神様の旅路

三日月

第14話〜裁判〜

俺はエルとの会話を終えた後部屋に戻った。そしてベッドに飛び込む、因みに《偽装》はとっくに解いてある

「流石にラウムツァイトを使ったのはやり過ぎたか、しかも時間逆行タイムリバースまで使う事になるとは」

俺が智也に使った魔法《時間逆行》は対象の時を戻すと言う魔法だ、それで智也を1日前に戻したのだ。
1日前ならまだ魔人の力を手に入れておらず怪我もしてないからな、とは言え智也に干渉した魔人が再び智也と接触するかもしれないから気を抜くわけにはいかない。
そして俺が寝ようとした時カミラの声が聞こえた

「明彦さん、王室までいらしてください。他の皆さんもすぐに来るはずです、なるべく早くお願いしますね」

疲れてるんだけどな……用件はおそらく智也についてだろう

「仕方ない……行ってやるか」

そして俺は部屋を出て王室へ向かっていく

王室に着くと既に王やカミラ、クラスのみんなにアルバートさんなど色々な人が来ていた、奥には鎖で動けなくなっている智也がいる

「ではこれより赤城智也の処分を決める!」

王がそう言った、やっぱりそれが目的か、今回俺にできることは何も無いだろう、星光がどうするのか見ておくか

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俺は昨日のことを思い出していた

「みんな、集まってくれてありがとう」

智也を運んだあと俺はクラスのみんなを部屋に集めたそしてみんなに話す

「明日、智也の処分を決める話し合いが行われるとカミラさんから聞いた、そこでみんなに協力して欲しい智也を救いたいんだ」

俺は頭を下げる、しかしクラスのみんなは

「ふざけんな!あんな奴を助けて何になるんだよ!」
「そうだ!ほっといたらまた暴れるに違いない!」

など批判の意見が多い、だが俺は諦めず説得を試みる

「確かに、皆んな智也に対して嫌な感情を抱いているだろう、だがあれは智也ではなかったんだ」

みんな俺が何を言っているのかわからないようだ

「智也はただ魔人に操られていただけなんだよ、そうですよねカミラさん」

俺の横にいたカミラさんが話し出す

「えぇ、彼から魔人の気配を感じたので間違いありません」

「さて、これを聞いたみんなに改めてお願いだ、智也を救うために協力してくれ」

俺は再び頭を下げた

「魔人に操られてたって言ったけどまた操られる可能性はあるの?」

クラスメイトの一人市原恵子いちはらけいこが俺に聞いてくる

「どうなんですか?カミラさん」

「それはあり得ませんので安心してください」

「本当に信じていいの?そう思える根拠は何?」

どうやら恵子は信じていないみたいだ

「根拠はありません、でも信じてください」

「根拠もないのにしんじられるわけない!」

「ではこうしましょう、もしまた彼が暴れれば私は責任を持って彼を止めます、さらに私はこの国の王女を辞めあなたに殺されてあげます、それで良い?」

「別にそこまでしなくても……分かったわよ!貴方を信じる」

無事に信じてくれたようでよかった、後は他のクラスメイトだが

「俺は星光に協力するよ!」
「私も!」
「魔人に操られてたってんならあいつ自身は悪くないわけだしな!」

皆んなが賛成してくれた

「みんな……ありがとう」

「でも、助けるって言ってもどうやるの?」

「それは考えてある、智也が無実だと言う事を王に伝えるんだ、最悪俺たちが勇者を止めると脅すって言う手もある」
「俺たちなら出来る!智也を救うぞ!」

「「「おぉ〜!」」」


そして裁判が始まった

「さて、智也についてだが」

「王様!彼を許してあげてください、彼は魔人に操られていただけなのです、もしまた暴れるなら俺達が全力で止めます、だから許してあげてください!」

俺はそう言って頭を下げた、クラスのみんなも下げる

「そんなことしなくても良い、我はもともと智也を許すつもりだったのだぞ」

「「「えっ?」」」

俺たちは皆んな訳がわからない状態だった、元々許すつもりだった?どう言うことだ

「彼が操られていただけと言うのはカミラから聞いておる、我が孫であるカミラを殺そうとしたのだから許せることではない、だがカミラの方から頼み込んできたのだ『どうか、智也さんを許してあげてもらえませんか?彼が死ねば他の皆様が……星光さんが悲しんでしまいます、なのでどうか許してあげてください!』とな」

そんなことがあったなんて、知らなかった

「さて、智也よ、お前はどうしたい?」

王がそう智也に聞くと智也についていた鎖が外れた

「俺は、まだ生きていたいです!」

「そうか……それでは赤城智也、其方をゆるそう」

その瞬間智也が嬉しそうな表情を浮かべた

「ただし!これからはより訓練に励み強くなってもらうぞ、魔王を倒すためにその力を使わせてもらおう」

「はい!」

「では解散!明日からまた訓練開始だ、今日はしっかり休むように」

「「「はい!」」」

そして俺たちは各自部屋へと戻ろうとした、しかし

「待ってくれみんな!」

智也に呼び止められた

「俺はみんなに謝りたい、魔人の力でカミラさんを、みんなを傷つけようとした、ごめんなさい!」

智也は頭を下げ謝った、今までの智也とは思えない

「もういいよ、みんな智也を悪いと思っていない」

「そうだよ!」
「大丈夫だよ智也」

「みんな……ありがとう」

「さぁ部屋に戻ろう、明日からまた訓練頑張ろう!」

「あぁ!」

そして今度こそ俺たちは部屋へと戻っていく

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「明彦さん」

俺は王室から部屋へと戻る途中カミラに呼び止められた

「こちらに来てください、ここだと怪しまれます」

そして俺はカミラについて行くと部屋の中に通された

「さて、まずはお礼をしなくてはですね、私を助けてくれてありがとうございました」

「何のことですか?」

「ふふっ、惚けないでくださいよ、智也さんが暴れた時私や星光さんを助けてくれたじゃないですか」

「二人を助けた人物がどうして俺だと思ったんです?俺はあの時、他のクラスメイトと共にいましたが」

「まぁ色々理由がありますが、あなたの魔力をずっと感知していた、これが一番の理由ですね」

「なる程、でも気になる点があります、何故カミラさんはあの時俺に頼んだんですか?」

初めての訓練が終わった後カミラに頼まれた時からずっと気になっていた事だ

「さぁ、何ででしょうね?」

「教えてくれないんですか?」

「あえて言うなら私はあの時からあなたが本当の力を隠している事に気づいていました、あなたが強い人物だと思ったので頼んだ、とりあえずそれが理由です」

「とりあえず……と言うことはまだ何かあるのですか?」

「それはまだ言えません。自分で気づくまで私から言うつもりはありません」

自分で気づくまで……か、もしかしたら俺の空白な部分に関係していることなのかな?それならまだ分からないだろう

「さて、話は終わりです。いずれあなたにまた頼みごとをします、聞いてくれますか?」

「できる範囲で」

「それで良いです、ではまた」

そしてカミラが部屋から出て行った

「また頼み事って一体何を頼む気なんだ……まぁ今は考えなくて良いか、とりあえず休もう」

そして俺は自分の部屋へと戻る







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