ロリコン村の転生英雄~少女化した魔物達の最強ハーレムで世界救済~
AR30 地平線の先にある赤黒い塊
「…………話には聞いていたけれど、そうか。あれが、あれこそが――」
***
わたし達は夢の中。
楽しい楽しい夢の中。
誰もが喜びに溢れた夢を見て、誰もが嬉しそうに笑ってる。
わたしはそんなみんなを見ているのが、何よりも楽しくて嬉しい。
みんな笑顔でみんな幸せ。
わたしも笑顔で、わたしも幸せ。
ずっと、ずぅっとこうしていられたらいいのにって思う。
…………怖い。助けて、怖いよ。
ここは全ての望みが叶う場所。
苦しみも痛みも……それがその人の喜びなら存在するかもしれないけれど、誰のところにもその人が本当に望んでいないものが訪れたりはしない。
努力の末の成功も、努力いらずの成功も、全ては心の匙加減一つ。
不運はちょっとしたスパイス。けれど、バッドエンドはいらない。
正に完璧な理想郷。
誰もが自分の望む自分になることができる世界。
誰もが自分の望む誰かと共にあることができる世界。
夢のような夢の世界。
いついつまでも、この世界が続いていけばいいのにって思う。
…………怖い。助けて、怖いよ。怖い怖い怖い。
だから、だから。
わたしはここを守り続けないといけない。
恐ろしいものが決して、誰かの笑顔を曇らせたりしないように。
恐ろしいものが決して、誰かを傷つけたりしないように。
恐ろしいものが決して、誰かの居場所を奪ったりしないように。
恐ろしいものが決して、誰かの心を黒く染め上げたりしないように。
わたしはこの楽園を守り抜かないといけない。
…………怖い。助けて、怖いよ。怖い怖い怖い。怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
振り返ることなく、この喜びに満ちた世界だけを目に焼きつけて。
誰もが幸せに包まれたまま、いつか生きとし生ける者全てに訪れるだろう終わりの日を穏やかに迎えられるように。
ただ、それだけを考えていればいい。
けれど、わたしは恐ろしいそれの気配に体を震わせて。
背中に感じるおぞましい感覚に耐え切れなくなって。
恐る恐る後ろを振り返った。
振り返るべきじゃないって分かってたはずなのに、振り返ってしまった。
…………怖い。助けて、怖いよ。怖い怖い怖い。怖い怖い怖い怖い怖い怖い。怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
ここは夢の世界。
わたし達の心の内側にあって、世界の全てと繋がっているどこかの表層。
わたしが立っているのは境界。
わたし達がわたし達のままでいることのできるギリギリの境界。
その奥に落ちてしまえば、きっと誰も二度と抜け出すことはできないと思う。
「ひっ」
だから、その奥底にあるものを目にしてしまったわたしは小さな悲鳴を上げて、瞼をギュッと閉じながら慌てて前を向いた。
なのに、一瞬だけ見えてしまったそれが脳裏に焼きついて離れない。
固く閉ざした目から、恐怖の涙が溢れ出す。
夢の世界の底の底。
そこにあるのは赤く黒い大きな塊。
魅入られそうな鮮やかな赤。
吸い込まれそうな深い深い黒。
まるでわたしが、ううん、ありとあらゆる人が惹かれて引かれて落ちてくるのを待っているかのよう。
けれど、それらに重なるように。
赤と黒が入り混じって穢れに穢れた赤黒さもまた同時に認識されて。
何もかも捨てて逃げ出したくなるぐらいの忌避感が胸の中に渦巻く。
あの赤と黒単体には、ほんの僅かであっても憧憬のような気持ちを抱いてしまっていることが、尚更その感覚を強める。
「いやだ、いやだ。わたしはあんなものいらない」
わたしは助けを求めるように、縋りつくように。
目の前にある温かな夢の世界を見詰める。
けれど、いつまでも瞼の裏から赤黒い塊が消えてなくならなくて――。
…………怖い。助けて、怖いよ。怖い怖い怖い。怖い怖い怖い怖い怖い怖い。怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
眼前の世界が与えてくれる温もりは遥か彼方に遠ざかり、やがて恐怖心が弾けて頭の中が一色で埋め尽くされていく。
そうしてわたしはそれから逃避するように。
何も考えず、何も感じず、ひたすらにこの場所へとみんなを導いて、虚ろな世界を維持するだけのものとなった。
せめて一人でも多く、この怖さを感じることなどなく、ただただ幸せな夢をずっとずっと見続けていられるように。
***
「あれこそが、あの穢れた塊こそが観測者の内から生じた破滅欲求の蓄積。最凶の人形化魔物【ガラテア】に紐づけられた悪意そのもの。五百年もの間、私達を長く長く苦しませ、そして私達に君達をこんな状況に追いやらせた全ての根源、なんだね」
***
わたし達は夢の中。
楽しい楽しい夢の中。
誰もが喜びに溢れた夢を見て、誰もが嬉しそうに笑ってる。
わたしはそんなみんなを見ているのが、何よりも楽しくて嬉しい。
みんな笑顔でみんな幸せ。
わたしも笑顔で、わたしも幸せ。
ずっと、ずぅっとこうしていられたらいいのにって思う。
…………怖い。助けて、怖いよ。
ここは全ての望みが叶う場所。
苦しみも痛みも……それがその人の喜びなら存在するかもしれないけれど、誰のところにもその人が本当に望んでいないものが訪れたりはしない。
努力の末の成功も、努力いらずの成功も、全ては心の匙加減一つ。
不運はちょっとしたスパイス。けれど、バッドエンドはいらない。
正に完璧な理想郷。
誰もが自分の望む自分になることができる世界。
誰もが自分の望む誰かと共にあることができる世界。
夢のような夢の世界。
いついつまでも、この世界が続いていけばいいのにって思う。
…………怖い。助けて、怖いよ。怖い怖い怖い。
だから、だから。
わたしはここを守り続けないといけない。
恐ろしいものが決して、誰かの笑顔を曇らせたりしないように。
恐ろしいものが決して、誰かを傷つけたりしないように。
恐ろしいものが決して、誰かの居場所を奪ったりしないように。
恐ろしいものが決して、誰かの心を黒く染め上げたりしないように。
わたしはこの楽園を守り抜かないといけない。
…………怖い。助けて、怖いよ。怖い怖い怖い。怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
振り返ることなく、この喜びに満ちた世界だけを目に焼きつけて。
誰もが幸せに包まれたまま、いつか生きとし生ける者全てに訪れるだろう終わりの日を穏やかに迎えられるように。
ただ、それだけを考えていればいい。
けれど、わたしは恐ろしいそれの気配に体を震わせて。
背中に感じるおぞましい感覚に耐え切れなくなって。
恐る恐る後ろを振り返った。
振り返るべきじゃないって分かってたはずなのに、振り返ってしまった。
…………怖い。助けて、怖いよ。怖い怖い怖い。怖い怖い怖い怖い怖い怖い。怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
ここは夢の世界。
わたし達の心の内側にあって、世界の全てと繋がっているどこかの表層。
わたしが立っているのは境界。
わたし達がわたし達のままでいることのできるギリギリの境界。
その奥に落ちてしまえば、きっと誰も二度と抜け出すことはできないと思う。
「ひっ」
だから、その奥底にあるものを目にしてしまったわたしは小さな悲鳴を上げて、瞼をギュッと閉じながら慌てて前を向いた。
なのに、一瞬だけ見えてしまったそれが脳裏に焼きついて離れない。
固く閉ざした目から、恐怖の涙が溢れ出す。
夢の世界の底の底。
そこにあるのは赤く黒い大きな塊。
魅入られそうな鮮やかな赤。
吸い込まれそうな深い深い黒。
まるでわたしが、ううん、ありとあらゆる人が惹かれて引かれて落ちてくるのを待っているかのよう。
けれど、それらに重なるように。
赤と黒が入り混じって穢れに穢れた赤黒さもまた同時に認識されて。
何もかも捨てて逃げ出したくなるぐらいの忌避感が胸の中に渦巻く。
あの赤と黒単体には、ほんの僅かであっても憧憬のような気持ちを抱いてしまっていることが、尚更その感覚を強める。
「いやだ、いやだ。わたしはあんなものいらない」
わたしは助けを求めるように、縋りつくように。
目の前にある温かな夢の世界を見詰める。
けれど、いつまでも瞼の裏から赤黒い塊が消えてなくならなくて――。
…………怖い。助けて、怖いよ。怖い怖い怖い。怖い怖い怖い怖い怖い怖い。怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
眼前の世界が与えてくれる温もりは遥か彼方に遠ざかり、やがて恐怖心が弾けて頭の中が一色で埋め尽くされていく。
そうしてわたしはそれから逃避するように。
何も考えず、何も感じず、ひたすらにこの場所へとみんなを導いて、虚ろな世界を維持するだけのものとなった。
せめて一人でも多く、この怖さを感じることなどなく、ただただ幸せな夢をずっとずっと見続けていられるように。
***
「あれこそが、あの穢れた塊こそが観測者の内から生じた破滅欲求の蓄積。最凶の人形化魔物【ガラテア】に紐づけられた悪意そのもの。五百年もの間、私達を長く長く苦しませ、そして私達に君達をこんな状況に追いやらせた全ての根源、なんだね」
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