イレンディア・オデッセイ

サイキハヤト

余談:イレンディア・オデッセイの成り立ち

2008年——とあるMMORPGの「エミュレーターサーバー(サーバーのフリをするプログラム)」を使って、「ロールプレイ必須」のサーバーを構築しました。
TRPG関連の方は、ロールプレイ(RP)と聞くとピンと来るかも知れませんが、ロールプレイと言うのは「役割を演じる」ことです。
こと、私の運営していたエミュレーターサーバーでは、「キャラクターになりきる」と定義していました。つまりは、ままごとのような「ごっこ遊び」ですね。
とにかく、プレイヤーは、何らかの「キャラになりきって演じながら」遊ぶ必要のある、非常にマニア向けのサーバーでした。

非常にマニア向けと書きましたが、本当にその通りで、プレイヤーはごく少数でした。
しかしながら本気で作った世界、マップだけはもの凄く広かった。そのため、そのままではプレイヤーのキャラが出会わず、興ざめな雰囲気になるのが目に見えていました。
そのため考えたのが「怪物どもがたくさんいて、民は街で生活しなければならない」と言う設定でした。
実はこの設定を考えたのは1999年。当時既にエミュレーターサーバー「Occupied Realm」を構築(かなり先駆け的でした。そのゲームに於ける日本のエミュレーターサーバー運営者としては、当時の先駆者の一人だと思います)して、遊び遊ばせていた時に考えた物です。検索すれば出てきます。
そんなこんなで、エミュレーターサーバーを運営するのは、2008年で二度目でした。1999年の試みが楽しかったため、それを踏襲することにしたわけです。
当時は、「進撃の巨人」や「甲鉄城のカバネリ」なんかは当然無いので、「極限状態」設定が被っているように見えるのは、本当に気のせいです(笑)

そうして始まったサーバーの名前は、本当は「エレンディア・オデッセイ(Elendia Odyssey)」でした。こちらも、検索すれば出てきます。中身はこの小説の邪魔になるので、既に見られなくなっています。

エレンディア・オデッセイは、元々NPC、つまり運営側である私が操作する「ノンプレイヤーキャラクターを題材にした小説を書きたい」と言う目論見があって始めたものでした。
そこに出てきたNPCの一人がジャシードです。当時プレイヤーには「名前が怪しそう」「悪役っぽい」という感じで怪しまれていた気がします。実際はそんな事ないのですが……。
その時のNPCとしてのジャシードは、中年期でした。当時からジャシードの幼年少年期を描きたい気持ちがありました。
ジャシードは目立つキャラでしたし、私が目立つように演じていたのです。

サーバー開設時から、予め決めてあったストーリーラインに乗せて、イベントを何度も何度もやりました。それを「リプレイ(やった内容をまとめて記述)」を小説もどきの文章で記載していきました。
サーバーそのものは、諸般の事情で閉じてしまいましたが「ストーリーは完結させる」という宣言をしていたため、2015年までずっと暇を見つけては書く日々でした。
そのストーリーは2015年に完結を見て、半年ほど休憩を取り、ジャシードを主人公とした物語に着手することにしました。

いざ小説にしてみようとして言葉を検索してみたところ、「エレンディア」という言葉は、たくさん世にあることが分かりました。そこで、敢えてイレンディアに変更しています。
検索すると「もしかして:インディア」と出てくるのは、少々寂しい感じもします。しかし英語読みだとElendiaはイレンディアになるだろう、というのは理由の一つです。

ゲームを実際に置き換えるという作業は、ロールプレイをしていた人間にとっても、なかなか難しい部分があります。
それはゲームのシステムなどの部分をどう表現するか、です。例えば「クラス(職業)」を実在としてどう表現するか……。
「クラス」は、現実世界にありません。「これが得意」と言えても、「クラス」のように、「あれはできるがこれはできない」、などという明確な線引きはないのです。
むしろ、やってみたら意外にできてしまうかも知れない。現実とはファジーで難しいものです。
そのため、「あれはできるがこれは不得意」のような物を人々は総称して「○○」と呼ぶ、と言う風にしています。戦闘に限ったことなので、ある程度カテゴリー分けできる感じです。

エミュレーターサーバーでのルールもそうでしたが、ゲームが元だからと言って、数値丸出しはしません。現実として、数値は見えませんし「お前のSTRいくつよ?」なんて聞きませんからね。
これは私にとっては当たり前なんですが、最近の小説には数値が良く出てくるようなので、敢えて書いておきます。あくまでも、キャラクターは生きているのです。

イレンディアは広大です。ゲームとしても攻略要素や収集要素など、結構作り込んでいました。作中にも、作り込んだゲームの特技やシステムが登場します。作中に出てくる、宝石誘導もその一つです。
アイテムを集めて愛着のある武器に浸透させると、魔法的な効果が付いたりするものです。普通の武器が、プレイヤーの手によってマジックアイテムに変化する。これは結構、気に入っているゲームシステムでした。

色々書きましたが、イレンディア・オデッセイは、私の愛着が籠もった世界です。それぐらい、当時は暇という暇を全て注ぎ込んで、本気で作っていた世界なのです。



さてこちらの文章、イレンディア・オデッセイは、一章ごとに、概ね十万字を目指して書いています。何章まで書けるか……、今のところ、分かりません(笑)
時間軸の前後、そして主人公の変化でも、色々書けますから……。このイレンディアを軸に、歴史や文化を紐解く……そんな事ができるかも知れません。

私の実力次第ではありますが、私が文章を書いているときの楽しさを少しでも共有できたなら、それ以上の喜びはありません。

願わくば、これを読んでいる皆さまに、私の楽しい気分が伝わりますように……。


サイキ ハヤト

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