妖精の魔法で俺にモテ期到来!?

I.G

妖精の魔法 5

結果から先に言うと俺の
記録は、ボールが風に飛ばされ
測定不能になってしまったため、
二回目に投げた24メートルが記録
となった。
一回目はこの妖精とかいう
謎の生命体が魔法とやらを
使ったお陰であそこまで
飛んだが、二回目はもう疲れたのだ
と姿を消してしまった。


なんなんだ、こいつは......


俺はその時はそう思っていたが
部屋に帰宅し、あの出来事を
冷静に考えてみると、
やはりあの胡散臭い生命体は
妖精なのかもしれないと
思ってしまう。
なぜなら、たまたまあそこまで
ボールが飛ぶはずないし、
そもそも体を子猫のサイズまで
縮めることができるなんて
ありえない。
信じがたいが......あいつは妖精......
いや、仮に妖精でなくても
本当に魔法とやらが使える生命体
なのかもしれない。


「どうしたのだ? たかし。」


「......いや、なんでもない......」


紫がかった髪の毛に金色の目。
明らかに日本人、いや地球人
とは違った独特の容姿をした
その妖精を、駿は苦い顔を
しながらまじまじと見る。
今は少女の姿へと戻っているが
ついさっきまでは子猫のサイズで
部屋の中をプカプカ浮いていた。
そのあまりの変容に駿の
理解が追いつけない。


「もしかして怒っているのだ?
あのボールを投げる競技で
失敗したのに。」


「......」


「しょうがないのだ。僕も人間界に
来てからまだそんなに時間が
経ってないから、魔法の加減が
よくわかんなかっただけなのだ。」



「そうじゃねぇよ。てか、別に
怒っているわけじゃない。」


「じゃあ、なんでそんなにしかめっ面
なのだ?」


「......はっきり言って、お前が
妖精だとは信じられない。」


「はぁ......まだ信じてないのか。
うーん。」


妖精はしばらく考え込み、何かを
閃いてぱっと表情を明るくした。


「そうだ! たかしには好きな女の子は
いるのか?」


「す、好きな女の子? い、いねぇよ。」


咄嗟のことで下手な嘘をついた
駿を、妖精は見逃さなかった。


「いるんだな。じゃあ僕に
任せてなのだ!」


「!? お、お前何言って──」


「僕が明日、学校というところで
駿の好きな女の子に駿を惚れさせて
みせるのだ!」


「......はぁ!?」


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