当て逃げされなかった!!っていう日常
第1話 ドンッという音、
私、細島周は少し地味目の高校2年生。髪を肩まで伸ばしていたけど、中学から付き合っていた彼氏に完全に浮気をされて、今のショートヘアに至る。挙句、父親によく似た中性的な顔つきのおかげで、男性にも女性にもみられる便利な生活(?)を楽しんでいる。
とは言っても、もともと友達付き合いは少なくちょっとの負けず嫌いとその割にあまり積極的ではない性格が災いして今や孤高の狼状態。
昨日も、結局一人で部室前のグラウンドを見ながらのんびりとお昼を済ませた。あまり風が強くなくてよかったなと、そこが午後の活力になった。
そして今日、私の運命はゆっくり歯車の位置を変え始めたらしいけど、そんなことは知らないまま、家の時計の針を睨みつけてから、「行ってきます」と父と母に声をかけた。
いつもはこれですぐにバスに乗るところだけど、今日は何となくゆっくり登校しようと昨日から一人計画して、20分早く家を出たのだ。
昨日の夜のうちに入れたかった新曲をダウンロードしたところで、私は微かに気分を上げていた。
イヤホンを耳につっこんで、少しだけ小走りで大通りに出た。
その時私は忘れていた。
この道には歩道もなく急に人が飛び出せば……
キキーっ!!!!
「あ」
ドンッ!!
私の体は3mほど先に飛ばされた。
あんまり飛んでいないから、きっとブレーキが利き始めていたんだろうな……と鋭い足の痛みで倒れこんだままでぼんやりとぶつかったであろうピンクの丸い軽自動車を見ていた。
あ、バックした。
当て逃げか……、どんまい私。痛み引いたら学校に連絡して……あとそれから……。
「あんた大丈夫!?」
私が次の行動をなんとなく計画していた時、逃げていくはずの車はエンジンを止めた。
あれ?何で車から人が降りてきて……私の元に駆け寄ってるの?
「ちょっと?けがは!?ってないわけないわね。」
その声は女性にしては低くて顔立ちは男性のようだけど、綺麗な化粧がされていた。服装は夏らしいブラウスにすっきりしたスカートを着こなしていた。
私は返事をしないわけにもいかず、口を開いた。
「大丈夫です。少し転んだだけですかッ……ら゛……。」
体を起こそうとした瞬間に足がみしみしっと音を立てて何かがすれる感覚は激痛に変わった。
「やっぱり大丈夫じゃなかったのね。……ちょっと?失礼するわね!」
動きが鈍った私に、その人は一声かけると私のわきを持って引き上げると自分の肩にひょいと担ぎ上げた。
「あの、本当に大丈夫「あんた何言ってんの!!大事な人んちの娘さん轢いといて放っとけるわけないでしょ!!」えぇ~……。」
私何で怒られたんだろう……。この人もすごくおっさん臭いこと言うし……。あれ、どっちで解釈すればいいんだろう……分かんなくなってきた。
この人は私を車の後部座席に足を延ばしたまま引き込むと、私が黙り込んだからか苦い顔をした。
「中は見えてないわ。痛い方の足はちゃんと上げたままでいてね?」
「あ、の一体どこへ?」
「病院よ!今なら緊急が開いてる時間だから早く見てもらえるはずだから。」
その人はささっとカーナビで近くの総合病院を指定するとエンジンを鳴らした。
「できるだけ運転優しくするつもりだけどどこか掴まっててね?飛ばすから。」
「わかr-」
ブゥウウウンンン!!!!!
返事をする暇も無く飛び出した車は本来10分程掛かるであろう距離を2分で私たちを運んでしまった。
「酔ってない?」
「……はい。」
酔う暇もなかったです……。
「そう!よかった。ちょっと待っててね!」
その人はそう言ってすたすたと入り口に立つ警備員に何かを話してササッと車いすを運んできた。
私は向かってくるその人に一生懸命に要らないとジェスチャーをした。聞いてくれる人じゃなさそうっていうのは何となく感じていたけど。
「そんな、本当に平気です。」
「いいから大人の言う事は聞いておきなさい。」
その人は、もう一度私をひょいと担ぐと、車いすに乗せてしまった。痛い方の足は伸ばしたままいつの間にか傘で固定されてそのまま救急の診察室に運ばれてしまった。
そこには私たちが入った直後に一人の男性の医師が顔を出した。
「あら、おはよう。せんせッ!」
「おはようございます、先輩。」
「?」
医師は、その人と同じくらいの歳に見えた。話の様子から見て顔見知りなのか、その人はニッコリとほほ笑んで医師は顔を露骨にしかめた。
「すみません、お忙しいのに。」
思わず医師に首だけで謝ると、医師は少し表情を和らげた。
そして診察を始めるとすぐに看護師に指示を出した。
「すぐにレントゲンを撮りましょう。待っている間に痛み止めの局部注射をの準備しておいて。」
レントゲンを待つ5分の間に私は事故の経緯をその人と一緒に説明した。医師は説明を聞きながら私の膝下にぶっとい注射を一本刺した。
正直この方が痛いんですけど、と言える雰囲気でもなかったから黙って耐えることにした。それにしても痛い。
レントゲンの結果は膝の下に炎症はあるものの骨とか筋肉に異常はなかった。
私の体どんだけタフなの。
とは言っても、もともと友達付き合いは少なくちょっとの負けず嫌いとその割にあまり積極的ではない性格が災いして今や孤高の狼状態。
昨日も、結局一人で部室前のグラウンドを見ながらのんびりとお昼を済ませた。あまり風が強くなくてよかったなと、そこが午後の活力になった。
そして今日、私の運命はゆっくり歯車の位置を変え始めたらしいけど、そんなことは知らないまま、家の時計の針を睨みつけてから、「行ってきます」と父と母に声をかけた。
いつもはこれですぐにバスに乗るところだけど、今日は何となくゆっくり登校しようと昨日から一人計画して、20分早く家を出たのだ。
昨日の夜のうちに入れたかった新曲をダウンロードしたところで、私は微かに気分を上げていた。
イヤホンを耳につっこんで、少しだけ小走りで大通りに出た。
その時私は忘れていた。
この道には歩道もなく急に人が飛び出せば……
キキーっ!!!!
「あ」
ドンッ!!
私の体は3mほど先に飛ばされた。
あんまり飛んでいないから、きっとブレーキが利き始めていたんだろうな……と鋭い足の痛みで倒れこんだままでぼんやりとぶつかったであろうピンクの丸い軽自動車を見ていた。
あ、バックした。
当て逃げか……、どんまい私。痛み引いたら学校に連絡して……あとそれから……。
「あんた大丈夫!?」
私が次の行動をなんとなく計画していた時、逃げていくはずの車はエンジンを止めた。
あれ?何で車から人が降りてきて……私の元に駆け寄ってるの?
「ちょっと?けがは!?ってないわけないわね。」
その声は女性にしては低くて顔立ちは男性のようだけど、綺麗な化粧がされていた。服装は夏らしいブラウスにすっきりしたスカートを着こなしていた。
私は返事をしないわけにもいかず、口を開いた。
「大丈夫です。少し転んだだけですかッ……ら゛……。」
体を起こそうとした瞬間に足がみしみしっと音を立てて何かがすれる感覚は激痛に変わった。
「やっぱり大丈夫じゃなかったのね。……ちょっと?失礼するわね!」
動きが鈍った私に、その人は一声かけると私のわきを持って引き上げると自分の肩にひょいと担ぎ上げた。
「あの、本当に大丈夫「あんた何言ってんの!!大事な人んちの娘さん轢いといて放っとけるわけないでしょ!!」えぇ~……。」
私何で怒られたんだろう……。この人もすごくおっさん臭いこと言うし……。あれ、どっちで解釈すればいいんだろう……分かんなくなってきた。
この人は私を車の後部座席に足を延ばしたまま引き込むと、私が黙り込んだからか苦い顔をした。
「中は見えてないわ。痛い方の足はちゃんと上げたままでいてね?」
「あ、の一体どこへ?」
「病院よ!今なら緊急が開いてる時間だから早く見てもらえるはずだから。」
その人はささっとカーナビで近くの総合病院を指定するとエンジンを鳴らした。
「できるだけ運転優しくするつもりだけどどこか掴まっててね?飛ばすから。」
「わかr-」
ブゥウウウンンン!!!!!
返事をする暇も無く飛び出した車は本来10分程掛かるであろう距離を2分で私たちを運んでしまった。
「酔ってない?」
「……はい。」
酔う暇もなかったです……。
「そう!よかった。ちょっと待っててね!」
その人はそう言ってすたすたと入り口に立つ警備員に何かを話してササッと車いすを運んできた。
私は向かってくるその人に一生懸命に要らないとジェスチャーをした。聞いてくれる人じゃなさそうっていうのは何となく感じていたけど。
「そんな、本当に平気です。」
「いいから大人の言う事は聞いておきなさい。」
その人は、もう一度私をひょいと担ぐと、車いすに乗せてしまった。痛い方の足は伸ばしたままいつの間にか傘で固定されてそのまま救急の診察室に運ばれてしまった。
そこには私たちが入った直後に一人の男性の医師が顔を出した。
「あら、おはよう。せんせッ!」
「おはようございます、先輩。」
「?」
医師は、その人と同じくらいの歳に見えた。話の様子から見て顔見知りなのか、その人はニッコリとほほ笑んで医師は顔を露骨にしかめた。
「すみません、お忙しいのに。」
思わず医師に首だけで謝ると、医師は少し表情を和らげた。
そして診察を始めるとすぐに看護師に指示を出した。
「すぐにレントゲンを撮りましょう。待っている間に痛み止めの局部注射をの準備しておいて。」
レントゲンを待つ5分の間に私は事故の経緯をその人と一緒に説明した。医師は説明を聞きながら私の膝下にぶっとい注射を一本刺した。
正直この方が痛いんですけど、と言える雰囲気でもなかったから黙って耐えることにした。それにしても痛い。
レントゲンの結果は膝の下に炎症はあるものの骨とか筋肉に異常はなかった。
私の体どんだけタフなの。
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