真っ黒マントのうさぎさん

石ノ森 槐

第2話 

「中村さん「のわぁああ!」...。」
...び、びくった...超ビビッた!

「何!?」
「お3方はどちらがいいですか?」
「は?」

唐突すぎデショ!!

「え?うちら?」
「何?キモおう。」

「...文化祭の出し物を決めたいので多数決の参加をお願いします。」

「ヤダ。」
「ムリ。」
「キョヒ!!」

私らが声をそろえてキョヒると、普段ならすぐ諦めてるのに...今日は珍しく龍央は口角を下げた。

「みなさんがいないと決まらないんです...今、同票なので...。」

「」
「」
「」

私らは目を合わせた後、恐る恐る黒板の方を見た。

「...マジか...。」

黒板には白い文字で『不思議の国のアリス』と『白雪姫』と記されていた。

...カフェ...コスカフェ(コスプレカフェ)...。

「これって...うちら次第ってこと?」
みゆきのこわばった声に龍央がこくりと頷いた。

私とみゆきは『うげっ』と顔をしかめていたけど...なぜか!なーぜーかー!

さとは目をキラキラさせていた...。

「サトはどーしてそんなにワクワク顔なの?」

やっぱしみゆきも気づいたか...。

「だって、コスプレできるんだよ?フリフリを着ても怒られないんだよ!?こんなにラッキーデイが待ってるのにワクワクを隠せるわけ?!!!!」

あぁそう言えば、サトはうちらの中で一番女の子って感じしてて私服もレースの服が多かったっけ。

「それに、さやにはアリスが似合うと思うんだよね!うん!」
「そだね?...って、え゛!?」

今この子なんて言った?
今ボケッとしてて聞いてなかったんだけど!

「え、さやもやる気だったの?」
「え?マジで何?」
「こりゃ聞いてなかったってオチか...さや。ドンマイ。」

「...ッ!?」

いつの間にか私たちの分の票が正の字の中に足されていた。


そして...



「なんで私らがアリスって決まっちゃってるわけ!?」
「え?うち..."ら"?」

「...げぇ...。」

私とみゆきとサトが...『アリス役』として抜擢されてしまっていた。

「ちょ、待ってよ!私たちがやるって言ってないじゃん!」
「...お3方が一番化粧や服の着こなしに特化してると思うので...。」
「「「」」」

こういう時はホイホイと持ち上げちゃうってこと?
いつも飽きずに注意来てくるくせにッ!!

「ハッ、意味わかんないから。それに、アンタうちらのこといつも注意するじゃない。」

みゆきもこのことに関しては気に入らないみたいで、ガタリと立ち上がった。

すると、龍央は頭の後ろを少しかいて息を吐いた。

「...では、これからは注意をしないようにします。」
「は?何そのめんどくさそうな態度。」

「でも!」
「ッ!!」

龍央の珍しく大きな声にクラスの雰囲気がキリッと固まった。

「この文化祭に成功したら...です。」
「...え?」
「もし客足が他のクラスに負けた場合...。」

そこまで言うと龍央は私たちの席にコツコツと近づいてきた。

「な、何よ。」

「みゆきさん。あなたはその髪の色とネイルを平常時の状態に直してください。」
「はぁ?」

「サトさん。あなたは化粧と不要物持ち込みをやめて下さい。」
「ちょっと!」

うわ、二人の顔色が見る見るうちに険しくなっていく...。
これって私にも火の手が回るってこと...?

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