最強職は勇者?いいえ、武器職人です
一章 王国編 13話 酸穴の鬼
武器精通の有能さを理解した俺は、迷宮内の探索を目を見張る程の速さで進めていった。
その過程で出てきた敵は、一匹。
読んだ本の中では平原最強と謳われていた
狼姫 プルフと呼ばれる魔物だった。
狼系の魔物を従え獲物を襲わせ、獲物が弱った時に自分が出てくるという非常に狡猾な手口を使う魔物だ。そんなプルフが一匹いた。それだけだった。
正当な考えはこの迷宮は狼系の魔物に支配されたとなるだろう。
でも、俺は違う考えをもった。
プルフ以外の狼が見えないのは、全滅したからではないか?
そう思ったのだ。
根拠は二つ。
今俺がいる階層に敵が全然いないこと。
そして、プルフの体が、大きく損傷していたこと。
おそらくこの層にはかなり強い敵がいる。
一瞬で広範囲を攻撃できるような、
理不尽な敵が。
そう結論付けた日から、探索はゆっくりと慎重に進めた。
万が一、俺の想像している敵が迷宮内を徘徊するような魔物であった場合、今までのように高速で進めていくとふとした瞬間に出会うかもしれないからだ。
そして、
「ここかな...」
俺は、そいつがいるであろう箇所を突き止めた。
今いる層に、巨大な穴が空いていた。
溶けたような断面の穴だ。
高さはおそらく3m。奥は暗くて見えない。
が、入口まで漂ってくる強烈な酸の臭いが、奥になんらかの存在があることを物語っている。
俺は、その大穴に、足を踏み入れた。
臭い...。正直、すぐにでも顔を背けたくなるような臭いだ。
「ウゴオオオオ」
「来るか!」
突然、穴の奥から咆哮が轟き、溶解する音が聞こえた。
即座に臨戦態勢になり、身刀化を使う。
暗闇から出てきたのは、全身から酸性の液体を汗のように垂れ流す、横綱のような体格の魔物だった。
一本角に吊り上がった目尻。口元からは牙が覗き、吐息の温度は数百度を超えて、周囲に煙を生んでいる。
「鬼...だと...!?」
そんなバカな。鬼は、既に絶滅しているんじゃなかったのか!?
オーガのような、鬼の血を少し受け継ぐ鬼族ではなく、純血の鬼は今の世にはいない。
それが、本に書いてあった事実だ。
が、それは本物を目にした時点で切り捨てる。
本に書いてあろうと、誰かが言ったことであろうと、自分の目で見たものは、信じざるを得ない。
百聞は一見にしかずだ。
鬼は、いる。
俺の目の前に、魔王軍として猛威を奮っていた、最高危険度の一歩手前の魔物が存在している。
「はあああああ!」
「ゴアアア!」
どちらともなく声を上げ、両者の間合が一瞬で縮まる。
鬼の弱点はただ1つ。鬼であることを象徴する額から伸びる一本角!
俺は渾身の力で空へ舞い、俺の背の倍以上の位置にある角へ身刀化中の右腕を叩きつける。
その過程で出てきた敵は、一匹。
読んだ本の中では平原最強と謳われていた
狼姫 プルフと呼ばれる魔物だった。
狼系の魔物を従え獲物を襲わせ、獲物が弱った時に自分が出てくるという非常に狡猾な手口を使う魔物だ。そんなプルフが一匹いた。それだけだった。
正当な考えはこの迷宮は狼系の魔物に支配されたとなるだろう。
でも、俺は違う考えをもった。
プルフ以外の狼が見えないのは、全滅したからではないか?
そう思ったのだ。
根拠は二つ。
今俺がいる階層に敵が全然いないこと。
そして、プルフの体が、大きく損傷していたこと。
おそらくこの層にはかなり強い敵がいる。
一瞬で広範囲を攻撃できるような、
理不尽な敵が。
そう結論付けた日から、探索はゆっくりと慎重に進めた。
万が一、俺の想像している敵が迷宮内を徘徊するような魔物であった場合、今までのように高速で進めていくとふとした瞬間に出会うかもしれないからだ。
そして、
「ここかな...」
俺は、そいつがいるであろう箇所を突き止めた。
今いる層に、巨大な穴が空いていた。
溶けたような断面の穴だ。
高さはおそらく3m。奥は暗くて見えない。
が、入口まで漂ってくる強烈な酸の臭いが、奥になんらかの存在があることを物語っている。
俺は、その大穴に、足を踏み入れた。
臭い...。正直、すぐにでも顔を背けたくなるような臭いだ。
「ウゴオオオオ」
「来るか!」
突然、穴の奥から咆哮が轟き、溶解する音が聞こえた。
即座に臨戦態勢になり、身刀化を使う。
暗闇から出てきたのは、全身から酸性の液体を汗のように垂れ流す、横綱のような体格の魔物だった。
一本角に吊り上がった目尻。口元からは牙が覗き、吐息の温度は数百度を超えて、周囲に煙を生んでいる。
「鬼...だと...!?」
そんなバカな。鬼は、既に絶滅しているんじゃなかったのか!?
オーガのような、鬼の血を少し受け継ぐ鬼族ではなく、純血の鬼は今の世にはいない。
それが、本に書いてあった事実だ。
が、それは本物を目にした時点で切り捨てる。
本に書いてあろうと、誰かが言ったことであろうと、自分の目で見たものは、信じざるを得ない。
百聞は一見にしかずだ。
鬼は、いる。
俺の目の前に、魔王軍として猛威を奮っていた、最高危険度の一歩手前の魔物が存在している。
「はあああああ!」
「ゴアアア!」
どちらともなく声を上げ、両者の間合が一瞬で縮まる。
鬼の弱点はただ1つ。鬼であることを象徴する額から伸びる一本角!
俺は渾身の力で空へ舞い、俺の背の倍以上の位置にある角へ身刀化中の右腕を叩きつける。
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