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テクノロジカル・ハザード ~くびきから解き放たれたトランスヒューマンは神か獣か~

和多野光

第25話「DCSI-異世界科学捜査班」

あ〜、くそ……久しぶりに効いたぜ。さっきのビームより強い蹴りってどういう蹴りだよ。ったく。それと……
「くぉら!」
 俺はガンドに割と強めの平手打ちをした。
「ぬがっ?!な、何をする!?」
「お前……今、死のうとしやがったな?」
「……」
「ざけんなよ?他人に娘蘇らせておいて、何自分だけ死んで楽になろうとしてやがんだてめえ」
「い、いや……しかし流石にあれ程の攻撃は我も避けようが――」
「ギザマ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!」
 るっせえ!今、てめぇの親父と取り込み中なんだよ!
「ふん(逆回転式コークスクリュージョルト突き:正拳突きの拳の向きを起点に手のひらが上になる様に外側へ回すノーインチ寸勁パンチ)!」
 もういっぺん吹っ飛んでろ!
「ギィ゛ヤ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!?(ドゴォォォォォォォォォン!)」
「(え……ちょ、リルラァァァァ)!?」
「ここでお前が死んだら誰がこの状況を説明すんだよ。責任は取らねぇっつったろ?お前が望んだからやってやったんだぞ。そこんとこ忘れてんじゃねえよ、コラ!」
 勝手にこっちに娘さんの後処理を託されても困るんだよ。分かるか?あ゛あ゛ん゛?
「……う、うむ。すまん」
「分かったならそこで見とけ。今からちょっと錯乱気味のあんたの娘さん、ぶん殴って黙らしてくるから」
「は……?え……?」
「グ……ガハッ……ギザマ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!よ゛ぐも゛お゛父゛様゛を゛!」
「おいおい、自分のやった事すら区別がついてねぇのかよ。このおっさんをやったのはお前だろうに」
「弱゛者゛の゛ぐぜに゛!人゛間゛の゛ぐぜに゛ぃ゛ぃ゛!ごの゛私゛に゛指゛図゛ずる゛な゛ぁ゛ぁ゛!」
「あっはっはっは!そうやって見下してきたから下等生物(人間)なんぞに殺られたんだろうが、この偽善者め!」
おら、四の五の言わずに早く掛かってこいバカ女。
結局の所、お前は自分が優位者だと再確認する(気持ち良くなる)為だけに手を差し伸べてたんだよ。相手の気持ちなんて全く考えずにな。
 そりゃ、中には手を差し伸べてくれてありがとうな奴も大勢いらぁ。だがな、底辺の苦しみも知らねえ奴から手ぇ差し伸べられても巫山戯んなって奴もいんだよ『お嬢様』。
「ギィ゛ィ゛ィ゛ィ゛!」
「『M.M.Aメカニカルマーシャルアーツ。Model:逆気柔術』」
これは掴んだ相手に合気柔術の理論を力任せに行うという、鬼畜技だ。
 相手の身体がどうなろうと知ったこっちゃない仕様だから当然……
「ギィ゛ャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!?」
 掴んでいる腕がどうなるのかはお察しの通りだ。
一強(※本来は『教』の字を使います)、二強、三強、四強、そして……斥力投げぇ!
「(Kabooooom!)」
「リ、リルラァァァァ!?」
「落ち着け、おっさん。心配なのは分かるが、取り敢えずは両の腕をズタボロにしただけだ。殺しちゃいねぇよ」
「し、しかし……!」
「ガァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!」
ほらな。腕が使えなくなったくらいじゃ全然止まんねぇでやんの。
まぁ、こうなったらもう後は繰り返しだ。
 足も同様に使えなくする。
 するとどうだ?まるで翼をもがれた蛇の様な動きをする人間が出来上がるではないか。
 はっはっは。無様、無様。
「グ……ギギ……ギギ……オ゛ドヴザマ゛……ワ゛ダジノ゛ア゛ガヂャ゛ン゛……ドゴオ゛……ドゴナ゛ノ゛……ゴメ゛ン゛ナ゛ザイ゛……ゴメ゛ン゛ナ゛ザイ゛イ゛……」
「リルラ……」
 さてと……
「これでようやく『お話』が出来るな。お嬢さん」
 山。丸々一つ無くなったけど、仕方の無い犠牲だと思っておこう。
「グ……グ……ギザマ゛ァ゛ァ゛……!」
「お、おい……その前にリルラを治す事は出来ぬのか?」
 はあ?
「馬鹿か、あんた。せっかく『お話』が出来る所まで娘さんを弱らせたんだぞ?今治したらさっきの繰り返しだろうが」
「あ……うむ。そうだな……確かにそうだ。すまぬ……」
「オ゛ドヴザマ゛ァ゛ァ゛……」
「おい」
「べぶっ?!」
「『オ゛ドヴザマ゛ァ゛ァ゛』じゃねえよ。お前、親父さんが認識出来る位にまでは意識が戻ってんな?」
「……ゥ゛ゥ゛」
「お、おい……」
「黙ってろ。話が進まねえ」
「……う、うむ」
「何処まで覚えてる?」
「何処……ま゛で……?」
「自分の名前、父親の名前、母親の名前……etc」
「覚え゛……でる゛……」
よし。身の回りの人物ならスラスラと答えられている。アイデンティティは問題ないな。
「なら、あんたを襲った人物の事は?」
「ぞれ゛……は……っ!」
「……リルラ?」
「……どゔして?思い出ぜない゛……」
やっぱりか。まさかとは思ったが、記憶までも綺麗さっぱり消してやがる。やるねぇ。対策は万全って事か。
「質問を変えよう。いや……と言うか、ここからは状況説明になるか」
「……?」
「此処はあんたが死んでから数百年は経った未来だ。死んでいたあんたを俺が親父さんの頼みで蘇らせた。結果は見てのとおりだが、中にいたお子さんやあんたを襲った犯人の記憶や残滓データは無かった」
だから俺にはこれ以上どうする事も出来ない……って、あぁ駄目だ。全くついてこれてない。表情に「?」マークがへばり付いてやがる。
「説明……後は頼んでいい?」
「いや、それは流石に無責任が過ぎるのではないか……?」
ぐ……確かにそうだが。事細かに説明した所で到底理解される様な理論でもないし、俺が説明した所で疑義が生じるのは目に見えている。こういうのは近しい間柄の人物にやってもらうのがベストなんだが……
「まぁ、自分が死んでからどれだけの月日が流れたのかは追々理解していってもらうとして。一先ずは可能性の話をしよう」
「「?」」
「簡潔に言うと、あんたのお子さんは生きている可能性がある」
「……!?」
「何!?それは一体どういう事だ!?」
落ち着け、おっさん。あんたより先に娘さんに説明させろ。
「ただ殺して奪うだけなら、態々あんたの身体から記憶や残滓が消されてるのは不自然だ。それがされてるって事は俺が今回した様な事を警戒してる奴が犯人の可能性が高い」
「な゛ぜ……?」
犯人はそんな事をしたのかって?
「さあな。だがここで重要なのが犯人は何故、記憶はともかく中にいた赤子の残滓まで消したのかって事だ」
「何故だ?」
 何故かって?
「赤子を再生させない為に決まってる。そして消された記憶の人物があんたを襲った犯人だと仮定するならば、それはあんたの子供の父親の可能性がある」
「嘘よ゛!だってあの人は……!あの……人……は……」
「思い出せないんだろう?つまりはそういう事だ。まぁ、仮定の話だけどな」
「だがそれが何故子供が生きているという話になるのだ?」
「証拠隠滅にしては不可解な点が多すぎるんだよ。それに、そこまで出来る奴が何故母体を残していたのかって所に俺は疑問を感じざるを得ない。生まれてくる子供がその人物にとって不都合な存在だったのならば、母体ごと抹消した方が後顧の憂いを断つという意味では合理的だ」
「つまり、どういう事なのだ?」
 ここからは予想の域を出ないが……
「多分取り出した赤子に何かあった時の為、として考えてたんじゃないだろうか。例えば……俺がやったみたいに肉体を再生させて懐胎している状態に戻す、とかな」
 生体のサンプルが向こうにあるのであれば、十分に考えられる。
「勿論。親父さんが守っていたからって理由もあるだろうが、不意打ちとはいえあんた(リルラ)を殺せる位の奴が今更親父さん程度に萎縮するとは思えない。もし赤子に何かあったのだとしたら、容赦なく娘さんの身体を奪いに来てただろう」
以上の事から取り出された赤子は今尚無事に生存していると考えられるのだが如何だろうか?
「ぞん゛な゛……」
「何という事だ……では、つまり其奴は最初からリルラ(竜人)の赤子だけが目的で?」
「近づいてた可能性もある」
神をも滅ぼすと言われている種族の若い娘が盲目的なリベラルを片手にホイホイ家出してたんだろ?そりゃ力を欲する奴等からしてみれば騙すのは容易いだろうな。気の毒だけど、社会勉強代としては余りにも高すぎるハニートラップだ。
「ゔぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」
だからあんたが慟哭するのも無理はない。正に悪魔の所業と言っても過言では無いからな。
 でもその状態の身体で哭くのは止めてくれ。生命に関わるから。
「ジュウゴよ……」
 分かってる。
「治すよ」
 俺はうずくまる様にして涙を流しているリルラの背中をさすりながら彼女の身体を治した。
 はぁ……何とも後味の悪い結果になってしまったものだ。こんな事になるならば、何も知らずに死んでた方が良かった様な気もするが……どうなんだろうな。子を持ったことのない俺には判断がつかねぇや。

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