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テクノロジカル・ハザード ~くびきから解き放たれたトランスヒューマンは神か獣か~

和多野光

第22話「Gohst in the genome,but innocense」

 ぬぅぅぅぅ!何という圧力だ……!! 
約束を反故にする気は無いが、まさかこれ程の強者だったとは……! 
 下手をせずとも我等と同等……いや、それ以上かもしれぬ。 
あり得ん。何故この様な者が未だに存在している?斯様な化物は我が産まれる遥か以前の神魔大戦にて滅んだ筈。現存する勢力でこれ程の力を持とう者など、封印されている魔皇共を除けば…… 
「まさか貴様、ヴァースの者か?」 
「ヴァース……?ああ〜、あいつ等の種族名か。違います、違います。一応警戒はしてますけど、向こうから来ない限りは特に手を出そうとは思っていません」 
「な……!?」 
にを言っているのだ、この者は。 
「あいつ等」?「向こうから来ない限りは」?それではまるで、対峙し勝利したかの様な言い草ではないか! 
彼奴等は我等竜人族と唯一同等の力を持った神人族なのだぞ!? 
「で?どうするんですか?試すのか、それとも試さないのか。貴方の答えは?」 
 恐ろしい……我は産まれ落ちてから初めて恐怖というものを感じているやもしれぬ。この得体の知れぬジュウゴという者に。だが、だからといって我が娘の蘇生を諦められるか! 
「是非も無い。この身はもとより神の敵。我が子の蘇生を神が阻むと言うのであれば、今一度我は獣となりそを滅さんと誓おう!」 
「貴方の覚悟は受け取りました。では……」 
 瞬間、我は死を覚悟した。 
 それ程の得体の知れない力が目の前の者から溢れ出す。 
『では、これより作業を開始致します。先ずは肉体の再生を阻害している防壁の除去を開始――』 
 その表情や声色からは一切の感情が抜け落ち、瞳や肉体からは裂け目が現れ光を放っている。 
 見た目こそ変わらぬが、コレが先まで我と言葉を交わしていた者と同一人物だとはとても思えぬ程の変化だ。 
 おお……我等竜人のブレスを用いても溶ける事の無かった呪氷が手をかざしていくだけでみるみる内に消え、触れる事すら叶わなかった我が子の遺体が徐々に露わとなっていく。そして呪氷によって立ったままだった娘が彼の者に抱きかかえられ、今その身を横たわらせた。 
『――完了しました。続いて肉体の再生を開始します。欠損部を残存部からデータ解析し、万能ナノマテリアル細胞にて補完中』 
 ああ……そして彼の目から放たれる光が娘の傷をなぞる度、開いていた箇所がまるで何事もなかったかの様な美しさで閉じていく。魔力の類は感じられない。つまり、この者は魔法以外のナニカをもって娘を治しているのだ。それも手も触れずに見ただけで。 
一体、この様な話を誰が信じよう。 
『完了。体組織は完全に復元されました。続いて全ゲノムのデータ解析に移ります。此処からはゲノムに蓄積・保存されたデータを抽出し、生前のパーソナリティをクローニング化する工程に移行する為、多少時間が掛かります。妨害行為が発生した場合、作業を中断し排除行動を優先させますがよろしいですか?』 
 成程。ここからが本番という事か。 
「承知した。貴様が何をどうするのかは分からぬが、その間は何人たりとも近づけはさせん」 
 だから存分に力を振る舞うが良い。 
『了承を確認。ゲノム解析によるゴーストリコンストラクトを開始致します』 
 我が言葉を聞くやいなや、目の前の人物は娘の額に手を置いた。 
『アナライズ、スタート』 
 直後、ヒュイイイという風切り音にも似た音と共に彼の身体の発光が強くなる。 
 そして、その光が彼の手を伝わり我が娘の身体を同じ様に発光させていった。 
 するとどうだ。発光しだした箇所から徐々に身体の血色が戻っていくではないか。 
最早、奇跡としか言いようの無い光景である。 
やがてその光が全身にまわり、眩いばかりの光が我が目を焼くと、其処には胸部を規則正しく上下させる娘の身体があった。 
『肉体に遺っていた生体データから一部を除き、記憶や細胞はクローニングが完了しました。ですが……』 
 『ですが……』?まさか…… 
「コレで失敗したとでも言うのか……?そんな馬鹿な!リルラは現に呼吸をしているではないか!?」 
『いえ、娘さんでは御座いません。そちらは間もなくお目覚めになるでしょう』 
「な……!?いや……では何だと申すのだ!」 
『お孫さんです』 
「……?」 
 は……? 
 今、此奴は何と申した? 
 孫?我に孫だと?一体何処からそんな与太話が…… 
『娘さんの肉体からは一部データが削り取られていました。該当箇所、その他周辺箇所に遺っていたデータを分析するに当時妊娠されていた可能性が御座います』 
 何……だと……? 
『……ご存知なかった様ですね』 
「では……奴等は娘の生命だけでは無く、我が孫の……名すら持たぬ我が孫の生命迄も奪っていったと言うのか!」 
『いえ、事はそれ程単純では御座いません』 
「何……?」 
『詳細は分かりませんが、貴方のお孫さんは子宮ごと連れ去られています。驚くべき事ですが、娘さんの体内には子宮と呼ばれる器官のデータが遺っていませんでした。まるで、再生や蘇生の能力を使われる事を見越したかの様にゴッソリと。先程、一部削り取られていたと言った箇所がソレです』 
「ならば……」 
『ええ。元からお腹の中身を目的とした殺人、とみて間違いは無いでしょう。子宮ごと取り出してナニをどうしたのかまでは不明ですが……』 
 何という事だ……おのれ……おのれぇぇ……! 
「そん……な……」 
「『!?』」 
 リルラ!目が覚め……!? 
「あぁ……ぁぁあ……あぁぁぁぁぁあ!」 

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