異世界バトスポッ!

冬野氷景

ぷろろーぐ!



「お願いしますっ!『球技の女神様』っ!我らの国をお救い下さい!!」
「……うん、わかったよ!私にできるかわからないけど……そこに球があるならっ!私か球を愛しますっ!」


これは普通の女子高生だった私が異世界に呼ばれて異世界のスポーツ………通称『異ースポーツ』(私命名)で世界を救うお話。
異世界だけど魔王とか勇者は出てこない。
球技にかける皆の想いと球技を愛する人達の熱い気持ちを感じたり、球技を通じて種族の垣根を越えて共に勝利を目指してチームの結束を感じたり、魔法を使えない弱い自分を変えようとひたすらに努力して達成感を感じたり…
地球のスポーツと何も変わらない、ただ超常的な力があるかないか。


でもそれだけで私の球への想いは消せやしないよ。
だって私は……球を愛してるからっ!




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ダダダダダダダダダダッ…!!ザッ!


「シュートぉっっ!!」


バシュッ!ピッピーーーッ!!!ゴォォールッッッ!!!


「やったぁぁあっ!!」


ピッ…ピッ…ピーッッッ!!!試合終了ーーっ!
5対3で球愛女子高の勝利!!


ワァァァァァァァッ!!
「やった!やったね!さすがおたまっ!ありがとーっ!」
「おたまの独壇場だったね!相手は前大会ベスト4のチームだよ!すごいよ!」


「えへへっ私だけじゃないよっ!みんながいっぱい練習したからだよっ!二回戦も勝てるように応援してるよ!」


私は愛野たま!女子高生!17歳!
球技が大好きで球を愛して球に愛されるスポーツ少女って皆からは言われてるよ!
とにかく球を使うスポーツが小さい頃から大好きで色んな球技に触れあってきた。
サッカーとかバスケとかソフトボールとかハンドボールとか水球とか卓球とか……とにかく球があれば私はそれにのめりこんできたんだっ!


「そっかー、二回戦の日はバスケの助っ人に呼ばれてるんだっけー……おたまがいないと超不安だよ~」
「大丈夫だよっ!皆頑張ってきたもん!絶対勝てるから!」
「……うん!頑張るよ!おたまもバスケ頑張って!でも花の女子高生なんだからスポーツばっかやってないで彼氏もつくりなよ?折角そんなおっきい胸持ってるし可愛いのに~」
「む、胸は関係ないよっ!大丈夫!私はボールが彼氏だから!」


彼氏なんかつくってる暇ないよ!
私には夢があるんだもん、それは…オリンピックの球技種目に出る事!
ずっと前からの夢!
頭は良くないかもしれないけど…運動は得意だから!
そのために小さい頃からずっと体動かして鍛えてきたんだからっ!


でも一つ問題があって……


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〈更衣室〉


「それで何の種目にするか決めたの?」
「それなんだよねぇ……………んー…決められないよぉ~…だって私は小さくても大きくても球が好きなんだもんっ!」
「わかったからそれ人前で言うのやめようね?」


更衣室で女子サッカー部の皆と話し合う。
何回も助っ人に呼ばれてるから自然と仲良くなれたんだ!
こうやって皆と仲良なれるのは色んな球技に触れあってきたからそれは良い事なんだけど……そろそろどれか一つに絞らないと!
全競技に出れたらいいんだけどな~…。
そう、球技は全部好きな私はどの部活にも所属してない。
だって色んな球に触れあってたいから!だからこうやって球技の部活に助っ人で呼ばれたら絶対出る!平等に!
サッカーボールもテニスボールもソフトボールも軟式でも硬式でも全部大好き!
あの丸い可愛いボールも楕円形の美しいボールも羽根つきの優雅なボールも全部愛してる、たまらないよね~うふふ。


「どれか一つに絞らなくてもどの球技でもトップに立てるその才能と運動神経が羨ましいよ」
「才能とか運動神経とかは関係ないよ、ただボールの気持ちになってボールがどう動くか感じるんだよ!そうすればボールが応えてくれるから!」
「いや、それができるのはおたまだけだから」
「そうかな~…あ!そうだ!この後草野球チームの応援呼ばれてたんだった!私もう行くね!」


バタバタ…


「あ!おたまっ!…慌ただしいなぁ~、スパイクとすね当てそのままつけていっちゃった…」
「でもおたまがいてくれて本当に助かるよ、おたまならオリンピックも本当に夢じゃないかもね」
「うん、頑張ってほしいなぁ」


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私は運動部の部室がある長屋型の建物の敷地を走る。
もうほとんどの部室に入ったから全部覚えちゃった!
あそこが女子ソフト、あそこがテニス部!あれがハンドボールで…
って!そんな事言ってる場合じゃないよ!
間に合うかな~…?




『……助け……』


「えっ!?」


何か声が聞こえた!?
どこから……?助け…って聞こえたけど…どこかに怪我人がいる!?
でも休日だし…部室の敷地には今日はサッカー部以外いないはず……
まさか……お化け!?やだやだっやめてよ怖いんだから!


………あれ?
ふと違和感を覚える、建物の端…部屋が一つ増えてるような…
この部室……どの部活のだっけ?確か一番端はラクロス部だったはず。
……うん、間違いない。1個部屋が増えてる?いつの間に…。


「……ど…か……救い……さい。……『氷球』の……」
「……もぅ……だよ……始まっちゃう…」
「どうしよう……『氷球』の神様……どうかっ!」


その部屋から声が聞こえる、何人かいるみたい。
部活増えたのかな?
でも『氷球』って聞こえたけど…聞いた事ないよ。
氷の球?そんなの見た事ない!気になる!
最近は…eスポーツだっけ?私も聞いた事ないようなスポーツもあるみたいだし!
(※eスポーツは電子競技です)
何か困ってるみたいだけど…どうしよう。


ガチャっ!


……と考える前に私はドアに手をかけた。
それはきっと困ってる人を助けたいとかそんな立派な気持ちではないと思う。


人が足りなくて試合が出来ないとか…練習量が足りなくて不安だとか……それじゃあボールが可哀想だから!
だから私は助っ人に応じたいんだ!
だって……ボールに罪はないからねっ!


そして私は扉を開いた!


「球を使う競技ならっ私が球を愛しますっ!!」


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ワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!


「さぁ始まりますっ!氷フィールドのスポーツ『アイスクラッシュヘヴン』!魔法攻撃ありっ!武器道具素手なんでもありっ!果たして今日はどれだけの怪我人が出るのか!互いの国の威信を懸けた戦いが今幕を開けますっ!!」




こうして私は異世界球技に身を投じる事になった。
異世界のスポーツだから…………『異ースポーツ?』


~第一章 『異世界と球技【アイスクラッシュヘヴン】』~







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