真っ黒マントのうさぎさん
第5話
パタン…
「ただいま。」
って今日は母さん午後勤務でいないんだったよね…。
私の家はシングルマザーって呼ばれる家庭。
父さんは私が産まれる前に知らない人を庇って亡くなった…って聞いた。
庇われた方の人が何度も家に電話をかけてきて『お礼をしたい』って言われてるらしいけど母さんはそれを絶対に受けたくないんだって。
母さんはまだ父さんが亡くなった時のショックから抜けられないのかもしれない。
話を聞いた時にそう思って、それから細かい話は聞かない。
私が電話を取っても断るようにしている。
だから家計は…多分大変なんだと思う。
なのに母さんは一度も私をお金のことで嫌な思いなんてさせたことがなかった。
むしろメイク道具買えるくらい余裕がある。
まぁ、買った月はお昼ご飯をさとからもらったお菓子でほぼほぼ賄ってるっていえばその通りなんだけどね。
さてと…ご飯作っちゃおうかな。
昨日のうちに母さんが買い物しておいてくれてるから、今日は…。
………。
ガチャッ
「あ、おかえり、母さん。」
「あら、ただいま。今日は帰るの早かったかしら?」
この落ち着いた言葉遣いの人が私の母さん。
私の起きてる顔を見ると嬉しそうに目尻を下げる。
「ううん、ゆっくり起きてただけ。それにちょっと聞きたいこともあったし。」
「聞きたいこと?」
「お父さんってどういう人だった?」
今まで避けてた話題だった。
でも今日はなんか聞きたいんだよね。
母さんも今の私みたいにバタバタしたのかな…。
私が聞くと母さんは驚いたのか目を見開いた。
「そうね…凄く消極的な人だったわね。」
…ん?
「私が猛アタックしたのよ。」
んん!?
「まじか。」
「フフッ、マジよ。なのにあの人ったら私から告白した時に"プロポーズは俺からさせてくれ"って。」
…変なところで頑張ったんだね…父さん。
「そうなんだ…。」
「どうしたの?急にそんなこと聞くなんて…好きな人でもできた?」
「ッ…。」
「あら、図星?」
危うくお茶吹き出すところだった。
まだ口に含む前だったから良かったけど。
「…私の話はいいってば。それより、お母さんの惚気聞かせてよ。」
私は誤魔化しながら、自分が父親に似ているって感じた。
「ただいま。」
って今日は母さん午後勤務でいないんだったよね…。
私の家はシングルマザーって呼ばれる家庭。
父さんは私が産まれる前に知らない人を庇って亡くなった…って聞いた。
庇われた方の人が何度も家に電話をかけてきて『お礼をしたい』って言われてるらしいけど母さんはそれを絶対に受けたくないんだって。
母さんはまだ父さんが亡くなった時のショックから抜けられないのかもしれない。
話を聞いた時にそう思って、それから細かい話は聞かない。
私が電話を取っても断るようにしている。
だから家計は…多分大変なんだと思う。
なのに母さんは一度も私をお金のことで嫌な思いなんてさせたことがなかった。
むしろメイク道具買えるくらい余裕がある。
まぁ、買った月はお昼ご飯をさとからもらったお菓子でほぼほぼ賄ってるっていえばその通りなんだけどね。
さてと…ご飯作っちゃおうかな。
昨日のうちに母さんが買い物しておいてくれてるから、今日は…。
………。
ガチャッ
「あ、おかえり、母さん。」
「あら、ただいま。今日は帰るの早かったかしら?」
この落ち着いた言葉遣いの人が私の母さん。
私の起きてる顔を見ると嬉しそうに目尻を下げる。
「ううん、ゆっくり起きてただけ。それにちょっと聞きたいこともあったし。」
「聞きたいこと?」
「お父さんってどういう人だった?」
今まで避けてた話題だった。
でも今日はなんか聞きたいんだよね。
母さんも今の私みたいにバタバタしたのかな…。
私が聞くと母さんは驚いたのか目を見開いた。
「そうね…凄く消極的な人だったわね。」
…ん?
「私が猛アタックしたのよ。」
んん!?
「まじか。」
「フフッ、マジよ。なのにあの人ったら私から告白した時に"プロポーズは俺からさせてくれ"って。」
…変なところで頑張ったんだね…父さん。
「そうなんだ…。」
「どうしたの?急にそんなこと聞くなんて…好きな人でもできた?」
「ッ…。」
「あら、図星?」
危うくお茶吹き出すところだった。
まだ口に含む前だったから良かったけど。
「…私の話はいいってば。それより、お母さんの惚気聞かせてよ。」
私は誤魔化しながら、自分が父親に似ているって感じた。
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