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テクノロジカル・ハザード ~くびきから解き放たれたトランスヒューマンは神か獣か~

和多野光

第21話「To be,or not to be……」

「……何者だ?」
おっと、凄いな。光学迷彩に逆位相音フィールド(パーフェクトノイズキャンセリング)、嗅覚受容体イレイザーも展開しているのに俺の存在に気づけるのかコイツ。
「あ〜……え〜っと、こんばんは。ジュウゴと申します。夜分遅くに申し訳ございません。貴方が竜人ガンド様でお間違いないですか?」
「……」
 あれ?
「もしかして違……」
「いや……まさか問われて名乗りを上げる様な侵入者(馬鹿)がいるとは思わなかったのでな。少し面を食らってしまっただけだ。如何にも。我が『終焉』と呼ばれる竜人ガンドである」
 ああ、良かった。竜違いだったらどうしようかと思ったぜ。
広大なウェアリア共和国を囲う様な形で存在するハイドラ山脈。その中でも一際標高のあるジョルム山に竜人ガンド様とその娘リルラ様が眠っていると云われています。と聞いてやって来たはいいものの竜違いでした、じゃ格好がつかないもんな。
「いいですか、ジュウゴ様?絶対に近づいてはなりませんよ?」とバイフーさんに念を押されてはいるが、俺の齎した情報が元で彼等(新皇高校の子供達)が鏖殺でもされてしまったら寝覚めが悪過ぎるのでちょっと様子を見に来たのだが……
「ジュウゴ、と申したな?」
おい!人の要素、何処行った!竜『人』というよりは、見た目ものすっごい東洋型の竜だぞ!何だこのボールを七つ集めた時みたいな構図は!
俺にギャルのパンティでも所望しろと言うのか!?
「はい」
「我の記憶違いでなければ、ガルデニアが召喚したとされる勇者達の情報を齎した者と同じ名前であるが相違ないか?」
「……ありません」
 しかも何とお耳の早い事。
「で、あれば尚更分からぬな。何故、此処へ?」
出来れば前情報の無いまま話を進めたかったが、知っていて尚これ程冷静なら此方の事情を話しても良さそうだ。
「実は……その勇者達と自分なんですが、縁は無けれどゆかりがありましてね。まぁ、だからといって義理立てする訳でもないんですが。一応、自分の齎した情報が原因で死なれても寝覚めが悪いので貴方が再び怒り狂っていたならば止めようかな〜、なんて思って此処へ来ました」
「ほう……縁なき所縁とな?その程度の理由で我が巣に命も顧みず忍び込んだと申すか」
 まぁ、その程度の理由と言えばそうなんだけどさ。
「いえいえ。あくまで貴方がどの様な方か分からなかったので偵察に来ただけ、と言うのが正直な所なのですが……まさかバレるとは思いませんでした」
「それで?」
「貴方達の静かなる時を害した事に対しては謝罪を申し上げます。人の時間軸で考えれば到底測れない事ではありますが……貴方は未だ喪に服されてらっしゃるのですね?」
「……そうだ」
「では、その祭壇で氷漬けになっている方が?」
「我が娘、リルラだ」
 此方は人型なんだな。裸だけど。
 綺麗な人だ。氷の柩に入っていると表現した方が良かったかな?驚くべき事にかなりの年月が経っているであろう遺体の筈なのに腐敗や損傷が全く見受けられない。死した後、直ぐにあの様な処置をとったのだろうか。胸部についている深そうな傷が無ければ本当に眠っている様にも見える。
 死因は背後からの刺し傷か。それも一刺しで絶命させられているな。えげつない。
「言っておくが、我が復讐は既に終えている。今更、滅ぼした国の生き残りが勇者を召喚したとて何かをするつもりはない」
 ですか。
「だが、覚えておくといい。その者達が再び我等が眷族を害すると言うのであれば、今度こそその国は根絶やしにされるだろう。我等の中には一切を無にしようとする者もいる」
「存じております。彼等が犯した罪まで庇い立てする気は毛頭ございません。その際はどうぞ、ご存分に」
 流石にクズの命までは知らん。幾ら同じ日本人でもな。
うん。じゃあ確認も済んだし帰るとするか……
「……待て。人とも亜人とも呼べぬ不思議な者よ」
 うぐ……やっぱりすんなり帰らせてはくれないか。
「……何でしょう?」
「そなたは我が娘を蘇らせる術を持っているか?」
 ……はい?
「蘇らせたいのですか……?」
「何を疑問に思う事がある。親が子の死を否定してはいけぬのか?」
「いえ、ですが……」
 この世界には魔法がある位だからてっきり『そういうナニカ』もあるもんだと勝手に考えていたんだが、違うのか?その上で死を尊んでいたのではないと?
「この世界には蘇生魔法やエリクサー、不老不死を齎す様なポーションは無いのですか?」
「……そんなモノがあるのであれば聞いてはおらぬ」
 デスヨネー。
「では、その様な謂れを持つ伝承や伝説も?」
「あるにはある……が、殆どが『魔皇の呪い』や『竜の血』を指すモノだ。そして――」
 自分達の血にその様な力は無い、と。
全く、変な所で融通の効かない世界だな。まぁそんなモノが存在していたら、こんな状況にはなってないか……
「個人的な意見を述べるなら、あまり死者を蘇らせる様な真似はしたくないんですが……」
そんな俺の言葉に目の前の竜は目を見開き、縋る様な視線を這わせてきた。
「まさか…………出来るのか?」
 馬鹿。期待すんな。やるとしたらそれはかなり外法な人体実験だ。それに俺が考えてる方法で彼女を『復元』した場合、それが本当に彼女となるのか。はたまた彼女の姿形をしたナニカになるのかは不明なのだ。最悪、物言わぬただ生きているだけの肉袋となる可能性だってある。
「一応聞きます。成功するにしろ失敗するにしろ、その後の責任は一切取りませんよ?」
だから念を押す。
「責任?」
「……俺ね、盲目な博愛主義嫌いなんですよ。娘さんが再度馬鹿な行動を起こした末、同じ様な結果になったとしても二度と同じ処置はしませんからね?」
これは成功した場合の諸注意だ。まぁ、肉体に残っているデータを素に復元する予定ではあるから大丈夫だとは思うけど。一部破損(穿かれて穴が空いている)してるからな。復元も絶対ではない筈だ。当時どういう心境だったのかは知らんが、蘇って尚平和(全弱者救済)を唱える様な馬鹿だった場合はもう知らん。悪いが二度目は無しだ。
「う、うむ……それは大丈夫だと思うのだが……」
「加えて、言葉を返す様で悪いんですが……力づくで俺を従わせようとするなら覚悟をして下さいね?」
そしてこれは万が一の時の為の注意事項……いや、宣戦布告か。
「覚悟……?」
「……俺に滅ぼされる覚悟ですよ」
今回は住居?無断侵入とあんたの親心に免じて願うのなら禁忌を犯すが、成功したからといって力づくで俺を従わせようとするのであれば全力で抵抗させてもらう。
戦争?望む所だ。
竜人だろうが何だろうが、それこそあらゆる兵器を用いて土地ごと跡形もなく消してやる。
「ぬぅ……!?」
 一応、これが平常時で出せる本気の威圧だ。人に対して使えば先ず精神が耐えられないだろうから今まで使ってこなかったが、あんたなら理解出来るだろう?
 そうだよ。人とも亜人ともつかない俺は多分、本気を出せばあんたですら殺せてしまうんだ。
 頼むから、約束を違えてくれるなよ?
「それでも良いのであれば引き受けましょう。神への冒涜、生命倫理の到達点。『魂の否定』を」



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