キリストにAI開発してもらったら、月が地球に落ちてきて人類滅亡の大ピンチ! 前代未聞、いまだかつてない物語があなたの人生すら変えてしまう ~ヴィーナシアンの花嫁~
32.最高の秘密結社
「お疲れ様でーす」
翌日の午後、由香ちゃんが出勤してきた。
ボルドーのトップスに花柄のスカートにフリルのパーカーを羽織っている。
由香ちゃんは週に2回くらい出勤して主に経理業務をやっているのだ。
パソコンでクラウド会計ソフトに繋げて領収書を打ち込んだり、給与計算ソフトで給料や社会保険料を計算したり、銀行に繋いで振り込み依頼をかけたり結構忙しい。
俺は心を込めて珈琲を入れて、由香ちゃんに持っていく。
「由香ちゃん、はい、珈琲」
「あ、ありがとうございます」
由香ちゃんはそう言って、書類の散らかった机を片付けて珈琲を受け取る。
「うちの仕事には慣れたかい?」
「はい、何とか……」
「由香ちゃん頑張ってくれてるからそろそろ太陽興産への推薦をしようかなと思うけどどうかな?」
「あ、その事ですが……」
「ん? 嫌なの?」
「そうじゃなくて、このままこちらでお世話になる事は出来ますか?」
「え? うちで働きたいって事?」
「マーカスさんクリスさんとか凄い人が居る会社、実は最高なんじゃないかって思えてきてるんです」
ん~、確かに世界一のエンジニアと神様がいる会社はうちしかない。
でも、新卒を受け入れるような会社じゃないよなぁ……
「うちは吹けば飛ぶような会社だよ? 3年後無くなってるかもしれないよ」
「それでもこのまま居たいなぁ……って思うんです」
由香ちゃんはそう言って両手を組んでこっちをジッと見つめる。
可愛い女の子に真剣に頼まれると弱い。
「う~ん、なるほど、ちょっとクリスに聞いてみるよ」
俺はメゾネットの階段を上り、赤ちゃんに付き添ってるクリスの所へ行った。
クリスは穏やかな顔をしながら赤ちゃんに手をかざしている。
もう3日目だから相当に疲れているとは思うが、全然疲れているように見えないのはさすがだ。
「クリス、申し訳ないね。赤ちゃんの具合はどう?」
「…。かなり安定してきたから、そろそろ付き添わなくても大丈夫になるだろう」
「それは良かった、ありがとう」
赤ちゃんをそっと覗き込むと、小さなピンク色の塊が羊水の中で浮かんでいる。
まるでウーパールーパーだが、これが本当に人間になるのだろうか?
頭では理解していても実感がわかない。
「あ、そうだ、由香ちゃんだけど、うちに就職したいんだって。どうする?」
「…。予定通りですよ」
「え? 最初からうちに就職させるために呼んだの!?」
「…。秘密です」
そう言ってクリスは優しく微笑んだ。
うーん、クリスは何手先まで読んでいるんだろうか?
そもそも俺の彼女候補として呼んだはずだったのに、なぜ社員にするのだろうか?
色々と聞きたいとも思ったが……赤ちゃんの面倒を見てくれているクリスにあまり絡むのもどうか、と思うので部屋を後にする。
由香ちゃんは両手を組んだままこっちを祈るように見ている。
俺はにこやかに笑って、
「クリスもいいってさ、では来年4月からはうちの社員という事でよろしく!」
「え!? そんなに簡単に決まっちゃうんですか!?」
「うちはクリスがOKなら何でもOKなんだよ」
「ふぅん。でも良かった! 就職先が決まった!」
晴れやかな表情で笑顔の由香ちゃんだが……カミングアウトタイムだ。
「ただ、うちの社員になる以上うちの秘密も話さないとならないな」
「え? 秘密?」
キョトンとする由香ちゃん。
「……。うちはね、本当は会社じゃないんだ」
「は?」
由香ちゃんが口を開けて固まってしまった。
「形式上法人にした方がうまく回るので会社の形態を取っているだけで、本当は会社じゃないんだ」
「え? じゃ、何なんですか?」
「人類の後継者を作ろうという深層後継者計画の秘密組織なんだ」
「人類の後継者?」
「人類は残念ながら近い将来滅びるだろうと我々は考えている。それは数年後に核戦争が起きるからかもしれないし、少子化が地球全体を覆う数千年先かもしれない。でも、確実にいつかは滅びちゃうんだ」
「えっ? そんなに深刻なんですか?」
ただの就活をしていたら、人類の滅亡を予言されてしまう由香ちゃん。
ちょっとかわいそうな気もするが避けて通れない。
「人類という種はもう1万年も続かない、それはもう避けられない運命と言っていい。僕たち日本人だって少子化で2000年後にはいなくなっちゃうんだ」
「そんな事…… 考えた事もなかった」
「で、我々の文化、生きた証、それが滅びるのだけは避けたいよね」
「そう……ですね」
「だったら後継者が要るよね?」
「まぁ…… そうですね」
「じゃぁ作ろう!」
「えっ!?」
由香ちゃんは固まってしまった。
「俺達には世界一のAIエンジニアチームも神様も金もある。俺達にできなければ誰にもできないんだよ」
「そんなに……」
「でも、そんなこと公言したら狂人扱いされるし、ちょっとヤバい物扱ってるから捕まってしまうかも知れない。だから俺達は必死にAIベンチャーの体裁を取り繕って、秘かにうまくやってるのさ」
「ヤバい物って何ですか?」
まぁ見た方が早いな。
「おいで」
そう言ってメゾネットの階段を上がって、赤ちゃん部屋に由香ちゃんを連れて行く。
「クリス、由香ちゃん連れて来たよ。見せてあげてくれるかな?」
クリスはにっこりとほほ笑むと赤ちゃんを指さした。
恐る恐る近づいてくる由香ちゃんを、俺は赤ちゃんのそばまで誘導して言った。
「これがヤバい物、無脳症の人間の赤ちゃんだよ」
「赤ちゃん!?」
「無脳症で堕胎されて、医療廃棄物として処理される途中の赤ちゃんを貰って来たのさ」
「え? 無脳症?」
「この赤ちゃんは病気で脳が無いんだ。だからまともに育たないし意識もない。だから普通殺されちゃうんだ。それをAIの学習のために使わせてもらう」
「人体実験!……ですか?」
由香ちゃんは丸い目を見開いて驚いて言う。
「まぁ、そういう事になるな。どうだい、それでもうちで働くかい?」
「えっ? それは…… この人体実験は必要なんですか?」
「他に手は思い浮かばない」
もちろん、人間に近いロボットを作ればできない事もないかもしれないが、それでも人間が感じる世界とは大きくずれが生じてしまう。人類の後継者となるためにはどうしても人間の肉体を使わざるを得ない。
「なら……仕方ないですね…… もちろん私も仲間に入れてください。その深層後継者計画に!」
「いいのかい? もう後戻りできないよ?」
「人類の後継者を作る極秘プロジェクト、最高じゃないですか!」
由香ちゃんは両手にこぶしを握って興奮気味に言う。
「そう?」
「そうですよ! 私、これを……これを探してたんです!!!」
「これ?というのは?」
「何の迷いもなく人生をかけられる仕事ですよ!」
「そんなに?」
「そうですよ!深層後継者計画は人類に必要な仕事です! 私も仲間にしてください!」
すごいノリノリである。
「あー、そう? じゃ、よろしくね」
「はい!!!」
由香ちゃんは満面の笑みで言った。
「さっそくですが、私でもできる事ないですか?」
「あー、そう? 由香ちゃんは血液型何型?」
「え? AB型……ですけど……」
俺はガッツポーズをした。
「じゃ、とりあえず血液を下さい」
「え……? もしかして、赤ちゃんに使うんですか?」
「そうそう、定期的に人工胎盤の血液を変えないといけないんだよ。今は俺一人なので大変なんだ。頼むよ」
「そのくらい全然大丈夫ですよ!」
やった、これで少し楽になる。一応薬とか服用していないか確認として、
「由香ちゃんは病気持ちだったりしないよね?」
「もちろん健康……あ、まぁこれはいいのかな?」
「え? 何か病気あるの?」
「いや……そう言う訳では……ないんですが……」
モジモジしながらはっきりしない由香ちゃん。
クリスが由香ちゃんの方をジッと見て、頷いて手をかざした。
由香ちゃんの身体が淡く光る。
「えっ!?」
そう言いながら少し浮かび、自分の身体を見回す。
そのうち由香ちゃんは気持ちよさそうに恍惚の表情を浮かべた。
何かを治療されているようだ。
しばらくして光が消え、ゆっくり着地をすると
「あっ!マズいです!」
と言ってうずくまり出した。
俺はビックリして由香ちゃんの身体を支えて、
「大丈夫!?」
と、聞くと
「ちょっと、放してください!」
「いや、具合悪いなら無理しちゃダメだよ」
そう言って由香ちゃんの身体をしっかり支えた。
「ダメダメ! 放して! もぅ、誠さんのバカ!!」
そう言って俺の手を振り切ると、走って部屋を出て行ってしまった。
「バカ……?」
唖然とする俺。
「…。今のは誠が悪いよ」
そう言ってクリスがクスクス笑っている。
「え? どういう事?」
「…。彼女はトイレに行ったんだよ」
「え……?」
トイレに行く病気?
「あ、便秘だったのか……」
でもそれって言ってくれなければ分かんないよなぁ。
手に残る由香ちゃんの柔らかな手触りを思い出しつつ……複雑な表情をする俺を見て、クリスは笑いだしてしまった。
「…。誠はこないだから女難続きだな」
「何とかならないかなぁ?」
「…。まだまだ、女難の相が出てるぞ」
そう言ってニヤッと笑うクリス。
「マジすか!?」
賑やかな未来が俺を待ってるってさ。
翌日の午後、由香ちゃんが出勤してきた。
ボルドーのトップスに花柄のスカートにフリルのパーカーを羽織っている。
由香ちゃんは週に2回くらい出勤して主に経理業務をやっているのだ。
パソコンでクラウド会計ソフトに繋げて領収書を打ち込んだり、給与計算ソフトで給料や社会保険料を計算したり、銀行に繋いで振り込み依頼をかけたり結構忙しい。
俺は心を込めて珈琲を入れて、由香ちゃんに持っていく。
「由香ちゃん、はい、珈琲」
「あ、ありがとうございます」
由香ちゃんはそう言って、書類の散らかった机を片付けて珈琲を受け取る。
「うちの仕事には慣れたかい?」
「はい、何とか……」
「由香ちゃん頑張ってくれてるからそろそろ太陽興産への推薦をしようかなと思うけどどうかな?」
「あ、その事ですが……」
「ん? 嫌なの?」
「そうじゃなくて、このままこちらでお世話になる事は出来ますか?」
「え? うちで働きたいって事?」
「マーカスさんクリスさんとか凄い人が居る会社、実は最高なんじゃないかって思えてきてるんです」
ん~、確かに世界一のエンジニアと神様がいる会社はうちしかない。
でも、新卒を受け入れるような会社じゃないよなぁ……
「うちは吹けば飛ぶような会社だよ? 3年後無くなってるかもしれないよ」
「それでもこのまま居たいなぁ……って思うんです」
由香ちゃんはそう言って両手を組んでこっちをジッと見つめる。
可愛い女の子に真剣に頼まれると弱い。
「う~ん、なるほど、ちょっとクリスに聞いてみるよ」
俺はメゾネットの階段を上り、赤ちゃんに付き添ってるクリスの所へ行った。
クリスは穏やかな顔をしながら赤ちゃんに手をかざしている。
もう3日目だから相当に疲れているとは思うが、全然疲れているように見えないのはさすがだ。
「クリス、申し訳ないね。赤ちゃんの具合はどう?」
「…。かなり安定してきたから、そろそろ付き添わなくても大丈夫になるだろう」
「それは良かった、ありがとう」
赤ちゃんをそっと覗き込むと、小さなピンク色の塊が羊水の中で浮かんでいる。
まるでウーパールーパーだが、これが本当に人間になるのだろうか?
頭では理解していても実感がわかない。
「あ、そうだ、由香ちゃんだけど、うちに就職したいんだって。どうする?」
「…。予定通りですよ」
「え? 最初からうちに就職させるために呼んだの!?」
「…。秘密です」
そう言ってクリスは優しく微笑んだ。
うーん、クリスは何手先まで読んでいるんだろうか?
そもそも俺の彼女候補として呼んだはずだったのに、なぜ社員にするのだろうか?
色々と聞きたいとも思ったが……赤ちゃんの面倒を見てくれているクリスにあまり絡むのもどうか、と思うので部屋を後にする。
由香ちゃんは両手を組んだままこっちを祈るように見ている。
俺はにこやかに笑って、
「クリスもいいってさ、では来年4月からはうちの社員という事でよろしく!」
「え!? そんなに簡単に決まっちゃうんですか!?」
「うちはクリスがOKなら何でもOKなんだよ」
「ふぅん。でも良かった! 就職先が決まった!」
晴れやかな表情で笑顔の由香ちゃんだが……カミングアウトタイムだ。
「ただ、うちの社員になる以上うちの秘密も話さないとならないな」
「え? 秘密?」
キョトンとする由香ちゃん。
「……。うちはね、本当は会社じゃないんだ」
「は?」
由香ちゃんが口を開けて固まってしまった。
「形式上法人にした方がうまく回るので会社の形態を取っているだけで、本当は会社じゃないんだ」
「え? じゃ、何なんですか?」
「人類の後継者を作ろうという深層後継者計画の秘密組織なんだ」
「人類の後継者?」
「人類は残念ながら近い将来滅びるだろうと我々は考えている。それは数年後に核戦争が起きるからかもしれないし、少子化が地球全体を覆う数千年先かもしれない。でも、確実にいつかは滅びちゃうんだ」
「えっ? そんなに深刻なんですか?」
ただの就活をしていたら、人類の滅亡を予言されてしまう由香ちゃん。
ちょっとかわいそうな気もするが避けて通れない。
「人類という種はもう1万年も続かない、それはもう避けられない運命と言っていい。僕たち日本人だって少子化で2000年後にはいなくなっちゃうんだ」
「そんな事…… 考えた事もなかった」
「で、我々の文化、生きた証、それが滅びるのだけは避けたいよね」
「そう……ですね」
「だったら後継者が要るよね?」
「まぁ…… そうですね」
「じゃぁ作ろう!」
「えっ!?」
由香ちゃんは固まってしまった。
「俺達には世界一のAIエンジニアチームも神様も金もある。俺達にできなければ誰にもできないんだよ」
「そんなに……」
「でも、そんなこと公言したら狂人扱いされるし、ちょっとヤバい物扱ってるから捕まってしまうかも知れない。だから俺達は必死にAIベンチャーの体裁を取り繕って、秘かにうまくやってるのさ」
「ヤバい物って何ですか?」
まぁ見た方が早いな。
「おいで」
そう言ってメゾネットの階段を上がって、赤ちゃん部屋に由香ちゃんを連れて行く。
「クリス、由香ちゃん連れて来たよ。見せてあげてくれるかな?」
クリスはにっこりとほほ笑むと赤ちゃんを指さした。
恐る恐る近づいてくる由香ちゃんを、俺は赤ちゃんのそばまで誘導して言った。
「これがヤバい物、無脳症の人間の赤ちゃんだよ」
「赤ちゃん!?」
「無脳症で堕胎されて、医療廃棄物として処理される途中の赤ちゃんを貰って来たのさ」
「え? 無脳症?」
「この赤ちゃんは病気で脳が無いんだ。だからまともに育たないし意識もない。だから普通殺されちゃうんだ。それをAIの学習のために使わせてもらう」
「人体実験!……ですか?」
由香ちゃんは丸い目を見開いて驚いて言う。
「まぁ、そういう事になるな。どうだい、それでもうちで働くかい?」
「えっ? それは…… この人体実験は必要なんですか?」
「他に手は思い浮かばない」
もちろん、人間に近いロボットを作ればできない事もないかもしれないが、それでも人間が感じる世界とは大きくずれが生じてしまう。人類の後継者となるためにはどうしても人間の肉体を使わざるを得ない。
「なら……仕方ないですね…… もちろん私も仲間に入れてください。その深層後継者計画に!」
「いいのかい? もう後戻りできないよ?」
「人類の後継者を作る極秘プロジェクト、最高じゃないですか!」
由香ちゃんは両手にこぶしを握って興奮気味に言う。
「そう?」
「そうですよ! 私、これを……これを探してたんです!!!」
「これ?というのは?」
「何の迷いもなく人生をかけられる仕事ですよ!」
「そんなに?」
「そうですよ!深層後継者計画は人類に必要な仕事です! 私も仲間にしてください!」
すごいノリノリである。
「あー、そう? じゃ、よろしくね」
「はい!!!」
由香ちゃんは満面の笑みで言った。
「さっそくですが、私でもできる事ないですか?」
「あー、そう? 由香ちゃんは血液型何型?」
「え? AB型……ですけど……」
俺はガッツポーズをした。
「じゃ、とりあえず血液を下さい」
「え……? もしかして、赤ちゃんに使うんですか?」
「そうそう、定期的に人工胎盤の血液を変えないといけないんだよ。今は俺一人なので大変なんだ。頼むよ」
「そのくらい全然大丈夫ですよ!」
やった、これで少し楽になる。一応薬とか服用していないか確認として、
「由香ちゃんは病気持ちだったりしないよね?」
「もちろん健康……あ、まぁこれはいいのかな?」
「え? 何か病気あるの?」
「いや……そう言う訳では……ないんですが……」
モジモジしながらはっきりしない由香ちゃん。
クリスが由香ちゃんの方をジッと見て、頷いて手をかざした。
由香ちゃんの身体が淡く光る。
「えっ!?」
そう言いながら少し浮かび、自分の身体を見回す。
そのうち由香ちゃんは気持ちよさそうに恍惚の表情を浮かべた。
何かを治療されているようだ。
しばらくして光が消え、ゆっくり着地をすると
「あっ!マズいです!」
と言ってうずくまり出した。
俺はビックリして由香ちゃんの身体を支えて、
「大丈夫!?」
と、聞くと
「ちょっと、放してください!」
「いや、具合悪いなら無理しちゃダメだよ」
そう言って由香ちゃんの身体をしっかり支えた。
「ダメダメ! 放して! もぅ、誠さんのバカ!!」
そう言って俺の手を振り切ると、走って部屋を出て行ってしまった。
「バカ……?」
唖然とする俺。
「…。今のは誠が悪いよ」
そう言ってクリスがクスクス笑っている。
「え? どういう事?」
「…。彼女はトイレに行ったんだよ」
「え……?」
トイレに行く病気?
「あ、便秘だったのか……」
でもそれって言ってくれなければ分かんないよなぁ。
手に残る由香ちゃんの柔らかな手触りを思い出しつつ……複雑な表情をする俺を見て、クリスは笑いだしてしまった。
「…。誠はこないだから女難続きだな」
「何とかならないかなぁ?」
「…。まだまだ、女難の相が出てるぞ」
そう言ってニヤッと笑うクリス。
「マジすか!?」
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