妖精の魔法で俺にモテ期到来!?

I.G

席替え 16

ラッキー!! 一番後ろの窓側じゃん!


駿は一番自分が好んでいた
席を運良く引いたことに
より、珍しく心が踊っていた。


これも、幸福が俺に来るようにらなった
お陰かもな......


駿はそう思いながら、自分の荷物を
新しい席へと持っていき、
着席する。


問題は周りの人が誰かか......
まあ、誰が来ようと
俺には関係ないことだけど。
どうせ、次の席替えまで
喋ることなんてないだろうし
気楽にいけば──


「あ、隣だ。よろしくね、駿君。」


と、ここで聞き覚えのある
声がする。
まさかと思って隣に目をやれば
そこにいたのは


「姫路......さん」


だった。
昨日あんなことがあったにも
関わらず、彼女は気さくに
駿に話しかけてくる。
その不気味な様子を
駿は警戒しつつも、
一応


「よ、よろしく......」


とだけ、顔をひきつらせながら
返事をした。


まあ、何を企んでいるのか
わからんが、別に気にすることも
ないか。
この女、騒がしいタイプの
女子じゃないし、寝るぶんには
問題ないだろうしな。


と、駿は思っていたが......


「やったぁ! 俺姫路さんの
前じゃん。俺ついてる! 」


まさかの駿が最も近くにいたくない
人間が斜め前に来てしまった。


「龍君、私の前なんだ。よろしくね。」


「これって運命じゃね?
マジ来たわーーーー!!!」


もううるさい。駿はすでに耳を
塞いでいたが、鼓膜が破れそうだった。
だが、そんな渡辺にも、ガラスの
仮面を被っている姫路は
ニコッと微笑む。
その反応を見てさらに気を良くした
渡辺は、ちらっと駿に目をやった。


「お! 山崎じゃん! 前も俺、
お前の近くだったよな! 
よろーー!!!」


まるでマブダチ感覚で駿にはいタッチ
を求めてくる。
きっと、自分が皆の人気者である
ことを姫路に見せたいのだろう。


「よ、よろしく。」


いくらひねくれているとはいえ、
空気が読めないわけではない駿は
嫌々ながらにも渡辺と
はいタッチした。



糞......またこいつ、俺の近くかよ。
こいつうるさくて寝れないから
嫌なんだよな......
はぁ......幸福が貰えるから
席替えの運も良くなったかと
思ってたのに......


と、駿が心の中で愚痴っていると


キーンコーンカーンコーン


と、一時限目の授業が開始された。


「あ......」


授業が始まり、少し経った頃。
隣の姫路が不意に消しゴムを
落とした。
消しゴムはそのまま駿と姫路の
ちょうど中間の床で止まる。


駿は半ば躊躇いつつもその消しゴムに
手を伸ばす。


その時


くいっと姫路は駿の胸ぐらを
つかみ、自分の方へと引き寄せる。


「!?」


駿は思わず、うお!? と声を出しそう
になったが、何とか押し殺した。
そんな駿の耳元に姫路は
顔を近付けてこう囁いた。


「昨日のことみんなに言ったら
殺すから。」

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