転生したら天使に職業を選べと言われたので全部選んだら大変なことになりました

神王

第一章 四十三話 国王に会いました。

「わー!天井高ーい!!」



俺たちは、二人の兵士に案内されながら王へ会うために王城の中を歩いていた。



高級そうな壺、綺麗なステンドグラス、大量の部屋、長い廊下、綺麗なシャンデリア、高い天井、赤いカーペットなど、まさに王城と思わせるようなものがそこら中にあった。



「それにしても凄い扉の数だな……一体何にこんな大量の部屋を使ってるんだ……?」



「多分使用人の部屋とか娯楽施設とかそんなところじゃない?」



「王城すげえなぁ」



そんな調子で歩いていると、一番奥の部屋の前で、兵士たちが足を止める。

その部屋の扉はかなり大きく、高級そうな見た目をしている。



「失礼します」



コンコン



兵士が声を張って言った後、扉をノックする。



ガチャ、ギイイイイイイ



兵士たちがそれぞれ左右の扉を持って、扉をゆっくりあける。



その先には、大きな窓、大きなカーペット、王が座っている大きな椅子を備えたかなり大きな部屋があった。



大きな椅子に座っている王は、60代近くの見た目をした、白髪の男性だった。



「こちらです」



兵士に言われるまま、部屋に入り大きなカーペットの上を、奥に座っている王に向けて歩く。



それから少し前に移動した後、兵士に止められる。



するとシエラが床に膝をつける。



俺とエッシェルも真似して床に膝をつける。



「下がってよい」



遠くの椅子に座っている王が手を払うと、兵士たちが一礼して部屋の隅まで移動した。



「汝らがスクワを魔人の襲撃から守った三人組で間違いないな」



「はい!」



シエラが返事する。



「勇者よ、汝がスクワに赴いたのは知っておるが、その二人は何者だ?」



「冒険者のタケル様とエッシェル様でございます」



「ほう……実力はどのくらいだ」



「エッシェル様は第六階位の魔法が使える魔術師で、タケル様はそれ以上の魔術師でございます」



シエラってこんな言葉使い出来たのか……すげえな……



「なるほど……汝と比べるとどうだ」



「二人共私より強いと存じております」



シエラって自分のこと私って言えるんだな。



……当たり前か。



「勇者を上回る、か……」



少し王の眉毛がピクリと動く。



「タケル殿よ、汝がほとんどの魔物を倒したと聞いたが、本当か?」



「ああ、そうだ」



「ちょ、ちょっと!!せめて敬語使ってよ!!」



シエラが俺を叩く。



「え?あ」



完全に私語で話していた。

エッシェルに指摘されてギルド長と私語で話していたせいで国王まで私語で接してしまった……



「よいよい、別にその話し方のままで構わん」



「そ、そうか……」



尚も私語で話し続ける俺をシエラが困った顔で見てくる。



「だが流石に大陸を滅ぼすほどの魔物を一人で倒したという話は信じ難い。証拠はないのか」



「証拠か……」



うーん、魔物を倒した証拠っていうと魔石だよな……

だけどあんな炎に巻かれて魔石が残ってるはずがーー



ん?そういえば俺倒した魔物の魔石を自動で回収できるんじゃなかったっけ。



「収納空間!」



俺の右方向に数メートル、誰もいない壁の側に収納空間の入り口を出す。



流石に魔石を手作業で出すのはめんどくさい。

念じて中のものを一気に出せたりしないものか。



「ふんっ!」



試しに街を襲った魔物たちの魔石だけを全て出すように念じてみる。

すると。



ブゥゥゥゥゥゥン



突然収納空間が上に上昇し、空間に開いた穴がみるみる大きくなっていく。



あれ、もしかして念じても物出せるのか?



次の瞬間。



ガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラ!!!!!



大量の紫色の魔石が穴から流れ出てきた。



「おおっ!?!?」



流石に王も驚いているようだ。



ガラガラガラ……



数十秒間勢いよく魔石が出続けた結果、王がいる部屋の壁に紫色の魔石の山が出来た。



「ど、どうやら凄腕の魔術師というのと、街を襲った魔物を倒したというのに間違いはないようだな……」



王が壁にできた魔石の山を見て言う



「よし。好きな報酬を望むといい」



「報酬?それならもうギルド長からーー」



「それは報酬の一部に過ぎぬ。好きな報酬を要求するがよい」



いやまじかよ……



とは言ってももうお金は十分もらったからな……



「いや、特に何もいらないな」



「そうか…………本当か!?」



「ああ」



「うーむ、流石に国を救った者に報酬を与えないというのは気が引けるのだが……」



「いや、でも欲しい物は特に何も……」



「確かに噂通り空間魔法を使えるほどの魔術師ならば、欲しい物などいつでも手に入るからな……」



そういうことじゃないんだが。



「よし、今から報酬について話し合おう。タケル殿以外は席を外せ!」



「は、はっ!!」



「はい!」



「え?あ、は、はい!!」



王がそう言うと、兵士たちとシエラ、エッシェルが部屋から出ていく。



何!?突然王様と二人きりになったんですが!?!?



「タケル殿、こちらへ来るがよい」



王が俺を手招きする。



「は、はあ」



恐る恐る王座への階段を登り、王座の前まで行く。



「なあ……」



王が突然立ち上がり、俺の両肩に手を置く。



え。どう言う状況ですkーー



「うちのユティナをもらってはくれぬか!!」



!?!?!?!?!!?!?!?!?



「いや、それは流石にーー」



「ユティナは自分より強い者にしか目がないと言うのだ!!しかしそんな者はまだ見つかっておらぬ!!」



「いやでmーー」



「そこで!!!一流の魔術師のタケル殿ならば!!!!ユティナが認めるのではないかと!!!!」



「いやいや、俺ただのFランク冒険者だし……」



「Fランク……?ギルドカードを見せてみろ」



「はい」



これでランクが低いと知れればきっともう変なことは言い出さないはずーー



「昨日登録したばかりじゃないか!!なのにもうランクが上がっている!!」



あら、日付も書いてあったの。



「やはりお主ならばユティナを認めさせられるはずだ!!」



「いやでも流石にそれはちょっと……」



「頼む!!この通りだ!!!!」



突然王が勢いよく土下座する。



!?!!?!?!?!?!??!?!?!?!?



もしかして他の人たちを出て行かせたのって俺に土下座するためだったの!?!?!??!?



「いや!!!俺が姫にふさわしくないって意味だから土下座しないでくれ!!」



「いやいや、タケル殿なら申し分ない!!寧ろ国を救った救世主に選ばれた存在なのだから大歓迎だ!!」



「救世主……?」



「タケル殿のことだぞ?」



「………………え」



前に街で救世主とか言ってたのやっぱ俺のことだったの!?!?



「とにかくユティナを呼んで来るから待っててくれ!!」



王が勢いよく別の部屋に走っていった。





「………………いやまじかよ」














皆さんこんにちは(こんばんは)、神王です。誤字脱字がありましたらいってください。あとお気に入りとハートもよろしくお願いします。これからも転生したら天使に職業を選べと言われたので全部選んだら大変なことになりましたをよろしくお願いします。

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