ロリコン村の転生英雄~少女化した魔物達の最強ハーレムで世界救済~
幕間 6→最終章 308 最終局面のその前に
リクルの件が一段落し、ようやく人心地ついた俺は久し振りに少女化魔物達の寮を訪れていた。その入口で用件を告げ、目的の彼女達をしばらく待つ。すると――。
「イサク、また会いに来てくれたんだっ!!」
弾んだ声と共に駆け寄ってきた少女が、その勢いのままに抱き着いてきた。
人魚の少女化魔物ターナ。
以前、人間至上主義組織スプレマシーの隠れ家に囚われて惨い扱いを受けていたところを、当時は敵だったムートから依頼を受けて救い出した少女だ。
彼女はそのことで俺に強い恩を感じており……。
「そろそろ僕と真性少女契約を結ぶ気になってくれた?」
抱き着いた状態のまま顔だけを上げ、時に大人には狂気を感じさせるような迷いのない幼い子供の無垢な瞳を俺に向けながら、そう今日もまた問うてくる。
彼女の複合発露〈不老長久〉は真・複合発露〈不老長久・鴛鴦〉となることで契約者をも不老にする効果を持つと聞いている。
ターナは俺に、それによって共に永遠を生きようと言うのだ。
尚、断れば即座に暴走状態に入り、暴走・複合発露によって辺り一帯を泡にして分解してしまうだろうとアコさんから忠告を受けている。
人魚の少女化魔物は惚れっぽく、一度そうなったら身を滅ぼすことになろうともその気持ちを貫くのだとか。とは言え――。
「見ての通り、まだ成長期のせの字もない。もう少し待っててくれ」
この二次性徴前の子供の体のまま不老になっては困る。本当の本当に。
不老それ自体は皆も一緒なので別に拒否感はないが、せめて大人の体になってからにして欲しい。単純な見栄えもそうだが、性癖的な意味合いでも。
だから俺は、いずれ真性少女契約を結ぶ前提で保留して貰っていた。
そこには、その未来に至るまでの間に色々と学んで貰って別の選択肢と比較した上で自分の最善を判断して欲しい、という意図も含んでいたが……。
「うん、待つよ!」
嬉しそうに返事をして頬を擦りつけてくるターナを見るに、人魚の少女化魔物の多分に漏れず、その約束は人格形成の根幹に食い込んでしまっているようだ。
そこも含めて彼女がサユキと同じタイプであることは、おおよそ分かっている。
まあ、俺としては。ターナがどのような選択をするにしても、彼女が幸せな明日を得られるように努めるだけだ。
ただ、今は場所が場所なので、もう少し慎んだ言動をして欲しいところ。
特に幼い無防備さで大人顔負けな体の一部を押しつけてくるのは、色々な意味で危険だ。正面から来る柔らかさに意識させられてしまう。
ポーカーフェイスを保つのも大変だ。
とは言え、最近色々あって会いに来るまで間が少し開いて申し訳ない気持ちもあるので、俺は仕方がなく大人しく彼女のされるがままになっていた。
万が一にでもフラストレーションが溜まって暴発でもされたりしたら、ヤバい状況になりかねないからな。
さすがの俺も、泡になって分解されてしまった者を元に戻すことはできない。
「……イサクは相変わらず気の多い奴だな。他にも気持ちを弄ばれている少女化魔物がいるんじゃないか?」
と、付き添いで出てきていた、平均的な少女化魔物と比較すると身長の高い少女にそんなことを呆れたように言われてしまった。
今春まで共にヨスキ村にいたオーガの少女化魔物のヴィオレさん。
姉御肌で世話焼きな面を頼って、ターナ達を気にかけて貰っているのだが……。
「ヴィオレさん、人聞きの悪いことを言わないで下さいよ。ロナもいるのに」
彼女の隣で困ったように立ち尽くす妹に視線をやりながら、俺は苦言を呈した。
妹から虫を見るような目でも向けられたら死んでしまう。
しかし、正直なところターナに関しては余り堂々と否定できなかった。
極々個人的な理由(主に身長)のみで先延ばしにしているように見える俺は、何のかんの理由をつけて結婚を先延ばしにしながら彼女をキープしているクズ男ムーヴをかましていると見なされても仕方がない。
ここは反論を続けるより、話題を変えてしまった方がいい。
「ロナ。どうした?」
「えっと、兄様……その……」
ヴィオレさんの隣のロナは、風評を気にすることなく、何かを訴えかけようとしているかのようにターナの背中と俺の目を交互に見ていた。
どうやらターナが俺に思いっ切り正面から抱き着いているせいで、いい位置取りができなくて困っている様子だ。
「あ、ロナちゃん。ごめんね」
「ありがとう、ターナちゃん」
それに気づいたターナが俺の右側に移ると、ロナがトトッと駆け寄ってきて俺の左腕を両手で抱き締めるように取った。
「両手に花、って奴だねえ」
「全く以って。可愛らしい花です」
からかいには真正面から肯定してしまう方が迎撃力が高いこともある。
案の定と言うか、ヴィオレさんは興覚めしたように肩を竦めた。
そんな彼女の反応をサクッとスルーし、両隣の少女を左、右と見て口を開く。
「ターナ。ロナと仲よくしてくれてありがとな」
「うん! イサクの妹だし、ロナちゃんは僕の友達だから!」
大きく頷いて元気に答えるターナに微笑み、それからロナに視線を向ける。
「ターナちゃんは、友達、です」
すると、彼女もまた嬉しそうに応じた。
人見知りの彼女だけに、色々と紆余曲折合ってのことだと思うが、寮で共に過ごす中でいい感じに親睦を深めることができたようだ。
まあ、姉候補という認識で壁が薄くなっているのもあるだろうけれども。
最初に並んでいたところを見た感じ、それとは関係のないヴィオレさんとも少しは打ち解けている様子だったので、精神的に成長しているとも言えるだろう。
これから大一番を迎えようかという状況。
本格的にことが始まる前に妹のそうした部分を確認できてよかった。
ついでにヴィオレさんにも、気になっていたことを尋ねるとしよう。
そう考えて、しかし、少しだけ躊躇ってから彼女に視線を向けて口を開く。
「……ところで、インシェさんとは?」
「…………ああ。会いに行ったよ」
対してヴィオレさんは、何とも複雑そうな表情を浮かべながら答えた。
「まさか人間至上主義組織のトップと真正少女契約を結んでいたとはね。ああ、いや、人間至上主義者の振りをして利用していただけのようだけどさ」
「…………怒ってますか?」
「まあ、少しだけね。文句を言ってやろうと思ってたんだけどさ。面会室で開口一番謝られてね。あんまりな勢いだったもんだから、気が削がれちまったよ」
怒っていたのは、隠しごとをされたことよりも心配をかけたことに対してなのだろう。
そんな気配が彼女の苦笑から伝わってくる。
「まあ、犯した罪は罪だ。でも、特別労役を真面目にこなすつもりのようだし、近い将来出てこられるだろう。その時こそ、皆で食事に行こうって約束したよ」
「そうですか。……よかった」
テネシスもといロト・フェイロックに関連した事件の中で遭遇した時には裏切られた思いも僅かに抱いたが、彼女はヨスキ村で共に過ごした少女化魔物だ。
経緯は分からないが、家族を救いたいという彼の思いに共感した結果の行動だろうし、あの頃の彼女の言動の端々にあった気遣いも全てが嘘ではないはず。
優しい心を持つ彼女には、不幸せな末路を辿って欲しくない。
彼女のことで、ヴィオレさん達が思い悩むようなことにもなって欲しくない。
勿論、互いが互いをどう思うかまで強要できるような立場ではないけれども、どうやら悪くない形に収まってくれたようで安心した。
あの一年で、彼女達も彼女達なりの強い繋がりを作っていたということだろう。
最初から、俺が一々口出しする話ではなかったかもしれない。
……なら、この件はもういいとして後一つ。
少しシリアス寄りになった空気ごと話題を変えよう。
「そう言えば、ダンと真性少女契約を結んだとか」
レンリからチラッとそんな話を聞いたので、先程からかわれそうになった軽い仕返しに、少し意地の悪い気配を声色に滲ませながら告げる。すると――。
「え? あ、ああ、うん。み、耳が早いね」
そういったことに全く慣れていないのだろう。
ヴィオレさんは羞恥と照れで顔を真っ赤にし……。
動揺したように視線をあちこちに飛ばしながら、か細い声で肯定したのだった。
「イサク、また会いに来てくれたんだっ!!」
弾んだ声と共に駆け寄ってきた少女が、その勢いのままに抱き着いてきた。
人魚の少女化魔物ターナ。
以前、人間至上主義組織スプレマシーの隠れ家に囚われて惨い扱いを受けていたところを、当時は敵だったムートから依頼を受けて救い出した少女だ。
彼女はそのことで俺に強い恩を感じており……。
「そろそろ僕と真性少女契約を結ぶ気になってくれた?」
抱き着いた状態のまま顔だけを上げ、時に大人には狂気を感じさせるような迷いのない幼い子供の無垢な瞳を俺に向けながら、そう今日もまた問うてくる。
彼女の複合発露〈不老長久〉は真・複合発露〈不老長久・鴛鴦〉となることで契約者をも不老にする効果を持つと聞いている。
ターナは俺に、それによって共に永遠を生きようと言うのだ。
尚、断れば即座に暴走状態に入り、暴走・複合発露によって辺り一帯を泡にして分解してしまうだろうとアコさんから忠告を受けている。
人魚の少女化魔物は惚れっぽく、一度そうなったら身を滅ぼすことになろうともその気持ちを貫くのだとか。とは言え――。
「見ての通り、まだ成長期のせの字もない。もう少し待っててくれ」
この二次性徴前の子供の体のまま不老になっては困る。本当の本当に。
不老それ自体は皆も一緒なので別に拒否感はないが、せめて大人の体になってからにして欲しい。単純な見栄えもそうだが、性癖的な意味合いでも。
だから俺は、いずれ真性少女契約を結ぶ前提で保留して貰っていた。
そこには、その未来に至るまでの間に色々と学んで貰って別の選択肢と比較した上で自分の最善を判断して欲しい、という意図も含んでいたが……。
「うん、待つよ!」
嬉しそうに返事をして頬を擦りつけてくるターナを見るに、人魚の少女化魔物の多分に漏れず、その約束は人格形成の根幹に食い込んでしまっているようだ。
そこも含めて彼女がサユキと同じタイプであることは、おおよそ分かっている。
まあ、俺としては。ターナがどのような選択をするにしても、彼女が幸せな明日を得られるように努めるだけだ。
ただ、今は場所が場所なので、もう少し慎んだ言動をして欲しいところ。
特に幼い無防備さで大人顔負けな体の一部を押しつけてくるのは、色々な意味で危険だ。正面から来る柔らかさに意識させられてしまう。
ポーカーフェイスを保つのも大変だ。
とは言え、最近色々あって会いに来るまで間が少し開いて申し訳ない気持ちもあるので、俺は仕方がなく大人しく彼女のされるがままになっていた。
万が一にでもフラストレーションが溜まって暴発でもされたりしたら、ヤバい状況になりかねないからな。
さすがの俺も、泡になって分解されてしまった者を元に戻すことはできない。
「……イサクは相変わらず気の多い奴だな。他にも気持ちを弄ばれている少女化魔物がいるんじゃないか?」
と、付き添いで出てきていた、平均的な少女化魔物と比較すると身長の高い少女にそんなことを呆れたように言われてしまった。
今春まで共にヨスキ村にいたオーガの少女化魔物のヴィオレさん。
姉御肌で世話焼きな面を頼って、ターナ達を気にかけて貰っているのだが……。
「ヴィオレさん、人聞きの悪いことを言わないで下さいよ。ロナもいるのに」
彼女の隣で困ったように立ち尽くす妹に視線をやりながら、俺は苦言を呈した。
妹から虫を見るような目でも向けられたら死んでしまう。
しかし、正直なところターナに関しては余り堂々と否定できなかった。
極々個人的な理由(主に身長)のみで先延ばしにしているように見える俺は、何のかんの理由をつけて結婚を先延ばしにしながら彼女をキープしているクズ男ムーヴをかましていると見なされても仕方がない。
ここは反論を続けるより、話題を変えてしまった方がいい。
「ロナ。どうした?」
「えっと、兄様……その……」
ヴィオレさんの隣のロナは、風評を気にすることなく、何かを訴えかけようとしているかのようにターナの背中と俺の目を交互に見ていた。
どうやらターナが俺に思いっ切り正面から抱き着いているせいで、いい位置取りができなくて困っている様子だ。
「あ、ロナちゃん。ごめんね」
「ありがとう、ターナちゃん」
それに気づいたターナが俺の右側に移ると、ロナがトトッと駆け寄ってきて俺の左腕を両手で抱き締めるように取った。
「両手に花、って奴だねえ」
「全く以って。可愛らしい花です」
からかいには真正面から肯定してしまう方が迎撃力が高いこともある。
案の定と言うか、ヴィオレさんは興覚めしたように肩を竦めた。
そんな彼女の反応をサクッとスルーし、両隣の少女を左、右と見て口を開く。
「ターナ。ロナと仲よくしてくれてありがとな」
「うん! イサクの妹だし、ロナちゃんは僕の友達だから!」
大きく頷いて元気に答えるターナに微笑み、それからロナに視線を向ける。
「ターナちゃんは、友達、です」
すると、彼女もまた嬉しそうに応じた。
人見知りの彼女だけに、色々と紆余曲折合ってのことだと思うが、寮で共に過ごす中でいい感じに親睦を深めることができたようだ。
まあ、姉候補という認識で壁が薄くなっているのもあるだろうけれども。
最初に並んでいたところを見た感じ、それとは関係のないヴィオレさんとも少しは打ち解けている様子だったので、精神的に成長しているとも言えるだろう。
これから大一番を迎えようかという状況。
本格的にことが始まる前に妹のそうした部分を確認できてよかった。
ついでにヴィオレさんにも、気になっていたことを尋ねるとしよう。
そう考えて、しかし、少しだけ躊躇ってから彼女に視線を向けて口を開く。
「……ところで、インシェさんとは?」
「…………ああ。会いに行ったよ」
対してヴィオレさんは、何とも複雑そうな表情を浮かべながら答えた。
「まさか人間至上主義組織のトップと真正少女契約を結んでいたとはね。ああ、いや、人間至上主義者の振りをして利用していただけのようだけどさ」
「…………怒ってますか?」
「まあ、少しだけね。文句を言ってやろうと思ってたんだけどさ。面会室で開口一番謝られてね。あんまりな勢いだったもんだから、気が削がれちまったよ」
怒っていたのは、隠しごとをされたことよりも心配をかけたことに対してなのだろう。
そんな気配が彼女の苦笑から伝わってくる。
「まあ、犯した罪は罪だ。でも、特別労役を真面目にこなすつもりのようだし、近い将来出てこられるだろう。その時こそ、皆で食事に行こうって約束したよ」
「そうですか。……よかった」
テネシスもといロト・フェイロックに関連した事件の中で遭遇した時には裏切られた思いも僅かに抱いたが、彼女はヨスキ村で共に過ごした少女化魔物だ。
経緯は分からないが、家族を救いたいという彼の思いに共感した結果の行動だろうし、あの頃の彼女の言動の端々にあった気遣いも全てが嘘ではないはず。
優しい心を持つ彼女には、不幸せな末路を辿って欲しくない。
彼女のことで、ヴィオレさん達が思い悩むようなことにもなって欲しくない。
勿論、互いが互いをどう思うかまで強要できるような立場ではないけれども、どうやら悪くない形に収まってくれたようで安心した。
あの一年で、彼女達も彼女達なりの強い繋がりを作っていたということだろう。
最初から、俺が一々口出しする話ではなかったかもしれない。
……なら、この件はもういいとして後一つ。
少しシリアス寄りになった空気ごと話題を変えよう。
「そう言えば、ダンと真性少女契約を結んだとか」
レンリからチラッとそんな話を聞いたので、先程からかわれそうになった軽い仕返しに、少し意地の悪い気配を声色に滲ませながら告げる。すると――。
「え? あ、ああ、うん。み、耳が早いね」
そういったことに全く慣れていないのだろう。
ヴィオレさんは羞恥と照れで顔を真っ赤にし……。
動揺したように視線をあちこちに飛ばしながら、か細い声で肯定したのだった。
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