異世界バトスポッ!

司時 緋水銀

じゅうよんたまっ!

ピーーッ!!


『おっとぉ!?ここでボールアイ王国のタイム要請だぁ!ニャンコ選手がボールを維持していたのでタイムは通ったが……謎すぎるタイミングだぞぉ!?アイノタマ選手にはカタリール選手の重力がかけられたまま!ルールによりタイム中は審判により重力は無にされるが…試合再開と同時にまた無は解除されてしまう!一体何を狙っているのか!?』
『アイノタマに重力を引き付けさせておいて他の選手の回復に充てているとか?でも何故今…?狙いがわからない』


ガクンッ!
「ぷはぁっ!?」


「はい、一時解除するわね~だけど5分たったら同じ状況からスタートとするからね?」
「は、はい!」


審判のお姉さんの力で体が軽くなったよ!
よかった!急いで皆のところへ行かなきゃ!


「おたまっ!大丈夫かにゃ!?」
「ニャンちゃん!ありがとう!とにかく皆のところへ行こう!」


途中ニャンちゃんと合流する!
ニャンちゃんが頑張ってくれたおかけで下準備はできたよ!
上手くいくか全部運だったけど…っ…できてよかった!
ううん、これからが本番!
こっから先は皆の力にかかってる、相手チームがどう動くか……そこだけが心配だけど…。


「「おたまっ!」」
「おたまさんっ!!」


ミーちゃんとフウちゃん、ミュリお姉さんが私達を迎える。
二人は苦しそうだけど…座って話すまでには回復していた。


・フウジン…残りHP47% ・ミュリフォーリア…残りHP32%
・ニャンコ…残りHP45%
「おたま…聞かせてくれる?……あなたの考えを」
「……うんっ!」


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「マリア、あのアイノタマとかいう選手……何か狙っている感じがします」
「……わかってるわ、でも再開後は再びカタリールの重力の支配下になる。さっきの様子から見るに重力をはね除ける力もなさそうよ?」
「……確かにそうですが…」
「考えられるとすれば…貴女を引き付けておいてフウジンとミュリフォーリアの邪魔をさせないための囮……このタイムも合わせて動けるくらいには回復しているはずよ」


「何の狙いがあるにせよ、俺が氷像前を守ってんだ。攻撃は一切通さねぇよ」
「正しい、私の能力を見抜いたのは恐れいるがそれ以上あの子にできる事はないだろう。不安ならば私の能力で更に止めておく事もできるが…」
「やめておきなさい、そうするとルール上フウジンとミュリフォーリアに貴女の能力がかけられなくなるわ。いざというときのため…貴女にはフリーでいてもらう。カタリール、貴女一人で充分よね?」
「……ええ、マリア。私が責任を持って足止めします」
「気にくわないけど…このまま攻撃さえさせなければ時間切れで我らの勝利よ。前哨戦でここまで醜態を晒すとは思わなかったけど…大事なのは本シーズンで勝利する事、それぞれの課題も見えてきたわ。我らが今度こそNO1の座に輝くのよ、勝ちましょう」


「「「「はい!」」」」


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『さぁ!タイムが終われば残り試合時間は3分!大詰めといった感じだ!劣勢に立たされているボールアイ王国は奇跡を起こせるのか!?それとも前評判通り、このままアースリンドウが守りきるのか!貴賓席にはそれぞれの国の王や王子が固唾を飲んで見守っているぞー!』
『他球技の選手達もスカウトのため集まっている、『モンスターライドシュート』のベルフライム、『ティターニアロンドボール』のティターニア、『熱砂穴球』のアリジゴク……そうそうたる顔ぶれ』
『どの球技にも応用が効く選手が多いのが人気球技『アイスクラッシュヘヴン』の面白さでもあるからねー、おっとそろそろ5分が経過する!さぁーラスト3分にはどんなドラマが待ち受けているのか!』


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「「「「…………………」」」」


作戦を話し終えた私の顔を皆が唖然といった表情で見つめる。
うぅ………やっぱり無茶苦茶な作戦だよね……不確定な要素が多すぎるもん。


「正気ですか!おたまさんっ!!わたしは反対です!」


真っ先に異を唱えたのは予想通りミーちゃん。
ミーちゃんの性格ならそう言うと思ったよ、誰かが傷つくたびに自分の事のように辛そうな顔をいつもしていたから。
とても優しい子なんだよ、それは出会ってすぐにわかっていたから。


「うん、でも私にできるのはそれくらいだから」
「下手したら……おたまさん死んでしまいますよっ!?わたしはそんなつもりで……助けてほしかったんじゃありませんっ…!」


涙目になって下を向くミーちゃん。
ごめんね、もしこれが無事に済んだら…いっぱいいっぱい謝るから。


「にゃ…にゃ…にゃははははっ!おたまっ!あんたやっぱり面白いやつだったよ!ウチは乗るよ!その作戦!確かにそれなら勝てるかもしれないにゃ!安心するにゃ!おたまを死なせないようにウチがありったけの力を込めて防御の神に祈りを捧げとくにゃ!」


それはありがたいよ~、ニャンちゃんの性格は未だ掴めないけど…突然キャラクター変わっちゃったし。
終わったらその猫耳いっぱい触らせてもらおう。


「……おたま、私は今の今までお前を信用してはいなかった。その非礼は詫びる、そしてここからは敬意を示そう。その覚悟受け取った。私も乗ろう。安心しろ、骨は拾ってやる」


まだ死ぬって決まったわけじゃないよ!
本当にフウちゃんは争い事になるといきいきするなぁ。
そんな美人さんでかっこいいのに…うちの女子高に来たらきっとモテモテだよ!


「……………………………………」
「……だめかな?ミュリお姉さん…」


一人、何も言わないミュリお姉さんはとても難しそうな顔をしている。
キャプテンとして無謀で無計画な穴だらけの作戦は簡単に認められないのかもだけど……私にはもうこれ以外の事はできない。


「……………おたま、一つだけ聞かせて。貴女は何のために……そこまでするの?」


ミュリお姉さんが真剣な顔つきで私に問う。
まるで…その答え次第で試合を続けるか棄権するか決めるかのように。


でも私の答えは最初から決まっている。
私には…人助けとかそんな立派な気持ちはない。
試合に出ればみんな…一人の選手。
そこに私情や余計なものを持ち込むのは好きじゃないんだ。
それに左右されかねないから。


だから……これはみんなのためなんかじゃない。
私が、私のために、私の愛するもののために。
ただ一人のプレイヤーとして、最後までいるために。




「勿論、私がボールを…球技を愛しているからだよ」


そして、私達は試合に臨む。
泣いても笑っても、怒っても悲しんでも、死んでも…無事でも。


これが、最後の3分間。









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