【初稿版】特オタ~特撮ヒーローズオルタネイト~

青空顎門

閑話 兄妹姉妹

 翌朝、何となく寝苦しく感じて、雄也は珍しくアイリスに起こされる前に目が覚めた。
 そうして瞼を上げて最初に認識したのは、愛らしい少女のあどけない寝顔。
 自分にしがみつくようにして眠っている無防備な妹の姿だった。
 しかし、人格が今どちらかは分からず、呼びかけるのに少し困る。

(……二人の体そのものは、名前を合わせてメルクリアって呼べばいいかな。確か店の名前もそんな感じだったし)

 正直ここまでは半分以上寝惚けていた。
 そんな益体もないことを考えてしまう程度に。
 そうやって雄也が寝起きでボンヤリしていると――。

「んう……お兄、ちゃん」

 メルクリアの口から寝言が零れ落ちた。

(ああ、メルっぽいな)

 その様子を微笑ましく思いながら、その鮮やかな青髪を柔らかく手で梳く。

(って……ん? 何でここにいるんだ?)

 そこでやっと完全に意識がハッキリして、雄也は目の前の状況を理解した。
 同じベッドに女の子。以前の双子の姿ならまだ微笑ましいで済むかもしれないが、微妙に成長してしまったせいで何となく際どさが増している。
 いや、以前の姿でも元の世界なら通報ものかもしれないが。

(何にせよ、もしこんな状況を誰かに見られたら――)

 よくあるラブコメのように変な誤解されてしまいかねない。
 だが、そうやって焦ると、その通りの展開になるのが世の常というもの。
 案の定と言うべきか、自室のドアがゆっくりと音も立てずに開いていく。まるで雄也を起こさないように細心の注意を払っているかの如く。
 そうして慎重に部屋に入ってきたのは、いつものように起こしに来てくれたアイリス。
 位置的に彼女の目にメルクリアの姿は映っているはずで、もはや言い逃れは不可能だ。
 こうなると、もはや時間稼ぎのために寝た振りをするしかない。
 そんな雄也の悪足掻きを前にして、アイリスは何かしら感情が乱されていることを示すように、あからさまに足音を立ててベッドの傍に近寄ってきた。
 数歩分の歩みの後、音は途切れて彼女が自身の顔を眼前に寄せてくる気配を感じる。

(い、いつものパターンではあるけど……)

 息遣いを感じる、と言うか、息がかかっている。
 ドクター・ワイルドの呪いのせいで声を出せない彼女だ。どういう状況であろうと言葉で雄也を起こそうとすることはできない。
 と、次の瞬間、アイリスはフーッと顔に息を吹きかけてきた。

「ちょ、アイリス!?」

 そんなことをされては目を開けざるを得ない。
 思わず抗議するように彼女の名を呼ぶが――。

【やっぱり起きてた】

 威圧感を湛えた微笑と共に、そう文字を目の前に突きつけられては文句も言えない。

【ユウヤ、これはどういうこと?】
「あ、いや、その……」

 微笑みを保ったまま文字を重ねてくるアイリスに、雄也は思わずしどろもどろになってしまった。こちらに落ち度はないはずだが、妙に焦る。
 浮気がばれた男の心境とはこういうものなのだろうか。

【私だってまだ同衾はしてないのに】
「え、いやあの、アイリスさん?」

 微妙に唇を尖らせるアイリスに「そこが問題なのか?」と一瞬戸惑うが、よくよく思い返してみると割といつもの反応だと考え直す。

「んー……お兄ちゃん……どうしたの?」

 そうこうしていると騒ぎで目を覚ましたのか、メルクリアが目を擦りながら体を起こした。口調と仕草的に、やはり表に出ているのはメルの人格のようだ。
 そんな彼女は自然な動作で再び雄也の腕を取り、そこで初めてアイリスに気づいたのか視線をそちらに向けて口を開いた。

「あ、アイリスお姉ちゃん、おはよう」

 そして、子供の無邪気さでマイペースに挨拶をするメル。

【おはよう、メル。クリアは?】

 そんな妹分に対してはさすがのアイリスも威圧感を湛えた視線を向けられないようで、彼女は僅かに気配を和らげながらそう尋ねた。すると――。

「クリアちゃん、意外と寝起きは弱いから」
『……んん、もう……余計なこと、言わないでよ、姉さん』

 アイリスの問いかけに答えたメルの言葉で目が覚めたのか、クリアの声が〈テレパス〉によって頭の中に響き始める。
 まだ少し舌足らずに聞こえる辺り、メルの言うことは本当のようだ。

『おはよう。姉さん、兄さん……とアイリス姉さんも』
「おはよー、クリアちゃん」「おはよう、クリア」
【おはよう】

 クリアの様子に和みながら、それぞれ彼女の挨拶に応じる。
 雄也もまたそうしながら、アイリスの表情を盗み見た。
 話が逸れて彼女も少しは落ち着いてくれるかと期待したのだが……。

【朝御飯できてるから早く降りてきて。ユウヤはいつも通り、ティアとプルトナをお願い】

 そうとだけ文字を浮かべて部屋を出ていったアイリスは、しかし、その途中で「後で詳しく聞かせて貰う」と言わんばかりの強い視線を一瞬向けてきていた。
 まず間違いなく、朝食が追求の場となることだろう。
 思わず頭を抱えて溜息を洩らしてしまう。

「お兄ちゃん、大丈夫? どこか体、痛いの?」

 雄也が朝っぱらから疲れたような素振りを見せたことを昨日の色々が原因と考えてか、心配そうに首を傾げるメルクリア。

「いや、大丈夫だよ。どこも痛くない」

 全く影響がない訳ではないが、さすがはオルタネイトと言うべきか痛む部分はない。
 それでも万全とは言いがたいが、僅かに動きが鈍い程度だ。
 生活には何の問題もない。

「それより朝御飯だ。身支度をして食堂に行こう」
「はーい」
『分かったわ』

 二人は雄也の言葉に素直に返事をすると、朝起きてから今の今まで何もおかしな部分などなかったとばかりに自然な様子で部屋を出ていった。
 結局このベッドで寝ていた理由を、彼女達の方から教えてくれるということもなかった。

(うーん、問い詰めた方がよかったかな……)

 そう少し後悔しつつも今は仕方がないと諦めて、雄也はフォーティアとプルトナの部屋に向かうことにした。そうして二人を無理矢理起こし、身嗜みを整えてから食堂を目指す。
 少し気まずくて、入口の影で立ち止まってアイリスの姿を探すが、見当たらない。
 他の全員は既に席に着いているようだが、彼女は朝食の準備のために台所にいるようだ。
 一先ずホッとして自分の席に着く。と、ほぼ同時に――。

「ユウヤ。アイリスは一体どうしたのだ? お前を起こしに行って戻ってきたら、急に機嫌が悪くなっていたようなのだが」

 ラディアが直球で尋ねてきた。
 声をひそめる様子は欠片もない。台所まで普通に届いていることだろう。
 もっとも、生命力に優れたアイリスであれば、いくら小声で話そうとも筒抜けだ。
 内緒話をしたければ〈テレパス〉を使うしかない。
 それをしないということは、言い換えれば、この場はそうすべきではないとラディアは判断した訳だ。
 家庭の不和は互いのコミュニケーション不足によるものが多い。
 普段はともかくとして何かしら問題が起きてしまったら、事情を全てオープンにしてしまうのも確かに有効な解決策の一つではある。

「あー、いやあ……」

 とは言え、さすがに自らあの状況の説明を口にするのは躊躇われた。

「言えないようなことなのか?」

 そんな雄也の態度を前に、不審の目を向けてくるラディア。
 当然と言えば当然の反応ではある。
 それでも尚、躊躇している間にアイリスが朝食の一部を持ってきて――。

【ユウヤがこの子と同じベッドで寝てたから】

 一通り並べた後で、メルクリアの頭に手を置きながらそう文字を作った。
 それから次の料理を取りに再び台所に戻っていく。

「……ユウヤ、お前」
「アイリスやワタクシ達というものがありながら」
「いきなり一番年下に行くなんてねえ」

 何気ない態度のアイリスから放り込まれた爆弾に、ラディア達三人が白い目を向けてくる。このロリコンめ、とでも言いたげだ。
 いや、この世界アリュシーダにロリコンという言葉があるかは知らないが。

「あ、あの、お兄ちゃんは悪くありません!」
『そうです。私達が勝手にお兄ちゃんのベッドに入り込んだだけで……』

 と、そこへ慌てたように双子が擁護をしてくれる。

「いや、二人共。以前ならまだともかく、腕輪の影響で少し見た目が大人っぽくなってしまったのだから、そういうことは余りよろしくないと思うぞ」

 そんな彼女達にラディアが困ったような顔をした。

「兄妹だから、問題ないはずです!」
『そうですよ!』
「む、むう」

 メルとクリアの反論にラディアは否定しにくそうに唸る。
 兄妹ではない、と身も蓋もないことを言って関係に水を差したくないのだろう。

【そもそも、どうしてユウヤのベッドに潜り込んだの?】

 口を噤んだラディアに代わり、朝食を並べ終えて雄也の隣の席に座ったアイリスがそう文字を作って問いかける。
 すると、メルは恥じ入るように視線を下げながら答えた。

「昨日の夜。最初は自分の部屋で寝ようとしてたんだけど、体が一つになったせいか何だか無性に寂しくなっちゃって」
『いつも二人で寝てたから……人肌が恋しいというか、何と言うか』

 姉に引き続いて、クリアもまた躊躇いがちに言う。

(寂しい、か)

 確かに今まで寝る時も二人一緒だったのであれば、精神的には変わらず二人のままだろうと、体の感覚的な部分で違和感を強く抱いてしまっても不思議ではない。
 そうなった原因の一端は、母親たるカエナの命を奪ったことにもあるだろう。

「お兄ちゃん、一緒に寝ちゃ駄目?」

 だから、そんな風に上目遣いで問われては、雄也としては断り辛かった。
 可愛らしい妹のお願いというのも勿論あるが、たとえ負の感情であれ間違いなく存在していた親との繋がりをこの手で絶ってしまった負い目もある。

【貴方達だけじゃ駄目】

 しかし、そうした雄也の躊躇を無に帰すように、アイリスが一言簡潔に文字を作る。

「えー、アイリスお姉ちゃん、酷いよお」
『横暴だわ!』

 対してメルは不平を言いながら頬を膨らませ、クリアは〈テレパス〉で抗議を重ねた。
 しかし、アイリスは厳格な姉のように表情を変えず、文字を作り変え始める。

【駄目なものは駄目。間違いが起こるといけない】
「いや、アイリス、でもな」

 彼女の言葉はもっとも過ぎるが、心情的には容認しにくい。
 それに納得してしまったら、間違いを起こす意思があるみたいだ。
 かと言って、同衾を望むのも憚られ、曖昧な言葉を口にすることしかできない。

【だから、今日からは私も一緒に寝る】

 しかし、直後にそう改められた文字を見て、雄也は目を疑った。
 読み返しても変化することはない。
 そう言えば、三文ぐらい前には「貴方達だけでは駄目」とか文字を作っていた気がする。
 厳格な姉と感じたのは大間違いだったらしい。

「い、いや、その結論はおかしいだろう」

 動揺しつつも一瞬の沈黙を破ってそう言うと、アイリスはおかしいのは雄也の方だとばかりにキョトンとして小さく首を傾げた。

【ユウヤは二人とだけ一緒に寝たいの?】
「いやいや、そういうことじゃなくてだな――」
【二人が寂しい思いをしてもいいの?】
「そんな訳ないだろ」
【なら、私も一緒に寝る】
「んん?」

 何やら妙な論を展開された気がするが、しかし、咄嗟には反論を思いつけなかった。

「ユウヤでなければ駄目なのか?」

 と、横からラディアが双子に問う。
 その疑問は頭になかった。

「お兄ちゃんがいいです」
『兄さんの傍が一番安心できるから……』

 仄かに顔を赤らめながらもキッパリと言うメルとは対照的に、クリアは恥ずかしげに言葉尻を濁す。だが、内容的にはクリアの方が率直だ。
 いずれにせよ、傍でそんな会話をされては、親愛の情を二人から向けられていることに対する嬉しさ以上に、居心地の悪さを感じてしまう。

「ふむ。……ならば、仕方がないか」
「え? ちょ、ラディアさん?」
「兄妹になると言ったのはお前からなのだろう?」
「そ、それはそうですが」
「ならば、責任を取れ」

 釈然とはしないが、そこを言われては是非もない。
 そもそも彼女達を冷たく突き放すことなど、雄也には不可能だ。

「はあ、まあ、メルとクリアについては分かりました。けど、アイリスは――」
【間違いが起きないように、監督役が必要】

 チラッと視線をやると、アイリスは雄也の言葉を遮るように少し不機嫌そうに文字を突きつけてきた。そして、さらに文字を変化させていく。

【ユウヤは私と一緒に寝るのが嫌なの?】
「そうは言わないけどさ。監視役と間違いが起きたらどうするんだよ」
【それはきっと健全。婚約者だし】

 アイリスは婚約首輪を強調するように手で触れた。

「ああ、そう言えば行方不明事件にかまけて、すっかり祝い忘れていたな。おめでとう、二人共」

 彼女の仕草を見て、唐突に寿ぎ始めるラディア。
 諸々の話が面倒臭くなってきたのかもしれない。

「だが、なるべく成人までは自重してくれよ。特にアイリス」
【分かった。自重する】

 わざとらしく一部強調した文字を作るアイリスに、ラディアは溜息をついた。
 何だか、本当にこのまま流れで彼女との同衾まで容認されてしまいそうな雰囲気だ。

「いや、あの、ラディアさん? アイリス?」
「諦めなよ、ユウヤ。アイリスはこの家の食事を司ってるんだ。機嫌は取っとかないとどうなるか分かったものじゃない」

 話を戻そうと試みるが、茶化すようなフォーティアの発言に遮られる。
 しかも、微妙に説得力があって言葉に詰まってしまう。

「そうですわ。何ならワタクシ達も一緒に――」
「君らは寝相が悪過ぎるから勘弁してくれ」
「うぐ」
「ちょっとプルトナ。アタシを巻き添えにしないでよ。アタシ的には忍び込んだり、忍び込まれたりの方がいいんだからさ」

 不穏当な発言はともかく、フォーティアやプルトナも倫理的な部分では問題は小さいと考えているようだ。
 こうなると、何だか自分一人が頑なになっているのが馬鹿らしくなってくる。

「……はあ、もう好きにしてくれ」
【本当にいいの?】

 雄也が諦めると、今度は逆にアイリスがおずおずと問うてきた。

【ユウヤが本当の本当に嫌なら強要するつもりはないけれど】
「さっきも言ったけど、嫌な訳じゃないからさ」

 基本マイペースなアイリスだが、最後の最後ではちゃんとこちらの気持ちを尊重してくれる。そんな彼女だからこそ、強く惹かれている訳で――。

「恥ずかしいのと理性を保てるか心配なだけだから」

 口の中だけで本音をポツリと呟く。
 しかし、それは聴覚にも優れたアイリスには容易く聞き取れるもので、だから彼女は頬を赤く染めながら口元をほんの少しにやけさせていた。

【私は心の準備もできてる】
「いや、だから、自重しろと言うに」

 平静を装いつつも僅かに息が荒いアイリスに、ラディアが呆れ果てたように言う。

【心配いらない】

 それに対してアイリスはさらに表情を引き締めて言葉を返すが、ラディアは不審そうに彼女にジト目を向けた。が、それ以上の追及はせず、一つ大きく溜息をつく。
 そろそろラディアも諦めの境地に入ってきているようだ。

「ええと、とりあえずお兄ちゃん達と一緒に寝ていいってことでいいんですか?」

 いつの間にかアイリスとの同衾の話が一番の問題になっていて、影が薄くなっていたメルが、アピールするように片手を上げて尋ねてくる。

「ああ。そこはもう、お前達に任せる」
「ありがとうございます、先生! よかったね、クリアちゃん」
『何だか、途中から兄さんとアイリス姉さんのイチャイチャを見せられてただけで少し腑に落ちないけど……何にせよ、アイリス姉さんも一緒だともっと嬉しいわ』
【ん。私にもたくさん甘えていい】

 その文字にメルが尚のこと喜びの色を深める。
 きっとクリアも同じ気持ちでいることだろう。

「何だか、少しうらやましいね」

 そんな彼女達の様子を見て、フォーティアが微笑ましげに小さく呟いた。

「二人共、アタシのこともお姉ちゃんって呼んでみないかい?」
「あ、ティア、ずるいですわ! なら、ワタクシのことも!」

 と、プルトナも勢いよく出てきて、期待するような目をメルクリアに向ける。

「わ、分かりました」

 対するメルは若干引き気味の反応だった。

「駄目駄目。丁寧語もなし」

 それでも尚グイグイと行くフォーティアに色々と面倒臭くなったのか、クリアが〈テレパス〉で『はあ、もう分かったわよ』と雑に了承の意を示す。

「じゃあ……ティアお姉ちゃん」
『プルトナ姉さん』
「……うんうん。悪くないね」
「ですわ」

 満足そうに頷く二人に、メルクリアは変な人を見るように微妙な表情をしていた。
 とは言え、不快そうな感じはない。それこそ近しい人への甘えから来る率直さだろう。
 何にせよ、彼女達の距離もこれから縮まっていきそうだ。

「ついでだ。私のこともどうだ?」
「え? えっと、先生はちょっと……」

 しかし、ラディアの提案に対しては、メルも戸惑いを声に滲ませながら遠慮していた。
 世話になった恩人が相手では、そうした反応になるのも仕方がないことだろう。
 とは言え、拒否されたラディアは余り納得がいかないようで「ぐぬぬ」と唸っていた。

「もしかして、年か? 年なのか?」

 妖精人テオトロープの年齢など当てにならないはずだが、全ての種族が住まう七星ヘプタステリ王国で長く暮らしていたためか、彼女はそこを気にし出して頭を抱えて俯いてしまった。

『い、いえ! そういう訳じゃなくて、敬いと言うか、何と言うか』
「そ、そうですそうです」

 傷ついた風のラディアを前にして、しどろもどろの弁明をする二人。
 その様子をチラリと見て、ラディアは顔を上げて「冗談だ」と告げた。
 だが、少々声色は寂しげで、全て演技だったようには思えない。
 敬愛が邪魔をして線が引かれている関係を、やはり余り好ましく感じていないのだろう。

「だが、折角同じ家で暮らしているのだ。もっと頼って甘えてくれ。家族のようにな」

 続いたこの言葉にそうした部分がよく表れている。

「『はい!』」

 それに対して二人共嬉しそうに返事をした辺り、多少なりラディアの気持ちは伝わっているはずだ。
 これから少しずつ、邪魔な壁は取り払われていくに違いない。

【そろそろ朝御飯、食べよう】

 いい感じに纏まったと見てか、アイリスが全員に向けて大きめの文字を作り、それを以って寝起きから続いた小さな騒動は一区切りがつく。
 そんなこんなで、この日の朝以降、雄也はアイリスや双子と一緒に寝ることになり、ついでにメルとクリアがフォーティアやプルトナを姉と呼ぶようになったのだった。

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