの間にか足を止め、思考の海に浸っていた俺にミリアが声を掛ける


しかし俺は、返事をすることなく没頭し、そして・・・


とある仮説を立てようとした時、突如頭痛に襲われる






「ぐっ!な、なんだ、この頭痛は!?」






「「「ラフィ(様)!?」」」」






「グラフィエル様!?」






「主っ!大丈夫でございますか!?」






頭痛の痛みに耐えきれず、片膝をついた俺に皆が駆け寄る


このようなことなど一度も無かったので全員が焦っていた


そんな中、全智神核が勝手に起動する






『マスター!今考えてることを中断してください!それで頭痛は治まります!』






全智神核の慌てた声に、立てた仮説を忘れる


そうすると、不思議なことに頭痛は嘘のように無くなった


今のは一体何なんだ?






「大丈夫ですか?」






「まだつらいなら、どこかで休む?」






「それなら部屋に運ばないと」






「お部屋が必要でしたら、直ぐにご用意します」






「主、我の肩に」






皆が心配して声を掛けてくる


とりあえず、頭痛は治まったので






「ごめん。心配をかけた。もう、大丈夫だから」






普通に立って歩いて見せる


それでも念の為、と部屋が用意され、小休憩を取ることになった


仮説を立てて、あの頭痛・・と考えた瞬間、全智神核からの警告






『マスター。今暫くの間は、そのことについて触れないでください。今のマスターには、その事に触れる権限がありません。時が来れば、わかりますので』






全智神核からの優しくも絶対的な禁止事項の通告


今までこんなことはなかった


と言う事はやはり、世界の根幹に関わる一部と見て間違いないだろう


しかし、時が来ればと言う事は・・・やはり、あのスキルが関係していると思った方が良いな






そう〝禁書目録〟と言うスキルと・・・






そこまで考えたところで、一度思考を白紙に戻す


本能的にこれ以上は危険だと判断したからだ


ミリア達も未だに心配そうに伺ってくるので






「もう大丈夫だから。ちょっと考え事してたら、没頭して頭痛を起こしただけだから」






もう大丈夫だと体を動かしてアピール


全員が少し納得はしてないが






「本当に大丈夫なんですね?嘘だったら怒りますよ?」






ミリアに釘を刺される


本当に大丈夫なので






「もう何ともないって。心配かけて悪かったよ」






そう言って、普通に接する


そうすると、ようやく安堵したのか






「ラフィ様は、直ぐに無理をしますから」






「無茶もしますよね」






「しなかったのを見なかったことは無いと思います」






苦言と共に一応は納得してもらえた


但し、無理無茶はしないと言う俺の言葉の信用度は0だったが


それを見ていたルテリーゼ王女は






「皆さん仲がよろしいのですね。国の王族や頂点にも等しい方が嫁ぐので、牽制し合っているものだと・・・」






触れてほしくない爆弾をぶち込むが






「そういうのは疲れてしまうので。国の思惑は確かにありますが、私達は単純にラフィ様が好きなのです」






「ランシェス王女としての発言としては駄目ですけど、正直に言えば、奥の序列とかどうでも良いのです」






「ラナも同じです。憧れた方と婚約出来て、結婚できるのですから」






各々に自身の考えをルテリーゼに告げる


それを聞いたルテリーゼは






「・・・そう言うのは素敵ですね。私は父から国の事を考えてと言われて婚約しましたが、少し恥ずかしいですね」






自身の気持ちを吐露した


では、俺の事は好きじゃないのかな?と聞こうとしたところで






「でも、皆さんの関係には憧れますね。外見だけならグラフィエル様は整った顔立ちをしてらっしゃいますので好みですが、皆さんが何処に惹かれたのか気になってしまいました」






「では、このお部屋でお喋りしましょう。きっと、ラフィ様の事が好きになります」






「では私からは、ラフィと初めて出会った話を」






「ラナも出会いです。もう一目惚れでした!」






そして始まるガールズトーク


そこに俺が入る余地は無い


と言うか居づらい・・なので・・・






「俺はお邪魔になりそうだし、少し気になる事があるから先に帰るね」






と言ったのが失敗だった






「駄目ですよ、ラフィ様。きちんと居て頂かないと」






「そうです。これは親睦会なのですから」






「ラナも沢山お話ししたいです!」






「私もグラフィエル様の事を沢山知りたいので、参加して頂けると・・」






3人の強制と1人のお願いに逃げ道を塞がれる


そして・・・リアフェル王妃の会談が終わるまで、女子会(俺含む)は続くのであった


話の内容は・・・・・






「もうやめてぇぇぇぇ!!」






って言う位、俺が恥ずかしい思いをしました








翌日


言葉での羞恥プレイと辛辣なお言葉を頂き、心にダメージを負った俺は・・・ベッドの中でやる気0状態になっていた


だが、時間は有限で世界は回る


俺の状態など知ったこっちゃねぇ!と言わんばかりに、来客が訪れる






コンコン


「失礼します。ギルドから使いの者が来ております」






生まれた時から仕えてきたナリアが報告に来る


生まれた時から俺のメイドで教育係で護衛(成人したら護衛は無くなるが)


当然、幼少期にも似たようなことはある


なのであしらいかたも知っているわけで・・・






「いつまでそうしておられるのですか?皆様はもう活動され始めていますが?」






時刻は現在11時過ぎ


一度もサボったことのない鍛錬さえしなかった俺に、ナリアが呆れる


とは言え、肉体的ダメージより精神的ダメージの方が効くわけで・・・


言い訳しようとして、ナリアに布団を剥がされる


・・・ぬぅ、今回は強硬手段か


仕方ない・・起きるとしよう






のそのそと動き、支度を始め・・・ナリアさんや・・着替えるので外に出ていてもらえんかね?


視線でそう訴えるも






「また同じ状況になられても困りますので。きちんと動かれるまで、ここで待機させていただきます」






そして・・・見られながら着替えをするという羞恥プレイを強制され、更に心へダメージを負う俺であった






着替えを終え、応接室で使いの者と対談する


朝食がまだなのと、もうすぐ昼と言う事もあり、使いの者に食事を薦め、食べながら用件を聞く


用件は、依頼料の支払い準備が出来たので、ギルドまで来て欲しいというものだった






そして現在、俺はギルマスの執務室でお話し中


依頼料は既に支払われたので、ただの雑談である






「しかし・・報告書を読んでも実感がなかったが、こうして依頼を達成されると現実味があるな」






「皆似たようなことを言いますよ。初めてのギルドに行くと絡まれるのもテンプレですね」






「テン・・言葉の意味はわからんが、何となく内容は伝わったよ。毎回同じと言う事で良いんだよな?」






「ええ。ホント・・何で絡んでくるのか・・・実力差がわからないと命取りでしょうに」






「それはあれだな。若いのが活躍すると嫉妬と妬みがな・・・まぁ、若い高ランク冒険者の宿命だな」






愚痴を溢しながらの話であったが、それなりに楽しんで話をする


ギルマスも同じような経験があるらしく、共感を得られたのは大きな収穫だったと思う


話が一段落すると、ギルマスから別の話を振られる






「そう言えば、ダグレストには冒険者ギルドが極端に少ない話を聞いたことはあるか?」






「いえ・・・ダグレストはそんなに少ないんですか?」






「ああ。一番多いのは、国土の関係もあるから帝国になるが。次に本部のある傭兵国が多いな。一番少ないのは・・・」






「神樹国ですよね?あそこでは見たことが無いですし」






「あそこはなぁ・・・色々特殊だから。・・・神樹国を除いて一番少ないのがダグレストなんだ」






「それは知りませんでした。でも、何故この話を?」






いきなりの話に首を傾げて問う


そして回答を待っていると






「失礼します。ギルマスから指示された物のご報告に来たのですが・・・」






そう言って、ちらりと俺を見る職員


聞いたらまずいのかな?と思い、席を外そうとすると






「このまま話してくれ。彼はSSSだ。国絡みはあるが、誰彼構わず言いふらしはしないだろう」






同席を求められた


同席させるという事は、何かあるから注意しろ、と言う事だろう


浮かせた腰を再びソファに沈め、話を聞く






「では報告します。ダグレストですが、やはり冒険者の流出が始まっています。恐らくですが、フェリック、ランシェス、ガズディア、イジェネストの4国に流れるものだと思われます」






「流出人数の予想は?」






「それが・・・予測不能で。ですが、半数以上が流出すると思われます」






「それで向こうは回るのかね?」






「軍で対応するみたいですが・・・」






何か歯切れが悪いな


でも、ギルドの内情とか知らないし、口に出すのもなぁ


ギルマスも要領を得ない話に渋い顔をする


職員はハンカチで汗を拭いながら






「不確定情報が多いのですが、それでもよろしいですか?」






ギルマスに言質を取ってくる


それだけ情報が流れないのは確かにおかしいな


冒険者ギルドは独自の情報網を持っているのに


けど、不確定でも良いから情報が無いとなにもわからないしな


ギルマスも同じ意見らしく、職員に続きを促す






「まずですね、ダグレストから流れてきたB以上の冒険者に話を聞いたんですが、年々魔物の討伐依頼が減っているらしいんです。それも、稼ぎに直結するほどに」






「確かにそれは異常だな」






「次に、D、Cランクの冒険者を兵として雇用し始めたとの事です。D、C以外は一切雇用しないそうで、冒険者の間ではダグレストに不信感を持つ冒険者が出始めたみたいですね」






「だから高ランクや新人が流れてきているのか」






「そして・・これは不確定情報ですが、ダグレスト内の冒険者ギルドは、ギルド独自の情報を国に全て流している恐れがあります。最悪の想定だと、裏切りか乗っ取られてる可能性も」






「高ランクは顔とランクに活動国が記載されていたな?・・・情報を遮断するか判断に困るな」






ギルマスが判断を下すのに困っているのには訳がある


それは、冒険者ギルドには独自のルールがあるためだ


簡単に言えば一国二制度に近い






国の法では当てはまらなくても、冒険者としてのルールに該当すればギルドから罰せられる


但し大半は罰金と降格で、酷ければ資格剥奪の上、ブラックリスト入り


一番重い場合は、記載されてはいないが闇から闇へ、なんてこともある


今回の場合は、闇から闇への可能性もあるわけだ






「引き続き、流入者からの聞き取りと情報の精査を」






「わかりました」






職員は忙しいのか、サッと部屋から出ていく


部屋の中は静かになり、お互い思案する


そして、先にギルマスが今の話について






「さて、どう思う?」






俺に考えを聞いてくる


現状、情報が少ないのと不確定要素が多いが






「異変は起きているでしょうね。・・・気がかりなのは魔物の討伐依頼の減少と一部の国で起こったスタンピードですかね」






「どう考えている?」






「ランシェスも帝国も人為的に起こされたものだと思っています。ただ、それがダグレストがした・・という証拠は無いですね」






「あくまでも状況的に見てか。意外に抜け目ないな」






「俺は俺でいくつか情報を持っていますので。ただ・・・」






「ただ・・・なんだ?」






「スタンピードへの警戒度を上げておいた方が良いかもしれません。二度あることは三度あるとも言いますので」






「フェリックには魔物の領域は少ないぞ?」






「十数年前に出来たダンジョンは、フェリック内に結構あると聞きましたが?」






「ダンジョンから魔物が出たという話は聞いてないが?」






「その通りです。ですが、警戒せずに起こるのと警戒して起こるのでは、対処の早さも違うと思われますが?」






その言葉を最後にギルマスは黙り込み、いくらか思案してからサブマスを部屋に呼ぶ






「・・・・・と言うわけだ。念の為、ダンジョンへの警戒度も強めておいてくれ。それと・・・」






「皇城の方にも報告しておくのですね?」






「ああ。いざと言うとき、連携が取れないと危険だからな」






「早速、使者を向かわせます」






サブマスも少し急ぎ足で部屋を後にする


話も終わり、お茶を一口飲んで去ろうとするが






「そう言えば君は、ダンジョンに潜ったことはあるのかい?」






と聞かれる


一応あるが、色々とあるし、何て答えようか・・・






「そうですね・・一応はありますが、深さはそれほど無く、攻略もしてはいますが、詳細は勘弁願いたいですね」






「そうか・・出来るなら、こっちのダンジョンにも潜ってもらいたいものだな」






「時間があれば・・・」






最後にそう答え、部屋を後にした


一階に降り、ギルドを後にしようとしたところで






「他国のギルドと冒険者は初めてだけど、やっぱり俺達よりは弱いな」






「そりゃそうだろ。なんたって俺らはチート持ちなんだから」






「前にボコボコにされたくせに・・・(ボソッ)」






「あれはノーカンって言ってたぜ(ボソッ)」






「それよりも、口説きに来るのが鬱陶しいわ。どうせなら前に会ったあの貴族の人とかなら考えちゃうけど・・・(ボソッ)」






聞いたことのある声


ただ、あまり関わり合いになりたくないんだよなぁ


・・・よし、聞かなかった事にしよう!


スルーしてギルドから出ようと動く


しかし、今日に限ってギルド内には早上がりした冒険者が多く、一階受付前は冒険者で溢れていた


当然、体がぶつかったりするわけで・・・






「あ・・」






「ああ!!」






こうして俺は、勇者(偽)(笑)一行と再会したのであった

        

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