妖精の魔法で俺にモテ期到来!?

I.G

マドンナの秘密 9

「本当にごめんなのだ! 
起きたらもう16時で......あの......
その......」


駿は涙目になりながら謝るファリー
の横を通り過ぎて鞄を置く。


「別にいい。」


「お、怒っているのだ?」


「全然。」


「嘘なのだ......」


「マジだって......あ、あと、 もう
俺の好きな女の子を俺に惚れさせなくて
いい。」


「え!? なぜなのだ?」


「いいんだよ。魔法で好きに
なってもらっても俺が困る。」


今日、体育倉庫で姫路と
二人きりになったとき、駿は
痛感した。


自分なんかじゃこの人には釣り合わない。
たとえ、魔法で彼女が俺を好きに
なったとしても、俺は彼女を
幸せになんてしてやれない。


ほんの少しの会話もできなかった
駿は心が折れてしまった。


「別のことで俺を幸せにしてくれよ。
ファリーは俺を幸せにしてくれるん
だろ?」


「......たかしがそう言うなら......」













次の日


今日は昨日みたいにファリーが
変なことをするのではないかという
心配がなくなり、駿には
いつものつまらない日常生活が
返ってきた。


と、思っていたが......


「嘘だろ......」


駿がいつものように教室の
黒板をぼーっと眺めていると
何やらファリーに似た生物が
プカプカと教室の中を浮かんでいた。


だが、クラスの連中は全くそれに
気づいておらず、そのファリーに
似た生物を目で追っているのは
駿だけだった。


「俺だけ見えてるのか......?」


駿は周りの人に聞こえないように
小声で呟く。
ファリーはというと先ほどまで
ちゃんと駿の隣にいたが、
パンを眺めてくるのだ!
と、ついさっきいなくなってしまった。
加えて今は授業中のためファリーに
聞くことができない。
駿はその生物になるべく注目しない
ように勤めた。



キーンコーンカーンコーン


ようやくチャイムがなり、駿は真っ先に
購買部に走る。


「いた......」


着いてみれば、パンの上で
いかにもそれが欲しそうに
指を咥えているファリーがいた。


「おい、ファリー。」


駿は周りに不審に思われないように
小声で話しかける。


「!! たかし! ちょうどよかったのだ!
これ、欲しいの──」


「今はそれどころじゃねぇって!
ちょっと来い!」


駿は雑に手のひらサイズの
ファリーを捕まえ、教室に
連れていく。


しかし


「あれ......?」


もうそこにはあの生物はいなかった。




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