Recollection~SとМを間違えたら~

石ノ森 槐

甘い時間

「…ン。」
雅樹は俺の頭を使わせないつもりらしい。
俺の首筋にきつく吸い付いたかと思えば、そこを執拗に舌先でくすぐる。

その間にも、雅樹から俺の手は解放されていて、その手は俺のYシャツのボタンを一つひとつ大事そうに外し始めていた。

外してはだけさせてすぐに唇がふれて舌がなぞっていく…。

俺にはその感覚すらいじらしい。
「雅樹ぃ…。」

「大丈夫だよ、怖くないようにゆっくりやってあげるから。」
そういって見上げた雅樹は、この行為がわざとされているのが分かってしまうほど妖艶に笑っていた。

「雅樹…ちゃんと触ってッ。こんなやり方…やだぁ。」
あまりにいやらしい声を上げていた俺はあわてて口を手で覆った。

「フフッ、言ったでしょ?”もっと俺を欲して”って、ね?」
「い・・・じわるッ…はぁッ…!」

雅樹の手が俺の胸の突起の上をかすった。

ダメだ…勝手に声が…。

「ハハッ、遥感じすぎ。ここ。」
そういって雅樹の手は俺の胸全体をさするようにして俺の突起に指を絡ませた。
ビクンッ
突起がはじかれた瞬間俺の体は反応してしまった。

「ふぅ~ん。」

「?んぐっ!?」
雅樹は俺の胸から手を放すと、その指を俺の口に突っ込んだ。

「ンッ?…ふぅ…うぅ…。」
雅樹の指は口の中でやわやわとうごめいて、俺の上あごを爪でこすった。
下で押し返そうと舌を絡めると、その下を指で挟んでフニフニともみ始めた。

「ふぁ・・・。」
俺にはその感覚さえ反応を高める要因になってしまう。

俺の反応に満足したのか、指はやっと抜かれた。

「自分のよだれってなじみやすいのかな。」
…はい?

雅樹の質問に首をかしげると、雅樹はにっこりとほほ笑んでよだれでぬれた指を俺の体に滑らせた。

「ちょッ、何やって…ッ!」

雅樹の指はぬるりとした感触を残しながら胸の突起に伸びてきた。
そして猶予のないまま突起を押した。

「ぅあッ!」
俺はこれ以上声を出したくなくて自分の手の甲をかんだ。

「あれ?遥…声抑えちゃうの?可愛かったのに。」
「ふ、ざけんなッ!!こんなの知らないッ!!」

俺の発言に機嫌が悪くなったのか、眉間にしわを寄せた。

「知ってたら困るんだけど。俺が全部初めてもらうんだから。」
そういうと雅樹は俺の胸の突起を両手でひっかいた。

「ひぅっ!?」
「ちゃんと鳴かないなら痛くするよ?」

俺は、やむを得ず手を枕の後ろに置いた。
すると納得したのか手の動きを再開した。

「あッ・・・。」
俺は声を抑えない代わりに、雅樹から目を逸らしてやった。

これは雅樹だっていやだろう。
あんなに俺と目を合わせようとしてたんだから。

「遥…。俺のこと見たくなくなっちゃったの?」
ふんっ、無視してやる。

「へぇ。なら何しても嫌がらないでね?」
は?

「やっぱり自分のよだれだとすべりがいいんだねぇ。」

俺がちらりと雅樹を見ると、嬉しそうに笑って俺の顔を見つめていた。
「俺のだとどうなっちゃうんだろうね。」

そういって雅樹は俺の突起に口を近づけた。
何をされるかなんて考えなくてもわかるッ。

「雅樹ッ、やめ「あれ?こっち見てたの?今頃見てもやめてあげないのに。」ッ。」

その直後、雅樹の口は俺の突起に吸い付いてしまった。

「ふぁッ!だめ、や、やだッ…おねがッい。」
俺は雅樹の頭にしがみついて必死に懇願した。

でも雅樹はやめるどころか、舌で突起を転がし始めた。
「あぁッ・・・!」
抗う事すらできずに、必死に枕にしがみついて感触に耐える。

雅樹の口が離されるころには、息が上がってしまっていた。
「はぁ、間接キスしちゃったね、しかも遥くんの体で。」
「間接なんてやだ。」

「・・・え?」
言った直後俺は顔を逸らした。
もうやだ…。心に浮かんだ言葉が勝手に口から出た…。

「それは本心・・か。」
目を逸らしたのに何でこんな時のは気づくんだよ!!

「本心じゃ・・・ンッ。」
否定の言葉もむなしく雅樹の唇に包まれて俺は受け入れた。
雅樹のキスはやっぱり気持ちが良くて体がフルッと勝手に反応を始める。

「はぁ、遥の口の中おいしい。」
「…ばかじゃねぇの?」

こんな時でも悪態ついちゃう自分の口が憎い…。

「まぁもっとおいしいとこを俺は知ってるけどね。」
「・・・ッ!?」

雅樹の目線の先には…俺のあれがそびえたっていた。

「そ、それはだめ!」
「でも、もうそろそろ触ってほしいんじゃ?」

うぐっ
雅樹は俺の状態を分かったうえで進めてるんだ・・・。
「遥。俺は無理はさせない。」

「…なら、手で触るだけにして。…口がふれるようなところじゃない。」
「ちゃんと昨日洗ったじゃん。」
「」

昨日の記憶ないんですがッ?
「まぁ洗わなくても遥のはきれいだけどね。」
「変態ッ!」
俺が発した言葉に雅樹はにやりとして俺の耳に近づいた。

「じゃ、遥は”淫乱”だよね?」
カァアアッッッ!

「なッ「俺は変態を認めるよ?」はぁ?」
「変態なんだから、フェ〇くらいするよ?」

おい、今規制入ったぞ!!

「遥のやつがおいしいのは高校の時に確認してるから問題ないよ?」

おい、今聞き捨てならない発言が聞こえた気がするぞ!!

「おれ、させた覚えないけど。」
「うん。事後のなめただけだから気にしないで。」

思いっきり変態じゃねぇか!!
「ね?変態でしょ?だからいいよね?」

ってかいつのまにか、俺のものの上に雅樹の手が乗せられていた。
「これ、拒否権無いよな。」
「もち!」

じゃ、聞くなよ!
「…噛むなよ?」
「うん、吸ってもいいよね?」
「・・・ッだめ!!」

ちょっと想像しちゃったじゃん!!
長話の間に少しだけ萎えた俺のものを、雅樹の手がそっと支えた。

なんというか情けないというか…面目ないというか。

でも、雅樹は見詰めたっきり何もしようとしない。
「なぁ…し、扱かねぇの?見たっきりとか…恥ずかしいんだけど。」

「え?だって何もしなくても時々プルってふるえるから可愛いんだもん。」
震えるのは当たり前だろ~がぁああ!!
さっきから顔が近くにあって息がかかって…、感覚が何とも言えない。

「ふぅ~。」
ビクッ
「あはっ、感じちゃった?」

人の体で遊ぶのは犯罪ですよねぇ!
すごくいたたまれない…。

「お前、人の体で遊ぶな。」
「遊んでないよ。感じる体になったか確認しただけ。」

・・・はぃい?
「フフッ、こんだけ感じれば十分かなぁ。」
そう嬉しそうに笑った雅樹の目はしっかり光っていた。

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