異世界バトスポッ!

司時 緋水銀

じゅうななたまっ!



…………
…………………
…………………………さま


うぅん……眠い………まだ寝かせてよぅ……今日は日曜で部活の助っ人もないんだから……


…………………………………さま…………めがみさま…


私はめがみさまじゃないよぅ……それに…どちらかというと………球の神様…球神様になりたいよ~。


めがみさまっ!めがみさまっ!めがみさまっ!めがみさまっ!めがみさまっ!めがみさまっ!めがみさまっ!めがみさまっ!


うわぁぁぁぁ!?
急に嫌がらせのように怒涛の女神様コールが始まったよ!?
寝てるのにひどいよっ!!


仕方がないから私は目を覚ました。
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〈ボールアイ王国・氷の闘技場〈アイスコロッセオ〉医務室〉


「う………ん……………」
「「「「おたまっ!(さんっ!)」」」」
「うわぁっ!?びっくりしたっ!」
「あ!ご…ごめんなさいっ…皆さん医務室なので静かにしましょう…」
「……はれ?…ここは…?」


目を覚ますとそこは白いお部屋。
ベッドが何個か並んでいて棚には緑とか紫の瓶詰めの液体が並んでいる。
間仕切りも何もないけれど他にベッドに寝てる人はいない、室内には私と……みんな。
ミーちゃんにフウちゃん、ニャンちゃんに……


ダキッ…
「わわっ…むぐ」
「おたま、ありがとう……お疲れ様」


ミュリお姉さんが私に抱きついた!凄いいい匂い!
それにスレンダーだし……胸も大きいし…本当にセクシーだよ!


「おたま……赤ちゃんみたいな匂いがする…上質なミルクの匂いね…癖になりそう…それにお肌スベスベ…」
「本当ですか!?ミュリフォーリアさん!わたしにも抱かせてください!」
「にゃ~!ミルクは大好物だにゃ!舐めさせてほしいにゃ!」
「……私にも嗅がせろ…赤ん坊は…好きだ」
「赤ちゃんじゃないよ!」


ギュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ……
「くるしっ!くるしひよぼっ!」


みんなが一斉に抱きついてきたよ!みんないい匂いだけど流石に苦しいよ!


「み、皆さん…おたまさんはケガ人ですから…ほどほどにしましょう」


そう言ってるミーちゃんも思い切り抱きついてるよ!
しかもさりげなく胸触ってるし!


「でも回復は終わったんでしょ?傷も後遺症も残らなかったんだし……本当に良かった…よく無事だったわ」
「きっと『アンチアタック』によりおたまさんの体の衝撃は少し和らげられたのでしょう。氷像に衝突したのはあくまで勢いのついたボールだけ…でなければきっと無事ではいられませんでした。わたしの回復でもきっと…」


うん、それも一応計算には入れてたから…無事で済むかどうかは賭けでしかなかったけど…。
それでもミーちゃんの力を信じてたから。
きっと今ここに無事でいられるのはミーちゃんのおかげなんだね。


「ありがとね、ミーちゃん」
「………わたし達こそ…おたまさんには礼を尽くしても尽くしきれません。本当に…ありがとうございました!」


バッ!
みんなが一斉に頭を下げ、お礼をしてくれた。


「だ、大丈夫だからやめてよ~。私は一人の選手としてできる事をしただけなんだから」
「それでも…おたまさんはわたし達と…国の皆を救ってくださいました」


……国のみんな?
そういえば…試合が始まる前にもミーちゃんは国を救ってくださいとか言ってたような気がするけど…どういう事だろう?


「その件だが……先程王から私達にお礼と…大切な話があると仰せつかった。おたまが回復したら城まで来てほしいそうだ」


王様っ!!?
何か凄い話になってるよ!?あの試合そんなに大事な試合だったの!?


「けど……今は無理そうね……あれが収まるまで待たなきゃ」


あれ?あれ?って何だろう。
ミュリお姉さんは入口の扉の方を見る。


ギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギッ!!
医務室の丸い扉がギャグ漫画みたいにはちきれそうになってるよ!
今にも壊れて何かがなだれ込んで来そうだよ!


〈めがみさまっ!めがみさまっ!めがみさまっ!めがみさまっ!〉


寝てる時に聞こえた嫌がらせが扉の向こうから聞こえるよ!
あれかぁ~!私の安眠を邪魔したの!


「な、何事なのあれ…?」
「貴女のファンよ、さっきの試合を見て国種族問わず貴女に一目あやかりたいって押し寄せてきてる。他球技のスカウトとかも来てるわ、後…新聞社とか記者とかが…インタビューもしたいって」


……ええええええええええええっ!!?
何で私にっ!?私最後に少しプレーしただけなのに!?


「だが試合を決めたのはお前だ、間違いなく今試合のMVPはおたまだろう。国から報償金も出る、素直に喜べ」
「にゃはは、ウチらにも出るかにゃ~何買おうかにゃー」


どう考えてもMVPは私じゃないよ…。
素直に喜べないなぁ…私一人じゃ何もできなかったし…。
みんなの方が頑張ったよ……。


「まぁ話は王への謁見が終わってからにしましょう、積もる話もあるし…これじゃあ落ち着いて話せないしね。お風呂にでも浸かりながらゆっくり話しましょう」
「いいですねっ!皆で入りましょう!宮殿のお風呂は凄く広いんですよっ!」
「にゃ~…お風呂は苦手だにゃ~…」


お風呂!うん!ゆっくり浸かりたいよ!
でもどうやってここから出たらいいんだろう…?


「必要ならば私が全員斬り伏せてくるが」
「やめて、せっかくの勝利が台無しでしょ?バカなの?」
「……」


フウちゃんとミュリお姉さんが漫才する!
この二人…試合中もそうだったけど信頼し合ってる感じがするなぁ。


〈めがみさまっ!めがみさまっ!めがみさま……………!!??〉
ザワッ!!


「?」


一瞬のどよめきの後、外の声がピタリと止まった。
何だろうと思った瞬間に扉は開いた。


「皆…此度の奮闘ご苦労だった。ここではゆっくり休めないだろう、私が彼女を運ぶから城へ……………………っ!?」


扉から男の人とおばあちゃんが入ってきた!
サラサラの銀髪……華やかな鎧。整った顔立ち…甘いマスク……うわぁイケメンってやつだ!王子様みたいだよ!
おばあちゃんの方は魔法使いみたいな格好で杖をついて腰に手をあてながらよろよろと歩いてくるよ!大丈夫かな?


「王子…このような場所にご足労頂き感謝致します」


フウちゃんが片膝をつく、あのフウちゃんが……っ!?
それより今…王子って…。


「フウジン?どういう事?」
「この状態では外に出られんだろう?だから王子と護衛兵に事前に打診した、無事城まで送り届けてもらうようにな」
「お、王子様をそんな事に使ったのかにゃ!?」
「い、いや…私からフウジンに言ったのだ。父上をいつまでも待たせるわけにはいかないからな。私が野次馬を引かせようと、な」


そっかぁ、フウちゃんは国に仕える騎士さんだから…あの人は上司とかそういうのだね!
王子様だから……次期王様なんだ!
凄いなぁ~。


「………」
(…変ね……王子は確か……球技になんて興味も無かったはず…わたくし達に顔を見せるなんて今まで一度もなかったわ……それに今…おたまを見て…驚いていたような…)
「…?ミュリお姉さん?どうしたの?」
「え?…いえ、何でもないわ。おたま歩ける?」
「うん、もう大丈夫だよ」
「じゃあいきましょう」


「わ、私が手を引こう」
「……へ?いや…大丈夫です…一人で歩けますよ?」


なんか王子様に手を出されたけど…思わず拒否しちゃった。
だって体は何ともないし…そんなに心配される程でもないからね。


「そ、そうか…」


王子様が何か落ち込んでる?
せっかくの好意なんだから素直に手を取った方が良かったかな?
でも男の人と手繋いだ事なんてないし恥ずかしいよ!


「坊っちゃん…そんなにガツガツするもんじゃありませんよ…それに大勢の前で王子と手など繋げば問題になりますよ…」
「わ、私は構わない」
「お嬢さんが困るでしょう…坊っちゃんはもう少し女性の気持ちに配慮するべきですよ…」
「そ、そうか……済まなかった」


隣のおばあちゃんに王子様が怒られた…。
何か謝られたよ…悪い事しちゃったよ…。


「ミュリフォーリアさん、あなたの魔法を使えば騒ぎにならずに抜け出せるでしょう…」
「あ、そういえば……うっかりしてました…すみません」


【アイスメイクヴェール】
キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ…


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こうして私は姿を消して人混みを掻き分けつつ…王様の待つお城へ足を踏み入れた。
誰にもばれなくてよかったぁ。
とりあえず…これからどうしよう…地球に帰りたいんだけど…誰か帰り方を知ってる人いないかな?
それに帰るにもお金とか…寝る場所とかどうしよう…。
何とか無事に帰れればいいんだけど…。


でもお城では更なるボールとの出会いが私を待っていたんだ。







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