神に気に入られて異世界転生した俺は、救世と終焉の神殺しとなる

あざらし

22話 色々な事後処理


オークの群れを発見して殲滅戦となり、俺の力の一部がバレるなど、この数時間で色々あったが、今は倒したオーク達の回収作業中である
ウォルド達ならもう隠す必要もないかと思い、俺は空間収納に全部突っ込んだ
ウォルド達の前で俺はある程度の自重を止め、それを見たウォルド達に色々と聞かれる
ただ空間収納は勿論の事、アイテムボックスに関してもクロノアス家の秘密が関わってくるので父からの許可が必要であり、万が一話せても誓約が必須と話せば「仕方ない」と引き下がった

次に新人冒険者(俺には未来の先輩かもしれない人)だが、ウォルドとバルドが彼らを睨みながらムムノが説明をしている
いやいや、そんな睨んでたら・・ほら、怖がってるじゃん
などと思ってるとバルドがこちらに来る

「ラフィ。ウォルドから言伝を預かってるんだが面倒がらずに受けろよ。これはウォルドがラフィを心配して言い出したことだからな」

内容は新人5人を連れ全員でギルマスに話を通すとの事だ
最悪の場合はゼロに全て擦り付けて俺達は知らぬ存ぜぬを決め通す方向に持って行き、辻褄を合わせるようにする
今、新人冒険者に話をしているのだが誓約がギルマスに話す時は発動しない様にして欲しいとも言われたので期間限定で変えると告げた
バルドはウォルドに伝えに行きウォルドは了承したようだ
ある程度この場で話を合わせて俺達全員は王都への帰路についた


時刻は夕方の少し前に一行は王都へと帰ってきた
直ぐにギルドへ向かいギルマスに取り次いでくれるようにする
ギルマスへの取り次ぎが終ると人数が多いせいもあり会議室へ案内された
会議室には、俺・輝く星・新人5人・ギルマス・サブマスの面々だ
森での出来事を話した後にオークについては殲滅させたことを伝える
話を聞いたギルマスがサブマスに指示し動こうとするがウォルドが制止して

「実はこのメンツでの話し合いの内容はここからが本題でして」

ウォルドがそう告げるとギルマスとサブマスは目をパチクリさせてウォルドを見た
Bランク冒険者パーティーの輝く星ならば上位種10体と普通のオーク40体の討伐報告など特別驚くような内容でもないが、変異種が複数体いたとなれば話は変わる
そもそも変異種は大抵の魔物に存在しており、またオークの変異種だけが特別強いわけでもない
強さをランク分けすると普通のオーク単体はEで上位種がD前後で変異種がCくらい
5体以上の集団になると討伐対象ランクが1つ上がる
前回も今回も討伐した変異種は最低でBといった強さだ
ギルドで注意喚起するのと情報公開の為に上位変異種と呼称することになった

そんな上位変異種4体を含むオークの群れ計50体を俺一人で討伐・・というか蹂躙した事をウォルドが告げるとサブマスは「またまた~」と言いギルマスは額に青筋浮かべて「はあぁぁぁ~」と深くため息をついた
普通は嘘か冗談(サブマスみたいに)と思うのだがギルマスは何故か疑っていなかった
ギルマスは取り次ぎ理由を察して

「この面子なのは目撃者と当事者とギルド内権力者の密談か・・」

と呟き、サブマスに

「ここで見た事、聞いた事は一切他言無用とする。情報漏洩を防ぐためにグラフィエル君以外は誓約をさせてもらう」

と一方的に告げる
この決定に反論は認めないと言っているのだ

ギルド職員は元々守秘義務があるのだが、それを差し置いてでも誓約を優先させたギルマスを見て、事態は考えているよりも重いと判断したサブマスは瞬時に同意した
会議室にいる冒険者全員も同意したので話を再開する
ギルマスとサブマスにとっては頭の痛くなる、本題の話が始まった


隠せる所は隠して俺自身の情報をいくつか開示する
開示した情報は以下の通りだ

全属性に適性があって使える

幼少期から魔力鍛錬を行っており魔力操作(正確には魔力精密操作)が出来る

剣技はゼロ直伝で事実上の免許皆伝である

ルリとハクの情報の一部(神獣は伏せてある)

空間収納についての情報

大雑把に纏めるとこのくらいの事を話した
ウォルド達も改めて聞いて全員が呆然自失って状態になる
ギルマスは「聞くんじゃなかった・・」と呟きサブマスと新人は絶句したままだ

「で、ギルマスはこの情報を聞いてどうしますか?」

ウォルドが悪い顔を浮かべながら聞く
珍しい悪ウォルドだ
それに対しギルマスは

「どうにもできんだろ・・少なくとも冒険者登録ができる年になって、ランクを上げて貰ってからしか漏らせんわ・・・それでも一部は闇の中だな」

「で、残る問題はオークの討伐に関してなんですが」

「わかってる・・再度確認するがオーク50体中39体が普通で上位種が7体に上位変異種が4体で間違いないな?それは秘密裏にこちらで買い取る」

「買取はそれで良いですが、討伐についてはこちらに考えがあります。それに乗って貰いたいのが本音ですが」

「良い案があまり無いからな・・・それに乗ろう」

「聞かずに乗るって言って良いんですか?」

「ウォルド、大体察しはつく。大方ゼロの名前を使う案だろう?こちらが上手い事やっておく」

ウォルドは苦笑しつつ「流石、ギルマス」と呟く
こうしてオーク蹂躙劇の事後処理はゼロという生贄を用意し真相は闇へと葬られた
尚、オークの肉は美味であり強ければ強いほど美味しく高値になるので、上位変異種1匹分と上位種1匹分が口止め料として新人5人に支払われた
輝く星の面々も同じ口止め料が支払われ、秘密裏に処理する手間賃で同じ料金を引かれ、残りが俺の取り分になった
始めは要らないから分けてくれと言ったのだが秘密裏に色々やるので全員に困ると言われてしまい、仕方なく代金を受け取る
こうしてこの件はようやく幕を閉じたのだった


その後の数か月は特に何事も無く、新年を迎える前に俺は養成所を史上最年少最短在籍で卒業して、新年を迎える


新年はクロノアス領に兄姉達全員が帰ってくる
両親には手紙を送り、兄姉達には王都の屋敷で養成所を卒業したと伝えると驚愕された
後日、両親から手紙が来て、これから1年間はどちらで過ごすのかと書いてあり、俺は実家に帰る事を決めて再び両親に手紙を出した

クロノアス領に帰る準備中に、輝く星が無償で護衛を申し出てくれた
例の件でランクが上がった事と実入りが良かったり、極秘だ一応は俺が命の恩人であるからだ
「ラフィに護衛は必要じゃないけど兄姉達は違うだろ?」とウォルドに言われ、クロノアス家は確かに護衛依頼を出す予定だったので、有難くウォルド達からの申し出を受けた
下手な冒険者より実力もあるし信用出来るからね

帰りも護衛すると申し出を受けた俺はクロノアス家の屋敷の部屋を使えば良いと提案した
父には養成所を早く卒業できたのも輝く星のメンバーが同行して訓練をしてくれ面倒を見て貰った事を手紙で先に伝え、クロノアス領に到着してから父に今回の行き帰りの護衛も率先して申し出てくれたと伝えて、ウォルド達の屋敷への滞在も父は快く承諾してくれた
食事も朝夕と出そうとしたが「流石に申し訳ない」と輝く星の皆に断られた
朝は店も閉まっているからと朝食だけは受けて貰ったが、夕食は街で済ませるそうだ

クロノアス領についてから年が明けて数日はこんな感じだ
王都行きは数日後なのだが、俺は凄く悩んでいる
1年間クロノアス領で過ごすと手紙には書いたが、心はかなり揺れていた
王都に戻るか?クロノアス領で1年ちょっとを過ごすか?

だが、俺の悩みは直ぐに無くなる
新年明けたら両親も王都に行くことになっていた
直轄地は後1年ちょっとでクロノアス家に渡される
その為に父は引き継ぎも兼ねて数度王都に行かなければならない
そこで陛下は政策の実験を父に頼んだそうだ
実験内容は以下の通りで

領地に代官を置き、当主は王都にて王城の仕事を別途与える

という事だが、これにはいくつかの思惑がある
先の事件で全貴族を目の届く範囲に置きたいのが一番の理由ではあるが
更にこの政策には相当のメリットとデメリットがある

メリットは
全貴族を目の届く範囲における
領地経営をしていたので有能な者が多い
引き継ぐ際に王家が介入し不正を暴きやすく出来る
領地経営の正常化及び1本化
王城勤務の無能を一掃
現地派遣による有能者の増加及び教育

デメリットは
王城勤務の失業者の増加
政策実施時の悪事に関する証拠隠滅
代官の不正横行
王城勤務の人事入れ替えによる混乱
貴族による代官への圧力
貴族と代官の密約

等が今はあげられている
上記以外にも何か出る可能性もあるので新領地が確定している父に白羽の矢が立ったわけだ
尚、実験中は新領地のみだが納税免除となっている

現在の直轄地では代官が治めており、王都で代官から引き継いで新領地となるのだが、引き継いだ後も現代官は新領地で代官職に就き、実験を共に始める
クロノアス領にも有事の際の代官はいるが、王都に滞在しつつもクロノアス領と新領地を安定させれるかの実験を同時に行い、何かあれば国が補填する
領地経営の報告書を毎月受け取り、問題があれば領地へ行く
最低でも1年に1度は当主が領地へ視察に行くので裏で色々やってると代官はクビになる
父もクロノアス領の代官へ年明け前に全ての引継ぎを終わらせていて来年春までは王都暮らしになる
以上の事を聞いた俺はクロノアス領に残る選択肢が消滅した



数日後、家族全員で王都に向けて出発する
馬車の数は5台となり、初めてクロノアス家が大貴族であると思い知らされた

「神に気に入られて異世界転生した俺は、救世と終焉の神殺しとなる」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

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コメント

  • 時龍クロノス

    ゼロさ〜ん、生贄にされてますよ〜w

    0
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