異世界バトスポッ!

冬野氷景

きゅーたまっ!



「全く……どいつもこいつも…甘っちょろい、貴様らを叩き潰す事に………変わりはないっ!!」


ザシュザシュザシュザシュザシュッ!
未だに舞う花びらに身を削られながら……フゥちゃんは動じる事なく相手を睨んだ。


ボウッ!!
「!!?」


えっ!?
フゥちゃんと対峙していた小さな女の子の片手が突然炎が出た!
どういう事!?あの子の能力って『風』のはずじゃ…っ!?
サブ属性ってのに関係あるの?!
でもどうやら小さな女の子のせいじゃないらしい、小さな女の子もビックリしてる!


「熱っ!?熱い!!何っ!?」
『何だぁーっ!!?シルファニア選手の手が突然燃えたぁっ!?これは一体っ…!?』


バタバタッ!


「っ!何っ!?この火…っ消えないっ!?うっとうしいなぁ!!」
【ネオ・サイクロンストーム】!!


ゴオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!


シュウウウウウウ……ボオオォォォォォォッ!!


「…っ!!なっっ!!あっっつっ!?何この炎っ!?」


火を消そうとして相手の女の子も竜巻を発生させた!
でも火は消えるどころか…更に勢いを増して二の腕まで燃え盛る!


『あーっと!火の勢いは更に増しているーっ!?こんな氷上の上で自然発火はありえない!だとするとっ…選手の誰かの力ーっ!?『サブ属性』かーっ!?』
『……だけど…この球技をやるには『氷』属性の加護が必須…『氷』と対なす『炎』属性をつけて永久凍土の氷上の上を歩ける者なんているわけない…』
『さぁーわからない人のためにここでささっと『属性』についてワンポイント解説ーっ!!』


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☆『属性』と『サブ属性』
ハロー!可愛い実況サタナキアだよー豚どもー!
人間は生まれつきに皆メインとなる『属性』を持ってるんだ!
属性の種類は沢山あって未だに未確認の属性もあるの!その種類は確認されているものだけでも千個以上あるんだって!
でもそれとは別にもう一つだけ『加護』を貰ったり、その人の努力だったりでサブの属性を身に付ける事ができるんだ!
でもサブ属性はメイン属性みたいに色々使えるわけじゃないんだよ!
少しサブにつけた属性に対して耐性があがったり…初級の属性魔法が使える程度なの!
サブ属性をメイン属性みたいに扱うのは十年以上の絶え間ない修練が必要なんだよ!
ちなみに余談だけど…サブ属性は付け替える事もできるんだよ!
ちょっと痛みとお金を伴うけどねー!ケラケラケラケラっ!
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★『対属性』
こっちはエンジェリアが解説する。
『属性』の中には対になるものがある、『炎』と『氷』。『火』と『水』。『光』と『闇』といった感じ。
メインの属性は勿論、サブの属性につけたものと対になる属性に対してその人は弱くなる……簡単に言うと弱点になる。
だから『氷』がメイン属性の人もサブ属性の人も炎に対して凄く弱くなる、逆も然り。
余談になるけどメインとサブに対になるように属性をつける事もできる…でもオススメしない、そんな人いないと思うけど。
互いの加護が反発して死ぬ可能性だってある、絶対やらないで。
以上、エンジェリアでした。ご清聴ありがとう。
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「そしてこれも重要よ。この試合では属性の開示義務がない…メインでもサブ属性でもね。まぁメインについては一度試合をすれば大体わかるから過去のデータから割り出せるけど…だからどんなサブ属性をつけ試合に臨むかは勝利への大事な策略……でもこの球技に『炎』をつけて臨む人はまずいない…氷の神に嫌われるから。氷上を歩く事すらままならなくなるはず…そんな事ができるとしたら…」


審判お姉さんの説明でようやく属性の事が理解できたよ!
審判お姉さんはフゥちゃんを見る。




「こんなに早く手の内を晒す事になるとはそこだけは誉めてやる…私は王国騎士だ、絶えず戦いの中に身を置く者……弱点属性の克服を疎かにするはずないだろう。例え『炎』属性を身につけようと…氷上を歩く事くらい容易い。そしてそれは『風』と『炎』両属性を極めた私の技……炎は風を受けるごとに勢いを増す、そのまま燃え尽きろ」
「ぁぁぁぁっ!!!熱いっ!!いゃぁぁぁぁぁっ!!」


叫ぶ小さな女の子を見て敵チームが動揺し始める。
眼鏡の女の子が誰かを捜しながら叫んだ。


「シルフィ……っ!………マリアっ!!私達のサブ属性の『氷』ではあれを消せるだけの力はありませんっ!サポートをっ……!?」


捜していたのはどうやらここにいる相手キャプテンさんらしい。
そっか、メインの属性が『氷』なのは相手チームではこのキャプテンさんだけだから…!
でもこちらを見た眼鏡の女の子に…相手キャプテンさんは…物凄く冷たい目で…返事をした。
相手に届かないくらい普通の声量で…まるで私達に話すように。


「問題ないわ、あの程度あの子達で対処できる。仮に対処できなかったら……メンバーから格下げするわ。どちらでも同じ事…我の標的はもう…貴女達二人よ」


「マリアっ!!?何故っ……!」
(熱くなるとすぐに目的以外に目が届かなくなるのはあの子の悪いクセね…っ!!仕方ない!)


「熱いっ!!熱いっ!!アルム!何ボーッとしてるの!?何とかしなさいっ!」
「正しくない、私の能力は知っているだろう?炎を抑える事はできるが……力を分散させればきっとあのじゃじゃ馬は止められない。そうすれば相手に攻撃チャンスを与えてしまう…諦めるのが正しい」
「………くそっ!!ぁぁぁぁっ!!焼けるっ!!いゃぁぁぁぁぁっ!」


「アイギールっ!!アルム!全員の『氷』加護を合わせて炎を消すのですっ!集まって!」
「…ちぃっ!面倒くせーなっ!」
バッ!!


小さな女の子の元に相手チーム皆が集まる!
そして皆で呪文みたいなのを唱え始めると……小さい女の子の燃える腕に氷が発生し始め……徐々に炎は収まっていった。


シュウウウウウウウウウ……


「はぁっ…!はぁっ…!はぁっ…!…………………殺す殺す殺す殺す殺す!」


ビュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!


「わぁっ!?」
炎から解放された瞬間、小さな女の子から…物凄い風が発生した。
フィールド全体を覆うような…巨大な嵐!!


「全く……何をもたもたやっているのかしら……でも、もう終わりよ」


相手キャプテンさんがため息をつく、しかし…こっちから目を離したりはせず…ただボールを待って私達を見据えていた。


「味な真似してくれるじゃねーの」
「全くです、とんだ醜態を晒しましたね」
「ふふ、それは相手を嘗めてかかったこちらが正しくない。しかしこれでもう君は終わりだ、じゃじゃ馬君」
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺すっ!!」


まずいよ!
四対一なんて!いくらフゥちゃんでも無理だよ!
でもフゥちゃんは逃げようとしない!
まだ相手の能力に囚われてるっ!?
このままじゃフゥちゃんまでっ!!


「……ふふふ、意外と大した事ないんですね。魔女って」
「………何ですって?」


……!?
ニャンちゃんの回復を続けながらミーちゃんが相手キャプテンさんに話しかけた。
どうしたんだろう!?
大人しそうで挑発なんかしなさそうなのにっ…!


「ふふふ、だって…炎だけであんな慌てふためいて…それにチームメイトの心配もしないなんて…貴女達がトップに立てない理由がよくわかりました」


にこやかで純粋な笑顔でミーちゃんは笑う。
どどどーしちゃったんだろう!?


「……弱者国が言ってくれるわね、かつての栄光もここまで地に墜ちると見ていて憐れだわ」
「……確かにわたし達は地に墜ちました……けど…」


サァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ……!


「それでも這い上がろうとしています、それぞれの想いで!皆、手段はバラバラで纏まってないかもしれない!けどっ!」


サァァァァァァァァァァァァァァッ!


「目的は同じ!勝つために!」




「フウジン!ミィシャン!引き付けてくれてありがとう!」
「「「「「!!」」」」」


『おぉぉーっ!!アースリンドウの氷像の前にいつの間にかボールを持った選手がぁーーっ!!』
『魔術師ミュリフォーリア!いつの間にっ!』


ミュリお姉さん!?
いつの間にかフゥちゃんはボールを持っていなかった!
いつ渡したの!?だってフゥちゃんは相手チームの人達にずっと見られていた筈なのに!


「馬鹿な!!氷像をフリーにして……!?」
「それは貴女達だって同じでしょ?どうやってボールを取ったかは秘密、ふふ。大人の女には秘密がなくちゃあね?」


「やれ、ミュリフォーリア」


ピキピキピキピキピキピキピキピキッ!
【アイスメイクキャノン】!!


ドオオォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!


『決まったぁーっ!!』


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【アースリンドウ連邦国】
・氷像損傷率40%……残り耐久値60%
・シルファニア…ダメージ20%…残りHP80%
【ボールアイ王国】
・氷像損傷率42%……残り耐久値58%
・ニャンコ……残りHP25%→58%
・フウジン……ダメージ7%…残りHP93%


制限時間……残り15分







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