妖精の魔法で俺にモテ期到来!?

I.G

席替え 15

「ねえねえ、奈子。昨日
体調悪そうだったけど、
大丈夫だった?」


「え?そうだったかな......
私全然元気だけど。」


「そう? ならよかったー。」


あの一件から一夜明け、駿が
教室に入ると姫路は
いつものように友達と会話をしていた。
昨日、屋上で自分を押し倒した
あの女と到底同一人物だとは
思えず、駿は姫路に不審な視線を
送る。
だが、彼女は教室に入ってきた
駿には一瞥もくれることはなく
友達との会話に花を咲かせている
ようだった。



まあ......いいか。終わったことだし。



そう。昨日の一件で駿には
今まで以上に幸福が来るように
なったのだ。
姫路が実は腹黒女だったなんて
ことなど、気にする必要もない。
そう思って駿はトコトコと自分の
席につくのだった。














「おーし、席に着け。」


朝のshrが終わり、普段なら次の
授業の準備をしろと、駿の担任である
松林先生は言うのだが、今日は
違った。


「席替えすっぞ。」


「やったーーーーーー!!!!!」


「しゃっ! きたーーー!!」


クラスの陽キャどもがそれを
聞いて喜びだす。
一方で駿は気持ち良さそうに
日向ぼっこをしているファリーを
頭に乗せて、机に頭を伏せながら
寝ていた。


松林先生は封筒の中に
くじを入れ、それをクラ一人ずつ
引かせていく。


「おい、駿。起きろ。」


「......?」


「お前の番だ。早くくじを引きなさい。」


「あ、すません。」


駿は眠そうに封筒の中に手を入れ、
一枚くじを引く。


「28です。」


「28だな。」


松林先生は封筒と一緒に持っていた
一枚の紙にそれをメモる。


「よし、次。」


「せんせーーい!! 俺、姫路さんの
隣がいいでーーす!!」


「いいから、早く引きなさい。
渡辺。」


渡辺龍。クラスの陽キャ男子の
中でも特に明るく、自分の意見
をはっきりと言うことから
男子の中ではとても人気が高い。
が、主張が激しいことから
やや嫌われるタイプでもある。
しかし、渡辺は常に
姫路に対してこんなことを
堂々とクラスの前で発言するので
今さら誰も驚く者はいない。
寧ろ、何人かの取り巻き男子が


「あははっ! 
はっずっ!!!」


「キモいぞ! 龍!」


と、笑いながら盛り上がっていた。


「5番!」


「5だな。」


ハイテンションに自分の番号を
叫ぶ渡辺に対して、松林先生は
淡々と対応するのだった。






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