転生したら天使に職業を選べと言われたので全部選んだら大変なことになりました

神王

第一章 九話 剣の試験もやってみました。

爆発が収まると、俺、エッシェル、そしてシェスタ以外の人は皆倒れていた。



「ここの壁丈夫なんだね!」



エッシェルが真っ黒になっても砕けていない壁を見て言う。



「ギルドの建物には確かに強化の魔術がかかってますけど……」



シェスタが俺の方に歩いてくる。



「タケルさん!?!?!?一番弱い魔法を使うって言ってませんでした!?」



シェスタが顔をすぐ近くまで近付け、迫る。



「Aランクの中でも上位層に匹敵するくらいの魔法を撃ったエッシェルさんよりも!!さらに強い魔法を打ちましたよね!?!?」



「い、いやー。確かにそうしたつもりだったんだがー」



俺は少しずつ引き下がりながら言う。



「これがタケルの一番弱い魔法だったんじゃないの?」



エッシェルが言う。



「私の障壁を破った上にギルドの建物があと一歩で壊れそうになっただけじゃなく、こんな大量の冒険者を気絶させて一番弱い魔法なわけがないですよ!!」



シェスタがエッシェルの方を見ながら言う。



「いや、多分そうだ」



俺はエッシェルに同意する。



「……冗談ですよね……?」



「別に冗談じゃないが……」



「え、えーと、とりあえずその話は置いておいて、今は私が冒険者を癒しますわ」



そう言いながらシェスタが倒れた冒険者に向かっていく。



「癒しの光よ。治癒!」



シェスタが一番近くの倒れた冒険者の前に正座したかと思うと、手をかざして魔法をかけ始めた。



「じゃあ俺も手伝うよ」



何か良い回復魔法は…



ー高位神官・神の恩恵 MP消費:180ー



あった!



「え?でもタケルさんって……」



「神の恩恵!」



俺が唱えると俺の真上に光の球のようなものが出て、みるみる冒険者達を回復させていく。



「光属性……持ってな……」



シェスタが固まる。



「今何か言ったか?」



シェスタに聞くと3秒くらい固まった後、シェスタが返事した。



「光属性持ってないのになんで光属性の魔法が使えるんですかっ!!!」



しまった!!光属性は上から5番目だった!!



「いや、それは……」



「というかそんなことより今の魔術って…」



「あれ?」



「俺今確か…」



シェスタが何かを言おうとした直後、冒険者達が目を覚ました。



「あ、目を覚ましましたね!良かったです!」



シェスタが冒険者達に駆け寄っていく。



なんとか助かったようだ。



「あれ?僕たち試験してて……あ!!!」



一人の冒険者が俺を指差す。



「ん?どうした?」



「い、いや!なんでもございません!」



どうして急に態度が丁寧になったんだ?



他の冒険者を見ても、俺から目を逸らす。



一体なぜ……



「あの落ちこぼれ達、みんなあの魔法が怖かったんじゃない?」



俺の思考を読んだかのようにエッシェルが言う。



「流石に落ちこぼれ呼ばわりは可哀想だろ……」



「え、えー、それでは気をとりなおして剣技の試験を始めますね!!」



シェスタがざわざわしている会場を収める。



「それでは剣が扱える冒険者はここに並んで下さい!」



シェスタがそう言うと今度は全員の冒険者が立ち上がり、並んだ。



どうやら剣は冒険者として当然の嗜みのようだ。



「エッシェルは剣使えるのか?」



「うん!お父さんから習ってたから!」



魔王が直に剣技を教えていたのか。それは強そうだな。



「タケルは出来るの?」



「ああ。剣道なら昔嗜んでいたからな」



「それじゃあ順番にそこの剣を取って私に攻撃をしに来て下さい。」



シェスタが隣にある剣をスッと抜く。



「ギルド長と戦うんですか!?」



冒険者達がざわざわする。



「別にこの剣は真剣ではないですし、別に勝てとは言いませんよ」



シェスタが余裕のある表情で言う。



「そ、それじゃあ行きます!!」



剣を取った一番前の冒険者がシェスタに突撃する。



「はぁっ!!」



冒険者が剣を振り下ろす。



「それじゃあ隙だらけよ」



シェスタが剣を軽く弾き、冒険者の喉元で剣を止める。



「はい次!」



「行きます!」



その後も、シェスタは軽々と連続で圧勝して見せた。



「次!……あら。エッシェルさんも剣を使えるの?」



エッシェルの番が回ってくると、シェスタが言う。

「もちろんだよ!」



エッシェルが元気に返す。



「別にあなたにだって手加減はしませんよ!」



「手加減なんてしなくていいよ!」



「いい心構えね。来なさい!」



「いきまーす!」



エッシェルがそう言った瞬間、エッシェルの姿が眩んだ。



「速い……!」



辛うじてエッシェルの剣をシェスタが受け止める。



「やあああっ!」



エッシェルが連続で斬撃を繰り出す。



「くっ……!」



シェスタはなんとかその斬撃を防ぐ。



「そこよ!」



シェスタが隙をつかんだのか、姿勢を低くし、エッシェルに斬撃を繰り出す。



「こっちだよ?」



エッシェルがそう言ったかと思うと、エッシェルはシェスタの後ろに回り込み、首に剣かざしていた。



「なっ…!」



シェスタは驚きのあまり固まる。



「あの子すげえな……」



「魔法だけじゃないの!?」



冒険者達のざわめきが聞こえる。



「はい、これ」



戻って来たエッシェルが俺に剣を差し出す。



そういえば鉄製の剣を持つのは初めてだな…



俺は剣を持つ。



軽い…!!



俺はあまりの剣の軽さに驚く。それは今まで持っていた竹刀とは比べ物にならなく、空気と比較できるくらいの軽さだった。



ー黄金剣士・剣心ー



頭の中に浮かんでくる。きっとこのパッシブスキルで剣がすごく軽いように感じるのだろう。



「じゃあ次は俺だな」



俺はシェスタの前に立つ。



「流石にあなたには負けませんよ!!」



シェスタが立ち上がり、言う。



「じゃあ行くぞ!」



ー音速剣士・瞬風ー



頭の中に思い浮かぶと同時に、周りの世界が遅くなったように感じるくらいの速さで動けるようになる。



こんな便利なスキルもあるのか!!



俺はすぐにシェスタの後ろに回る。



「なっ!!!」



シェスタはなんとか俺の斬撃を防ぐ。



「しっかり構えていたはずなのに背後を取られるなんて…エッシェルさんとは比べものにならない速さ……」



「まあ剣の嗜みはそれなりにあるからな」



正直パッシブスキルのお陰なのだが。



「はぁっ!」



シェスタが剣を振るう。



「はっ!」



俺はその剣を受ける。



「隙あり!」



シェスタが剣を弾いたかと思うと、横から俺に向けて剣を振るう。



「くっ!」



俺の受け止め方から生じた一瞬の隙をついて俺に攻撃を仕掛けて来たのだ。



やはり日本でやってきた剣道では命を守るために磨いた剣には太刀打ちできないのか…



ー黄金剣士・自動反撃ー



頭にふと浮かぶ。



次の瞬間ーーーー



隙をついて仕掛けられた攻撃を容易くギリギリで躱し、俺は剣を逆手に持ち替えて右下に居るシェスタの喉元に剣をかざしていた。











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皆さんこんにちは(こんばんは)、神王です。誤字脱字がありましたら、いってください。あと、お気に入りとハートをお願いします。これからも転生したら天使に職業を選べと言われたので全部選んだら大変なことになりましたをよろしくお願いします。

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