クリティカル・リアリティー
第十話 静寂(2)
疲れていた俺はあの後いつの間にか眠っていた。今日は昨日よりも涼しいのか、それとも冷房が聞いているのか分からないが、着ていた制服が汗だくで苦しい。とりあえず、ブレザーを脱いだ。
時計の短針は7を指している。怪物に襲われた日は金曜日、だから今は日曜日か。8時頃には、アニメが二本やっていて、俺は最低でも前半のアニメを見るのが日課だ。ここにはテレビもスマートフォンもない。恋しくなってきたな。風呂にも入っていないから何処かで入りたい。近くに銭湯なんかあっただろうか。
……考えるよりも先に動くべきだ。そう思い、俺は立ち上がった。
周りを見渡すと、明人がよだれを垂らしそうなほどの深い眠りに落ちていた。
昨日、かっこいい台詞吐いててその顔かよ。思わず
声を出しそうになったが堪える。
そして陽向は、外にいた。疲れを感じられない背中だった。声をかける前に彼女は振り返り、決意をした顔でこちらを見る。昨日とは見違えるほど目が冴えきっていた。
彼女は一言、人を探そう。そういってまたコンビニに戻り、準備を始めた。
準備は20分で終わった。それで、どこに向かうかが問題だが、とりあえず、俺達が通っている海廊中に向かうことになった。
いざ中学校へ!とコンビニを出たが、その計画は一瞬で終わりを迎える。
近くから知らない声が聞こえ、警戒する。
「待ってくれ! 警戒しないでいいよー」
優しそうな声だが昨日の件もあってか、気を抜けない。
「いやー……久々に人に会えたなぁ……」
その言葉を聞き、明人は突然飛び出し会話を始めた。
「貴方は誰だ⁉」
「……この距離で話すのは難しいね、今からそっちに行くよ」
そういって家の近くからここまで来た。
どうやらこの人の名前は立花と言うらしい。
見た感じの年齢は40代程の男性でとても痩せている。肌も少し焼けていて若々しく見える。
「立花です。君達が着ている制服から見るに……海廊中の生徒だよね? 真ん中の君はえーと……弘也クンだったかな?」
「え? 弘也、立花さんと知り合いだったのか?」
明人の言う通り、俺は立花さんとは初対面のはずだ。もしかしたら俺の母さんから知った人なのかもしれないな。そう考えると、この人は同じ学校の誰かの親なのか?
「ハハ……もしかして俺の『父』さんからですか? 俺の父さんはPTAの役員ですから、関係者ですか?」
明人と陽向が驚いた顔でこちらを見るが気にしない。
立花さんはそれに気づかず話を続ける。
「あぁ……そうだったね、キミの父だったか母だったか忘れたが、一度交流した事があったんだ」
忘れた? 会話で聞いた俺を覚えているが、話していた親は分からない? そんなことあり得るのだろうか。
「そういえばアタシ、いや、私、立花さんって何処かで聞いたことがあるような……」
陽向は立花さんについて何か知っているらしい。
「なんて会社だっけ……なんとか企業の偉い人ですよね?」
「……私は貴田財団の者でね、貴方達のような生き残った人を探していたんですよ。その理由はですね……『保護』するため、です」
保護? どういうことなんだ?
「もしかして、貴方達は何も知らなそうですね。この世界の事を。」
「ルールって……一体何ですか?」
「それはね――」
――待って!
その時、立花さんが来た道の反対、昨日俺達が来た方向から、聞いたことのある声が聞こえた。
その場の全員がその道へ顔を向ける。
そこには、初日に別れ、今まで生死も分からなかった利名子がいた。
時計の短針は7を指している。怪物に襲われた日は金曜日、だから今は日曜日か。8時頃には、アニメが二本やっていて、俺は最低でも前半のアニメを見るのが日課だ。ここにはテレビもスマートフォンもない。恋しくなってきたな。風呂にも入っていないから何処かで入りたい。近くに銭湯なんかあっただろうか。
……考えるよりも先に動くべきだ。そう思い、俺は立ち上がった。
周りを見渡すと、明人がよだれを垂らしそうなほどの深い眠りに落ちていた。
昨日、かっこいい台詞吐いててその顔かよ。思わず
声を出しそうになったが堪える。
そして陽向は、外にいた。疲れを感じられない背中だった。声をかける前に彼女は振り返り、決意をした顔でこちらを見る。昨日とは見違えるほど目が冴えきっていた。
彼女は一言、人を探そう。そういってまたコンビニに戻り、準備を始めた。
準備は20分で終わった。それで、どこに向かうかが問題だが、とりあえず、俺達が通っている海廊中に向かうことになった。
いざ中学校へ!とコンビニを出たが、その計画は一瞬で終わりを迎える。
近くから知らない声が聞こえ、警戒する。
「待ってくれ! 警戒しないでいいよー」
優しそうな声だが昨日の件もあってか、気を抜けない。
「いやー……久々に人に会えたなぁ……」
その言葉を聞き、明人は突然飛び出し会話を始めた。
「貴方は誰だ⁉」
「……この距離で話すのは難しいね、今からそっちに行くよ」
そういって家の近くからここまで来た。
どうやらこの人の名前は立花と言うらしい。
見た感じの年齢は40代程の男性でとても痩せている。肌も少し焼けていて若々しく見える。
「立花です。君達が着ている制服から見るに……海廊中の生徒だよね? 真ん中の君はえーと……弘也クンだったかな?」
「え? 弘也、立花さんと知り合いだったのか?」
明人の言う通り、俺は立花さんとは初対面のはずだ。もしかしたら俺の母さんから知った人なのかもしれないな。そう考えると、この人は同じ学校の誰かの親なのか?
「ハハ……もしかして俺の『父』さんからですか? 俺の父さんはPTAの役員ですから、関係者ですか?」
明人と陽向が驚いた顔でこちらを見るが気にしない。
立花さんはそれに気づかず話を続ける。
「あぁ……そうだったね、キミの父だったか母だったか忘れたが、一度交流した事があったんだ」
忘れた? 会話で聞いた俺を覚えているが、話していた親は分からない? そんなことあり得るのだろうか。
「そういえばアタシ、いや、私、立花さんって何処かで聞いたことがあるような……」
陽向は立花さんについて何か知っているらしい。
「なんて会社だっけ……なんとか企業の偉い人ですよね?」
「……私は貴田財団の者でね、貴方達のような生き残った人を探していたんですよ。その理由はですね……『保護』するため、です」
保護? どういうことなんだ?
「もしかして、貴方達は何も知らなそうですね。この世界の事を。」
「ルールって……一体何ですか?」
「それはね――」
――待って!
その時、立花さんが来た道の反対、昨日俺達が来た方向から、聞いたことのある声が聞こえた。
その場の全員がその道へ顔を向ける。
そこには、初日に別れ、今まで生死も分からなかった利名子がいた。
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