真っ黒マントのうさぎさん

石ノ森 槐

第6話

「そいつらが言ってたの?」
「うん。だから急にうちらを遠ざけたのかなって思ってたけど違うの?」

サトとみゆきだけで始まってしまった話に私は首をかしげた。
すると、みゆきは目をゆらゆら動かしてから私に目を向けた。

「何の話か聞いてもいい感じ?」
「うん……聞いてもらわないといけないかもしれない話。あと……ここだとまずい。」
「ん?」

みゆきの言葉にサトもうんうんとうなずいていた。
私たちは、みゆきの言うとおりにカラオケボックスに入った。
は?もちろん頼んだものを慌てて食べ終わらせたよ!!

「それで?何の話?」
「えっと……まぁ”燈湖龍央”の話なんだけどさ。」
「何でフルネーム?」

「まぁまぁ、あ、何か頼も!!」
「「」」
私とみゆきが必死に首を横に振ると、サトは不服そうに受話器でうどんを注文してた。
どんだけ入るの、サトの胃袋。

「龍央が何?」
「まぁぼんやり言ってもしょうがないからはっきり言うわ!あいつ、ヤクザの組長の息子なの。」
「」

……は?
今……私は何を聞いたの?

「うん、あたおかな話みたいだけど、マジなの。」
「……ヤクザって……あのいかついおじさんたちのいる?」
「そう。」
「刃物とか銃とか持ってる?」
「そう。」
「薬とか売ってる?」
「うん、違うところもあるけど……。」

ってことは本当の本当の話なんだ。あいつがヤクザ?!ってそれより!!
「……詳しいね。」
「まぁ、警察官の娘だし?」
「ガバガバじゃん。」
「あ、違う違う!!あっと、元々龍央と私ちっちゃいころに公園で遊ぶ仲だったからヤクザってのは知ってたんだけど。その……龍央がさやに告ってきた時に馬鹿にされてんのかと思って詰め寄ったら『お前の倒産に聞いてみたらどうだ』的なこと言われたから……それでまぁ色々と。」

「いや、それが一番怖い!みゆき……危なかったんじゃないの?」
「危ないよ……、いや!さやが龍央と付き合いだしたことも、サトがコンビニであいつのこと見ちゃったのがもっと危ないけどね!!」

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