ロリコン村の転生英雄~少女化した魔物達の最強ハーレムで世界救済~
215 衣装替え
「速度がかなり遅くはありますが、人間の翼も中々悪くないものでありまするな」
ウインテート連邦共和国首都リベランジェへと向かう飛行機もどきの個室。
そこに備えられた窓を覗き込むようにして空を眺めながら、アスカが楽しげに言う。
他の皆は今も影の中にいるが、勿論、仲間外れにされている訳ではない。
彼女はまだ影の世界に長時間いることに慣れていないだろうから念のために、ということで一時的に外に出てきているのだ。
とは言え、別に影の中に害などない。狭くもないし、祈念魔法で光源を作れば暗くもない。目的地に到着するまでに慣らしておけば、常に中にいても問題なくなるはずだ。
問題があるとすれば今、この割と狭い個室が更に狭くなるぐらいか。
まあ、そうは言っても少女の形をした存在が一人。
それぐらいなら支障は出ないだろう。
二次性徴が始まっていない俺の体は、まだまだ小さいしな。
…………自分で言っていて軽く嘆息してしまいそうになるけれども。
「ところでアスカ。その服って気に入ってるのか?」
軽く首を振って気を取り直してから尋ねると、彼女は自身が着ている少々みすぼらしい貫頭衣に視線を落として裾の辺りを摘まむ。
それから顔を上げ、若干首を傾げながら口を開いた。
「これでありまするか? いえ、特に思い入れなどはございませぬ。少女化魔物として生まれた時からこの状態だったので、そのまま着ているだけでありますれば」
「そっか。じゃあ、新しい服を用意したら、そっちを着てくれるか?」
「勿論でありまする! 主様より下賜いただいたものとあらば、何を置いてでも!」
「お、おう」
続けて軽く問いかけた俺に、前のめりになって返事をするアスカ。
相変わらず開かれた鳥の目を思わせるその視線に、つい一歩後退りしてしまう。
至近距離からの圧に思わずたじろいでしまったが……これはよろしくない反応だ。
アスカは特に気にしていない様子だが、胸の内で深く反省しながら一歩戻る。
そういったちょっとした人外っぽい部分は、人外ロリコンにとってはむしろチャームポイントになり得るものでもある。
慣れれば、それもまた彼女を彼女たらしめる個性として愛でることができるだろう。
……っと、少し思考が逸れてしまった。
「ええと、ともかく問題ないってことだな」
「はい!」
重ねて尋ねた俺に対し、アスカは快活に肯定する。
当人がいいと言っている訳だから、早速、彼女のための服を仕立てるとしよう。
「じゃあ、サイズを測って貰うから一旦また影の中に入って貰えるか?」
「承知致しましてございまする」
俺の問いかけに素直に応じ、影の中に入っていくアスカ。
祈念魔法を使えばサクッと測ることもできるが、そこはエチケットというものだ。
……まあ、これまでの感じからすると間違いなく彼女は気にも留めないだろうし、結局正確な数字は俺の手元に来る訳だから大して意味のない配慮かもしれないけれども。
イリュファ達とより親交を深めるため、とでも思っておこう。
「さて、と……どんな服がいいかな」
何はともあれ、アスカがサイズを測って貰っている間にデザインを考えることにする。
まず三大特異思念集積体ジズは空を司るとされる存在。
魔物ではあるが、一種の自然神のようなものと言うこともできる。
そう考えると、少女の形をしたその姿は神の依り代的なものにも思えなくもない。
こう連想していくと……巫女装束とかいいかもしれないな。
他の皆が半ばコスプレ大会状態なのを考えると、逆に浮くことはないだろうし。
ただ、以前お目通りした奉献の巫女ヒメ様が典型的な巫女装束だった。
そこは、なるべく被らせないようにしたいところだ。
なので、ここは王道から外した改造巫女装束にしてみようかと思う。
巫女装束に拘りがある人に見られたら怒られるかもしれないが、ここは異世界だしな。
そこまで形に囚われなくても構うまい。
「よし。イリュファ――」
そして、アスカの採寸を終えた彼女にイメージを伝え、ホウゲツ学園からここに戻ってくる際に一旦寮に寄って手早く取ってきた布の中から適しているものを出して貰う。
それを今度は祈念魔法を用いて加工し、アスカの体型に合わせて形を整えていく。
まず緋袴の丈を短くしてミニスカート状に。
足袋は逆に丈を伸ばして白いニーソックスのように。
次に白衣は肩の辺りを露出させつつも、広口袖は残すように改造。
後は飾り紐と共に、各所に大幣っぽい装飾を施しておく。
「うん。こんなもんかな。アスカ」
そうして作り上げた改造巫女装束を影の中に入れ、彼女に受け渡してしばらく待つ。
わざとらしく静かになった個室に衣擦れの音だけが響く。
他の皆も彼女の衣装に興味があるのか、ジッと見守っているようだ。
そんな風に注目を浴びながら着替えるのは、さぞやりにくかろうと思ったが……。
「主様! 如何でありまするか?」
どうやら、生まれて間もないアスカはその辺りの羞恥心が未発達らしい。
影の中から勢いよく飛び出してきた彼女は、作り立ての改造巫女装束で身を包んだ自身の姿を惜しげもなく俺の視界に晒した。
「悪くないな。むしろいい感じだ。似合ってるぞ」
頭の天辺から足の爪先まで確認し、素直な感想を口にする。
淡い緑色の髪や瞳。先が膨らんだツインテール。強烈な視線の圧。
そうした彼女の特徴的な部分を考えると、むしろスタンダードな巫女装束にしなくてよかったかもしれない。この改造巫女装束の方が自然な感じがする。
スタンダードな方は、やっぱり黒髪が最も映えるだろうしな。
金髪金眼のヒメ様には少し申し訳ないけれど。
まあ、それはあくまでも前世日本人だった男の感想に過ぎない。
この世界ではまた違う感想になる可能性もある。
何せ、少女化魔物はその個体が持つ属性によって髪と瞳の色が変わってしまうのだ。
イリュファのような闇属性でもなければ、黒髪黒眼はあり得ない。
少女化魔物と接する機会が多ければ多い程、その辺りの感覚が大きく異なっていても不思議ではない。美的感覚というものには、慣れもまた大きく関わってくるだろうし。
一般人は一般人で、外見的特徴は前世と大きく変わらないものの、そうした特殊な格好に接する機会自体が少ないので意外とこちらも似たり寄ったりの感覚かもしれない。
余談にも程があるが。
「動きにくくはないか?」
「問題ございませぬ! 主様からの贈り物、大切に致しまする!」
問いに対して嬉しそうに答えながら、アスカはミニスカート風の短い緋袴がヒラヒラと動くのが楽しいのかクルクルと回る。
狭くて危ないのもそうだが、緋袴が捲れ上がりそうなのも危ない。
……羞恥心が乏しい感のある子にこれはまずかっただろうか。
しかし、こうも嬉しそうな彼女から取り上げるのは可哀想だ。
俺としても折角一つの形にしたものを余り崩したくはない。
後で短パン的なものを作って穿かせるとしよう。
恥じらいのない子を前にすると、どうにも保護者目線になってしまうな。
「アスカ。そろそろ勉強に戻りますよ」
「承知致しましてございまする、先生。では、主様。失礼をば」
と、イリュファに促され、アスカは背筋をピシッと伸ばして再び影に入っていく。
最初自己紹介する時はイリュファはアスカをお客様のように扱っていた気がしたが、この短期間にいつの間にか教師と生徒のような上下関係を作り上げていたらしい。
今のところアスカは思考回路が単純だし、うまいこと誘導したのだろう。
変に揉めたりせずに、円滑な関係を結んでくれると非常に助かる。
「……にしても、到着まで後九時間と少しか。俺は何をしてようかな」
アスカが影に戻ったことで少し広く、そして、静かになった個室で独り言つ。
緊急連絡があるかもしれないので、俺ぐらいは外にいた方がいい。
皆で別の影に移って暇潰しをしている間に、事故でも起きたら目も当てられない。
しかし、九時間もの時間を潰すことはアスカの短パン作りだけでは不可能だ。
当然ながらマナプレーンは前世の飛行機とは全くの別物だし、文明もそこまで進んではいないので、座席のディスプレイで映画を見る、なんてこともできはしない。
景色の変化を楽しめた分だけ、ヨスキ村から学園都市トコハに来る時の列車もどきでの長旅の方が遥かにマシだったかもしれない。引率として若干忙しくもあったし。
「旅を楽しめって言われても、今のところ単なる移動時間だしなあ……」
やはりギリギリまで寮にいた方がよかったんじゃないかという考えが過ぎるが、移動時間を有効活用できずに辟易するのも旅ならではの経験というものかもしれない。
今回はトリリス様達の顔を立てて、大人しくマナプレーンに乗っているとしよう。
まあ、到着前の六時間は、時差ボケを最小限にするために睡眠を取る予定だけども。
「……ま、本でも読んでるか」
それでも後三時間ぐらいは残っている暇な時間。
俺は仕方なく、影の中から小説を取り出して読むことにしたのだった。
旅っぽさは全くないな、と微妙な気持ちを抱きながら。
ウインテート連邦共和国首都リベランジェへと向かう飛行機もどきの個室。
そこに備えられた窓を覗き込むようにして空を眺めながら、アスカが楽しげに言う。
他の皆は今も影の中にいるが、勿論、仲間外れにされている訳ではない。
彼女はまだ影の世界に長時間いることに慣れていないだろうから念のために、ということで一時的に外に出てきているのだ。
とは言え、別に影の中に害などない。狭くもないし、祈念魔法で光源を作れば暗くもない。目的地に到着するまでに慣らしておけば、常に中にいても問題なくなるはずだ。
問題があるとすれば今、この割と狭い個室が更に狭くなるぐらいか。
まあ、そうは言っても少女の形をした存在が一人。
それぐらいなら支障は出ないだろう。
二次性徴が始まっていない俺の体は、まだまだ小さいしな。
…………自分で言っていて軽く嘆息してしまいそうになるけれども。
「ところでアスカ。その服って気に入ってるのか?」
軽く首を振って気を取り直してから尋ねると、彼女は自身が着ている少々みすぼらしい貫頭衣に視線を落として裾の辺りを摘まむ。
それから顔を上げ、若干首を傾げながら口を開いた。
「これでありまするか? いえ、特に思い入れなどはございませぬ。少女化魔物として生まれた時からこの状態だったので、そのまま着ているだけでありますれば」
「そっか。じゃあ、新しい服を用意したら、そっちを着てくれるか?」
「勿論でありまする! 主様より下賜いただいたものとあらば、何を置いてでも!」
「お、おう」
続けて軽く問いかけた俺に、前のめりになって返事をするアスカ。
相変わらず開かれた鳥の目を思わせるその視線に、つい一歩後退りしてしまう。
至近距離からの圧に思わずたじろいでしまったが……これはよろしくない反応だ。
アスカは特に気にしていない様子だが、胸の内で深く反省しながら一歩戻る。
そういったちょっとした人外っぽい部分は、人外ロリコンにとってはむしろチャームポイントになり得るものでもある。
慣れれば、それもまた彼女を彼女たらしめる個性として愛でることができるだろう。
……っと、少し思考が逸れてしまった。
「ええと、ともかく問題ないってことだな」
「はい!」
重ねて尋ねた俺に対し、アスカは快活に肯定する。
当人がいいと言っている訳だから、早速、彼女のための服を仕立てるとしよう。
「じゃあ、サイズを測って貰うから一旦また影の中に入って貰えるか?」
「承知致しましてございまする」
俺の問いかけに素直に応じ、影の中に入っていくアスカ。
祈念魔法を使えばサクッと測ることもできるが、そこはエチケットというものだ。
……まあ、これまでの感じからすると間違いなく彼女は気にも留めないだろうし、結局正確な数字は俺の手元に来る訳だから大して意味のない配慮かもしれないけれども。
イリュファ達とより親交を深めるため、とでも思っておこう。
「さて、と……どんな服がいいかな」
何はともあれ、アスカがサイズを測って貰っている間にデザインを考えることにする。
まず三大特異思念集積体ジズは空を司るとされる存在。
魔物ではあるが、一種の自然神のようなものと言うこともできる。
そう考えると、少女の形をしたその姿は神の依り代的なものにも思えなくもない。
こう連想していくと……巫女装束とかいいかもしれないな。
他の皆が半ばコスプレ大会状態なのを考えると、逆に浮くことはないだろうし。
ただ、以前お目通りした奉献の巫女ヒメ様が典型的な巫女装束だった。
そこは、なるべく被らせないようにしたいところだ。
なので、ここは王道から外した改造巫女装束にしてみようかと思う。
巫女装束に拘りがある人に見られたら怒られるかもしれないが、ここは異世界だしな。
そこまで形に囚われなくても構うまい。
「よし。イリュファ――」
そして、アスカの採寸を終えた彼女にイメージを伝え、ホウゲツ学園からここに戻ってくる際に一旦寮に寄って手早く取ってきた布の中から適しているものを出して貰う。
それを今度は祈念魔法を用いて加工し、アスカの体型に合わせて形を整えていく。
まず緋袴の丈を短くしてミニスカート状に。
足袋は逆に丈を伸ばして白いニーソックスのように。
次に白衣は肩の辺りを露出させつつも、広口袖は残すように改造。
後は飾り紐と共に、各所に大幣っぽい装飾を施しておく。
「うん。こんなもんかな。アスカ」
そうして作り上げた改造巫女装束を影の中に入れ、彼女に受け渡してしばらく待つ。
わざとらしく静かになった個室に衣擦れの音だけが響く。
他の皆も彼女の衣装に興味があるのか、ジッと見守っているようだ。
そんな風に注目を浴びながら着替えるのは、さぞやりにくかろうと思ったが……。
「主様! 如何でありまするか?」
どうやら、生まれて間もないアスカはその辺りの羞恥心が未発達らしい。
影の中から勢いよく飛び出してきた彼女は、作り立ての改造巫女装束で身を包んだ自身の姿を惜しげもなく俺の視界に晒した。
「悪くないな。むしろいい感じだ。似合ってるぞ」
頭の天辺から足の爪先まで確認し、素直な感想を口にする。
淡い緑色の髪や瞳。先が膨らんだツインテール。強烈な視線の圧。
そうした彼女の特徴的な部分を考えると、むしろスタンダードな巫女装束にしなくてよかったかもしれない。この改造巫女装束の方が自然な感じがする。
スタンダードな方は、やっぱり黒髪が最も映えるだろうしな。
金髪金眼のヒメ様には少し申し訳ないけれど。
まあ、それはあくまでも前世日本人だった男の感想に過ぎない。
この世界ではまた違う感想になる可能性もある。
何せ、少女化魔物はその個体が持つ属性によって髪と瞳の色が変わってしまうのだ。
イリュファのような闇属性でもなければ、黒髪黒眼はあり得ない。
少女化魔物と接する機会が多ければ多い程、その辺りの感覚が大きく異なっていても不思議ではない。美的感覚というものには、慣れもまた大きく関わってくるだろうし。
一般人は一般人で、外見的特徴は前世と大きく変わらないものの、そうした特殊な格好に接する機会自体が少ないので意外とこちらも似たり寄ったりの感覚かもしれない。
余談にも程があるが。
「動きにくくはないか?」
「問題ございませぬ! 主様からの贈り物、大切に致しまする!」
問いに対して嬉しそうに答えながら、アスカはミニスカート風の短い緋袴がヒラヒラと動くのが楽しいのかクルクルと回る。
狭くて危ないのもそうだが、緋袴が捲れ上がりそうなのも危ない。
……羞恥心が乏しい感のある子にこれはまずかっただろうか。
しかし、こうも嬉しそうな彼女から取り上げるのは可哀想だ。
俺としても折角一つの形にしたものを余り崩したくはない。
後で短パン的なものを作って穿かせるとしよう。
恥じらいのない子を前にすると、どうにも保護者目線になってしまうな。
「アスカ。そろそろ勉強に戻りますよ」
「承知致しましてございまする、先生。では、主様。失礼をば」
と、イリュファに促され、アスカは背筋をピシッと伸ばして再び影に入っていく。
最初自己紹介する時はイリュファはアスカをお客様のように扱っていた気がしたが、この短期間にいつの間にか教師と生徒のような上下関係を作り上げていたらしい。
今のところアスカは思考回路が単純だし、うまいこと誘導したのだろう。
変に揉めたりせずに、円滑な関係を結んでくれると非常に助かる。
「……にしても、到着まで後九時間と少しか。俺は何をしてようかな」
アスカが影に戻ったことで少し広く、そして、静かになった個室で独り言つ。
緊急連絡があるかもしれないので、俺ぐらいは外にいた方がいい。
皆で別の影に移って暇潰しをしている間に、事故でも起きたら目も当てられない。
しかし、九時間もの時間を潰すことはアスカの短パン作りだけでは不可能だ。
当然ながらマナプレーンは前世の飛行機とは全くの別物だし、文明もそこまで進んではいないので、座席のディスプレイで映画を見る、なんてこともできはしない。
景色の変化を楽しめた分だけ、ヨスキ村から学園都市トコハに来る時の列車もどきでの長旅の方が遥かにマシだったかもしれない。引率として若干忙しくもあったし。
「旅を楽しめって言われても、今のところ単なる移動時間だしなあ……」
やはりギリギリまで寮にいた方がよかったんじゃないかという考えが過ぎるが、移動時間を有効活用できずに辟易するのも旅ならではの経験というものかもしれない。
今回はトリリス様達の顔を立てて、大人しくマナプレーンに乗っているとしよう。
まあ、到着前の六時間は、時差ボケを最小限にするために睡眠を取る予定だけども。
「……ま、本でも読んでるか」
それでも後三時間ぐらいは残っている暇な時間。
俺は仕方なく、影の中から小説を取り出して読むことにしたのだった。
旅っぽさは全くないな、と微妙な気持ちを抱きながら。
コメント