最強職は勇者?いいえ、武器職人です

てるてる

1章 王国編 6話 相棒

目が覚める。見たところ、日の出前、といった
ところだろうか。

部屋にある2つのベッド。俺が寝ているベッドの
向かいで、近藤が寝返りをうっている。

この部分だけをみるなら、修学旅行みたいだな。

一瞬記憶が蘇るが、刹那の間に斬り捨てる。

ベッドを出て、顔を洗い、訓練場へと足を運ぶ。

誰もいない、静かな空間だった。

仄暗い空を結界の膜を通して見つめる。

10数秒そうして、訓練場の中心へと向かい、立ち止まる。

王国から渡された袋。4000kgまで入ると言われるアイテムポーチからナイフ、短剣、その他
金属らしきものが使われているものを片っ端から
外へだしていく。

その量凡そ50kg。これを
変型、自分のMPを使い、1つの武器の
形を与える。

その形は古来より絶大な切れ味を誇る、
戦争に火縄銃が導入されるまでの主要武器。

黒光りする刀身に鈍色の刃文を薄らと浮かべた
少し反った片刃の武器。

日本刀である。

本来ならば日本刀は職人が何度も試行錯誤し、
やっと一振り作り上げることができる。

しかし、流石異世界。そんな日本での
常識はあっさりと打ち砕かれ一人の高校生の
稚拙な想像と異世界にある鋼に近い素材、
この世界に存在するマナによって、
この世界に本来あるはずのない物が作り出されてしまう。


この世界の近接武器は基本的には西洋剣のような、
直刀の剣で、敵を切り倒すというよりも、
斬り潰す様に使う。

しかし、それでは、絶対的に力の強い者が有利だ。

だから俺は、少しでも少ない力で敵に大きな
ダメージを与えられる武器を創ろうとした。

その結果がこの日本刀だ。

刀(名前未登録)     希少級
凄まじい斬れ味を誇る反面、横からの衝撃に弱く、
折れやすい。
攻撃力(+300)
付属スキル  錬刃

まず、希少級。これはこの世界における
武器のグレードのようなものだ。
無級
希少級
家宝級
国宝級
伝説級
神話級
という様に分かれている。希少級はそこまで高い
訳では無い。しかし、そんなことどうでもいい。

付属スキル 錬刃
これを鑑定した瞬間胸が熱くなった。
恋人の穂泉ほのみに初めて会ったときと同じくらい
気分が高揚する。

スキル 錬刃
折れて直す度に強くなる
魔力を流し込むことで一時的に得られる恩恵を
増やす・・・ことが出来る。

この武器は所謂 成長武器だった。

折れて直す度というのが、日本刀初心者の俺に
とっては嬉しかった。

余った素材はアイテムポーチに再度収納。
抜き出しの刀身を刀とは別に作っておいた
白を基調とした装飾のない鞘に

チンッ

と小気味よい音をてて仕舞う。

満足の行く物が創れた。ニヤケが止まらない。
取り敢えず部屋に戻ろうと1歩踏みだして


止まる。


そして視線を自分の左腰にぶら下げられる

一見単なる白い棒に見える自作の武器へと移す。

王女と騎士団長は信用できない。

だからと言ってクラスメイト達を無条件に
信用するかと言われればしない。いや、できない。

軽い思考の後、結論をだす。

王宮で暮らす者には絶対に見せない、と。

武器をアイテムポーチにしまい、再度歩き出す。

その背中を昇り始めた日が冷たく照らしていた。

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