異世界バトスポッ!

司時 緋水銀

よんたまっ!



「では、両チームキャプテン。それぞれのシンボルを台座へ」
「「わかりました」」


私達はコートの中央…互いに対をなして向かいあう坂道のてっぺんに整列した。
整列した両チームのキャプテンが握手を交わした後、それぞれの陣地の後方に移動する。
やばいよ~……相手キャプテンさん握手してる時もずっと私の事睨んでたよ!
私が悪いからしょうがないけど……


ピキピキピキピキピキピキピキピキピキッ!!
ピキピキピキピキピキピキピキピキピキッ!!


「わぁっ…!!」


陣地後方にあった台座にミュリお姉さんと相手キャプテンが魔法で氷の像を創り出した。


「綺麗だね~」
「互いの国の英雄の像を創設するんです、わたし達の国はかつて全てのスポーツで輝かしい成績を残したボールアイ王国の英傑【ボウル・リング】様の像…国の誇りです。これを破壊される事は…恥となります、ですから……わたし達は負けるわけにはいかないんです」


ミーちゃんが悲壮な決意といった顔で私に語る。


「まぁでも負けっぱなしなんだけどねウチら」
「そうなの?」
「公式戦では勝ちナシだよ、あはは。……でも、だからこそ…もう負けるわけにはいかないんだ。これ以上……英雄さんの名に泥を塗るわけにはいかないよ。何としても今シーズンはベスト4くらいに入るくらいしなきゃね……それに……」
「……それに?」
「何でもないよ、とにかく頑張ろ」


ニャンちゃんも同じ、飄々としているけど決意を持った顔をする。


「ふん、理由やスポーツの英雄などどうでもいい。大事なのは今の我が王国の栄光を取り戻す事だ」


フゥちゃんはいつもと変わらず、その眼に闘志を宿す。


「「できました」」


ワァァァァァァァッァァァァァァァァァッ!!


「わぁっ…!」


私達の陣地に大きな氷像ができあがった。
大きい……15メートルくらいあるよ!
鎧を身に纏った神々しい綺麗な女性の像!かっこいい!
剣を天に向け、勇ましい表情で剣先を見つめている。
そして足元には……氷の球!これはミュリお姉さんが創り出した氷像の一部の球だけど~…この子も美しいねっ!うふふっ!
この人がこの国の英雄なんだ!


「みゃははは!どうせ壊されるんだからそんな力込めなくてもいいのに~」


ムッ


相手チームの小っちゃい女の子がこっちの像を見て笑う。
ニャンちゃんがそれを聞いて珍しく険しい顔をして言った。


「そっちこそ魔女信仰か何だか知らないけどそんな弱々しそうな氷像で大丈夫?もっと丈夫そうなのに変えた方がいいんじゃないの?」


相手チームの陣地にできあがったのはまさにファンタジーに出てくる魔女!って感じの氷像。
トンガリ帽子に後ろ手に箒、掲げた手にはカラスみたいな鳥。
怖いくらいに綺麗なようえんな女性って感じだよ!


「聞き捨てなりませんね、『始まりの魔女』様の像を弱々しいなどと。撤回しなさいはぐれ者の亜人風情が」


相手チームの眼鏡をかけた女性がニャンちゃんに食ってかかった!
はぐれ者?あじん?って何だっけ……でも何か…人を傷つけるような言葉って事はわかるよ!
それを聞いたミーちゃんがすかさず援護する。


「もっ!元はといえば貴女達から先に挑発してきたんですっ!」
「事実ではないか、それを口にするのは正しい。しかし事実ではない挑発は頂けない」


相手チームの宝塚の女性みたいにかっこいい女の人も参戦してきたよ!


ビュンッ!
ガキィンッ!


わぁっ!?フゥちゃん!?
フゥちゃんが耐えきれなかったのか剣で相手に斬りかかっちゃったよ!それはまずいよ!
でも相手チームのヤンキーみたいな顔つきの女の子の盾の魔法?みたいなのに防がれたよ!


「てめえ!何しやがんだ!?はぐれ者の王国護衛兵が!はぐれ者の問題児の集まりかこのチームはよ!」
「知った事か、始まる前に…殺す!」


あわわわわわっ…試合始まってもいないのに乱闘が始まっちゃった!
皆短気すぎるよ!
象徴を汚されて怒る気持ちはわかるかもだけどっ…スポーツマンシップってのはこの世界にはないの!?


グゥンッ!


わわっ!!?
何か………急に体がおもく……っ…な、なにこれ……?


「ごめんなさいね~遅くなっちゃった~。元気な子達ね、はしゃがないの、うふふ。貴女達全員殺しちゃうわよ?」


どこからか声がしたと思ったらいきなり隣に見知らぬお姉さんがいたよ、びっくりした。今まで誰もいなかったのに…一体どこから…
そして誰なの…?この人……何か……どんどん力が抜けて…


「初めましての人もいるかしら?私は聖なる審判員の一人、『中立のジャッジメント』、貴女達の試合を公正なる眼で見届け判断を下す者。よろしくね」


審判さん?
そっかぁ……審判さんは必要だよね……でも…何かどうでもよくなってきたよ……
皆も…同じ感じになっちゃってるし…


「うふふ、私の属性は『無』。貴女達のやる気を『無』にするなんてお手の者。まぁそれじゃ試合にならないからここまでにして、これは警告よ?このスポーツは殺し合いじゃないんだから」


パチンッ!


はっ!?
銀髪の審判お姉さんが指を鳴らしたら元に戻ったよ!


「先に挑発したアースリンドウのシルファニア、手を出したボールアイのフウジンにはペナルティを課すわ。互いの国に誇りを持つのは結構だけどそれは試合でぶつけなさい。本来なら反則行為は三回で退場、貴女達二人はあと二回ね、そして技の一つをランダムに『無』にするわ、以後気をつけなさい」


「「………ちっ」」


ほっ……。
二人は納得してないようだけど何とか収まってよかったよ…。


「両キャプテンもチームの動向に気をつける事ね、貴女達の評判は国の評判に直結するの。国を大事に思うなら正々堂々と試合なさい」


「「…申し訳ありません…」」


良かったよ~……
やっぱり審判さんがいるのは大事なんだよっ!


「それじゃあ場も整った事だしそろそろ始めてもらおうかしら?実況さん、よろしくね」
「承ったよー!!それじゃあ今季シーズン前哨戦!『アースリンドウ連邦国』vs『ボールアイ王国』スタート!!」


ピーーーーーーーーーーーーーーッ!!!















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