Recollection~SとМを間違えたら~

石ノ森 槐

~坂井雅樹ver.~

「ねぇ、坂井君。さすがにひどいと思わない?あのオジサンは私のこと嫌いなのよぉ~!!!!あ゛あ゛あ゛~゛~゛!!!!!!」


「黄花さん、落ち着「落ちついてられっかってのよ!!あのオッサン本当にありえないわ!!!!…グスッ…ウゥ…!!」…まぁまぁ…。」

なんかこの感じ…懐かしいな…。
遥くんも…お酒弱かったんだよな…。

グダグダに酔い潰れて、二日酔いにまでなったっけ…。

「…ねぇ、あなたは好きな人っている?」

「え…?」
黄花さんは、カクテルの氷をカラカラと鳴らした。

「私は、あなたのこと好きになっちゃったのよ。」

…これって…告白なんだよな…、酔ってる…のか?

さっきのマスターに助けを求めようと、カウンターを見た…んだけどッ!!

さっきのマスターは、冷たい目をして俺を捕らえていた。

ちょ…マスター怖いからッ!!

「私と付き合ってくれないかしら…。」

うわ、これ確実に死亡フラグだよな…。

前には黄花さんが告ってきてて、後ろからはマスターに睨まれてるし…ッ

って冷静に判断してる場合じゃないッ
マスターこっちに歩いてきたし!!

俺には…俺には…



『坂井!』


『…雅樹…ッ』



やっぱり遥くん以外考えられない…。

「黄花さん…ごめんなさい。俺、ずっと心に決めている人がいるんです。」

「…その子に…見込みはあるの…?」

見込み…?そんな簡単な気持ちじゃないッ!!

「そんなの無いですよ?…見込みで好きになっていい人じゃないんです。…ずっと片思いでも…あの人が…幸せなら…ッ。」

遥くんが幸せなら…俺が相手じゃなくても…。

…なんて出任せだけど…。

「…そう…なのね…。」
俺の言葉に、黄花さんは黙り込んでしまった。


…………ッ
プルルルル・プルルルル…

沈黙を破ったのは、黄花さんの携帯のメール音だった。

「…オジサンからだわ…ちょっと失礼…。」

「…はい。」



「…え…?」

黄花さんの発した小さい声に顔を向けると、真っ青な黄花さんの姿があった。

「…どうかしましたか?」
まさか…仕事の事じゃ…。

悪くなったら…遥くんの頑張りがパァになる…ッ!!


俺の焦りに気がついたのか、黄花さんは俺に携帯の画面を向けた。
「…これ、西島君じゃ…。」
「…は?」

画像は顔は写されていなかったけど、間違いなく遥くんだった。

何でって…手のほくろを見ればわかるだろ!! ←知らねぇよщ(゚皿゚#щ)

遥くんのワイシャツには襟元にシワがよっていた。

「遥くん!?…どうしてこんな…。」

「坂井くん、これ…危ないんじゃ「は…西島さんの部屋番は?」

俺は黄花さんの手首をがっちり握って叫んでいた。…こんな時に冷静さなんて…持っていられないくらい。

「…301よ。」
「有難うございます。」

俺は財布から万札を一枚出して、Barを飛び出した。

待っててよ、遥くんッ!!
無事でいてくれッ!!!!

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