神に気に入られて異世界転生した俺は、救世と終焉の神殺しとなる

あざらし

55話 演説・帰国・顔合わせ

なろう3万5千・カクヨム2万PV達成


翌日になっても神樹国はまだお祭り状態である

しかし、のんびりしてるわけにもいかず会談が再開される

とは言っても、やる事はほぼなく、昨日の夜で一番の課題は終わっている

残りの議題は貿易と交流だ

貿易の話は各国が満足のいく形で終わったのだが問題は交流である

竜王国は交流へ乗り気だが、国が安定するまでは控えたいとしたが前向きな返答

ランシェス王国も法整備がある為、直ぐに交流は無理だが、来年中には良い結果を伝える様にすると答えた



そして・・・やはりと言うか、問題があるのは神聖国だった

長年不仲だった国同士なので国民感情の誘導が必須なのである



「自分が教皇の間に色々整備する」



としかヴァルケノズさんは答えられなかった



代表も現実的にそれしか無いだろうと頷くが、表情は少し曇っている

まぁ、人の考えも想いも十人十色だしどうしようもない

しかし、ミリアがとある提案をする

俺にとっては非常に好ましくない提案だった

だが、婚約者の頼みなら聞こうじゃないか!

ミリアもだが、婚約者達は普段から我儘を言わない

だから、お願いするのは非常に珍しいのだ

ならば婚約者以前に男として動かないわけにはいかない

何でもやったろうじゃねぇか!!




ミリアは俺へ確認の視線を送りつつ説明していく



現在、特別地位を持つ4国の内3国が俺をその座へと置いた

神聖騎士・神竜騎士・精霊王へと

俺は基本的にどの国へも口出しする気は無い

だが、この地位は非常に役に立つ



そこまで説明したミリアは次に提案内容を話す

その提案とは、俺の言葉で情報を開示できるとこまでしてしまおうと言うものだ

思い切りが良すぎるけど悪い手ではない

しかし、問題が一つ

情報をどこまで開示するのか?



信仰自体が長い年月によって一部失われ、本来の信仰へと戻す情報のみとし、3つの地位を使い説き伏せる様な情報開示にするとの事

教会本部は神聖騎士の言葉でどうにか収まるが国民感情はわからない

だが、暴発は少なからず減るだろうと考えているそうだ

その後は5年位を目処にして相互不可侵条約から友好国へとし、交流も少しずつ行えるように法整備を行う



今打てる最善の手ではあるが、何か忘れて・・・・・あ、4ヶ国同盟

それに気づいて議題に上げるが問題は無いみたいだ

どうせ信仰や交流の事もあるので、神聖国とも友誼を結び、5年を目処になるべく早く変革させるらしい

神樹国は精霊王たる俺の言葉に反対は無く、信仰も考え方を少し変える位なので、他国で気を付ける事(特に法関係)を学んでいくそうだ



神聖国は恐らく国民の反発が起こると予測

そこで、教皇を筆頭にお偉いさん達が神聖国民に我が国だけ取り残されるのか是非を問い、利益を示していく

神聖騎士の名も貸して欲しいとの事で了承する

御子であるミリアは同盟拒否が総意だった場合は神聖国からランシェスに亡命

ミリアが国に拘らないなら、ヴァルケノズさんには悪いけど神聖騎士を返上して竜の守りも引き上げるし、神聖国は神聖騎士に見限られた国となるので各国への体裁も悪くなる



それを聞いたヴァルケノズさんはそうなった場合は責任を取って教皇を退位

ランシェスに亡命するとの事だ

ミリアの家族もランシェスに移ってもらうので神聖国に固執する必要は無くなる

それを良く思わない枢機卿達は、きっと尽力してくれるだろう

何か悪企みしている様だが、これは神聖国にとって必要な事なので仕方ないのだ!

もう一度言う!必要な事なので仕方ないのだ!



今の話を聞いた代表は思わず苦笑いだ

だが、変革には痛みと覚悟がいる

今回の痛みと覚悟は、今までの信仰の在り方を一部変えて受け入れ、仮想敵国であった隣国同士が手を取り合い、前に進むことだ



「どちらも生半可な事ではないが、より良い未来にしたいという願いがあるならば、必ず成功するだろうと確信している」



最後に俺の言葉をもって会談は終わり、収穫祭も近づいているので、急ぎではあるが神樹国を後にすることにした

神樹国民からは引き止められたが、帰る国と家がある事を伝え「精霊は常に共にある」と適当に言って神樹国を後に・・・出来なかった



次なる問題は竜達が持ってきた

否、光竜が持ってきた

光竜は絶対に着いて行くと言って聞かなかった

しかし、俺の元にいる為には一族で跡継ぎを決めないとダメなので、群れに帰らなければならない

ならば一緒に着いてきてくれ!と駄々をこねる始末である



地竜も着いてくるそうだが、既に全てを任せてきたので問題無いとの事

風牙以外の3竜も送り届けた後は一度戻り、後を任せる為に何か色々とするらしい

風牙は神聖国にいる4竜の誰かへ正式に継がせ、後を完全に任せると言う

皆やる事はやっているので光竜にも説得を試みる

妥協案としてランシェスまでは光竜の背に乗り、その後は後顧の憂いを無くしてくる様にと伝え、何とか説得する事に成功した

初めて会った光竜の面影は、今や何処にも無かった・・・



紆余曲折あったが、昼過ぎにはどうにか出立する事に成功する

俺も魔力が戻っているので、遠慮なくゲートを使って神聖国への短距離飛行を行う

光竜は文句たらたらだったが



「それなら、さっさと帰って、さっさと後任せて、さっさと戻って来れば、長くいれるんじゃね?」



との言葉にめっちゃやる気を出した

他の竜達を若干置き去りにしたのはご愛嬌だ

そんな感じで当日の内に神聖国神都へと到着

やっぱゲートって色々便利だわ



翌日の昼には演説を行い、真実を語り総意を取る

総意次第では俺達もどうするのか伝えており、若干だが脅迫まがいな事をしていた

しかし、懸念していた内容は杞憂であった

国民が出した総意は共存共栄

これからどうするのか?が答えであった



予想外だったのが、国民よりも教会関係者達の一部が強く反発した事だ

反発したのは神父と司祭に司教などだが、少数であった

反発者に対する回答は降格か異端者と認定されたが、然程混乱は無い

ただ、反発した者のほとんどが、それなりの年齢に達した者達であった

今更凝り固まった考えは変えられないと言ったところか



反発した者達の一部が、俺達の出立前に協会幹部の暗殺を目論むも失敗に終わる

俺が全て返り討ちにしたうえ、闇魔法で催眠かけて黒幕を喋らせました

勿論全員お縄になり、異端者認定されて処刑

先の異端者認定された者は、暗殺を目論んで処刑された者である



残りの反発者は全員が降格だけで、異端認定を見た彼らは



「直ぐには無理だが努力する」



と約束してくれたので、神聖騎士権限で



「きちんと納得してこれからも変わらぬ信仰心を捧げるなら役職を元に戻す」



と約束した

但し、悪事を働いた場合はその限りでは無いとも言っておいた



そして、降格だけに済ませたのは教会側からの恩情であったりもする

温情に隠された意味は、争いを望んでいない事と共に真実を普及して行こうと言う隠された想いメッセージでもあった

反発した者も素直に聞き入れ、到着してから3日後に一行はランシェスへと出立した




神聖国からゲートを駆使して1日でランシェス王国に着く

ランシェス王国には神樹国に向かった全員が同行している

ミリアとラナはランシェス王国高度高等学院へ留学する事になっているが、ついでとばかりにミリアの家族とイリュイア王妃も卒業までこちらにいるそうだ

尤も、国に何かあれば戻りはするが



ラナは年齢が11なので飛び級と言う形で高度学院に入学する

本来ならSクラスの定員は決まっているが、今回は特例でSクラス編入となる

自国の王族なら学院の決まりを押し通しもするが、他国の要人で王家からも要請があり、今回は学院側が配慮したと聞かされた

ミリアは神聖国で学んでいたので、こちらで学ぶ事はあまりない

高度高等学院では料理を専攻して更に腕を磨くそうだ

ラナも高等学校過程の学業は収めているので、これから何を学ぶかは入学してから決めたいとの事だ



現在の時刻は夕方

王城にて帰国を告げ、リリィとリアフェル王妃はそのまま部屋に、ティアは陛下が用意した馬車で家に、イリュイア王妃とラナは王城に宿泊する

ミリアの家族は今日は宿に泊まり、明日は護衛を付けて屋敷の購入に行くそうだ

ミリアは俺の屋敷で一緒に住むのだが、婚約者達からは羨ましがられ、陛下は大声を上げてリアフェル王妃に殴られ、ミリアの家族はしきたりと割り切り、ヴァルケノズさんは我関せずである



騒がしくもあるが屋敷に着き、ようやく帰ってきたと実感する

屋敷に着くとメイドが出迎えて・・・・・手紙の山を持ってきた

手紙を一つ手に取り、内容を見て・・・・思わず頭が痛くなったわ

9割以上が婚約話とか

残る1割もまぁどうでも良い内容がほとんどだ

雇って下さいだの、出資に借金の申し込み

また旅にでも出ようかな?と思ってしまう程であった



屋敷に帰ってきて小1時間後、俺の家族がやってきた

そのすぐ後にミリアの家族もやって来たので夕食は外食する事にした

何故外食にしたのか?それは我が屋敷に執事がいない為である

また、メイドも少人数なので食料の貯蓄がそれほど多くないのだ

総合管理は基本的に執事が行うが、今まで屋敷には俺一人で住んでおり、メイドが数名いれば問題無かったので各種役割分担させていた

なので、食料は程々しか無く、大人数を御持て成し出来なかった



外食にした理由は、ついでに両家の顔合わせも兼ねようと考えたのもある

クロノアス本家は父の方で、俺は一応分家扱いになる

だが、本来は独立してる歳ではない

それに貴族の婚約なので、必然的にそういった流れにもなる

てなわけで、両家は雑談もそこそこに馬車でレストランへと向かった

向かう先は王家御用達の高級店である

そして先に言っておく・・・・飯は特別美味いわけではなく普通であったと



レストランへ到着し、店に入ってVIP席へ案内してもらう

本来は予約無しでVIP席は無理だが、そこは公爵家の力を借りた

と言うか、たまたまティアの家族も来ていたのだ

そして流れ的に「一緒に食事をしよう」となりVIP席を取れたわけだ

各両親は全員が一度だけ顔を合わせているが、子供達はルラーナ姉以外は初顔合わせである

そして、うちは姉がいるので必然的に恋バナになる



ミリアとティアは一人娘なので、兄姉に多少の憧れもあったようで直ぐに打ち解けた

そこでエルーナ姉からちょっとした内容が飛び出て、更に祝福ムードが上がる

内容はエルーナ姉が婚約した事だが、ちょっとした事では無いと思うのだが?

思わずツッコミそうになるのを堪えて、話を聞く



お相手はクロノアス家とも付き合いが長く、王都に向かう際にはいつも通る領地の貴族家長男との事

相手は21歳で昔からお互いに嫁を出し合っているそうだ

跡継ぎがいない場合には次男以降を婿として婚約させるそうだが、過去に1度だけクロノアス家から婿に出したらしい



また、アルキオス兄も婚約が決まっているそうで、王族派に鞍替えした子爵家の娘だそうで歳は14歳で次女との事

これで婚約者がいないのはルナエラ姉のみとなったが、まぁ直ぐに見つかるだろうと両親は心配してないようだ

やはり俺の名声が大きいらしく、子爵家が鞍替えしたのも俺によるものらしい



そんな感じで和やかに食事の時間は過ぎ、エルーナ姉の式の話になる

だが、夏季休暇は兄姉全員が神聖国にいたはずなのになぜ決まったのか?と疑問に思ったので父に聞いてみる

元々エルーナ姉はそういう話だったらしく、本人も了承していたそうだ

そんな素振りは無かったので驚きである

ただ、エルーナ姉は一つだけ条件を提示したそうだ

それは俺の式には必ず出席したいと言う事らしい

末弟loveな姉はそれだけは譲れないそうで先方も了承したそうだ

先方も俺に会ってみたいらしく、二つ返事で了承したそうで、それを聞いたエルーナ姉は微笑んでいた



エルーナ姉の式は1年後の夏季休暇に挙げる予定で、アルキオス兄はそこから1年後に式を挙げる

グリオルス兄はエルーナ姉の嫁ぎ先から奥さんが来るのだが、俺より1つ年下でグリオルス兄の式は4年後になるらしい

そこであれ?っとなり、あ!っとなって、父に4年後には俺も式を挙げる事を伝えると父は頭を抱え始めた



クロノアス家の財政ははっきり言って超黒字である

だが、貴族の結婚式とはお金がかかる

ましてや俺の式は超お金がかかる

何故なら複数国で式を挙げなければいけない可能性があるからだ



だがこの問題は直ぐに解決する事になる

お相手の貴族家だが、子供は男の子ばかりで、ようやく出来た唯一の女の子で長女にして末娘になり、婚約者でもある

そして、父親が溺愛して甘やかしまくっているらしい

だが、母親達が娘の教育をしているので我儘娘と言う訳でもなく、どこに出しても恥ずかしくない貴族令嬢になっているそうだ

そして、こちらの事情を話した所、グリオルス兄の式は俺の後の1年後で決定した

主に向こうの父親の我儘によって

食事中はそんなことになるとも知らず、父は頭を悩ませていた



食事も終わり、レストラン前で全員と別れたのだが、別れ際に父から面倒くさい事を告げられる



「明日、中断していた話の続きをすると陛下からの使いが来た。お前も出席するようにと言付かっている。絶対来るんだぞ!いいな!」



俺の日常はまだまだ先なようである


更新ですが正書と執筆が追い付いていないので今後は週1位になる予定です
予定なので都合良く行けばになるので遅れたらごめんなさい

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